大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年6月30日(火)13:20 ~ 13:51 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 昨日開催されました第22回宇宙開発戦略本部会合において、宇宙基本計画の改定が承認されて、本日の閣議で決定しました。5年ぶりの改定となる宇宙基本計画では、環境省が気候変動対策への貢献として行っている温室効果ガス観測技術衛星の方向性についても見直しをしています。今日は、その中でも主に3点紹介したいと思います。
 まず1点目は、温室効果ガス排出量の把握であります。温室効果ガスを観測する専用衛星として世界に先駆けて打ち上げたGOSAT、そして、この後継機のGOSAT-2、この二つによって温室効果ガスの濃度を継続して測定をしていますが、このデータを解析して、パリ協定の目標達成に向けた各国の温室効果ガス排出量削減目標の達成状況の把握を目指しています。2023年、今から3年後には、パリ協定に基づいて世界全体の取組の進捗を確認する第1回のグローバル・ストックテイクの実施が予定されていますので、これにしっかりと貢献をすることを目指していきたいと思います。そして、例えばこのスライドの二つ目に、今日はこういうふうにお示しをさせていただきましたが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で経済活動が大きく制限されました。この影響かどうか更に分析が必要ではありますが、既に東京をはじめとする大都市の地上と上空の二酸化炭素の濃度差が、今年は2016年~2019年に比べて低いことがGOSATデータの新しい解析手法によって示されています。こうした最近多くの国民の皆さんが感じている、コロナの間、産業活動が止まったことによって環境が良くなっているんではないかとか、そういったことも含めて、この環境省が持っている衛星のデータによっても一つ示されているということでもあります。こうした手法を実際の排出量の把握精度の向上に役立てていきたいと思います。
 そして2点目は、ここにGOSAT-GW、後継機の開発というふうにありますが、環境省は、温室効果ガスの排出源を特定する能力と排出量を推計する精度を向上させて、今までは点の観測だったものを面の観測、これが左が点です、右がこれから、今から3年後に打ち上げを目指しているGOSAT-GW、通称3号機では、このように面的にこれから観測をしていく、この点観測から面観測に進化させた温室効果ガス観測センサー、これをTANSO-3と言うそうでありますが、これを開発中であります。文科省が水循環変動観測を目的として開発している高性能マイクロ波放射計、これはAMSR3といいます。これを併せて搭載した3号機を温室効果ガス・水循環観測技術衛星、GOSAT-GWとして、今から3年後、2023年度に打ち上げることを目指していきます。
 そして、この宇宙関係では最後となりますが、3点目はスペースデブリ化の防止です。近年、最近も様々報道もありましたが、スペースデブリと言われる宇宙ごみの増加が、宇宙空間を継続的に安定利用する上で大きな懸念事項となっています。宇宙からの地球環境の観測は、継続と成果を出し続ける必要があり、そのためには、次期衛星の開発に加えて、宇宙空間の持続的な利用のために、運用を終了した衛星のデブリ化を防止する、これを取り組む必要があります。環境省は、ごみ問題を含む環境問題全般を主管する立場から、事業主体として責任を持って、自ら衛星の適切な運用と適正な処分を実施する考えです。特に、打ち上げから耐用年数約5年を既に倍以上超えているこのGOSAT1号機、今11年、本来であれば耐用年数5年のものを11年やっていますから、相当長く頑張ってもらっています。このGOSAT1号機のスペースデブリ化を防止するために、環境省内に検討チームを設置して、先日、第1回のチーム会合を開催したところでありますが、JAXAをはじめ関係機関としっかりと連携して、対策を打っていきたいと思います。環境省自ら、私は廃棄物行政を担当する環境省が、将来的には宇宙廃棄物も環境省だと、そういった思いで、宇宙の安定的な、持続可能な利用に向けて、まずは自分が持っている衛星を自らごみのまま漂わせることがないように、デブリ化の防止に乗り出していく。これをやっているのは、他の衛星を所管している省庁でもやっていませんから、環境省が先駆けとなって、政府内でのルール作りなんかも環境省の知見が生かしていけると望ましい、そういったことをまずチーム会合でこれからしっかりと詰めていただきたいと思っています。
