大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年4月3日(金)9:00 ~ 9:31 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 まずはCOPについてです。予想はしていましたが、延期になりましたね。昨日COP26の議長国イギリス政府、そして気候変動枠組条約事務局より、今年11月にグラスゴーで開催の予定をしていたCOP26を来年に延期すること、そして、その具体的な時期は今後更に協議して決定することが発表されました。このコロナの感染状況を見れば、オリンピックも延期になっているわけですし、世界各国から約3万人とも言われるあれだけの多くの人が集まる場ですから、私も去年を経験していますから、今のイギリスの状況を見ているとさすがに厳しいだろうなということは思っていたので、今回の件についての受け止めとしては、まあ、そうだろうなというふうに思います。現実、我々環境省としても予定していた外交的な様々なスケジュールも影響を受けていますから、あとは、このコロナウイルス感染症の終息に世界各国が協調して乗り切って、そしてその暁にグラスゴーでみんながまた集結をして、気候変動が今コロナウイルスの危機の一方で置き去りになることがないように、この取組、特に今、CO排出が相当各国で減っているというふうに様々な報道や関係機関からの発表があります。スペインは50%ぐらい減っているとか中国は25%減っているとか、EUのロックダウンによって都市の排出が25%減っているぐらいの話もありますが、いずれにしても大切なことは、過去リーマン・ショックのときも減りました。しかし、その後また反動で戻ります。今回のコロナについては、こういった形でCOの排出が減るということが喜ばしい形での脱炭素化ではないと。このコロナをきっかけに、また経済反転攻勢というときには今までの形ではなくて、新たな脱炭素化なども経済構造の中で反転攻勢を期していくきっかけにしなければいけない。そして、恐らくこのコロナが終息した後に開催される予定のCOP26というのは、この気候変動に対するコロナを受けての改めてのそれぞれの国の思い、そしてこの機会を過去の経済危機の後にまた反動で戻ってしまうという、そういった道をたどることのないような、そういった意思を確認するような場になると思うので、我々環境省としても目の前のコロナの対応はしっかりとやりつつも、そのコロナの前から既に危機として進行中でもあるこの気候変動、気候危機に対しての歩みを決して遅らせたり、また遅滞させることのないように目の前のことをしっかりやっていきたいと思います。
 ということで、今日の記者会見は新年度の1回目ということでありますから、まず、新型コロナの影響によって先行き不透明感もありますが、感染拡大防止のために環境省ができることはしっかり取り組みながらも、他の進めるべき施策は着実に進めて、感染終息後も見据えて社会改革を実現していくということで、新年度に改めての取組を一言紹介させてもらいたいと思います。まず、4月1日から環境省はRE100になりました。すべてではありませんが、環境省の八つの施設がRE100になるのが今年度、再生可能エネルギー100%の調達であります。新宿御苑をはじめとして八つの施設、政府の関係施設が再生可能エネルギー100%になるのは初めてのことでありますので、まさにこういったことを一つ一つ積み重ねていきたい。そして、地方自治体の2050年のCO排出実質ゼロ、このゼロカーボンシティの後押しもやっておりますが、既に6000万人を超えている段階で、この新年度で今年中に6500万人という目標を達成していきたい、引き続き後押しをしていきたいと思いますし、最近こういったコロナの状況がありながらも、例えば静岡県の浜松市においてもゼロカーボンシティ宣言があり、なおかつ浜松市においては、浜松市域でRE100という重ねての宣言もあったことは大変心強いことだと思っています。コロナウイルス感染症対策一色の中でも、この気候変動に対する前向きな取組を止めないという自治体の動きを心強く思っています。環境省としてもしっかり後押しをしたいと思います。他の件もいろいろ動きがあります。4月1日、改正フロン排出抑制法が施行されています。冷蔵、空調等のフロン使用機器の廃棄時のフロン回収に係る規制が強化されています。そして同日、改正浄化槽法が施行されています。この同法律に基づいて、合併処理浄化槽への転換を促していきます。さらに、改正自然環境保全法が施行されており、同法に基づいて沖合海底自然環境保全地域の指定など、自然環境の保全を進めていきます。