小泉大臣記者会見録(令和2年10月27日(火) 10:33~10:57 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 昨日、菅総理の所信表明演説におきまして、「グリーン社会の実現」が「デジタル社会の実現」に並んで政権の中心課題に位置付けられて、2050年カーボンニュートラルを目指すことが宣言されました。また、早速、今朝、菅総理はグテーレス国連事務総長と電話会談を実施しました。菅総理からは、所信表明演説で2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにし、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言した旨を述べて、グテーレス事務総長が主導する「気候野心同盟」、これに日本も参加する旨を今日総理から新たに表明をしたところであります。グテーレス事務総長からは、演説で示された果断な決断を心から歓迎し、高く評価する。完全に支持するということが述べられたと聞いています。私がかねてから申し上げていた環境先進国日本の復権に向けて、大きな一歩を踏み出したと思います。菅総理は「もはや温暖化への対応は経済成長の制約ではなく、温暖化対策を行うことが産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながる」と発言をされました。環境省は、グリーン社会実現のために「社会変革担当省」として「脱炭素社会への移行」、「循環経済への移行」、「分散型社会への移行」という三つの移行によって、持続可能で強靱な経済社会への「リデザイン(再設計)」を一層強力に進めていきます。実行に当たっては、経産省をはじめ、先週連携で合意をした農水省など、各省庁と縦割りを超えた取組で「環境の成長産業化」を進めたいと思います。改めて菅総理の力強いリーダーシップに心から感謝をするとともに、身が引き締まる思いでいっぱいです。今後、環境省一丸となって、この2050年までの脱炭素社会を実現する、これに向けて責任、役割を果たしていきたいと思います。今日は冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)テレビ朝日の藤原です。菅総理の所信表明についてなんですけれども、今回、2050年ゼロを表明したことによって、大臣は海外の見え方や発信力という意味ではどう変わっていくとお考えでしょうか。経済界への理解もかなり重要になってくると思いますが、経済界との向き合いという面で考えていることなどがありましたら教えてください。
(大臣)さっきグテーレス事務総長と電話会談をしたことはお話しをしたとおりです。早速、海外からは大変評価をする、そういう発言が相次いでいます。例えばイギリスのCOP議長国としての議長がシャルマ大臣でありますが、シャルマ大臣からも菅総理の演説を受けて、早速、すぐに反応がありました。そして、EUのティマーマンス副委員長だけではなくて、委員長のフォン・デア・ライエンさんからも表明、関係のコメントもありましたし、例えばこの気候変動の分野でいうと、主なプレーヤーの皆さんはいるんですが、そういった方々から早速発言が相次いでいます。そして、産業界でいえば、経団連の中西会長が昨日早速コメントを発表されました。その経団連の中西会長のコメントによれば、今回の総理の高い目標を掲げたことは、「持続可能な社会の実現に向け、我が国の今後のポジションを確立する英断であり高く評価する」、そういったコメントが発表されています。まさに環境省は経団連とも合意書を交わしているように、昨日の菅総理の発言によって、気候変動対策が産業政策として、そして成長戦略として語られる時代に突入をしたと。そのことを前向きに受け止めていただいている産業界の反応もうれしく思いますし、一緒になってこれから実現に向けた歩みを共に進めていきたいと考えています。