 冒頭、宇宙については以上ですが、もう1点、明日から、今日の後ろのパネルにもありますように、レジ袋有料化が全国でスタートしますので、この点について一言触れたいと思います。明日を境に全国の小売店舗で有料化されることになる、このレジ袋の有料化。時代をさかのぼると、1970年代後半辺りから自治体の廃棄物処分場のひっ迫が深刻化していたことなどを背景に、各地域で、ごみ削減の一環でレジ袋に関する取組が進められてきました。こうした中、いち早くレジ袋有料化を実施してきた取組もあります。例えば富山県、私も何度も紹介をしていますが、富山県では2008年から、今から10年以上前から、協定という形で有料化を進めて、現在では辞退率95%を達成しています。また、イオンは2007年からいち早く有料化に取り組んで、昨年度まででレジ袋原価を差し引いた約8億4000万円を各自治体へ寄付しています。こうした取組によって、我が国のレジ袋辞退率は向上したものの、2013年辺りから横ばいとなっていました。それを今回の全国一律での有料化によって、日本全体のレジ袋削減を大きく前進させるものと期待をしています。7月からはコンビニの98%はバイオマスプラスチックを配合したレジ袋に切り替えた上で、有料化となります。さらに、例えばレジ袋の提供を廃止するという事業者、例えばパタゴニアさんもそうです。廃止をするという事業者もいます。また百貨店、高島屋、そごう・西武、三越伊勢丹、丸井など、そしてまた、アパレルではH&M、良品計画などでは、有料化義務のない紙袋でも有料化をするという方針を既に取り組まれたり、また発信をしていると承知をしています。一部の店舗では、無償配布を継続するということも承知をしていますが、この場合も有料化義務の例外として定められた、バイオマスプラスチックを配合したレジ袋などに切り替えるということになりますので、化石由来プラスチックから再生可能な素材に転換をしていくことは、大変重要なことだと捉えています。そもそもレジ袋有料化の目的は、この有料化をきっかけとしてプラスチックごみ問題について考えていただいて、日々の買い物でマイバッグを持参して、レジ袋は要りません、レジ袋は結構ですと、辞退をすることが当たり前になる、そういった社会に変革をすることであります。このコロナの中で、プラスチックごみの量が増大していることもあって、新たな生活様式の中で大量生産、大量消費のライフスタイルの見直しということが重要です。先週の「みんなで減らそう、レジ袋チャレンジ」の発足式では、アンバサダーに就任をいただいた、このイラストにもなっている西川きよし師匠、さかなクン、そしてトラウデン直美さんとトーク・セッションをさせていただきましたが、お三方とも強い思いをお持ちで、既にレジ袋に限らず、様々なことに取り組んでおられて、私もこの3人の助っ人に心強さを感じたところであります。3名の強力なアンバサダーとともに、レジ袋をきっかけとして社会変革にチャレンジしていきたいと思いますので、明日から正式にスタートしますが、国民の皆さんの御理解、御協力を改めてお願いしたいと思います。私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)フジテレビの加藤です。レジ袋の件についてお伺いしたいのですけれども、レジ袋チャレンジ、大臣が出席されたときに、1週間で受け取らない人が3割いると。それを年内に6割に引き上げたいということをおっしゃってましたけれども、具体的に6割という数値目標がどのようなものなのかということと、目標に向けてどのような取組を行っていくのか、引き上げについて具体的な取組があれば教えていただきたいということが一点。
