大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年2月14日(金)9:01 ~ 9:31 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日は、冒頭3点あります。まずは、ドギーバッグコンテストの実施について触れたいと思います。食品ロスの削減に関する施策について、昨年10月から加藤政務官を中心に検討してきておりました。今回、具体的な施策の第1弾として、NEWドギーバッグアイデアコンテスト、これを関係省庁などと連携をして開催することになりました。このコンテストは、家庭や食品製造、小売店舗など、食品ロスが様々な分野から発生する中、外食での食べ残しを減らすということに着目をして、特に、国内にあまり習慣として定着をしていないドギーバッグの普及を目指すために実施をするものです。私もかねがね、自分のアメリカ生活の経験などにも基づいて、何でアメリカにはあれだけ持ち帰りドギーバッグが根づくのに、日本で根づかないのはもったいないなと、そういう思いを言ってきましたが、今回、加藤政務官には精力的に検討を重ねていただきましたので、この件に関しては、まず加藤政務官から御説明をいただきたいと思います。

(加藤鮎子大臣政務官)食品ロス削減のためのドギーバッグに関する取組について御報告します。食品ロス削減のため、新たな取組として、環境省は関係省庁等と連携をいたしまして、NEWドギーバッグアイデアコンテストを開催することといたしました。募集の要点は主に二つあります。一つ目は、ネーミング、料理を持ち帰ることを示す新たなネーミングを募集いたします。二つ目は、ドギーバッグのデザイン、素材や形状を含めて、より使いやすい、デザイン性の高いドギーバッグを御提案いただきます。本コンテストの結果は、夏前ごろには取りまとめまして、そして発表することを予定しており、この成果を活用してオリンピック・パラリンピックに向けて情報発信を行い、持ち帰りの取組を促進してまいりたいと思います。また、これに加えまして、特に持ち帰りに当たりましては、利用者と飲食店のコミュニケーションの方が課題となっております。消費者にとっては、持ち帰りたくても声が掛けづらいですとか、また飲食店側にとっては、持ち帰る側の方が自己責任で持ち帰ることをどのように確認するかといったことが課題と思っております。こういった課題を解決していくために、利用者や飲食店関係者の方々が集まるワークショップ等のようなものを開催をいたしまして、双方向でこの課題の解決の方向性を模索していくという取組を行っていく方向でございます。

