大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年6月2日(火) 10:30 ~ 11:03 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日は、冒頭3点あります。まず、こちらのスライドに出したように、先週5月29日金曜日に、石綿の飛散防止のための法規制を定める大気汚染防止法の一部を改正する法律案が原案通り可決・成立をしました。石綿は数十年の潜伏期間を経て、肺がんや中皮腫など重篤な健康被害を発生させる恐れがあることが知られており、国民の健康を守るために解体工事による石綿の飛散を防止することは極めて重要であります。今後、令和10年ごろ、2028年ごろをピークに石綿含有建材を使った建物、建築物の解体工事が年々増加していくと見込まれることから、石綿飛散防止対策を速やかに強化する必要があります。ここに今回のポイントがありますけども、すべての石綿含有建材に規制対象を拡大したと、これが最大のポイントであると思います。こちら、スライドにレベル1建材、レベル2建材の写真をお示しさせていただきましたが、これまで規制の対象となっていたものがこのレベル1と2であります。レベル1が吹き付け材、そしてレベル2が保温材、そして耐火被覆材、断熱材などに使われていたと。このレベル1とレベル2で約100万トンあったものが、今回、レベル3は約700万トンあるというふうに言われています。これを説明すると、レベル1、2は赤と緑がこれだけビルの中にあって、レベル3もこれぐらいあります。だけど、戸建ての住宅、一般住宅とかになるとレベル3がこれぐらいありますよというのが分かりやすく示されているものです。今、私がこれを説明しましたが、今回レベル3の建材が戸建て住宅にも多く使用されていることから、大体レベル1、2の7倍の量、700万トンがあるということですから、今回それがすべて対象になったということが一つの大きなポイントだと思います。この建築材料として使用された石綿の9割、この9割がレベル3建材に使用されたと推定をされています。このため、新たに規制対象となる石綿除去作業の件数は現在の5倍から20倍となるというふうに考えられます。今後、国民の皆さまにおかれましても、自宅をリフォーム、解体される際には事前の調査や、その結果、石綿が見つかった場合には飛散防止対策が必要となります。皆さんの健康を守るための措置でありますので、御協力をお願いしたいと思います。今回の改正は環境に由来する健康被害を未然に防止するという環境省が最も基本的かつ重要な役割を果たすものです。今後、改正法の施行を着実に行うとともに、技術的な課題の検討などに引き続き取り組むことで、すべての建築物等の解体等工事について石綿の飛散防止の徹底を図ってまいりたいと思います。 1件目は以上です。
 2件目は、動物愛護管理法の改正、これが昨年の6月に7年ぶりに改正をされました。昨日、6月1日に一部施行されました。動物愛護管理法は、昭和48年に動物の保護及び管理に関する法律という名称で制定をされて、その後すべての改正は議員立法によって行われてきました。改正に携わった議員の先生方の御尽力にまずは敬意を表したいと思います。そして、改正法の施行は3段階に分かれています。虐待等の罰則強化などが6月1日、昨日から施行された事項になります。この他、ペットショップ等の動物取扱業の飼養管理基準の具体化が来年6月まで、そして販売されるイヌやネコへのマイクロチップの装着の義務化、これが一番下に書いてあるとおり、再来年の6月までに順次施行予定であります。環境省としては、法律の所管省庁として制度を円滑かつ効果的に運用できるように、施行に向けて着実に準備を進めてきました。このスライドは3段階、1、2、3を3年かけて施行されていますが、昨日からはこの1が施行されているということであります。そして、その中でも今日御紹介をしたいのは、こちらのスライドでありますとおり、動物の虐待などに関する検挙数が近年増加しています。今年3月に警察庁が公表した資料によれば、平成26年は48件だった検挙数が、令和元年は105件と5年間で約2倍に増えています。悪質な動物の虐待等に関する事件は残念ながら依然として後を絶たず、改正法の議論の過程でも罰則を大幅に引き上げるべきだという多くの声が届いたと聞いています。