大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年4月10日(金)12:04 ~12:25 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 まずは、記者クラブの皆さんに一言お礼を申し上げたいと思います。平尾室長からもコロナ対策で皆さんの御理解を得ながら、この記者会見の在り方を柔軟に今対応いただいているというふうに聞いています。この会場の光景もそうですけども、今この会場にはいない省内の放送を見ている方、それとWebEx、これを活用してこの会見を見ていただいているフリーランスの方も含めて、この機会に理解をいただきながら対応いただいています。ありがとうございます。私自身も、今非常に大事なことは、皆さんに私自身が無症状の感染者であるというふうに見てもらうこと、そして私自身が自分は無症状感染者なんだと、そういう意識で自分のことを封鎖するというか、自分自身がロックダウンするというような認識を持つことが非常に大事だと思っています。今、様々記者会見の在り方も、ウェブで対応するとか、様々今後の在り方については皆さんの御理解を得ながら進めていければと思いますので、ぜひそういった御理解を今後とも双方で持つことができたらと思っています。もしも無症状感染者だったらと、そういった意識を持って行動していきたいと思います。
 まず冒頭、今日は1件です。今回、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、4月7日に緊急事態宣言が発出されたことに関して御報告をします。環境省では廃棄物の処理に関する施策を担当していますが、4月7日、同日に新型コロナウイルス感染症対策本部で決定された新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針において、廃棄物処理関係の業者が国民生活、国民経済の安定確保に不可欠な業務を行う事業者に位置付けられたとおり、廃棄物処理業は日々の国民の生活や経済活動を支える必要不可欠な社会インフラです。そのため、環境省では新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中にあっても安定的に廃棄物処理業が継続されるよう、必要な対策を全力で講じてまいります。その一環として、早速4月7日付で緊急事態宣言がなされた状況にあっても、廃棄物処理業者及び市町村などが安定的に廃棄物処理の業務を継続するよう求めるとともに、その継続に当たって行うべき感染防止策などについて地方公共団体に対して通知をしました。また、新型コロナウイルス感染症の患者が増加していることへの対策として、軽症者などのホテルや宿泊施設などでの療養が開始をされていますが、それに伴って生じる廃棄物の取扱いにおいて留意すべき点についても併せて通知をしています。現場ではマスクや防護服などの逼迫が懸念される現状があると聞いています。作業がきちんと継続されるように、必要な資材の確保など廃棄物処理業の継続のために環境省ができることはすべて実施をして、引き続き新型コロナウイルス感染症に係る廃棄物、それ以外の廃棄物の両方について、適正かつ安定的な廃棄物処理体制の維持を図ってまいります。また、こうした厳しい状況下であっても、我々の生活と経済活動を支えるために毎日業務に汗をかかれている廃棄物処理に関わるすべての皆さまに少しでも感謝の気持ちをお伝えできればと思いまして、今日中にも私から手紙を送りたいと考えています。もちろん、今すべての国民の皆さんに御協力を求めているわけですから、感謝すべきはすべての国民の皆さんでありますが、環境大臣としては、特にこの廃棄物処理業を抱える立場として、こういった緊急事態であっても我々のライフラインである大変重要なインフラの廃棄物処理、これに毎日汗をかいて取り組んでいる皆さんに特に感謝を申し上げたいと思います。環境省としてもすべての職員が、そして我々政府も一人一人がもしも我々自身が無症状感染者だったらと、そういった意識の統一をして対応していきたいと、そういうふうに思っています。私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)日本経済新聞の安倍です。コロナ関連で、国立公園事業の立て直し策についてお聞きしたいです。インバウンド1000万人というのは厳しい中で、7日に出した補正予算では収束を見据えたツアー準備が一つあったと思います。具体的にはどのような内容が外国人に刺さるとお考えになっているかということ。加えて、国内向けにはワーケーションの推進もあり、個人的には働き方改革という意味でも注目されていくべき話ではないかと思うのですけれども、ただ課題としてはWi-Fiの整備もあると思います。推進していくために今後どういうところが必要になってくるかも併せてお聞かせください。
