大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年8月4日(火)10:31 ~11:03 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日は「選択と集中」実行本部のことについて1点触れたいと思います。年明け以降、「選択と集中」実行本部で、環境省が社会変革担当省として社会全体の持続可能性を高めていける組織であるために、「選択と集中」の議論を進めてきました。昨日第4回の会合を開催して、これまでの成果を取りまとめましたので御報告をしたいと思います。今回、私が重視したポイントは、まずスライドで1枚目に整理してあるとおり、真にやるべき業務を選択すること。そして社会変革のために三つの移行、脱炭素社会への移行、循環経済への移行、分散型社会への移行、こういったことに集中をすること。そして、その二つを成し遂げるために基盤となるべき「選択と集中」のための働き方改革を、組織改革をしっかりと進めること、ここにポイントを置きました。まず「選択」の部分、ここの部分は思い切った予算事業の廃止、見直しや、デジタル化やアウトソーシングによる徹底的な合理化、効率化で業務を選択すること。具体的には予算面について約450億円のエネ特予算事業を今年度限りで原則廃止、見直しをして、新たな重点分野に振り替えます。約1700億円のうち450億円です。5年以上継続しているモデル事業などが対象です。そして、業務面については、デジタル化、アウトソーシングを徹底的に進めていきます。先日の会見でも申し上げた大臣のはんこ、大臣印の省略については既に規定を見直していますが、さらに出退庁簿は押印省略してデジタル化、そして会議の運営や年末調整事務はアウトソーシングをします。また、長時間残業の要因となりやすい国会対応につきましては、これまでも私が国会で答弁をする前の、今まで通常は早朝に皆さん、答弁作成者、担当部局が集まっていただいてやっているということがこの世界の常識だったかもしれませんが、この答弁レクをウェブに切り替えて対応していました。そういう可能な限りの負担軽減を図ってきましたが、今後、国会答弁システムの導入などを検討して、更なる負担軽減を図っていきたいと思います。次に、「選択と集中」の「集中」の部分です。社会変革のための三つの移行、すなわちさっき言った三つの脱炭素社会、循環経済、分散型社会への移行を進めるための施策に環境省のリソースを集中すること、この移行に向けた施策については、令和3年度の概算要求に向けて更に検討を深めて具体化をしていきます。そして、「選択」と「集中」の双方の基盤になる働き方改革についてでありますが、こちらもスライドのとおり、働き方改革については、昨日、株式会社ワーク・ライフバランスによる各府省の職員へのアンケート結果が公表されて、コロナ禍でのテレワークの活用度やデジタル化の実施率で環境省が霞が関で第1位となりました。環境省職員からは、コロナの影響も大きいが、環境省はそれ以前から取り組んでいたデジタル化や、私の育休もきっかけに省内のウェブ会議の活用が進められていたことも要因としては大きかったという声も、職員からも聞いています。非常にそれはうれしく思っています。今後更に多様な働き方を可能にするために、テレワークや時差出勤のルールを緩和して、気軽に誰でもテレワークができるようにします。これは、コロナ禍で一時的に緩和したルールを今後も皆が利用しやすいように通常ルール化するということです。具体的には、テレワークの実施頻度の制限、これを撤廃します。テレワークの対象者を非常勤職員にも拡大します。そして、テレワークの登録、報告様式と開始、終了連絡を簡略化します。こういったルールの緩和を行っているところです。また、霞が関版20%ルール、これを導入していきます。20%ルールはグーグルなどの民間企業が導入している仕組みで、社員の担当業務以外のプロジェクトなどに業務量の20%までを充てることで、新しいプロダクトの開発につなげることを会社として後押しをするものです。環境省は霞が関の勤務のルールも踏まえた霞が関版20%ルールを導入して、新しい環境政策分野に職員自らの意思で参加できる環境を整備して職員の意欲を高めるとともに、イノベーティブな発想で新しい政策を実現していくことを目指していきます。さらに、職員のワーケーションも後押しをします。