 もう一つ、昨日からUNEPの方で発表があったと思いますけれど、バイオマスなども環境負荷が高いと、環境負荷が高いということでいま大臣もおっしゃっていましたけれども、無償配布のところでもバイオマスをやっているからという話がありましたけれども、無償配布でバイオマス、これは環境負荷が高いということだと対象外となっていること自体がおかしいことになってしまうかもしれないということなのですけれども、この2点、お話しいただけますでしょうか。
(大臣)まず、目標の3月時点の3割から年内に6割、倍増させたいという目標達成、これをどうやっていくのかということでありますが、この前、発足式でもお話しをしたとおり、明日、特設のウェブサイトでレジ袋チャレンジ・サポーター、こういった募集も始めて、全国の事業者、そして自治体、そしてNPOの皆さんなど、幅広い方々にそれぞれの取組を共有して広げていただくことを登録をしていただいて、力を貸していただくということも一つ大きいなと思います。そして、消費者一人一人のそれぞれの取組も共有するようにしていますので、今回の3人のアンバサダーに限らず、私の思いの中では、国民の皆さん一人一人がアンバサダーとなって、世の中に広げていただきたいなと。私としては、いろんな指摘があります。この2点目の質問にもつながると思うんですが、批判もありますよね。ただその中で、この前の発足式でもファクトを幾つか紹介しましたが、新しい生活を根付かせるというときには賛否両論はあると思います。ただ間違いないのは、これは世界の流れは間違いなく持続可能な方向を、環境負荷の少ない社会をどうやって移行させていくのか、この観点から言えばプラスチック、レジ袋の問題は、日本は後発組であって、60カ国・地域、多くの国が既に取り組んでいるということでもあります。そして、一つ一つそういったことには丁寧に説明をした上で、新しい社会に向けて変革の理解者を増やしていくことが大事だなと思っています。
 UNEPからの報告書の指摘もありましたが、今回、例えば内容としては、植物由来のバイオマスプラスチックは気候変動には効果がある一方で、生分解性プラスチックは海洋ごみ問題に効果があるなど、素材によって一長一短があるということが指摘されているそうです。リユース率向上やポイ捨て防止などの消費者行動の変容も大事だということも指摘されていると。今回、そのUNEPのことは、一部の報道では生分解性について相当批判的な指摘もあった報道もあるというふうに私も承知をしていますが、素材それぞれについてのメリットやデメリット、そういったことも整理されているということは、UNEPの報告書に書いてあると聞いています。生分解性については、質の問題があれば、環境に対する負荷がむしろ大きくなってしまうというのはそのとおりだと思います。例えば溶ける段階でマイクロプラスチックになる懸念があるとか、そういったことに対しては、まさに技術革新をより促していって、環境負荷の少ない新たな素材、そういったものを後押しして、今までと変わらないような生活をしている中でも環境負荷の小さいものを使っていけば、それはより持続可能な社会につながりますから、一つ一ついろんな疑問や懸念に対して丁寧に説明をしていくことが大事だなと思います。ただ、この流れは止まらないと思います。しっかりとコロナ後の社会の変容をみんなが考えているときに、今まであまり注目をされなかったこのごみ問題、そしてこのレジ袋を通じて、もちろんレジ袋それ自体をなくしたところでプラスチック全体の問題は解決はしませんが、このことをきっかけに、批判をされている方も、また既に取り組まれている方も双方を考えるきっかけになっていることは間違いない事実じゃないでしょうか。その理解が広がっていくことによって、私はもう先導的にやっている自治体、企業、個人、それぞれの皆さんの努力が報われる、この年末には必ず目標達成ができると、そう確信をしています。