加えて、環境影響評価法施行令の一部を改正する政令が施行され、一定規模以上の太陽電池発電所が環境アセスの対象事業となっています。また、今週NDCを提出したところでありまして、今後は地球温暖化対策推進法に基づく地球温暖化対策計画の改定に向けた検討を進めていきます。なお、このNDCの提出の後に、気候変動枠組条約のエスピノザ事務局長からも反応があったのは、ツイッター等でも承知の通りかもしれませんが、日本の提出に感謝をすると。それだけではなくて、こちらが伝えたかった正確な意図が伝わっている形で、今回一部報道等を見ますと、「目標を変えず」という報道がだいぶありますが、そもそもそういった中で、それも目標が変わらない中でどういうふうな提出をするかということを考えていた立場からすれば、一番世の中に訴えたいことというのは、今回目標は変えずということではなくて、再び提出をするときに、いかにその数値を上げていけるかという、その意図をもって追求をするということを伝えたかったわけであります。その意図は確実にエスピノザ事務局長には伝わっていると、そういうことがツイッターを見ればよく分かると思います。引き続きこのように国際社会についてもしっかり正確に発信をして、国内についてもそういったことがしっかりと伝わるように、今後、国会等でも話題になると思いますから、正確に伝えていきたいというふうに思います。そして、6月1日には改正動物愛護管理法の一部が施行され、動物虐待に対する罰則の引き上げなどが行われます。レジ袋有料化については7月1日施行予定でありますが、この4月からのスタートも含めて、既に多くの小売店においてレジ袋有料化を先行して実施していただいております。なかなかこういったコロナの状況の中で、予定していたキャンペーン、打ち出し等は、タイミング等、いろいろ考えなければいけないことはありますが、このスケジュール、7月1日施行予定ということは変えずに、しっかりと世の中が変化していくように取り組んでいきたいと思います。また、中間貯蔵施設への除去土壌などの輸送に関しては、昨年度の中間貯蔵施設事業の方針においては、年間で400万立方メートル程度を中間貯蔵施設へ輸送することとしていましたが、輸送実績は昨年度末で約406万立方メートルとなりました。今年度は昨年度と同程度の量を輸送することとしています。このように中間貯蔵施設への輸送を進められているのは、大熊町、双葉町の皆さんが苦渋の思いで中間貯蔵施設を受け入れてくださって、大切な土地を提供してくださったからこそであって、心より感謝を申し上げ、またそのことを決して忘れずに、これからも安全第一を旨として、地元の皆さんの信頼を大切にしながら事業を進めていきたいと思います。このように新年度、環境行政はいろんな動きがありますが、目の前のコロナの危機、しっかりと環境省ができることはやりつつも、環境行政を遅滞なく、スピード感を持って進めていきたいと思います。
 次に、昨年11月に島根地域で実施した原子力総合防災訓練について3月30日に映像記録を公表したので、ここで報告をしたいと思います。こういったDVDが作成をされまして、原子力総合防災訓練の映像記録をつくりました。訓練の実施状況に加え、屋内退避の重要性、そして平時からの住民理解の促進の大切さについて、私からも住民の皆さんなどへメッセージを発信しています。日本語版の他、英語版も作成をしています。平時からの原子力防災に関する教育研修、訓練の企画などに幅広く活用いただけるものとなっています。こちらのQRコードから内閣府のホームページにアクセスをいただきたいと思います。私からは、25日に島根県、鳥取県の両知事にこの映像記録の公表の見込みをお伝えしました。そして、住民の方々への広報、そして防災意識の啓発などにもぜひ活用してもらいたいというふうに私から直接お電話をさせていただいて、お二人とはお話をすることができました。引き続き平時からの住民広報も含めて、関係自治体と一体となって原子力防災の充実強化に取り組んでいきたいと思います。
 最後になりますが、ESGについても一言触れたいと思います。環境省では地域金融機関などを対象に、日本初のESG地域金融に関する取組状況についてのアンケート調査を行って、その結果を本日取りまとめました。アンケートでは、ESG地域金融について将来的な成長領域であると感じているが、取組方法が分からないという声が多かったということです。また、そのアンケート結果も踏まえて、今まさにESG地域金融に取り組もうとされている金融機関向けの手引きとして、ESG地域金融実践ガイドを作成しました。昨年度の環境省事業において、九つの地域金融機関と共に取り組んだ事例を基に、ESG地域金融の取組に当たってのポイントなどを解説しています。