既にテレワークが自宅以外でもできるようにルール改正を行っていますが、実際のワーケーションの事例も紹介しつつ、ワーケーションのハードルは高くないこと、また、ワーケーションは滞在先やコワーキングスペースなどでの生活者や事業者との交流によって、クリエイティブな政策立案に必要な感覚を養う機会にもなることを伝えていきたいと思います。同時に職員自らのワーケーションの実践によって、広く社会でのワーケーションも推進していけたらと思っています。今日はこの後、株式会社ワーク・ライフバランスの小室代表や働き方改革チームの職員を交えて意見交換を行う予定です。ここまで進んだ取組を定着させるための方策などについて、意見交換をしたいと思います。また、最近のコロナ感染者数の増加も踏まえて、環境省としては8月以降も本省のテレワークなどの実施率を5割以上とすることを目指していきます。そのためにも今回取りまとめを受けて、一層テレワークの活用や業務の合理化、デジタル化の徹底、アウトソーシングを気を緩めることなくしっかりと進めていきたいと思います。今後、この取りまとめの実現に向けて、来年度概算要求などに反映するとともに、実施できるものは今年度から順次実施をしていきます。これにより、私が就任当初から言ってきた社会変革担当省としての環境省を実現していきたいと思います。なお、私の会見終了後には、担当してくれた事務方からも補足の説明も予定しています。本当に頑張ってここまで職員の皆さんの努力、そして思いがなければここまで来なかったわけですから、今回外部からこの環境省がテレワーク、そして次のページにもあると思いますが、このテレワークの1位なども含めて、本当にやっていて良かったと報われている思いの職員がいることを思うと、私としてはうれしく思います。冒頭、今日は私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)朝日新聞の水戸部です。「選択と集中」の改革がまとまったということで、面白いものがたくさんあると思ったんですけれども、その中の霞が関版20%ルールなんですが、職員の方たちの意欲を引き出す仕組みかと思いますが、現実には本来業務が100%を超えて、150%であっぷあっぷという職員さんもいたりするのかなと思いますが、本当に職員がやりたいと手挙げをしたときに、職員さんの本来業務を減らして希望の業務とどうマッチングしていくのか、あるいはマッチング先がすごく人気があって集中することもあるかと思いますが、そこら辺は具体的にどうやるのかということと、あと狙いなんですが、環境省としてのコストパフォーマンスがトータルとして上がるからこそやろうと思われていると思うのですけれども、改めてこれをやることで環境省のパフォーマンスが上がるかどうか、狙いの部分を教えてください。
(大臣)まず、水戸部さんおっしゃるとおり、この20%ルールを実現する上で一番大事なのは、いかに今の無駄な仕事をなくすか、ここが最も重要だというふうな思いがあったので、これは事務方からも逐次この「選択と集中」の進捗状況、これを報告を受けるときに最も大事なのは、まずは仕事を減らすことだと。そこを見直さなければ20%なんか生まれっこないと、これはおっしゃるとおりだと思います。その上で、今回450億円、相当な努力をしてくれました。私がこの担当をしてくれた職員の話を聞いて、そこまでやってくれたんだなと思った一つは、例えば予算事業の中では億単位の事業もあれば、中には40万円ぐらいの仕事もあるわけです。しかし、その億単位の仕事も40万円ぐらいの仕事も、それに係る業務量、負担、これは大して変わらない現実もあります。そういったときに本当に環境省がやらなければいけない事業は何なのか、そういったことの厳しい、激しい議論を省内でもやったと思います。そういった額としてはものすごく小さいとも思えるところまでしっかりと思いを持って、この「選択と集中」の、特に「選択」という部分を進めてくれました。そして、この予算の査定の事務作業、要求の作業、こういったところも、この事務の部分でも相当なデジタル化を進めました。この詳細のところは、今日この後の事務方のプレスブリーフのときに、詳細を確認していただくのが一番臨場感があっていいのではないかなと思いますが、そこまでやりましたから、今後、それを環境省がまずは霞が関の中で先駆けて20%ルールをいい形で実践して、私の希望としては、それが省庁横断で霞が関版20%ルールを共につくろうと、そういった動きになっていくことを期待をしています。