(記者)NHKの吉田です。レジ袋に関して私も伺わせてください。一点目が、前の会見でも少し触れられていたと思うのですが、マイバッグについてなんですけれども、新型コロナウイルスの感染対策を進める中で、今、小売店もいろいろ工夫をされていたり対策を進めていたりするわけなんですけれども、感染がまだ懸念されている中で、マイバッグを使う際の注意や消費者への呼び掛けがあればお願いいたします。それと、レジ袋の有料化をめぐっては、大手では、今、取組が明日に向けて進められているところもかなり多いと思うのですが、中小ではなかなか準備が大変で、対応が間に合うかどうか分からないところも出てきていたのが取材の実感としてありました。こうした中小の事業者の方についての対応や考えがあればお願いいたします。
(大臣)まず、2点目から行きたいと思いますが、今この7月、明日から始まるレジ袋の有料化の準備を進めていただいている中小の方も含めて、心から御協力に感謝をしたいと思います。そういった中でコンビニ、これは中小とはまた違う部分もありますが、既に98%、もうほとんどが有料化をすると。さらに外食産業でも既に有料化しているところ、ストローの削減など様々なプラスチック削減の取組を進めていただいているというのは、もう社会の中でも多く見られていると思います。中小の中で新しい取組を、このコロナの様々な課題の中で進められるところに課題を感じているところというのは現実あるとは思います。その現場の状況はしっかりと見ながらも、大きな流れとしてよりごみの少ない社会をつくっていく、そしてリサイクルを進めていく、そして繰り返し使えるもの、このリユースも進めていく。そういった中でプラスチックという素材が、今、地球全体の中での大きな課題として、日本は後発だけども、より一歩社会を変えるために前に動かしているということを、より中小の方も含めて繰り返し丁寧な説明をして、理解を進めていくことが極めて重要ではないかなと思いますので、そこは発信をしっかりと進めていきたいと思います。まさにこのイラストに描いてあるような3人のそれぞれのメッセージ性の強さ、そして訴求力をそれぞれの様々な立場の方に届けていくには、我々環境省だけでは届かないところもあると思うので、そこは3人、そしてまた取り組まれている企業、個人、そしてまたNPOの方を含めて、自治体も含めて、みんなでその理解を広げていきたいというふうに思います。
 そして、マイバッグとコロナウイルス、この感染について心配する声が一部にあるということを承知しています。これはこの前もお答えをしたとおりなんですが、まず一番大事なことは、基本的な手洗いなどをしっかりしていただいて、マイバッグうんぬんを抜きにしても、外出をして、例えば買い物に行かれた後にしっかり手を洗う、そして手や口を洗う前にはあまり触らないとか、そういったことが基本的には大事だと思います。そして、レジ袋ではなくて、マイバッグを繰り返し使っている方は、たまには洗うとか、そしてまた消毒をするとか、そういったこともされると、より感染のリスクというのは、安心されるのかなと思いますが、一番大事なのはレジ袋かマイバッグかということではないと思います、このコロナの感染においては。大事なのは、基本的な手洗いとかをしっかりとやられること、これが大事なことではないでしょうか。そもそも前回も言いましたが、マイバッグと新型コロナウイルスの感染の科学的な証拠というのは現時点では見当たらないと。そのスタンスを含めて考えたら、我々環境省としては丁寧に理解を進めて、しっかりと広報をやることで理解者を増やしていきたいと、そういうふうに考えています。

(記者)北日本新聞の七瀬です。レジ袋の有料化についてお伺いします。冒頭にもありましたが、今回のレジ袋の有料化は、全国に先駆けて始めた富山の事例が参考になっています。富山のどういった点を評価し、参考にされたのかお伺いしたいのと、今回、環境省で始めたレジ袋チャレンジのキャンペーンでは、サポーターとして事業者や団体からアイデアや取組などを募集するとのことですが、富山や長崎などノウハウを持つ先行地域の協力は大きいと思います。大臣はそういった先行地域からどういった協力、意見を期待するのか考えをお聞かせください。あともう一点、今回、バイオプラスチックなどの環境に配慮した袋は有料化の例外となっていますが、富山県知事は1月に、大臣に例外を設けず全面的に行うよう求めました。今後、制度、仕組みが浸透する中で、全面的な有料化を検討する考えはあるのか見解をお願いします。