(大臣)まず、この経済対策の中で、国立公園を重点的に入れた一つは、もちろん今安倍さんが御紹介いただいたワーケーションとかもありますが、やはり時間軸をしっかり認識して、収束の前に打つべきこと、緩和モードに入ったときに打つべきこと、そして反転攻勢のときに打つべきこと、こういった切り分けで頭を整理して、打つべきタイミングで打つべき施策を投入することが大事だと思っています。そういったことからすると、この国立公園の関係でいうと、やはり環境省として大変異例なのは雇用に関する、この雇用の維持・確保に努めるということで、国立公園を日々支えていただいている方々、特に観光事業者の方の雇用の維持・確保の対策を入れたこと、これは非常に異色の一つの施策だと思っています。これはこの前、ビデオ会議で全国の国立公園の関係の事業者さんとお話をしたときに、収束後に反転攻勢でキャンペーンを打つと言われてもそこまで持つか分からない、こういう強い危機感と、そのとおりの思いだと思うので、そこに何ができるかを職員で一緒に議論をしながら考えました。そういったことから、今後、例えば国立公園の中には海岸がある国立公園もあります。そういったところの海岸の清掃、そして中には歩道の修繕、そして環境をよく守ること、様々できることはありますので、そういった雇用の維持・確保につながることを打っていきたい。そしてまた反転攻勢につなげていくためには魅力的なツアーも、観光のツアーを企画する、そういったことも重要です。そういった企画に対しても、現地のそういう事業者の方にも入っていただいて、そういったことの人件費なども環境省が一部持つ、そういったことなどを展開してできる限りの雇用を守っていきたい、そういうふうに考えています。そして、そういったことが少し前に進んで、コロナの感染拡大がピークを越えて緩和、そしてまた反転攻勢、そういった段階で思い切って前に進めることができるのがワーケーションなのだと思います。これもまだまだワーケーションという言葉自体が浸透しているかは、ちょっとまだ一部の人での理解かもしれませんが、国立公園イコール遊ぶところとか自然を満喫するところということだけではなくて、国立公園で働けるんだと、国立公園も働く場所になる、こういったことをしっかりと位置付けていくチャンスだと思うので、今まだ観光へ行ってくださいという次元では全くないですよね。だからこそ、そういった間にできるWi-Fiの整備だとか環境整備は徹底的にやっていきます。そういった中で、今後の社会の在り方で、やはりこの反転攻勢が元のとおりの反転攻勢ではなくて、脱炭素化の社会、循環型の社会、そして働く場所はオフィスだけではなくて、どこからでも働けるということに気付いた方も多いと思います。そうなるとこれからはきっと働くということの意味とか、オフィスの価値とか、そういったこともかなり大きな変化がこの社会にもたらされるのではないかと思いますので、そういった新しい社会の選択肢の一つに、国立公園でもリモートワークができる。もしくは、例えばある企業が今、地方で、私も地方創生担当の政務官の時に徳島県の神山町というサテライトオフィスを誘致している地方創生の先進事例があるんですけど、そういう町のように国立公園にサテライトオフィスを置くとか、そういったことも見据えて施策の後押しをしていきたいと、そういうふうに考えています。

(記者)毎日新聞の鈴木です。炭素税などカーボンプライシング導入について伺います。大臣はこれまで導入に向けて国会での議論を深め、広範な理解を得ていきたいと導入に前向きな姿勢を示して来られました。ただ、昨今の新型コロナの影響で景気後退も指摘される中で、更なる税負担への国民の拒絶反応が増す恐れがあります。炭素税の導入実現に向けた現在の大臣のお考えをお聞かせください。
(大臣)まず、炭素税そのものに触れる前に、今このコロナの状況で世界で何が起きているかということに一言だけ触れると、こんなにCO削減を目にする機会はもうないと思います、そう簡単には。そして、このことをどのように受け止めるか、これは日本だけではなくて世界全体が。それによって今後の社会、経済の在り方は大きく変わってくる。そしてその変わるというのが、いい方向に行くのか、そうではない方向に行くのかの私は岐路だと思います。例えば、これで一定の時期に経済が回復をさせていける、コロナが収束をするという段階になったときに、とにかく環境のことは二の次で、経済回復が大事だからとにかく吹かせと、アクセルを踏むんだといって環境がないがしろにされることが仮にあったとしたら、それはパリ協定の死ですよね。決してそういうことがないように、今、目の前の生活で苦しんでいる方が多くいるのは現実です。しかし一方で、世の中、政治が特に考えていかなければいけないことは、その後の社会を描きながら今何を考えなければいけないのかというときに、私はこういう機会にもう一度これからの社会の在り方、そして脱炭素型、そして循環型の社会、こういったものもこれから多くの方に考えていただくような、そんな発信も、また機会もつくっていきたいというふうに考えています。炭素税の行方、こういったこともまさにそういう中でどういう社会をこれからコロナ後の社会をつくっていくかという中で議論をされることだと思いますので、目の前の今、炭素税ということの前に、今後の社会の在り方をどういうふうに社会的な国民的な合意をつくっていけるかというのは、今、目の前はまず生活です。でも、その後には間違いなくこういったことを、政治だけではなくて、国民の皆さんの声も聞きながら一緒になって考えていかなければいけないと。炭素税に対する結論は、私はそういった先に来るのではないかなというふうに思います。
(記者)すごく慎重な言いぶりだったんですけれども、今、炭素税に向けた議論は時期尚早というようなお考えということでしょうか。