ESG地域金融は、地域資源を生かして地域課題を解決する中で、新たなビジネスチャンスの発掘や地域経済の持続可能な発展につながるものです。ぜひこのガイドを一つの道しるべとして、本業として真っ正面からESG地域金融の実践に取り組んでもらいたいと思います。環境省としてもこのESG、それが地域においても取組が当たり前に行われていくように、今後とも汗をかいて後押しをしてまいります。冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)日経新聞の安倍です。冒頭でもお話しされましたけれども、COP26が延期されたことによる影響についてお聞きしたいと思います。今回のCOPは、去年積み残しになった排出量取引のルールの合意であるとか、新たなNDCを基に議論をするといったような非常に重要な会合だと思います。これが先延ばしになって、さらに時期も不透明だということで、日本を含む世界の脱炭素の機運の高まりがそがれることにならないのかどうか、そうした懸念について大臣はどうお考えになっているかということについて教えてください。
(大臣)まず、今回COP26の延期と同時に、6月に予定されていた補助機関会合の10月への延期も決定されたところです。全体として交渉スケジュールは後ろ倒しにはなりますが、物理的な会議の開催が困難な中でも、ビデオ会議など交渉官レベルでの対話は継続されていると、そういった御報告は受けています。そして、市場メカニズムに関するパリ協定第6条、これの実施ルールをはじめ、交渉の課題は変わらず残っています。10月の補助機関会合、そして来年のCOP26に向けて、可能な限りの準備を粛々と進めていきたいと思います。来年になるということですから、予定されていた11月のCOP26のグラスゴーとは位置付け、そして意味合いはだいぶ変わると私は見ています。特に重要なポイントは、アメリカの大統領選挙の結果を受けて、来年1月に大統領選挙の結果を受けた大統領が就任をされますが、トランプ大統領になろうともそうじゃなかろうとも、結果それを受けた形でのCOP26になるでしょう。ですから、大統領選挙が11月3日で、そして、その翌日にアメリカはパリ協定から抜けることが実質可能となるわけですから、それがどうなるか、そういったこともこの気候変動の動きには大きな影響を与えると思いますし、もう一つ言えば、来年まで延期をされて時間ができるということは、それだけ日本にとっても、この前提出をした1回目のNDC、そしてこの前のNDCの1回目にはCOP26までにということで記述をしているわけですから、来年になるということは、来年までその時間もあるわけです。その中でいかに積み上げ努力ができるか、そういったことも日本には問われます。そして、コロナが終息をした後の開催になるはずですから、そのコロナが終息をするに当たって各国、経済対策を考えると思いますが、その経済対策の中に、いかに脱炭素型の社会構造や経済構造にアクセルを踏んでいけるか、そういった中で各国も恐らく自分たちの新たな、コロナ後の経済社会の在り方に対するメッセージを持ってくるはずです。もともと11月開催であれば、NDCの中の野心の引き上げ合戦という色合いが強く予想されたグラスゴーでの11月の開催は、延期をされたことによって、NDCとかだけにとどまらず、一体コロナの終息後にどのような経済社会の在り方を目指しているのかという各国の、そういった大きな思いも含めて披露される、また、共有される、注目をされる場になるのではないかと思っていますので、改めて今月にも予定されている未来投資会議の新しい環境エネルギーの議論の場、そしてまた、環境省、各省とも議論をしていく石炭の4要件の見直し、またその後予定されているエネルギー基本計画を含め、こういった議論が更に重要になると私は思っています。

(記者)フリーの横田です。昨日発表されたマスク配布についてどう思われるのかと、より重要な緊急課題として感染経路追跡と徹底した検査増加があると思うのですが、例えば志村けんさんが立ち寄った麻布十番のガールズバーとか、そういう集団感染の疑いがある店を公表して、来た人に検査を呼び掛けるというような夜の町を通した感染拡大防止がより緊急課題だと思うのですが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。総理大臣に直接意見を言える大臣としてのお考えをお伺いしたいのですが。