(記者)毎日新聞の鈴木です。菅総理の昨日のゼロ宣言の演説の中で、国と地方の検討を行う新たな場を設けるという言及もありました。これまで環境省は、地方分散という形で自治体との連携を進めてきたと思います。環境省が得意とするところで、今後新たな場でどのように関与されていくとお考えでしょうか。
(大臣)今回、総理の所信で「脱炭素社会の実現に向けて、国と地方で検討を行う新たな場を創設する」、そういうふうに表明がありました。これはゼロカーボンシティ、この更なる拡大、そして各地域におけるゼロカーボンの実現に大きな後押しになればなと考えています。環境省としては、特にこの強みを発揮できる分野は、地域、自治体と一緒になって進めるということでもあるので、今回この新たな場が設置された暁には、環境省としてしっかりとその中での役割を果たして、実際に再生可能エネルギーの導入拡大をまさにパッケージで支援をする、そういった予算も用意をしているので、これを進めていくとともに、非常に大きい一歩だなと思うのは、もう既に官房長官から会見などで発言があるように、環境省だけのゼロカーボンシティの後押しではなく、官房長官による発言、更に今回総理の所信表明で、そのための新たな場を設置するということになったことで、政府全体として自治体の後押しをする、この明確な宣言がされて、具体的な場の設置で取組が始まっていく。この中では、しっかり環境省は貢献をしていきたいなというふうに思っています。
(記者)昨日宣言された時に、議場で一番盛り上がっていろんな議員の方から拍手が起きていました。これまでずっと2050年ゼロを大臣としても主張してこられたと思うのですけれども、あの瞬間をどういう思いで見守っていたのでしょうか。
(大臣)そうですね、今まで中では合意に至ったとしても、政治というものは最後の最後までどんでん返しがあるケースもあるので、本当に総理の口から国会の場で宣言をされるまで、本当に最後まで運び切ることができるだろうか、そういう気持ちでいましたから、衆議院の議場で総理があのとおり宣言をされた時、そして参議院でもされて、私としては、就任以来、強く国際社会も含め、国内も含めて批判をされることもあったし、しかし、絶対これが日本にとって必要だと、石炭政策の見直しもそうですけど、すべてがここに一本につながってきて、別に今までのことを走馬灯のように思い返すというのはちょっとあれですけど、やっぱり感慨深かったですね。同時に、一緒に歩んでくれた環境省の職員、本当にそれができるんだろうか、そういう思いの職員もいっぱいいたと思います。それがとうとう総理の所信表明でコロナ、デジタル化、グリーン化、この政権の中核に環境省の取り組んでいることがど真ん中に位置付けられた、この新たな時代への環境省としても大転換だと思います。これからその責任を果たしていくことは、大変重い責任を持っていますので、身が引き締まる思いで、省庁一丸となって取り組んでいきたいと思っています。

(記者)共同通信の水内です。総理が打ち出された脱炭素の新目標について、環境省として法改正等々検討していることや、現時点で想定される内容としてはどういったものがあるかお聞かせください。
(大臣)今回、今まで80%削減という目標を100%削減、つまりゼロ宣言をされたわけですから、今までの考え方と今までの目標では、それが実現できないことは明らかだと思います。ですので、先ほど申し上げたように、環境省の重点施策においてゼロカーボンシティの再エネ強化支援パッケージ、こういったこともやっていますが、予算の支援に加えて地球温暖化対策推進法に基づく自治体の計画制度を拡充して、自治体の計画に沿ったプロジェクトを制度的に後押ししていくことができないか、こういう検討をしていきたいというふうに考えています。こういった内容をはじめとして具体的な法改正、この内容についても、今後速やかに検討会を設置して検討を急いでいきたいというふうに思っています。
(記者)来年の通常国会を視野に作業を急ぐということでしょうか。
(大臣)そうなります。

