大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年7月17日(金) 10:39 ~ 11:10  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 まずは、昨日の熊本県への視察について報告をしたいと思います。令和2年7月豪雨の災害対応の陣頭指揮を取られている人吉市の人吉市長、球磨村球磨村長、芦北町長、熊本県知事、そして熊本市長にお会いをするとともに、人吉市や球磨村、芦北町の被災状況、そして災害廃棄物、この処理状況の確認などを行いました。この出張は、訪問先の被災状況、そして他県の応援者から新型コロナウイルス感染症の感染者が出ている、こういった現状を踏まえまして、東京からの出張者は、私、そして秘書官1人、そして警護官SPの計3名だけで行いました。感染防止の徹底と現場の負担を最小化するという観点から、出張当日の取材対応、ぶら下がりの会見は行わないこととしました。まずはこういった対応を御理解、御協力をいただきました記者クラブの皆さん、そしてメディアの関係者の皆さんに心から感謝をしたいと思います。ありがとうございます。今日、そういったこともありますので、昨日現場で撮ってきた写真、そしてまた動画などもありますので、こういったことを使って報告をさせていただきます。まずは1枚目です。人吉市、大変今回被害が大きい現場です。今回仮置場を訪問しまして、松岡市長から被災状況の御説明を受けました。仮置場の混雑解消のために分別して持ち込んだ車両が優先して積み下ろしができるファストレーン方式、この写真でいうと一番手前左側の車が動きだしているレーンがありますが、そこは廃棄物を混ぜて混載をしていない、まさに分別をされて品目ごとに乗っけているということで、そういったものは優先的に御案内をするということでファストレーン、まあファストパスとも言えるかもしれませんが、こういった方式を導入しています。「分けたら早い、混ぜたら遅い」と、こういった言葉を合言葉に市民による分別を促していました。このファストレーン方式は、私も現場でこれを考えついた現場の資源循環協会の方ともお話をしました。石坂さんという方でしたけども、この石坂さん、どうしてこういったことを思いついたかというと、もちろん4年前の熊本の震災、また岡山県の真備町の水害、こういったことの現場の経験もある方でした。そういった方が今回大変な被害の中で、当初報道でも7時間の渋滞とか、こういったこともありました。そういった中でどうすればいいかということで、このファストレーンというものを今回実行されて、全国で今まで例のない方式であります。ですので、いわばこれが石坂モデルといいますか、熊本モデルでもいいでしょう。そういったことが今後広がっていくように、環境省としても今後の災害についても大きな一つのモデルともなれると思いますので、周知も含めてこれを後押ししていきたいというふうに思います。そういった効果もあったのか、昨日私が行ったときには全く渋滞も発生をしていませんでした。現場で頑張っている皆さんに心から敬意を表したいと思います。そして、スライドの2枚目です。松岡市長や溝口県議会議員と人吉市の被災状況を確認しました。「大型災害ゴミ一掃大作戦」という名前で、自衛隊の方と環境省も一緒になって、また清掃事業者の皆さんの協力もあって軒先がきれいになっているところもありましたが、今、この写真でこの通りを私が案内の下に見ていますが、かなり軒先に廃棄物が目立つと思いますが、これでも自衛隊の方々がゴミ一掃大作戦をやった後でこの状態です。こういった中で、今ボランティアの方が県外からは入らないので、御家族、そして身内の方、被災された方々が自分たちで作業している状況などが見受けられました。次の写真でありますが、こういった景色もやはりまだ残っています。だいぶ廃棄物の状況がそのまま目立っています。まだまだ廃棄物が残っていて、仮置場への搬出に向けた支援がまだこれからも必要であるというふうに感じています。そして、全壊と考えられる家屋も多くて、被災家屋の解体を円滑に進めることは重要であるということも改めて認識をしました。