(大臣)話題になっていますから、できることは何でもやるという、そういう思いの一つだろうと私は理解をします。そして、今、国民の皆さんが様々な制約、そして行動の変化、また、生活の変化の中で、ストレスもある中で、そして、日本政府にとっても長期戦を覚悟しながらの危機対応というのは今までやったことのないことです。そういった中で、特に、未知のものに対して向き合っている中では政府も分からないことがいっぱいあるわけです。その分からないことがある中で、どのように国民の皆さんとのコミュニケーションをしっかりと構築をする中で、信頼関係をお互いに持ちながらコロナ危機を共に乗り切っていく、そういった信頼関係を構築できるか、非常に重要だと思います。この未知のウイルスとの戦いの中には、うまくいくことも、中にはうまくいかないこともあると思います。うまくいくことはしっかりと評価をしながら、そして、うまくいかないことに対しても、その一つの経験を繰り返さないように次につなげていくということが大事だと思いますので、とにかく全力を尽くして一日も早く、この終息の日を迎えることができるように取り組むということが私は大事だと思っています。
(記者)感染者が立ち寄った店は公表しなくていいんですか。
(大臣)感染者が立ち寄ったお店の公表等も含めて、今コロナの対策の大臣、西村大臣、そして感染の関係、我々環境省としては、感染性の廃棄物の対応は我々がしっかりやります。そして、それ以外の部分については主には厚労省がしっかり対応すると思いますので、横田さん厚労省の方にもお尋ねいただければと思います。
(記者)大臣御自身のお考えをお聞きしたいのですが。
(大臣)環境省としての役割をしっかりやるとともに、今、環境省の中で国民の皆さんが求めている、必要としている、そういったことも含めて何ができるかというのを環境省の今までの過去の取組、そういったことだけにとらわれない形でも今、経済対策や今後の補正、そういったことにも知恵を出そうと議論をしていますので、ぜひ今後もそういったことを見ていただきたいと思っています。

(記者)産経新聞の奥原です。石炭火力輸出について改めてお伺いしたいのですけれども、先日、ファクト検証委員会が立ち上がりまして、検証委員会立ち上げの受け止めを改めてお願いしたいということと、精神論的な話になってしまうのですけれども、COP25、ブンアン2、4要件の見直しなど、これまで執念深く、石炭火力の輸出に関して官邸が消極的な中で小泉さんは動いてこられたと思います。御自身の政治家としてのタイプとして、そういう執念深さ、何としてもやり遂げるというような感じがあるなと思うのですが、御自身ではその辺りをどのように自己分析されているのかなってことをお聞きかせください。
(大臣)まず、ファクト検討会については、第1回目、水曜日に開催しましたが、あの後、私は参議院の決算委員会がありましたので冒頭だけ出て抜けましたから、その後どうなったのかと報告を受けました。私が聞いているのは、複数の委員から情報提供があって、その情報のファクト、そういうところでも非常に有益なものがあったというふうに聞いています。そして、大変感謝をしているのは、この4要件の見直しに関係をする財務省、経産省、そして外務省、それぞれオブザーバーも出席をされて、あの検討会の前には一緒にお昼ごはんも食べながら胸襟を開いて、まさにファクト検討会のファクトという言葉をつけた思いは、立場を超えて共有できるベースをファクトベースでつくろうと、そういったことですから、1回目として非常に前向きな雰囲気の中でスタートを切ることができたと思います。また来週、再来週と精力的に取り組みますので、その後のいい形につながることを期待をしています。私がこういった問題にずっと取り組んでいるということについて執念深いというふうに評されましたけど、やはり、環境省という省だけでできることは限界がある中で、では、どこだったら風穴が空き得るんだろうかという、その実現可能性をどこに見いだすかというのは、政治の世界ではものすごく大切なことだと思います。全体を変えられるのはやはり総理しかいません。その中で環境省、環境大臣という立場で全体の変えていきたい方向性を見据えながらも、今目の前の一歩を変えるにはどこなのか。この見極め、その中で私は石炭政策全体を変える権限はありませんから、だったらどこかという、そういったところでこの輸出の4要件、輸出政策の見直し、こういったことを一歩でも前に進めることができれば国際社会の中での環境先進国日本としてのプレゼンス、そういったことも間違いなく、その小さな一歩が大きな成果につながってくる、そういったことも考えての私なりの思いを受けて、関係省庁、そして環境省、協力をしていただきながらこのように6月の策定に向けた見直しの議論で合意をできた。その一歩を次の一歩につなげていって、来年に延期をされたCOP26で、あのときの見直しの議論がなければこういうCOPでの日本の評価はなかったなと、日本のCOP26やCOPでのこれまでの評価を変えていく結果が生まれるように、私としても今後も取り組んでいきたいと思っております。