(大臣)これはすごいコミュニケーションが難しいのは、炭素税イコール税という名前が付いていますから、こんなときに増税かと。こういうことでカーボンプライシング、炭素税と言われるものが目指している脱炭素型に社会全体を変えていく歯車でもある、そういうことが、理解が届かなくなってしまっては元も子もありません。ですから、どういう状況で議論できる気持ちになるのか、環境になるのかというのは、そういったところも大事なので、そこもしっかり踏まえながら、今環境省の中では、今までも議論の積み重ねをしていますが、私は現時点で考えると、まずどういう社会を目指すのかということを話さなければ多くの方の理解を得るのはなかなか難しいと、そういったことも考えています。ただ重要な論点なのは間違いありません。

(記者)環境新聞の小峰です。今大臣がおっしゃったこれから目指す社会ということに関連すると思いますけれども、小泉大臣は環境省の原点は水俣病だとかねておっしゃっています。また、これからは社会変革省になるともおっしゃっています。そこで、環境省のコロナ感染症対策についてお聞きします。パンデミックはいずれ収束するでしょうが、何年か先には再び新たなコロナや地球温暖化に伴う伝染病が世界を襲う可能性があると思います。コロナは環境省の第二の原点になるかもしれないと私は思っております。そういう意味で、温暖化、エネルギーの他に健康と安全を加えた三本柱で環境省の基盤政策、基盤事業としてはどうでしょうかという提案でございます。環境省は水俣病、アスベスト対策としての環境保健部があり、緊急事態宣言を受けての自宅待機、テレワークなどでは地球環境局に低炭素物流室、また廃棄物施設、合併浄化槽で環境健康のインフラ輸出も手掛けております。こういう中で、環境省はコロナ対策を契機として健康と安全も基盤政策、基盤事業に加えてはいかがかという質問というか提言でございます。
(大臣)環境省だけでなくて、これは世界にとっても新たなスタートになると思います。環境省は今、選択と集中の議論で、環境省自身の省の在り方を今精力的に検討を進めています。その中でも強く感じるのは、幅広い業務の中で本当はもっと人が欲しいですよね。ただ、なかなかこの定員が容易には増やせない今の政府の環境の中で、仕事の在り方自身を変えるしかない。今回、私はこのコロナを契機に、環境省自身が変わらなきゃいけないとこって結構あると思ってて、一つは環境省自身が最大の緊張感を持つコロナ対応をすること。それはまさにさっき私が言った一人一人が、私自身が無症状の感染者である、そしてそういうふうに見てもらう、その中での活動をする、これを徹底すること。そしてもう一つは、徹底したデジタル化を進めることです。これは今、デジタル化がなかなかテレワークも含めて進んでいないという状況がありますが、これは環境面によってそれがかなわないという、そういうお仕事をされている方とか、またなかなかそういうツールがそろっていないという方もいるでしょう。しかし、もう一つは、やはり個人の問題もあると思います。そういったものに拒否感を持ったり、なかなか日ごろから使っていないかなということで、イメージとして取り組まない人、これは私の周りでもそういうケースはよくありますし、環境省の中でも今までそういうことがあったと思います。しかし、そういったことを超えて、デジタル化をしておけばこういうことにはならなかったのにということは、今の時点でも相当ありますよね、世の中で。今日の日経新聞の一面では、ノーベル賞を取った本庶先生がインタビューに答えられていましたけど、まさにITを社会に実装することが日本は遅れているからこそ招いてしまっているような様々な課題、こういったことが今後ないように、環境省自身が働き方も含めてデジタル化を徹底的に推進していくということが非常に大事だというふうに思っています。最後に、私自身、大臣になる前に国会改革にすごく取り組んでいました。国会のことは国会がお決めになることですということを前提で一言申し上げれば、国会が今このように変化をしていることというのは、まさにこれから国会のことを含めて、官邸の会議の在り方も含めて、私は政治のデジタル化というのは間違いなく進んでいく、そういう契機にしなければいけないというふうには思っています。環境省からまずはそうしたいと思っております。

(記者)産経新聞の奥原です。今、政治のデジタル化の話がありましたけれども、緊急事態宣言を受けて会食の自粛の機運が高まっております。料亭政治は昔の話ではありますけれども、永田町は夜動くと言われている中で、政治家同士の会食が制限されていることの影響について、ポストコロナも見据えた上で御所感があれば伺えればと思います。
(大臣)やっぱりあると思いますよ、会わなきゃ済まないことがあるのも事実ですから。ただ、その中で、よりコミュニケーションを補完するために何ができるかということを考えたときに、最近ウェブ飲みというのがありますけど、私自身も挑戦しています。そういったことも含めて、かなり、私の感覚ですけど、同世代の議員の中ではそういったことが進んでいると思います。なので、こういったことも、一番は会うのがいいんですけども、政治のそういうものは、いろんな話をするのは、機微なことがいっぱいありますから。だけど、それが今は、とにかく大事なのは、自分が無症状感染者だと思って政治家同士も行動をすること、それを考えたら会食は絶対なしですよ。なので、今そういった形じゃない形でのコミュニケーションを切らさない、情報収集をする、そういったことを私も心掛けています。
(記者)最近のウェブ飲みの状況について、できるだけ生々しく教えていただければと思います。
(大臣)生々しくですか。そこはまたそういったことがしっかり話すことができる環境の方がいいんじゃないですか。今はとにかく自分が無症状感染者であるという緊張感を持って取り組みたい、皆さんにもそう見ていただきたい。

(以上)