次に、これは動画を用意していますので、動画の再生は、すみません、これはうちの秘書官が撮影したものでちょっと手振れもあったりもしますけど、これは実は私が以前、人吉市に伺ったときに、宿泊をした旅館です。1階はすべてやられていて、この赤い服を着ている方が社長さんです。中で話を聞いたんですが、すごく印象的だったのは、コロナで客がゼロになり、ようやくちょっと回復して50%まで来て、そしてこの水害でまたゼロになったと。立ち上がろうとしたらもう一回打ち砕かれるという、こういった中で、年末にできれば再開をしたいという思いで頑張るけども支援をよろしくお願いしますという、やはりこのコロナのさなかでの災害というのがいかに精神的にもきついか、こういったことを改めて痛感をする現場でもありました。次に、球磨村でさくらドームという、本来であればイベントなどでも使われている現場を伺いました。今、この写真の中でも様々な物資がありますが、政府からのプッシュ型の支援のものもあれば、この村で集めた、また支援物資として集まった、そういった食べ物も、またスコップも飲み物もいろんなものが集まっていて、現場としてはこういう状況で今作業をやっているということがよく分かります。この中では役場機能というものを集約されていますので、今こちらに写っているように、このドームの中で先ほどの物資が置いてあるところ、そしてまたこの村の災害対策本部、こういったものも含めて、また被災者の方も相当いらっしゃいましたが、こういう役場機能なども集約され、今、被災自治体の職員の皆さんは寝食を惜しんで業務に当たっていて、職員の負担軽減が極めて重要であると思います。この写真の一番手前には熊本県のジャケットを着ている職員の方がいるように、今、県外からのボランティアの方や、今までの災害のように県外からの応援派遣職員というのも今までのレベルではなかなか入りにくいでしょうから、県の職員の方には本当に頑張っていただいていると思います。現場にこうやって入っていただいているのもその表れだと思います。球磨村の渡地区では昨日から人吉市と同様の取組となる大型災害ごみ搬出の寄り添い支援と言われる自衛隊と環境省、そして現場の皆さんとの共同作戦が行われています。私もこの現場にいましたが、私が見たのは畳ですけど、自衛隊が畳や家具などをトラックに積み込んでいました。これは防衛省、自衛隊との連携の優良事例でありますし、今後も要請があれば、この熊本モデルを広げていきたいというふうに思います。実際、自衛隊の方に現場で話を聞いたところ、この積み込んでいるトラックなども確保がなかなか大変で、特に球磨村から山江村というところまで運ぶことになっているので、そういった運搬の時間、そして県内でも事実上この運搬車両の取り合いみたいなことも起きている中で、スピード感としてはもっと加速しなければいけないけども、その中での最大限の取組をやっていただいているというふうに思います。自治体の方々からも改めて防衛省に感謝を伝えてくださいということだったので、今日は閣議の後に河野防衛大臣に、昨日現場へ行ってきましたけど、自衛隊に対する感謝を伝えてほしいという言葉を承りましたということでお伝えをしたところでもあります。そして、芦北町にも伺いました。この仮置場では竹崎町長とお会いをして、災害廃棄物の処理状況について御説明を受けました。印象的だったのは、芦北町では日ごろからごみを22分別やっているということで、日ごろからの分別に対する町民の皆さんの意識というものも、今回の仮置場がだいぶ整理されて分別をされているような状況も日ごろからの習慣というものが生きたのではないか、そんなお話がありまして、そちらもまた印象的でした。この芦北町を訪れた後には、最後に熊本市内の災害廃棄物を受け入れて焼却をしていただいている東部環境工場を訪問して、そこで蒲島知事、大西熊本市長と意見交換を行いました。町中の災害廃棄物の早期撤去、そして仮置場の容量確保に大きくこの東部工場などが貢献をしていただいているので、熊本市には感謝を申し上げたいと思います。