私も今まで厚労部会長もやったり農林部会長もやっていたり、そういった各省にも知り合いもいるし、有志で各省で働き方改革を頑張っている人たちもつながりもありますので、今回のことを共有した上で、環境省のそういった有志ともつなげたいなと。そういった実現を、環境省にとどまらない形で実現をしていきたいと思います。環境省の中で言えば、今、ファッションと気候変動ということで、社会変革推進タスクフォース、こういったことで推進をすることも予定していますが、今の所属の課室の所掌にとらわれないで、タスクフォースに参加をするに当たってこの20%ルールを適用するなど、様々な試行錯誤をしながら進めていければと思いますし、その取組の経験や様々な知見などは、世の中にも環境省から共有した方がいいのではないかなと思っています。

(記者)共同通信の水内です。「選択と集中」について伺います。働き方改革のところでテレワークを更に進めると、その先のワーケーションも省職員が実践している、それを社会に広く広げていきたいということなんですが、今、新型コロナの感染状況が再拡大傾向にある中で、省としてはその後押しを今すぐにするのか、もしくは感染状況がもう少し落ち着いたところで進めていくのか、大臣のお考えをお聞かせください。
(大臣)テレワークは、今もできる限り、それぞれ個人のまさに「選択」によって実施できる環境をつくっていますので、これは本省の正職員、そしてまた非常勤の職員を含めて誰でも気軽に取りやすい環境をつくっている、そういったことです。そして、ワーケーションについては、今、この新型コロナの拡大防止と社会経済活動の両立、これが課題となっています。ですので、ワーケーションの今後の実行、推進、そういったことに当たっては各業界のガイドライン、これを参照して感染防止対策を徹底する、これがまず大前提だということは当然のことだと思います。その上でワーケーションをする場合には、感染防止対策を万全にした上で、まずは身近なところ、その国立公園の中から実現をするのが一番いいのではないかなと思いますし、環境省自身が、今回ワーケーションを進めようということがスタートとして、今、政府全体の取組になった中で、我々が世の中に広げよう、選択肢として一つ根付かせようと思っていることを職員自らが実践をして、その中の経験をしっかりと政策の中に取り入れていくこと、こういったことは大事なことだと思いますので、状況を見て、感染防止対策をしっかりやった上で、よく考えて進めてもらえればと思います。
(記者)新型コロナの関係で、ペットの犬2匹が国内で初めてPCR検査の結果、陽性になったと昨日、民間会社が発表しました。初めてということで、これについての受け止めだったり、環境省として何らかの対応を取る予定はあるのかお聞かせください。
(大臣)今、環境省が承知しているその件に関する情報は以下のとおりです。まず一つは、新型コロナウイルスの感染者から民間事業者が預かったペットの犬2頭について、事業者及び国立感染症研究所が行ったPCR検査において陽性の結果が確認をされた、これが一つ目。そして二つ目が、犬の健康状態に問題は生じていないということが二つ目。そして三つ目が、この2頭について、新型コロナウイルスの感染が成立したかについては、いまだ明らかになっていないということであります。これまでも世界各地で感染者が飼っていたペットのPCR検査において、新型コロナウイルスが陽性になる事例が複数確認されており、国際獣疫事務局(OIE)、このホームページなどでも紹介されているところです。しかし、ペットから人への感染については、現時点ではどの国でも確認はされていません。ペットの飼い主の皆さんには、自身が感染した際の預かり先などについて事前に検討をいただくとともに、ペットのお世話のためにもまずは自身が感染しないよう、また感染を拡大させないような行動の徹底を強くお願いしたいと思います。環境省としては、引き続き各国や国際機関の動向について注視をしつつ、動物由来感染症を所管する厚生労働省と連携しながら、手洗いの徹底や動物との過度な接触を避けることなどの一般的な衛生対策について、周知をしっかりとやっていきたいと考えています。