(大臣)まず、二つ目のところをお答えしたいと思いますが、あらゆるレジ袋について有料化することによって過剰な使用を抑制していくと、ごみを減らしていくと、こういったことを基本に、同時にバイオマスプラスチックなどの環境性能が認められる素材への転換、これを推進しているのが今回の有料化の一つの方針です。この政府の方針にのっとって、先ほどもお答えしたとおり大部分のコンビニ、98%、そしてバイオマスプラスチック製のレジ袋も含めて有料化する方針が進んでいて、今回、小売事業者のおおむねは有料化をされると。今後、さらにそれをどうするのかという話はありましたが、この制度が明日からしっかりと動いていって、その後の状況もよく確認しながら必要な見直しは行っていきたいというふうに考えています。
 そして、富山県ということで、今、地元の記者さんだと思いますが、富山は素晴らしいですね。もう95%という話を聞いたときに驚きました。そして、このレジ袋やプラスチックのいろんな要望や取組を私も見聞きする中で印象的だったのは、富山県の知事と一緒に地元の婦人会の会長さんも、岩田さんでしたっけ、来られましたよね。ああいう婦人会の皆さんの取組が一緒になって知事と来られたこと、そして更に驚いたのは、その時に地元の皆さんが作られたマイバッグ、エコバッグを持参してくれましたが、私が今まで見たエコバッグ、マイバッグの中で最も持ち運びやすい、小さい、畳みやすい、そういったマイバッグでした。逆に持ち運びやすいと、ポケットに入れていると気付かないぐらい、それぐらい小さなものだったのが今でも私は素晴らしいなと。こういう取組の積み重ねが長年、今、政府は明日から動きだしますけど、富山県は10年以上前から動いているわけです。なので、今回明日からスタートするときには改めて、今まで先導的に先駆けて取り組んでこられた自治体、そしてまた地域の皆さん、企業の皆さんに対して世の中全体が評価をするような、そんな機運を私は後押しをしていきたいと思っています。

(記者)毎日新聞の鈴木です。ミツバチ大量死の一因と指摘されているネオニコ系などの農薬についてお聞きします。中環審の土壌農薬部会は先週26日に、農薬の安全性審査の対象となる影響評価生物に野生のミツバチを追加するよう大臣に答申されました。農水省も今年4月から影響評価対象に飼育用のミツバチを加え、ミツバチに影響を与える新規農薬の製造や使用方法が制限される見通しになっています。答申を受けて大臣の御所感をお聞かせください。
(大臣)農薬の規制については、農薬取締法に基づいて環境省として生態系へのリスク評価を専ら科学的に行って、その結果を踏まえて登録の基準を定めることとしています。この基準を満たすことができない場合は、農林水産省が農薬としての登録を認めないことになります。先週金曜日に中央環境審議会から生活環境動植物に係る農薬登録基準について答申をいただきました。評価対象動植物に野生ハナバチ類を追加することとされており、今年中をめどに必要な通知を行う予定です。これにより、新規に登録申請のあった農薬については、野生ハナバチ類に対する安全性審査を行うこととなるほか、既に登録されているすべての農薬についても来年度以降、最新の科学的な知見に基づいて安全性を見直す再評価を開始することにしています。この中で、今御指摘のあったネオニコチノイド系の農薬についても、野生ハナバチ類に対する安全性を評価する予定です。その結果、仮に農薬の使用方法の見直しなどによっても、なお環境省が定めた登録基準を満たすことができず、野生ハナバチ類に対する影響があると判断されれば、このネオニコ系の農薬は使用ができないということになります。環境省としては生態系の保全を通じた国民の生活環境の保全を図るために、適切に規制強化を図っていきたいと思います。