今回こういった視察をしまして、今後の支援のポイントを申し上げたいと思います。まずは現場の課題、ニーズに応じた連携支援を行うことであります。道路端にはまだ廃棄物が多く残っていて、町なかの災害廃棄物の早期搬出、撤去が課題です。さらに新型コロナウイルス感染症の影響からボランティアが少ないということもあって、お独りの高齢者宅などからの災害廃棄物の搬出が進んでいないとも聞いています。仮置場の確保と適正・円滑な管理について、人吉市のファストレーン方式は住民による分別を促すことで荷降ろしの迅速化による渋滞緩和やその後の処理の効率化にもつながりますので、先ほど申し上げたとおりこのファストレーン、熊本方式を更に後押しをしていきたい、また周知もしていきたいと思います。三つ目でありますが、広域処理も含めた処分先の確保も重要ですので、現在、熊本市の清掃工場で処分を引き受けていただいています。福岡県でも大牟田市の災害廃棄物を福岡市で処分するなど広域処理の動きが進んでいます。そして最後に、道路復旧が遅れている球磨村や八代市の一部地域ではまだ災害廃棄物の撤去に入れる状況になく、今後、道路復旧状況に応じて速やかに対応する必要があります。この一部被害が局所的にも大きいところは、私も東北の東日本大震災の津波の直後の現場も見ていますが、まさにそのような景色が広がっている。雨での被害というイメージをどのように多くの方が持っているか分かりませんが、現場のある方がまるで爆心地のようだという表現をされていたのが私は大変印象的でした。それほどの被害のところもあります。今後も関係機関と連携・協力をして、被災地の復旧と生活再建を後押しするための災害廃棄物処理の迅速かつ的確な支援を継続していきます。続いて、被災自治体の体制充実のための人的支援です。環境省を挙げて全国の地方環境事務所から職員を派遣しているほか、本省からは管理職を派遣していて、これを継続していきたいと思います。二つ目に災害廃棄物支援員制度、人材バンクを創設する準備を進めることにします。現場の目線できめ細かい支援を行うためには、災害廃棄物処理の経験、知見を有する自治体職員の派遣が効果的です。これまでの災害でも自治体職員を派遣しており、今回の水害でも2名、茨城県の常総市から、そして神奈川県の横浜市から派遣をして支援に当たっています。私も昨日、常総市の方とは現場でお会いをしました。今後発生する災害に確実に対応するため、自治体の推薦を受けた職員を名簿に登録して、災害時には被災自治体の要請に応じて登録された自治体職員を派遣する、これが災害廃棄物支援員制度、人材バンクであります。この創設をするための準備を進めるとともに、この人材バンクが創設される前からこの人員は派遣をしていきたいと思います。被災自治体の業務継続や自治体職員の負担軽減に向けて、他の自治体と共に人的支援を進めていきます。最後になりますが、被災状況に応じた財政支援、これが極めて重要です。今回、被災地を訪れて、住むことができなくなってしまった家を多数目の当たりにしました。被災家屋の解体に関する財政支援については、私が訪れた人吉、球磨村、芦北町、そして知事、熊本市長、すべての方からそのような御要望をいただきました。こういった被災家屋の解体に関する財政支援についていただいた御要望を受け止めて、環境省として支援する方策をあらゆる角度から検討するように事務方に指示をしました。私から事務方にも言っているのは、よく過去の災害と比較をする傾向にありますし、踏み込んだ支援をすると、今までの災害の被災地から何でそうなるんだというクレームが入ったりとか、そういったことも聞きますが、私はそんなことはないと思います。このコロナの後で現場を見て、改めてコロナのさなかの災害というものがいかに復旧にとっても大変かというのは改めて痛感をしました。そのことが分かれば、今まで支援をできなかったようなところも含めてどのように支援を実現できるのか、そういった観点からあらゆる施策を講じるように指示をしたところでありますので、その実現に向けて鋭意調整を全力で進めていきたいと思います。この週末、被災をした中で不安に思っている現場の方に対してはあらゆる観点から支援を考えるので、どうぞ復旧に向けて我々も全力で後押しをするので、一緒になって立ち上がって復旧に向けて頑張りましょうとお伝えをしたいと思います。この廃棄物、熊本の出張に関しては、私からは以上であります。