(記者)朝日新聞の水戸部です。朝日新聞の調査で、福島の復興事業の発注元で不正経理による裏金づくりが報じられています。キャバクラなどの接待費用に使われていたというもので、元をたどれば原資は国民の税金です。発注官庁である環境省としてこのことをどのように受け止めていらっしゃるかということと、価格設定やチェック体制について疑問視する企業の声もあるようですが、それについてどう思われるか、こうした不正について何か対応策を講じる考えがあるかお聞かせください。
(大臣)公共事業の契約は、元請け企業が契約書記載の工事を契約書記載の工期内に完成をさせて、工事目的物を発注者に引き渡すものでありますので、その手段については公共工事の受注者たる元請け企業が責任を負うことになりますが、今般の報道を踏まえて、現在、元請け事業者を通じて事案の事実確認などを行っているところです。環境省としては、適正な積算基準の設定や不適正な行為を行った事業者に対する厳正な対処などによって、適正な業務執行を図っていきたいと思います。また、工事契約に際して、予定価格を設定するための積算については、環境省の除染等工事暫定積算基準、そして、国交省の土木工事標準積算基準などに基づいて行って、また、これらの基準による積算が困難なものについては、複数社から見積もりを徴収し、その平均値を採用するなど、適正な運用に努めてきたところです。積算基準については、会計検査院からの指摘に基づくものも含め、16回改定をしています。また、工事の監督や検査については、契約書などに基づいて仕様や品質を満たす工事が行われているか、適正に工事が完了しているかなどを確認した上で支払いを行うために、2019年度は約60件の工事に対し監督職員約240名、検査職員約20名を任命するなど、必要な体制の構築を行ってきたところです。今後、何か対策をという話もありました。現在、元請け事業者を通じ、今般報道のあった事案の事実確認を行っているところですが、環境省としては必要な工事監督体制の確保や市場調査を踏まえた積算基準の改定などを行うほか、契約違反や法令違反等の不適正な行為を行った事業者に対しては指名停止を行うなど、厳正に対処することによって適正な業務執行に努めていきたいと思います。

(記者)毎日新聞の鈴木です。「選択と集中」の関連なんですけれども、予算の合理化の点で1点確認させてください。エネ特について総額的には4割弱ぐらい原則廃止や見直しをするということなんですけれども、この狙いはどういうことか、今、一般会計等だと予算的な余地がなかなかないということもよく言われているのですけれども、これだけ予算を空けることの意味と、重点分野に振り替えるというのは、大臣としてはどういうところに集中的に投資したいとお考えかお聞かせください。
(大臣)まさにこの「集中」で述べた三つの分野、これに「集中」するためには「選択」をしっかりやらなければ生まれませんので、今回、私の実感としては相当頑張ってくれたなと思います。このエネ特の中で450億、この規模で生み出すというのは、並大抵の努力ではできなかったと思いますし、私も何度かこの担当をしてくれた予算担当の職員とも意見交換をしましたが、その中での苦労、そして省内の理解を得るための地道な説明作業、またコミュニケーション、こういったことがあったことでここまでできたと思います。ですので、今回5年以上継続しているモデル事業、これなどが対象ですが、これは職員の言葉で私としても印象的だったのは、継続している案件で手が付けにくいと、いろんな経緯があるから。だけど、今回そういったことについてもまさに前提を排して、とにかく「選択」をする上で残すべきことは何なのか、そういったことを今回切り込むことができたというのが今までにはないことだった、ここまでできるんだ、そういった実感をすごく持つことができたというのは、私としては、これをみんなでやろうと呼び掛けた中ではすごくうれしいことですし、この生み出したものをより国民の皆さんの生活を豊かにすること、環境分野の行政をより前に進めていく形で予算編成をするために、まさに令和3年度の予算に向けた概算要求作業、こういったことをしっかりとやっていきたいと思います。

(記者)NHKの杉田です。「選択と集中」の関連でお尋ねしたいんですけれども、やはり国会の業務がかなり多いということが指摘されていると思うんですが、この取りまとめの中で、官僚側がこうして、取りまとめたとしてもやっぱり国会議員側の意識の変化だったりとか、この理解っていうのが必要だと思うんですけども、その点に関して大臣として何か、今後、働きかけとか、していきたいことがあれば、教えていただければと思います。