改正法では罰則が大幅に強化されました。具体的には、動物の殺傷に関する罰則については懲役刑の上限が2年から5年に、そして罰金刑の上限が200万円から500万円に引き上げられて、虐待と遺棄に関する罰則については100万円以下の罰金刑に1年以下の懲役刑が加えられました。この罰則強化について、お手元の資料の4ページ目にあるようなポスターを、こちらのポスターですね、これは警察庁と連名で、警察庁、環境省連名のポスターでありますが、全国の都道府県、そして政令指定都市及び中核市の動物愛護管理部局に送付するなど普及・啓発を行っています。また、環境省のホームページにもポスターのデータを掲載しています。地域の皆さんにおかれましても、それぞれの地域での動物愛護活動の中でこのポスターを御活用いただければと思います。私自身は、法律で罰則が強化されることももちろん意義あるものと考えていますが、それ以上に、動物の虐待は道義的にも法的にも許されないものだということをすべての国民の皆さんがきちんと理解をして、虐待の発生を未然に防いでいくことが重要であると考えています。そのためにも動物虐待事案の対応を強化して発生を未然に防ぐことが重要であります。これまでの課題としては3つの課題が挙げられます。1点目は、虐待の疑いがあると、じゃ、それをどこに通報したらいいかというのが分からない。そういったときに、やっぱり分かりやすくしなければいけないので、これから3つの改善をしますが、1つ目が、虐待の疑いがある事実を発見したときの通報窓口を明確化していく、これが1つ目であります。そして、2点目が、通報を受けた事案が虐待に該当するのかどうか、この判断が難しい場合の対応方針が整理されていないと、そういった課題がありますので、環境省又は獣医師が助言をして判断を迅速化していく、それが2つ目の改善点。そして、3つ目が、国、自治体、警察、獣医師等の間で更なる連携強化が必要だと、そういった課題が3つ挙げられると思います。今回、改正法によって罰則が大幅に強化されることを契機として、これらの課題を見直すために、先日、武田国家公安委員会委員長と直接お話をさせていただきまして、連携を深めていくことの必要性について認識の共有を図りました。事務レベルでも意見交換を行った結果、今回このスライドにお示しをしたとおり、3つの改善を図っていこうということで一致しました。その1つ目が先ほど言いましたとおり、通報窓口については自治体の窓口の明確化を図るように、先月末、地方自治体の担当部局に対して通知を出して要請をしました。そして、次に、虐待の判断基準については、判断に迷う際には法制的な問題であれば環境省、獣医療等の科学的な問題であれば獣医師に助言を求めることができる体制を構築することにしました。そして、3点目の行政、警察、関係機関の連携につきましては、従前より連携して虐待事案に取り組んできたところでありますが、国、自治体、警察、それぞれに虐待事案の通報が出される事例があることから、通報の内容に応じてそれぞれが円滑に情報を共有して、現場対応でも相互に連携することで深刻な事態に至る前の段階で予防を図ることといたしました。さらに、これらの対応を円滑かつ効果的に実施をするために、ガイドラインを作成することになりました。このガイドライン、下にあるとおり虐待対策ガイドライン(仮称)として書いてありますが、これは来年度の策定を目指して必要な検討を進めていきたいと思います。これまで申し上げた1年目の施行に関する内容のみならず、改正法の施行については2年目のペットショップ、ブリーダーなどの動物取扱業の飼養管理基準、そして3年目のマイクロチップ制度と、引き続き制度運用に向けての準備を進めていく必要があります。飼養管理基準については、私から事務方に指示をしていた動物保護団体の状況についても昨日ヒアリングが実施をされたところであります。これらについても動物愛護の精神にもとることのないように、引き続き検討を進めていきたいと思います。2点目、動物愛護については以上です。