 次は、福島の出張の前に、改正省令についての公布を一言お伝えしたいと思います。災害廃棄物処理の対策のため、廃棄物処理法の改正省令を昨日公布しました。大きな災害が毎年のように全国各地で頻発して、そのたびに災害廃棄物が大量に発生して、その中には通常であれば産業廃棄物として排出される性状のものも多いです。その処理には既存の産廃処理施設が活用可能であるため、産業廃棄物処理施設で現に処理している産廃と同様の性状を有する災害廃棄物を処理することができるなどの措置を講ずることとしました。関係者におかれましては、今回の制度も活用いただき、災害廃棄物の適正かつ迅速な処理に引き続き御協力をお願いしたいと思います。読んでいても大変分かりにくいですね。これまでは災害により既存の産廃施設で処理が必要な施設について自治体に要望調査をして、要望があった場合には災害ごとに特例省令を制定していたものを、今回の改正によって制度を恒久化したものと、そういったことであります。
 それでは、次は福島の出張について御報告をしたいと思います。7月19日、これはあさってですけど、福島県に出張して浜通りの市町村、地域を回りたいと思います。この訪問は、新型コロナウイルス感染症の現状を踏まえて、御地元の方々に不安を与えることのないように、感染防止を徹底した上で、現状に配慮した体制、人数で行いたいと思います。双葉町では、町の産業、企業活動の拠点となる中野地区復興産業拠点に建設された産業交流センターを訪れて、双葉町の復興の様子を視察させていただきます。そして、大熊町にも伺いますが、大熊町では帰還された住民の方のお宅、そしてイチゴの栽培施設「ネクサスファームおおくま」を訪問したいと思います。これらは大熊町の若手職員手作りの月刊紙「大川原LIFE」、これは皆さんのお手元にある手書きの本当に心のこもったものですが、私はこれを毎月楽しみに読んでいます。この「大川原LIFE」に書かれているような帰還された方々の生活のまさにその現場の呼吸というか温かさ、こういったものも含めて、行政の言う原子力被災地域といった言葉では言い表し切れない住民の方々の日々の暮らしを直接見ることで今後の施策に生かしていきたいと、そんなふうに思っています。これら2町とは、このたび大熊・双葉環境まちづくりミーティングを開催します。大熊町はゼロカーボンシティの宣言を行い、再生可能エネルギーを活用したまちづくりを目指しています。双葉町は令和4年、2022年春ごろの初めての町内居住開始を目指して取組を進めています。このミーティングは、この両町において、まちづくりの軸となるビジョンを定めて定着させていくべく町にゆかりのある若手世代や企業の皆さん、最前線で御活躍されている方々と、環境、持続可能性、こういったキーワードで意見交換するものです。全部で3回開催をする予定です。第1回目となる今回は、私自身、コロナ後の時代、気候危機の時代におけるレジリエントな地域づくりについてプレゼンテーションを行う予定です。私や両町長などが行うトークセッションはプレスオープンで行います。それ以外のパートも含めたミーティング全体を後日ホームページで公開をする予定です。同じくゼロカーボンシティの宣言をした浪江町では、今年3月から世界最大級の再エネ由来の水素製造施設、福島水素エネルギー研究フィールドが稼働しています。この水素研究フィールドをこの機会に視察をさせていただいて、再エネ由来の水素の可能性について自分の目で見てしっかり考えていきたいと思います。そして、富岡町には国の責任として環境省が進めている汚染廃棄物の処理事業のための施設、特定廃棄物埋立処分施設(旧エコテック)が立地をしています。廃棄物の処理、除染、中間貯蔵施設事業といった環境再生事業を環境省が安全かつ着実に進めていくことこそ、被災地域の復興の大前提ですから、その思いを新たに施設を視察する機会としたいと思います。