(記者)フリーの横田一さんからの質問を代読させていただきます。川勝静岡県知事はJR東海社長との面談で、環境保全も国策と強調してトンネル関連工事の着工を認めず、リニア新幹線の開業の遅れとなったことに対する受け止め、また社長との面談や面談後の会見で、川勝知事がコロナ時代にリニア新幹線が必要なのか見直すべき、国民の理解、国民的議論が必要と主張したことへの所見や感想について。小泉大臣が訴えるコロナ時代の新しい社会においては、リニア新幹線の検証、新たな需要の予測、収益性、大井川水量低下などの環境破壊のリスクを超える公益性が有するのかのチェックなど、それが必要かどうか考えているか否か。最後、リニア新幹線のトンネル工事の現場や懸念される大井川水量低下で影響を受ける地域を視察することや、川勝知事との面談をする考えや御予定についてありますでしょうか、3点お願いします。
(大臣)国交省がリニア中央新幹線静岡工区有識者会議を設置して、これまでに議論が3回実施されているということです。この会議には、国交省の要請に基づいて環境省から推薦した有識者が加わっていて、また環境省自身もオブザーバーとして参加をしています。環境省としては、まずは国交省における有識者会議の議論を見守りたいというふうに思いますが、参考までに環境大臣意見を提出していますので、その一部を紹介させていただくと、中央新幹線、東京都-名古屋市間はその事業規模の大きさから、本事業の工事及び供用時に生じる環境影響を最大限回避、低減するとしても、なお相当な環境負荷が生じることは否めない。少し略しますが、さらに国交大臣におかれては、本事業者が十全な環境対策を講じることにより、本事業に係る環境の保全について適切な配慮がなされることが確保されるよう、本事業者に対して適切な指導を行うことを求めると、そういうふうに大臣意見を出しています。ちなみに、この中央新幹線に関わる環境影響評価書に対する意見は今のように提出済みですが、大臣意見の提出以外の法的な権限はないことも申し添えておきます。ですので、先ほど申し上げたとおり国交省が今やっていますので、環境省もオブザーバーとして参加をして、しっかりとこの国土交通省における有識者会議の議論を見守りたいと思います。
 そして、川勝知事と面談をする考えはないかということですが、これは以前もお答えをしたと思うんですが、先方からまだそういう話もありませんし、その面談は今のところ予定はありません。ただ、知事とは今までいろんな課題で、川勝知事に限らずあらゆる知事と意見交換をしたり、その地域の課題、そういったことを意見交換させていただくことはもちろんいつでも大歓迎です。ですので、川勝知事、これは静岡県、いろんな環境行政とも関わりがありますから、面談の依頼があれば、それは喜んでお受けしたいと思います。

(記者)TBSの守川です。NTTの再生可能エネルギー事業への参入の関係でお伺いいたします。日経新聞さんなどの報道で、新たな主要事業と位置付けて、中長期的な多額の投資に取り組むという報道が出ております。自前の発電・送電網を整備されるということで、これまで大手の電力会社が独占的な立場を取っていた分野にも新たに参入するということで、日本の電力体制に風穴を開けるのではないかという評価もありますが、今回のNTTさんの方向性についてどのように受け止めておられますでしょうか。
(大臣)期待しています。今までずっと言っていた自立分散型の社会、コロナ後の社会は三つの移行であると。脱炭素化、そして循環型の経済、そして自立分散型の社会、この方向性と今回のような取組というのは、全く方向性としてはかみ合う方向でありますので、これが実際の社会に実装されて、より再生可能エネルギーが主力電源化に近づいていって、自立分散型の社会を更に加速させることになり、そのことが結果として気候変動対策やコロナ後の新たな社会につながっていくと。ぜひ、今回のこの大きな一歩が次々に新たな時代を目覚めさせたいという風穴を開けていただけるように民間の取組を期待しつつ、我々は、いわゆる官民で言えば官の立場からは、こういった民間の取組が促されるような環境づくりをしっかりやっていきたいと思います。そろそろ自治体の2050年の脱炭素宣言をする人口規模、人口の過半数に近づいてきていますから、今回、NTTという民間のプレーヤーの動きが大きく風穴を開ける結果になりましたが、次は官の世界からもそういった風穴を開けられるように、この民間の後押しをしっかりとやっていきたいと思います。

会見動画は以下にございます。

https://www.youtube.com/watch?v=eU9xWvp4BeA

(以上)