(小泉大臣)ありがとうございます。今回、福島県で既に作製されているこのドギーバッグをお持ちしました。まず、こちらが福島県で既にやられているテイクアウトボックスという名前で呼ばれているものですが、デザイン的にも私は素晴らしいなというふうに思っています。今、こちら側を見せましたけど、SDGsの17のゴールが書いてあって、福島県では、こういったことで普及啓発を図っていると聞いています。今回、環境省では、この福島県と、それと東京ガールズコレクションと連携をしまして、ドギーバッグの普及の取組を行います。具体的には、2月29日に開催される第30回マイナビ東京ガールズコレクション2020SPRING/SUMMERにおいて、この福島県のテイクアウトボックスに特別に、3歳から絵を描き始め、世界でも活躍しているアーティストである輪島貫太君のデザインを施した、オリジナルドギーバッグを使用する予定です。それがこちらです。貫太君の絵がかなりすごい詳細にありますけど、今までの福島県のがこちらで、貫太君のがこちらということになっていますが、デザイン的にも持ち帰りたくなるようなデザインだと私は思います。こうしたイベント、そしてコンテストの開催を通じて、環境省としても持ち帰りの推進を図っていきたいと思います。こうした持ち帰りや食品の寄付に関する責任の在り方についても、食品ロス削減の課題となっておりまして、関係省庁と連携をしていきたい、検討を行っていきたいと考えています。食品ロス削減推進法というのが成立をしていますが、その中でも19条の3項で、責任の在り方の調査検討を行うという旨が規定をされています。アメリカには、こういった食品の寄付とか持ち帰りのときに、何かあった場合の免責というのが、法律で「善きサマリア人の法」というふうに言いますが、そういう法律があります。こういったことも含めて、更に検討を深めたいと考えています。ドギーバッグに関しては以上です。なお、来週はまた推進会議になっていますね。
 2点目は、ゼロカーボンシティについて、また新たな前向きな動きがありました。2月11日に京都府の西脇知事、そして翌12日には愛媛県の中村知事が、二酸化炭素の排出を2050年までに実質ゼロにするとの方針を表明されました。この2県の表明によりまして、今までの累計で15都府県、22市、1特別区、この1特別区の1というのは東京都の葛飾区であります、17町、5村、合わせて60自治体が表明を行い、人口ベースでは、ついに5000万人を突破しました。正確には5221万人となりました。ゼロカーボンシティがこれほど急速に広がっているのは、気候変動に対する自治体の危機感の高まりが大きな要因であると考えていますし、それに加えて、私自身が多くの首長さんに直接働き掛けをしてきたことも功を奏したと思いますし、環境省の職員の皆さんがそれぞれにまた努力を重ねてくれた結果だと思います。COP25をはじめとする様々な機会を捉えて情報発信を行ってきたことが、奏功していると考えています。環境省としては、自律分散型エネルギーシステムによる脱炭素で災害に強い地域づくりを推進してきていますから、そういった関連事業というのが、今回、この前成立をした補正予算、そして今、本予算の審議がありますが、その中でも事業を計上していますので、ゼロカーボンシティや、これからゼロカーボン宣言をしようと考えている自治体を、こういった事業の活用も踏まえてしっかりと支えていきたい、支援をしていきたいと考えています。さらに、このような流れが不可逆的なものになるように、かねがね言っているように、人口規模6500万人という目標を本年中に達成を目指して、引き続き後押しをしていきたいと考えています。なお、人口規模6500万人というのは、今年、COP26を開催する予定のイギリスとほぼ同規模であるということです。また、昨日は、PRIのフィオナ・レイノルズさんと面会をしましたが、このCOP26に向けて何が日本の発信にとって効果的かというふうに私もアドバイスをいただいた中で、明確に一つ言われたのは、このゼロカーボンシティの動き、こういったことは非常に明るいことであると。そういったことも改めて私は意を強くしました。引き続き後押しをしていきたいと考えています。
 最後になりますが、先日の閣議後の会見の際に、環境省が再生利用実証事業を進めている飯舘村長泥地区の住民の皆さんが手掛けて、育てていただい花を、今まで使われずにいたものを環境省で使わせていただきたいということで発信をしました。その際に、他省庁でも使っていただけるように私から働き掛けたいという話をしましたが、早速、今日、法務省、そして復興庁については、森法務大臣、そして田中復興大臣の閣議後の会見の場において、長泥の花を飾っていただくということになりました。そして、経済産業省、また農林水産省については、閣議後会見の場以外の別の形で長泥の花を活用していただくということも決まりました。例えば、農水省においては、今日、一般の方も見学が可能な「消費者の部屋」というのが農水省にありますが、そこに特別展示とともに飾っていただくということになったと伺っています。引き続き、関係省庁と連携をしながら、政府一体となって被災地の復興に全力で取り組んで、現場の飯館・長泥の皆さんにもこのような活用が環境省だけじゃなくて、広がりを見せていることをしっかりとお伝えをしていきたいと思います。冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)テレビ朝日の中村です。冒頭御紹介のあったドギーバッグの件でお伺いします。このアイデアコンテストを含めて様々な施策を今後展開していくということなんですが、今後国民に根付かせていくためには一番のポイントになっていくのはどういった点だとお考えでしょうか。
(大臣)私は、そもそも日本になじむことだろうなと、もったいないという精神が根付いている国でもありますし、やはり例えばいろんなところで御飯を食べて結構多く残しちゃうと何だか罪悪感が自然と湧く、そういった方は多いんじゃないんでしょうか。ただ一方で、それを持ち帰ることもはばかられるという、そういった気持ちもあると思いますが、そこをまさに突破して、SDGsとか、また様々日本の根本的な課題の一つでもある、これだけ食料を輸入してこれだけ捨てているという、こういったことも踏まえて、新しい社会をつくっていこうと、まさに環境省は社会変革担当省であるべきだという中の大切な事業の一つだと捉えています。これは、今回ドギーバッグということに特に環境省は力を入れています。農水省は例えば消費期限とか賞味期限、よくコンビニとか、ああいった業界では3分の1ルールの見直し、こういったことも農水省なども力を入れて取り組んでいますが、環境省としては今回この持ち帰り、ドギーバッグの普及、そしてそれに伴う課題をしっかりと、何が課題となって進まないのか、こういったことを深掘りしていくのも大事だろうと思っています。特に私は思いを持って、やはりこういうことなのかなという一つには、先ほど触れました通り、アメリカでは責任を免責するという、善きサマリア人の法みたいなことが整備をされているという部分も、やはり住みやすい環境としてはあるのではないかなと。日本も食ロス法ができて、その中でもそういったことの検討等が必要だということが書いてありますし、外国の例も含めて、こういったこともこれから更に検討、議論を深めていかなければいけないなと感じているところでもあります。