2月に福島を訪問して以降、新型コロナウイルス感染症のため福島を訪問することができませんでした。先月下旬から東京で首長の方々と面会をする機会もありましたが、私自身の訪問は久々となります。今回の出張で関係自治体や御地元の皆さんの御意見や思いをしっかりと受け止めて、御地元との信頼関係をより強固なものにしていきたいと思います。冒頭、長くなりましたが、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)時事通信の武司です。熊本の豪雨被災地についてなんですけれども、仮置場や町なかの状況ですとか役場機能が集約されたドーム等、いろいろ見られたと思いますが、実際に視察してみて、行く前に考えていたよりもより課題として重大だと認識した部分がありましたら御説明をお願いします。また、その課題への対応をどうしていくかということもお願いします。
(大臣)先ほど申し上げたとおりですが、コロナ後というか、コロナのさなかで初めてとなる大型自然災害に見舞われた地域を自分で見ることで、今までの過去の災害との比較とか、単純にそれだけでこの災害対応に当たってはいけないということを強く認識しています。先ほど私がかつて宿泊をした旅館の社長さんのお言葉を紹介させていただいたとおり、何度倒れても立ち上がる、その強さを日本人は持っていると思います。特に熊本の皆さんは4年前に震災を経験されて、それから立ち上がった経験も含めて、熊本県と市町村との連携が大変密に行われているのも、この経験をプラスに生かしている一つの証拠だと思います。ただ、それにしても、コロナという突然の、世界中をパンデミックによって立ち上がろうとしていたところにもう一回倒れるような、打ちひしがれるような現状になっている中で、我々国として何ができるのか。それは、ああ、そこまで考えてくれるのかという、そういう受け止めを持ってもらえるようなことを考える温かい対応をすること、私はそれに尽きると思います。ぜひこれは事務方にもしっかりと議論してもらって、あらゆる知恵を出していきたいと思いますが、コロナのさなかの初めての大型自然災害である、そういった認識を持った上での省内の調整、政府内の調整に汗をかいていきたいと思っています。

(記者)熊本日日新聞の並松です。豪雨災害に関して二つお尋ねします。支援ポイントの2に挙げてありました被災家屋の解体への支援というところですが、今回、熊本県の方は、熊本地震でもあった被災家屋の半壊の家屋への公費による解体を適用してほしいというような要望が挙がっているかと思います。今の大臣のお話からすると、非常に前向きというか、実現する方向でもう御検討に入っていると思ったのですが、そういう理解でよろしいかということと、熊本市での東部環境工場での広域処理の事例を御紹介いただきました。これについて、広域処理の必要性と、さらに県外まで、例えば鹿児島とか、そういうようなところでも処理する必要があるとお考えかどうか。この2点をお尋ねします。
(大臣)まず1点目については、半壊とはいえ、事実上もう住めない。そういったことをどう見るか、まさしくどういう知恵を出したら支援をできるのか、そういった観点から今調整を進めているところです。現場を見ればよく分かります。木造が多い地域ですから、半壊とはいえ、もうなかなか住めないだろうと。そういったところを、それは半壊ですからと。もう住めないですよ、でも半壊ですから。そんな対応は私は許されないと、そう思っています。ですので、どこまで具体的な支援をできるかはまさに調整をやっているところですが、今、役所の中でも大変頑張っているところであります。そういったところをできる限り早く地元の被災者の皆さんにお知らせをできるように最大限の努力をしていきたいと思います。