(大臣)やっぱり、課題は国会だってのは、ワーク・ライフバランスの、発表した結果を見ても明らかではないでしょうか。今回私、この発表されたものは、一つ一つの紹介されているコメントを含めてすべて見ました。本当にこんなことを続けていて、霞が関に入りたいと思う職員はいるわけないですよね。私の、朝の国会の答弁レクっていうのが、今、基本的にはない状況にしていますが、これも多分異例のことだと思うんです。ただ、今回、環境省としては国会で大防法の改正もありましたが、その大防法の改正の過程には、野党の中から数名の方が、オンラインレクで質問通告を、そのレクをやっていただけるという新たな動きがあったことも事実です。ただですね、今回ワーク・ライフバランス社から発表されたものを一つ一つ見ていただければわかるように、まだまだその政党側が変わっていないこと、国会側が全くそこに追いついていないこと、こういったことが結果として、この国家公務員の働き方に大きな負の影響を与えていると。そしてまた省庁の中でも様々問題ありますね。私びっくりしたのはですね、ある省の20代の方が言ってますけど、幹部がオンラインレクに反対の方がおり、その場合必ず登庁しなくてはならなかったと、もう最悪ですね。なので、今日、私から武田大臣にもこれを渡して、人事院の方からそういった幹部には、最悪だということで、言っていただきたいというふうに思いますし、あとは、更に最悪だと思ったところは、例えば国会議員のとこにレクに行って、マスクを外せと要求されて、密な環境の中でレクをせざるをえなかった。昔ながらに人前でマスクをするのはどうかみたいな感覚の人がいるのかもしれませんが、全くこのコロナの現状を理解されてませんよね。そういった中で、仕事を強いられる官僚の皆さんの現状を何とか変えたい。それは農林部会長の時から、厚労部会長のときからやっていたことですので、今回、契機にまたさらにそういった状況を変えるために努力をしたいと思います。また、NHKさんにおかれては、霞が関のリアルっていう、そういう企画を継続的にやってますよね。私も厚労部会長の時に、職員の方で妊娠している女性職員さんが夜中まで働いているっていうことが、霞が関のリアルで報じられて、部会長としてどうなってるのかっていうことを確認したことを今でも覚えてますが、ぜひ、今回のこれも受けてですね、また、コロナ禍での霞が関のリアルっていうものを、やっていただきたいなと。そして多くの方に知っていただくことが、より、改革につながるのではないでしょうか。それはひいては、国民の皆さんにとっての利益に間違いなくつながると思いますから、今後も後押しをしていきたいと思います。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。一つ基本的なことでお伺いしたいのですが、コロナ関連で、コロナと環境影響、地球温暖化及び地球環境の劣化、これとの関係は、コロナの発生も含め、かつこれが世界的にパンデミックを起こす、拡大しているということで、環境省としてどこまで感染症と環境問題の関連の解明というか、それを突き詰めようとしているのか、またその考えはないかどうか、その辺はどうですか。
(大臣)すごく大事なところだと思います。私も最近出演をしているテレビでも、このコロナと気候変動の問題というのは根っこは同じだと、そういうふうに申し上げています。こういった中で、五箇公一先生とも勉強会を重ねていますが、五箇先生もまさに、今回のコロナというのは生態系からの重大なメッセージである、そういったふうに発信をされていて、私もそこに共鳴するからこそ、今、一緒になって勉強会をやっています。あとは、今後の課題は、こういった認識をどこまで社会全体、また国際社会とも共有できるかだと思います。ですので、9月3日にオンライン・プラットフォームをこちらから提案をして、それが実現に至ったというのは、清水さんのおっしゃるような、この問題は同根なんだと、根っこは同じで、今コロナの回復だけではなくて、その後の経済社会の形はより持続可能な形で成し遂げられなければいけないのだと。このコロナ、気候変動、両方とも国際協調がなければ絶対に解決できない問題ですので、そこについて日本が主導権を発揮して、9月3日にその場をつくったということは、まさに環境省が清水さんがおっしゃるとおり、どうやってこれに対応しようと思っているのか、国際社会でリーダーシップを発揮して、日本の国内だけにとどまらず、国際社会の中でその旗を振っていきたい。認識を広める、そんな努力をしていきたいと思っています。