(記者)産経新聞の奥原です。先週の質問にも出ましたけれども、改めて公明党さん側の、石炭火力の問題で、見直しについて意欲をにおわせる小泉さんに対して、今国会で背中を猛プッシュしていることについての受け止めをお願いできればなと思っております。異例ながら、創価学会の池田名誉会長も機関紙で国連気候変動×防災会議の日本での開催などを提唱されました。斉藤幹事長は石炭火力の新増設禁止という形で、政府の見解よりも踏み込んだ形で発言をされております。こうした学会、公明党が環境大臣、環境省が目指す方向性に対して軌を一にして進んでいることに関しての受け止めをお願いします。
(大臣)今奥原さんが言われた、創価学会名誉会長の池田大作氏が、今年の1月26日に掲載された記念提言の中で、気候変動と防災をテーマにして2022年に国連の防災グローバル・プラットフォーム会合を日本で開催することを提唱されたということは私も承知をしています。これは提言にも言及されているように、気候変動に伴って今後更に気象災害のリスクが高まると予測されていまして、気候変動というファクターを防災に取り入れることがもはや必然だというのは、私も気候変動×防災ということで就任以来力を入れて言ってきていることでもあります。今年の3月、来月に気候変動と防災の国際イベントを国連の防災機関と内閣府と連携して開催する予定であります。こういったことが結果として、方向性として背中を後押ししていただいているような、そういったことは私も心強く感じますし、ゼロカーボンシティの宣言も政府の目標を超えた宣言をしています。そして、公明党さんからも石炭の新しい建設をやめるべきだとか、そして2050年のゼロカーボン宣言とか、そういった野心的な目標を掲げようということが出てきていることが、私は結果として総理答弁の変化にもつながっているのではないかなと思っています。2050年目標というのは、今までは2050年以降できる限り早い時期に脱炭素社会を実現するという閣議決定の表現だったものが、私は2051年を含むんだと繰り返し言ってきて、そして今年になって総理の答弁の中に、なんと2050年を視野にという、そういった表現が入ってきたこと、これはやはり世の中の気候変動の高まり、こういったことを受けて総理の中でも感じることがあるのではないかなと。私も昨日、PRIのフィオナ・レイノルズさんに、まさにフィオナさんもCOP25の関係もPRIはすごく力を入れているので、この前のイギリスのラーブ外務大臣のときも、イギリスのラーブ外務大臣からは、今度のCOP26は2050年のネット・ゼロ、これをやっぱり高めたい、そういったことも言われますし、昨日のPRIのレイノルズさんからも同じような話がある中で、私からは日本の中の今の変化として、私の答弁ぶりと、そして総理の答弁ぶりを紹介させていただいたところ、大変前向きな変化だねということを受け取っていただいたことも、やはり国際的な発信として非常に大きいと思いました。そして、明確にこのCOP26に向けて何が日本の発信として効果的に効くかという中で、間違いなくそういった野心的な目標など、そして気候変動×防災などの日本の強みが発揮できる部分での発信というのは間違いなく武器になると思いますので、今回、今奥原さんが言われたような提言と偶然にも軌を一にして、来月、国連と武田防災大臣の方と環境省と開催をするということになったことは、ますますこの日本の中での気候変動×防災、こういった取組が加速される一助になるのではないかなと捉えています。