 そして、2点目にあった広域処理ですが、私がお邪魔した東部環境工場、そちらは来月メンテナンスに入るということを聞きました。来月メンテナンスに入る間は受け入れができなくなる。もちろん9月ぐらいからはメンテナンスが終わればまた受け入れますということでしたが、今回発生している量を見れば、そこだけでは追いつかないですし、そもそも熊本市民の皆さんの生活の中から出ているものを受け入れるわけですから、そういったことに対して影響を与えてもいけない。引き続き、環境省としては、いかにこの広域処理をより推進して、もちろんある程度息の長い取組になるとは思います。ただ、その体制をしっかりと構築して、廃棄物のことで復旧ができなくなる、復興が進まない、そういったことがないようにこの広域処理の展開を全力で進めていきたいと思います。

(記者)朝日新聞の水戸部です。生物多様性条約のCOP15が正式に来年5月ということで日程が決まりました。大臣はコロナ後の環境政策を考えるということで、五箇先生を座長とした勉強会も開かれていると思うのですけれども、具体的に来年のCOP15に向けて、日本としての打ち出しというのを何か今考えていらっしゃったら教えてください。
(大臣)今回、事務局から開催日が2021年5月17日から30日に決定するという通知がありました。ただ、この文書には、コロナウイルスの状況によっては今後も日程変更があり得ると、そういったことも指摘をされているので、まずは状況をしっかり見ていきたい。そして、環境省としては、5月であろうと何月であろうと、いつ行われても日本が打ち込むべきことをしっかり準備するように作業を進めていきたいと思います。来年開かれる予定の中国で開催されるCOP15、これは愛知目標に続く新たな世界目標であるポスト2020生物多様性枠組が採択される重要な会議です。私もこのポスト枠組に向けたメッセージを5月の国際生物多様性の日、そして、昨日の国連ハイレベル政治フォーラムのサイドイベントで発信をしてきました。私のメッセージの中心は、一つは地産地消、これは五箇先生が言っていることでもありますが、生産と消費の顔の見える関係をつくることが強い地域社会を構築する第一歩であって、強い地域社会は生物多様性の保全だけでなくて、気候変動対策、そして防災対策にも貢献をすると、こういったことも改めて訴えていきたいと思いますし、こういった考えを世界に広めることを目指して、COP15を機会に、日本が今までも取り組んできたSATOYAMAイニシアティブ、これを更に発展をさせていきたいと思います。そして、COP10の議長国として愛知目標を取りまとめた経験を日本が生かして積極的に貢献できるように、今回決定された日程を見据えてしっかりと準備を進めていきたいと、そんなふうに思っています。

(記者)環境新聞の小峰です。中国が尖閣諸島に続いて沖ノ鳥島でも許し難い行為に出ています。日本最南端の沖ノ鳥島周辺のEEZ内では無許可で海洋調査船がおります。海上保安庁の中止要求も無視しております。小泉大臣は環境大臣として、一国会議員としてこういう状況をどう受け止めていますか。それに関連して、改正自然環境保全法は、小笠原諸島の父島沖合を保全地域の第1号に指定する方針を小泉大臣は先の記者会見や国会で表明していますが、沖ノ鳥島、尖閣諸島を第2号、第3号の海域指定するつもりはありませんか。
(大臣)今小峰さんが紹介をいただいたとおり、9日木曜日に沖ノ鳥島周辺の我が国の排他的経済水域において中国の海洋調査船がワイヤーのようなものを海中に投入しているのを海上保安庁が発見して、この海域での海洋の科学的調査に我が国は同意を与えていないことから、現場で海上保安庁から活動の中止要求を行うとともに、外交ルートを通じて抗議を行ったと承知をしています。その上で、御指摘のあった沖合海底自然環境保全地域の指定に関しては、法改正当時から優先的、先行的に保全を図る海域とされてきた小笠原方面の沖合域の指定に向けた調整を進めていて、今月中にパブリックコメントを開始して、関係機関や地元関係者などとの調整を経て、年内に指定できるように努力をしていくというのは前回の記者会見で小峰さんに申し上げたとおりです。将来的な海洋保護区の在り方については、生物多様性に関する国際的な議論を考慮しながら、調査、研究の進捗や情報の蓄積を踏まえて検討していくということです。

会見動画は以下にございます。

https://www.youtube.com/watch?v=vqo2X5cDMIs

(以上)