(記者)エネルギーと環境の清水です。ゼロカーボンについて伺いたいのですが、政権のど真ん中に入れたことは大変なことだったと評価したいと思います。2050年というものは30年先で、時間にしたら相当長い。これを実効あらしめるためには、政府全体のどういうところでゼロカーボンを担保していくのか、そのお考えをまず伺いたい。それと、ゼロカーボンの出発点、起点をどこに置くのか。2050年までの中間点が想定される。まさか2049年にいきなりゼロカーボンを目指すということはあり得ないので、その辺の考え方をお聞かせください。
(大臣)まず、清水さんにも御評価いただいたことをうれしく思います。1点目に清水さんが質問されたものはどういうあれでしたっけ、2点あったと思いますけれども。
(記者)1点目は、2050年のゼロカーボンをどうやって菅政権の政策として担保していくのか。上位の計画とか、経済計画や国土計画などいろいろあるはずです、どういうことでこれを担保していくお考えがあるのか。
(大臣)まず、これは政権全体に関わる大目標でもありますので、環境省にとどまらず、政府全体で見直さない部分はないと思います。そもそも長期戦略というものは閣議決定をされているもので、この閣議決定は2050年の80%削減になっているわけです。ですので、そこを変えるところも含めて、全体を2050年までのゼロに向けて組み直していく作業、これがまずは大事だと思っています。そういった中で、じゃ、具体的にどこかというと、もちろんエネルギー政策、こういったところで2050年までのゼロをいかに整合的なエネルギー政策を作っていくのか。これは今、温対法の見直しの作業、それとエネルギー基本計画の見直しに向けた作業が経産省でも始まりました。こういったこともしっかりと反映をされるものは間違いないことだと思いますが、住宅分野、そして産業界の様々な経済活動の中でのCOをいかに少ない形で経済成長にも資する新たな経済社会に再設計(リデザイン)をしていくのか、これはすべての省庁において見直す分野が出てくるはずです。農水省と連携合意をしましたが、1次産業においてもこの取組の見直しは不可欠になるので、各省との連携が今まで以上に重要になる、そういうことだと思います。環境省としては、自分たちができること、脱炭素社会だけではなくて、結果として循環経済、分散型の社会、この三つの移行をすべて同時進行で進めていくことによって、結果として2050年までのゼロに近づく後押しができると思っていますので、環境省はそこをより一層頑張りたいと思います。そして、2点目としては、2050年、30年までの長い目標の中で、中間地点とか、それをどこへ置くのかという話がありました。これは、まずは2030年の目標というものはNDC、2030年の目標について国連には提出をしているところですが、2030年26%カットにとどまらないという表明をしていますので、今回の総理の表明を受けて、このアップデートをどういう作業をするかというものは、また次に出てくる話だと思います。一方で、2030年と2050年という二つの地点だけで測るのかというと、私は必ずしもそんなことはないと思います。例えば中国は国連総会で、2060年までのというふうに表現をしていますよね。ですので、2050年までのゼロを宣言した日本として、2030年のNDCでどこまでというのを示していくものはもちろんとして、経済社会の在り方がこのように転換する、それをどうやって時間軸の中で示していくかは、私は様々な提示の仕方があり得るのではないかなというふうに思っています。2020年の今、2050年の先、この間の中間点と言えば、30年のうちの間ですから2035年、ここは中間地点とも言えますから、いろんなことを幅広く柔軟な発想で、国民の皆さんに2050年ゼロというものはこういう新たな社会になるんだなと、そういうイメージが持ちやすい、そんな説明とこれからビジョンを示していくことが必要だなと思っています。
(記者)経済成長が前提となったゼロカーボン実現だと菅首相も言ってましたけれども、コロナで経済成長はこの2、3年ぐっと落ち込んで、日本をはじめ海外でも指摘をされています。経済成長がない場合のグリーン成長はあり得るのか、その辺の考え方を教えてください。
(大臣)まず、来年で環境庁が発足して50年、そして環境省が設置されて、格上げになってから20年が来年です。この発足の契機となった激甚な公害に対処するための高い目標設定が企業の対策を促して、結果的に産業の国際競争力を高めた、こういう評価を、先日、経団連の名誉会長でもある豊田章一郎さんがそういうふうにおっしゃっていました。今回の2050年のゼロ宣言というものは本当に達成できるのか。高い目標に見えるかもしれません。しかし、私は、日本は決めたらやる国だというふうに思っていますので、その方向性に向けて経済的にも、もちろん国民の一人一人の豊かな暮らし、そこにもつながる形で脱炭素社会が実現をできると思います。総理が今回決断をされて発信された意義というものは、今まで日本はできることしか言わない。だから、高い目標を掲げることにちゅうちょして、その結果、国際社会の評価から、日本がルールメイキングに加わるチャンスから、私は大きな損失を被ってきた部分が否めないと思っています。その中で、今回、菅総理が2050年のゼロ、そこに向けてまずは歩みを始めようと、この宣言をしたことは、今までの日本の国際社会に対するコミュニケーションの在り方も転換をする非常に大きな一歩だと思っていますので、その宣言をした以上、実現に向けて日本の力を見せる、そんなときが来たと思っています。