 今日最後になりますが、3点目は、オンライン・プラットフォームについて報告をしたいと思います。昨日6月1日から来週の10日まで、気候変動枠組条約事務局の主催によって、気候変動に関するジューン・モメンタムと題して条約締約国や様々なステークホルダーが参加するオンラインでのイベントが開催をされています。昨夜開催されたオープニングの会合で、私からビデオメッセージを通して、新型コロナウイルスからの復興と気候変動・環境対策に関するオンライン・プラットフォームを9月上旬に開催する考えを表明して、各国に参加を呼び掛けました。このオンライン・プラットフォームは、今年4月に開催されたペータースベルク気候対話で私から提案をしたもので、エスピノサ条約事務局長や多くの国からも賛同、支持を得ました。条約事務局からの提案で、ジューン・モメンタムのオープニングという場で正式に発表することとなったのが昨日のメッセージであります。現在、9月上旬の閣僚級オンライン会議の開催と情報プラットフォームの構築に向けて条約事務局などと詳細な検討を進めているところでありますので、今後、条約事務局と連携して各国に招待状を送る予定であります。先週、COP26の約1年の延期が発表されましたが、新型コロナウイルス感染症と並ぶもう一つの危機である気候変動問題に対する国際的な機運を失わないように、日本としてもこのプラットフォームを通してしっかりと貢献をしていきたいと思います。今回、このジューン・モメンタムのオープニングという場に、事務局からの提案で日本に対して、この場で発表したらどうかと御提案いただいたこと、心から感謝をしたいと思いますし、これからも連携をしていきたいと思います。冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)読売新聞の安田です。オンライン・プラットフォームについてお尋ねします。秋にオンラインミーティングをやるということですけれども、COP26の延期ということを踏まえて、今回のオンラインミーティングをどういう場として活用したいか、どういうところにつなげていきたいかというのをお聞かせください。
(大臣)1年間延期になったということで、世界各国が気候変動の機運をここで空白を生じさせることがあってはならないと、そういった思いから何かできないかということを考えて、先日のドイツのペータースベルク気候対話で私から提案をしたものです。これが9月の上旬に開催をされる方向で今調整が進むことになりましたので、今回、6月のまさにこのジューン・モメンタムというものも同じような、この機運を決してそぐことがないようにという思いは共有されていると思いますが、やはりCOPのように1カ国でも多くより包摂をして多くの国が参加できる形でやらなければいけない、それがCOP25を経験した私の思いでもあります。やはりCOP25で6条、これがまとまらなかった、そういったことの一つは、やはり進めていく中でのあらゆる国を巻き込むというインクルーシブであること、これはものすごく大きいと思います。ですので、来年のCOP26の成功に向けて、こういった9月のオンラインの全世界が共有をする場、集まる場、こういったことを通じてよりCOP26に向けた一つの足掛かりともなればというふうに思います。それを日本が今主導して引っ張っているというのは、COP26に向けての様々な調整や交渉、こういったことについても非常に大きく生きるのではないかなと期待をしています。

(記者)朝日新聞の水戸部です。6月になりましてこれから豪雨とかあるいは猛暑ですとか、気象災害がいろいろと起こる可能性も出てくるかなと思うのですが、大臣は「気候変動×防災」ということで、武田大臣とヒアリングとかを重ねてこられたと思うのですが、それに関してどういう打ち出しがこれからできそうかということと、今年は新型コロナウイルスがあって避難所の運営とかがいつもと違う注意点が必要かなと思っていて、そこら辺は何か打ち出しに反映できる点があるかということをお聞かせください。
(大臣)まず、武田大臣とは、明日の夕方にまた引き続き共同の勉強会を開催する予定です。そして、今月中に、6月中に武田大臣とは共同でのメッセージを発出していく方向で、今、事務方同士も調整をしています。そういった中で、まさに気候変動を抜きにした、この対策、観点を抜きにした防災はあり得ないと。そういったことをどのようにメッセージとして、またこれからの具体的な行動として政策として反映をしていくか、これをまさに今調整をしているところでもあります。