(記者)よく分かりました。環境省は、基礎的なメカニズムの究明はこれからやろうとしているか、やっているのでしょうか。国環研のことは知っていますけれども。
(大臣)その国環研も環境省の一部ではありますので、そういった専門家の知見も活用しながら、多分清水さんがおっしゃっているのは、コロナなどの未知なウイルスがどういった過程でこのようなパンデミックを起こすのか、そして、それが気候変動や生物多様性の保全とかとどのようなリンクをしているのかというのを見える形で、メカニズムなどがデータとかデジタルなどの活用でできないのかということだと私なりには理解をしています。まさにそういったことができれば、より多くの方にこの問題が根っこは同じだということは理解していただけると思うので、そういったこともまさに「選択と集中」をしっかりやって、そういった問題を解明するためのリソースを生まなければ、今の業務の中で更にそれができるというのは到底私は思えないので、マンパワーは相当限定されていますから、そこを成し遂げるために「選択と集中」が大事だったというふうに理解をいただければありがたいと思います。

(記者)日刊工業新聞の松木です。「選択と集中」について質問なんですけれども、民間企業の中でも「選択と集中」という掛け声は誰でもいう言葉だと思うのですけれども、今回のような形で結果として出てこれたのはどうしてなのか、よく始めてしまった事業はやめられないとか、20%ルールをやりたいけれどもできないとかと、理想としてはいいなと思うのですけれども、結局やれずに終わってしまうと思うのですけれども、今回こういう形で成果が出てきた一番の理由について教えてください。
(大臣)最大の要因は、職員自らがそこに、むしろアイデンティティーだと思って取り組む職員がいたことじゃないでしょうか。私だけが旗を振っても、これは絶対に無理でした。私が育休を取るという判断をした時も、職員の中からボトムアップだけでは限界があるから、トップダウンで取ってほしい、その双方があって初めてできることがあるということが私の判断の背中を押してくれたことでもありました。そして、環境省の大臣になって来てから、私が大臣になる前から、はるか前から働き方改革、離職率を何とか下げたい、この組織をより持続可能な組織にしたい、環境省に入って良かった、霞が関に入って良かったというふうに思われる職場にしなければいけないと、そういう思いを持った有志の職員がいたことが、私にとっては最大の要因だと思っています。その有志の職員が頑張って、業務外でその取組をずっと続けていたわけです。その業務外での思いも、今度は正式な業務としてまずは私がオーソライズをして、私がやりたいことを環境省でやるんではなくて、職員が望むことを私がどのように後押しをできるかと、そういったことが一番重要だったと思います。すごくうれしかったのは、そういう職員から今回の取りまとめを受けて、今どういう思いだったり、また反応があるかと聞いたときに、辞めた職員から、離職をしてしまった職員から、これがもう少し早ければ踏みとどまったかもしれなかったと、そういう声があったり、また、辞めようかなと考えていた職員から、踏みとどまろうと思った、そういう声もあったというふうに聞きました。まさにそれが、この結果を職員がどのように受け止めているか、そういったことを表しているのではないでしょうか。また、ワーク・ライフバランスの結果を見たときには、私としては、この1位を取ったということで喜んでいる場合ではないなと思ったのは、これで1位だということは、他の省庁はどうなっているんだと。他の省庁の在り方も含めて、霞が関全体でこれを後押ししていく、そういったことが今後政治にも求められるし、私としてはどのような立場であっても霞が関のデジタル化、そして働き方改革、これを後押しをしていきたいと思います。

会見動画は以下にございます。

https://www.youtube.com/watch?v=bn2mOToCcCA

(以上)