(記者)文化放送の伊藤です。福島第1原発の汚染水の放出についてなんですけれども、改めて大臣のお考えと、放流されるとしたらいつごろになりそうか、いつ決まりそうかという点、あと韓国から批判の声も上がっているのですが、そのことについてどのように受け止めていらっしゃるのか教えてください。
(大臣)まず、方針決定の時期については、具体的な日程を決めたということはまだないというふうに聞いています。一方で、環境省にとっては、福島の復興・再生は、これは我々にとって除染、中間貯蔵の大切な仕事を担っている省庁としては非常に重要なことだと見ていますので、副大臣が御意見を伺う場にも毎回必ず出席をしています。この処理水の取扱いは、復興の進捗を早める上でも決して避けては通れない重要な課題です。政府方針の決定をいつまでも先送りをするわけにはいかない、そういうふうに捉えています。10月23日に開催された廃炉・汚染水対策チームの会合で、今までいただいた御意見の整理結果が示されたところでありますので、政府として、いただいた御意見の整理結果も踏まえて方針の決定を進めていきたいと思います。また、海外に対する説明、そして国内でも様々な声があります。そういったことに対して、日本として正確な情報発信に努めて、少しでも御理解を深め、福島の皆さん、そのお気持ちもしっかりと酌みながら、最終的に政府の方針が決定された暁にはしっかり復興の加速にもつながって、国内外の理解も得られるような形につなげていくこと、こういったことを環境省としてはしっかりと準備を進めていきたいと思います。

(記者)朝日新聞の水戸部です。大臣は長く50年実質ゼロを発信し続けてこられたと思うのですが、さかのぼって総理が50年実質ゼロを言うことになったきっかけという部分を、小泉大臣は見ていてどういうところだったか種明かしを教えてほしいと思っていまして、菅政権発足のときの就任のときに梶山大臣と小泉大臣にそこを目指せと例えば指令があったのか、どういうふうに菅総理、梶山大臣、小泉大臣の間で、この50年実質ゼロに向けて進めてきたのか。総理がこれを言うという確信は、最後まで分からなかったと思うのですけれども、どこの時点で言ってくれるかもと思ったのかというところを、言える範囲で構わないので教えてください。
(大臣)私の中では、やはり石炭政策の見直し、そこから始まっているというふうに感じています。当初、この石炭政策の見直しを1期目にこれをやらなければいけないというふうに私の中で思った時には、やはり様々反対もありました。それは今までの政権の中での経緯があって今の政策になっている中で、これは動かそうとしたってなかなか動かないんじゃないか、そういう見方があったことは事実です。しかし、それを当時の官房長官である今の菅総理に、私の思い、そしてファクトも含めて説明をした時に、その受け止めというものは非常に柔軟に受け止めていただいて、最終的に海外に対する石炭輸出の政策の見直しは、官房長官である当時の菅さんが座長を務めていたインフラ輸出戦略骨子、これは菅総理の当時の官房長官の判断がなければ見直しができなかったわけです。それがかなわなければ、このゼロ宣言にはつながらなかったと思うので、やはりスタートはそこぐらいから始まっていて、最終的には総理といろいろやりとりをさせていただきましたが、総理の中で「脱炭素というものは成長戦略なんだよな」と、そういう言葉を聞いたときに、私の中では、総理の中ではそういう認識を持っていただいたんだというふうには思いました。ただ、明示的に2050年のゼロに向けてやれといったことではありませんので、私の中では最後までその宣言に至るかなと、それは最後まで見なければ分からないなと、そういうふうに思っていました。

(記者)産経新聞の奥原です。先ほどの処理水の質問に絡んで疑問があったのですけれども、大臣は正確な情報発信に努めてとおっしゃっていますけれども、この問題は風評被害が根本にあると思います。マスコミ側が汚染水の放出という短絡的な質問をする際に、改めて放出されるものは処理水なんだということを大臣自身が言い換えるべきではないかと思ったのですが、その辺はいかがでしょうか。
(大臣)私は汚染水という言葉は使っていませんけどね。
(記者)韓国のマスコミや韓国の政府並びに日本のメディアなどが、この問題に関しては汚染水を放出するという言い方をする。それは議事録に残るわけだから、そこは大臣として訂正するべきなのではないかと思ったのですけれども。
(大臣)訂正を求める相手は。
(記者)例えばマスコミ側から汚染水の放出という文言があった場合に、それに対する注釈といいますか、「汚染水とおっしゃいましたけれども、それはあくまでもALPSの処理を終えた処理水ですね」という言い方をしてもいいのではないかなと思ったのですけれども。そこは、流すと風評被害が拡大する恐れがあるのではないかなと思いました。
(大臣)私としては、どんなことを言われてもそれは処理水だと言っています。ですので、そこがしっかりと、これは処理水なんだというふうに伝わるような説明を、私に限らず、政府全体としてもやっていかなきゃいけないと思っています。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/aI9oBMUf3sg

(以上)

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