 2点目の、避難所のコロナとの関係でもありますが、これは内閣府の方で整理をされていると思いますが、特にだいぶ蒸し暑くもなってきました。それで、避難所で言えば例えば熱中症とかそういったリスク、こういったことについてはまさに環境省が熱中症の取りまとめをやっていますので、先日も熱中症対策、これを発表しましたが、このコロナの中での熱中症対策、そういったことも避難所の中でもしっかりと周知をされるように連携をしていくと。こういったことをやって、いついかなるときも日本というのは自然災害とは無縁ではないですから、これに対しても環境省ができる連携を各省庁ともやっていくと、そういったことだと思います。

(記者)共同通信の石川です。オンライン・プラットフォームについてお伺いします。これは各国からのコロナと気候変動に関わったグッドプラクティスを共有する場だと思うのですけれども、現状、日本はどういうことが報告できそうなのかという点と、今後どういうことを報告したいか、この2点をおねがいします。
(大臣)まず、この前の第1次補正、その第1次補正の中でも、コロナの中の経済と社会の活動の再開に当たっては、脱炭素型の社会の移行が重要であると、これは明記をしています。そういったことも報告はできますし、あとは、環境省の具体的な事業の中で今までも何度も紹介をしていますが、例えばこのコロナによって間違いなく変わってきたニューノーマルの一つは、デリバリーとテイクアウト、そしてeコマース、こういったものが世界中で需要が増大をしていると。そういった中で配送に使うような車両、バイク、こういったものをEV化する支援、これが環境省はあります。こういったことも実際に世界で共有できることだと思います。そして、サプライチェーンが大きく寸断をされている中で、今後、例えば中国依存をどのように分散化させていくか、こういったところで世界中様々考えていると思います。日本も中国に限らず、サプライチェーンをいかにより強靱なものにしていくかということでいえば、日本に国内回帰をするような、そういった企業もあるかもしれないし、また外国の企業で日本に対して投資をする、進出をする、そういったこともあるかもしれません。そのときに、環境省として日本に国内回帰をしていくところに対して太陽光発電の支援、そういった形で再エネ、そしてまた自立分散型のエネルギーが回っていく地域を形成していく支援をする、こういったこともまさにコロナの中でデジタル化、そしてまた分散化、こういった方向に間違いなく進んでいくということが見えてきた中で、もう既に日本は動きだしていると、そういったことも言えると思います。そして、6月に入って少しずつ経済社会活動が再開されつつありますが、これからより6月19日以降、県外への移動というのも自粛が緩和をされてきた暁には、まさに環境省がこの前から言っている国立公園ワーケーションのような形で、もう東京の都会で働く必要はないじゃないかという、オフィスにいなくたって仕事ができると、それに気付いた人はいっぱいいると思います。こういったワーケーションというようなリモートワークを地方からもできる、そして地域の中にお金やまた人も含めて経済が回っていくよと、そういった形も後押しをするというのは、まさに環境省が独自でできる、ニューノーマルを一つ一つ政策で後押しをする、こういったことも恐らく、特に国立公園でのワーケーションなんというのは世界中どこもないんじゃないですかね。何せ国立公園の中にホテルもある、旅館もある、そして普通に住んでいる人もいる、なかなかこういう国立公園はないと思いますよ。それを生かして、既にいろんな反響をいただいています。前向きな。ぜひ利用が増えるように、タイミングを見てこういったこともより発信をしていきたいなと思っています。

(記者)TBSの守川です。アメリカと中国の対立の関係で質問です。経済、安全保障分野に限らず、昨今の香港への治安管理問題で更なる米中の対立は激化しております。気候変動など環境分野でも米中というのは非常に大きなプレーヤーでありますし、対立激化が環境分野、新型コロナもそうですけど、これからの国際連携において非常に不透明感を増しているのではないかと指摘がありますが、大臣はどのように見ておられますでしょうか。