(記者)NHKの杉田です。COP26についてなんですけれども、パリ協定が今年から本格的な運用が始まっていると思うのですが、こうした中でのCOP26の延期について、なにか受け止めがあれば教えていただけると。
(大臣)パリ協定スタートの年と言われますけど、6条が残された最後の宿題と言われている中で、それが完結をしなければパリ協定は完成ではないというのが私の理解です。そして、トランプ大統領がパリ協定から離脱をするというふうに正式に通告をして、その正式な離脱が効力を持つのは今年の11月4日です。仮にCOP26が予定通りグラスゴーで11月に開催されていたとしたら、アメリカが正式に離脱をした後、直後のグラスゴーでのCOP26になっていたわけです。それが今回の延期によって、アメリカはまず抜けることは間違いないですから、このコロナの終息の後ということが大きな議論の変化を生むのではないかなと私は思っています。その変化がより脱炭素型の経済社会構造に世界全体を動かしていって、リーマン・ショックの後や今までの経済危機のときに、排出は減るけど、その後の経済の立ち直りとともに排出がまた増えていくという、こういった今までの経路をたどることのない新しい形に、どのように世界全体を持っていけるのかというふうに、結果としてパリ協定や世界全体の脱炭素の動きに力強い後押しとなるような機運をもってCOP26が来年開催されるのではないかなと。そこで日本は、むしろそこまでに国内の議論ができる時間を、各国と後れを取らないように、むしろ危機感を強めてより前に進めていかなければいけないなと、このように思います。

(記者)毎日新聞の鈴木です。冒頭発言のあった、経済対策の関連でお聞きします。政府が近く経済対策について大々的に発表する方向だと思うのですけれども、中身についても過去前例のない規模でという話なんですけれど、今出てきている話としては、特に中小企業などへの財務支援や所得が減った世帯への現金給付などの話も出ています。韓国が経済対策で環境へのメッセージを打ち出すという話もあった中で、今のところ日本では環境分野への話というのはあまり具体的な話は出てきていません。この中で環境大臣としては、どういうメッセージを打ち出したいのか、そういう思いがあれば、具体的にどういう施策をしたいということがあれば教えてください。
(大臣)今回問われている対策は、打つべき施策を打つべきタイミングで打てるかというのが、私は非常に大事なことだと思います。自民党の方からも、また公明党の方からも提言が出ていますが、そちらの提言を見ても主にこれからの対策を打つべきタイミングを三つに分けていますよね。終息前、そして、終息前だけども自粛の緩和がされていくような時期、そして、その後。こういった中で環境省としては、それぞれの時期に何が打てるのかということは、今、部局の中でも議論をしています。特に、私として今この時点で強く問題意識を持っているのは、国立公園、国民公園の関係する観光事業の方々と、この前もビデオ会議で意見交換をしたときに、大打撃を受けているわけです。特に北海道、そして九州など、インバウンドにかなり割合としては強く寄っていた、そういったところについては、中にはもう従業員の解雇につながっているようなところもありました。そして、今後、当面もうインバウンドが今までのように戻るということがなかなか予想し難い中では、今後、いかにインバウンドだけに依存せずに、国民の皆さんにより楽しんで安心して魅力を感じていただけるような国立公園、国民公園の形にしていかなければいけないと。そして同時に、今、経済のV字回復を目指してという終息後の話がありますが、そこまでもつのかという、そういった方々がいることも直接耳にしています。そういった日頃から国立公園を支えていただいていた方々に環境省としてできる限りの雇用の維持、そして、一緒になってこの時期を乗り越えて反転攻勢に打って出るときに、一緒になって手を取って進んでいけるような、そういう環境省としての知恵を出すことができないか、今、関係の部局とやっています。そして、その先の経済対策の中で私としての思いというのは、この様々な行動の変化や社会の在り方が新たに感じられる中で、この危機の中だからこそ次の道に対してのチャンスは何なのか、今、テレワークとかも含めてリモートワーク、そういったことも進んでいますから、この危機の中のチャンスをしっかりと見いだして、新しい経済社会を脱炭素型の方に向けていくような環境省としての対策を打ち込みたいと、そのための議論を省内でもしっかりと準備をしたいと思います。

(以上)