(大臣)コロナの収束に向けて最も必要なことは、国際協調です。そして、気候変動の取組をより一層前に進めるために必要なのも国際協調です。そして、生物多様性の保全、また海洋プラスチック対策、今日の後ろのパネルも海ごみゼロですけど、それらを含めて、今後、地球規模で取り組まなければ絶対に解決できないような課題が山積をしている中で、特に地球規模の課題を解決するに不可欠な両大国が今、真っ向からぶつかっている状況というのは、間違いなくマイナスです。そういった中で、まさに日本がどのように国際協調をする機運を高めていけるのか、これは日本の貢献が発揮しなければいけない局面に来ていると思いますし、またもう一方で、今のこの現実をしっかり見た上で、日本がどのように自分たちの国でやるべきことを注力して、アメリカがどうだから、中国がどうだからと、そういったところではなくて、足腰を固めていくようなそういったことにはしっかりと取り組む、そこがすごく重要ではないかなと思っています。

(記者)毎日新聞の鈴木です。大臣が冒頭で説明されたアスベストの関連で質問させていただきます。環境省が2015年度から毎年実施している、過去にアスベストを扱う工場などの周辺住民の健康調査の結果として、検査希望者の約3割以上からアスベストを吸い込んだと見られる所見が認められたという調査結果があります。アスベスト被害というのはこれからどんどん増えて、今後ピークを迎えるような公害だと思います。また、課題としても、周辺住民が吸い込んだという自覚がないだけに調査すらしないような方もたくさんいると聞いていまする。今後の環境省としての調査の在り方について、何かお考えがあれば教えてください。
(大臣)今、鈴木さんから御指摘いただいた試行調査、この結果は今年の4月に公表されたものだと承知をしています。この試行調査は、石綿健康被害救済制度の対象となる可能性のある方を早期に把握をして救済につなげることを目的として、予算事業によって実施をしたものです。実施の希望のあった自治体を対象として、過去に石綿にばく露したことを示す胸膜プラークなどの所見の有無を調査したところ、調査に参加された方のうち約3割にその所見が見られたということです。試行調査の結果からは、推定される過去のばく露状況等の個人の状況次第で、既存のがん検診等によるエックス線検査のみならず、CT検査を受けることが石綿ばく露や石綿関連疾患の把握に有効な場合もあり得ることが示唆をされました。現時点において、胸膜プラーク等の所見の有無や範囲から中皮腫などの石綿関連疾患の発症リスクを予測するための十分な知見がありません。しかしながら、石綿関連疾患の発症の可能性は否定できないことから、今年度から新たに実施する有所見者向けの調査事業を通じて、疾患の早期発見につながる健康管理方法を検討することとしています。環境省としては、石綿関連疾患を早期に発見をして救済につなげていけるように調査を進めてまいりたいと、そういうふうに考えています。

(記者)フリーの横田一さんからの質問を代読いたします。安倍政権の閣僚が首相に意見を述べられる立場にあることと、ポストコロナ時代の新しい社会をつくるべきと述べられていることを受けて質問です。コロナ後の新しい社会でカジノを含むIRのビジネスモデルは成り立たないとの見方もありますが、これまでの政権、カジノ推進の姿勢を見直すべきとお考えになっていないでしょうか、安倍首相に見直すべきなどと提案する御予定や御意向はないでしょう1か、まず1問目です。
(大臣)IRについては所管外でありますので、環境大臣としてのコメントというのは差し控えたいと思います。その上で一つ申し上げれば、今回のコロナを受けて、経済社会の在り方を変えていかなければいけない、いや応なく変わっていくのは間違いありません。その中で、環境省として特に力を入れて取り組んで、また発信をしているのは、経済社会を元に戻すのではなくて、より持続可能で強靱なレジリエントなものへと変革をしていく再設計、リデザインというふうに言っていますが、この再設計が不可欠だという認識に立って積極的に施策を展開していく考えです。今日、オンライン・プラットフォームの話もさせていただきましたが、気候変動の対策と、そしてコロナからの経済社会の復興を両立させなければいけないんだというのを日本が提案をして、そのオンラインでの世界中が集まるウェブでの会合が9月にも開催されようとしているということこそ、まさに国内だけではなくて、国際社会をそのような方向に持っていこうとしている日本がリーダーシップを発揮している証左だと思います。ヨーロッパではグリーンリカバリーというふうによく言われます。日本も、今回これだけ経済社会が大きく影響を受けた後にプラスの面、そしてもちろんマイナスの面、多くあります。そこをしっかり考えた上でも、少なくとも絶対不可欠なのは、既にコロナの前からあった気候変動に対する取組をこの経済社会の再開の中にしっかりと組み込んでいくと、このために環境省は力を尽くしていきたいと考えています。
(記者)次は、吉村大阪府知事は、米国カジノ業者との調整困難となった事態を受けて、IR担当職員をコロナ対応などに振り向けていると会見で述べていますが、霞が関のIR担当職員もコロナ対応などの他の業務に一定程度異動させるべきというお考えになっていないでしょうか。このことを安倍首相に提案される御予定や御意向はないでしょうか。
(大臣)4月28日に加藤厚労大臣との共同記者会見でもお伝えをしましたが、環境省においては、新型コロナウイルス感染対策の最前線に立っている厚生労働省に支援として、困ったときはお互いさまですから、同じ建物の中に入っていますし、現在21名の職員を派遣しているところです。加藤大臣からは、業務と無関係な純粋な支援は初めてだと、そういうことで大きく感謝をしていただきました。厚生労働省への協力については、霞が関各省庁でできる限りのことを行うことが重要であると考えていますから、各省庁の御判断によって他の省庁にも広がっていくことを私は期待をしています。今、御質問にあったように、こういう有事のときは縮小できる業務、止められる業務、そこは止めて、一番大変なところに人も資源も振り分ける、それは当然のことだと思いますし、そこに問題意識があるからこそ、頼まれたからやるんじゃなくて、環境省自ら厚労省に対してお手伝いできることはありませんかと、そういった形で、まさに人を送る形で支援をしているのは、そういった問題意識から来るものです。他の省庁においてもそういう取組がより進んでいくように、今後、第2波、第3波、そこに備えて、今までの課題をしっかりと整理をしながら、できることに備えていく、そのためにも環境省のこの取組が一つの何か物事が動いていくきっかけになればなと、そういうふうに思います。

(記者)朝日新聞の水戸部です。直接、環境とは関係ないのですけれども、29日に少子化社会対策大綱が閣議決定されました。コロナで経済悪化によって若い子育て世代の人たちが将来への不安を抱えれば、出生数にも影響を及ぼしかねないという指摘もあります。大臣は子育て世代だと思うんですけれども、大臣として何かお考えがあれば聞かせてください。
(大臣)今回、コロナの中で子育て世帯の抱える不安、それと特に私の今の状況からすると、コロナと自分の息子の出産の時期がちょうど重なったものですから、日本で初確認をされたのが1月16日、私の息子が生まれたのがその翌日。もしももう少し遅ければ、立ち会い出産も認められなかったでしょう。そして、お見舞いとかも簡単には行けない、そういう状況だったと思います。そして、特に一人目であれば、より出産をする妻は不安でしょうし、そういった中で、今、この状況でも一人で病院に行かなければいけないとか、出産しなければいけない、そういった方々に対する温かいサポートというのは、今後より一層、コロナが仮に収束をしたとしても、その重要性が軽くなることは全くないというふうに思います。コロナによって変わったことはいっぱいあります。ニューノーマルもいっぱい出てくるでしょう。しかし、コロナがあってもなくても絶対に変わらない日本の構造的な課題は、少子化だということです。そして、それを克服する手だてを打たなければ、日本に明るい未来はないということです。ですので、この課題の重要性は、むしろコロナによってより一層高まったという思いでこういう問題について力を入れて、国民の皆さんが前向きな展望を持てるような取組を進めていかなければいけないと、改めて私も痛感をしています。今は環境大臣として、環境行政にしっかり取り組んで、前向きな方向に進めていきたいと思いますが、今まで厚労部会長をやったりしながら、様々な提案や施策にもつなげてきました。引き続き、政治家として問題意識を持って取り組んでいきたいと考えています。

(以上)

会見動画は以下にございます。

https://www.youtube.com/watch?v=ueg96LgNLPs