(記者)フリーの記者の横田一です。新型コロナウイルスに関して、国立公園所管の環境大臣として万全の策を講じるということなんですが、昨日の政府の緊急対応の中に、日韓関係改善による韓国人観光客V字回復、中国人の減少分を穴埋めするというのが盛り込まれなかったのはなぜでしょうか。インバウンドのトップ2は中国と韓国で、中国が減ったのであれば、去年の夏から激減した韓国人観光客を増やすというのは当然思い付くと思うのですが、それが盛り込まれなかった理由は何なのでしょうか。
(大臣)まず、観光という部分については、その所管の省庁にもお尋ねをいただきたいというふうに思います。国立公園と国民公園の御指摘がありましたので、それについてお答えをさせていただくと、国立公園、国民公園などの環境省の直轄施設においては、利用者の感染予防のために消毒液を施設の出入り口等へ設置して使用を推奨する他、新型コロナウイルス関連肺炎について、手洗いや咳エチケット等の対策や医療機関での受診を呼び掛けるチラシを日英中3カ国語で作成をして、掲示しているところであります。このチラシでは、厚生労働省が開設している情報提供のためのLINEのアカウントや外国語で対応できる医療機関を探せるサイト、観光庁や中国政府が開設している外国人旅行者向けのコールセンターなどを紹介しています。また、職員などに対して施設利用者から症状などの訴えがあった場合の対応方法を周知しています。1月31日には、国立公園施設の管理運営等に係る団体に対し、チラシの掲出や消毒液の設置の協力をお願いしたところです。
 さらに、国立公園公式SNS、これはインスタグラム4.3万人、フェイスブックは11.3万人において、JNTOの公式ツイッターのリンクを常に表示し、新型コロナウイルスに関する最新情報や基礎的な対策などを定期的に発信しているところであります。
(記者)日韓関係改善についてはどうお考えでしょうか。V字回復しないと地方経済は大変な打撃を受ける。地域創生にも取り組まれた経歴を踏まえて一言お願いしたいのですが。
(大臣)外国人観光客の皆さんを含めて、国を問わずより多くの方々に来ていただかないと1000万人目標を達成できませんし、政府全体の4000万人の目標も同じです。ですので、環境省としては全ての世界の方々にこの国立公園、国民公園の魅力を感じていただきたいなと思っています。

(記者)時事通信の木田です。国会運営に関してお伺いします。安倍総理が野党議員に意味のない質問だとやじを飛ばすなど、閣僚席からのやじが批判を浴びることが続いています。大臣御自身は政府側によるやじの在り方についてどのように見られていてどのようにお考えになられているでしょうか。
(大臣)私自身は、閣僚席からはやじを飛ばさないようにしています。

(記者)日刊スポーツの中山です。東京五輪の聖火リレーの件なんですが、昨日、双葉町が福島県のルートに組み込まれることが正式に決まりました。その受け止めと、今回のことを今後の復興に関してどうリンクさせていきたいとお考えでしょうか。
(大臣)双葉町で聖火リレーが行われるということは、私もうれしく思っています。と同時に、やはり新型肺炎、このコロナウイルスに伴ってオリンピック・パラリンピックに対する影響、こういったことを心配する声が出てきていることも事実だと思うので、何よりもこのオリンピック・パラリンピックが復興五輪ということで招致も含めて開催決定もあった。そういったオリンピック・パラリンピックが、本当に世界中から多くの皆さんに安心して来ていただいて、そして復興の進捗、被災地の皆さんの努力、そして日本の魅力、これを心から楽しんで満喫していただけるように環境整備をしなければいけないし、環境省としてもできることを全力を尽くしてやっていきたいと考えています。

(記者)NHKの杉田です。自治体の2050年ネット・ゼロの関連でお尋ねしたいのですけれども、自治体の数がどんどん増えていると思うのですけれども、具体的にどうやって達成していくのかという計画が立てられていない自治体もあると思います。先日、大臣がヨーロッパの国々、ネット・ゼロ2050年を宣言している国々を念頭にどうやって達成するのかという疑問を投げ掛けられていたと思うのですけれども、今、同じ状態が自治体に対しても言えてしまうのではないかと思っています。その点に関して、環境省として宣言を促すだけではなくて、何か具体的に支援だったり、サポートをしているのかということを、今の時点で。そういうことをお伺いしたいと思います。
(大臣)まず、宣言だけかということに対しては、それは全く違うということをお伝えしたいと思います。これは、資料は皆さんにお配りしているの、それぞれの自治体の今の基本計画見直しとか。
(事務方)それは後ほどお配りします。
(大臣)ぜひこれは後で配布をしたいと思いますが、それぞれ宣言だけではなくて、基本計画の見直しとか、そういったことにつなげています。そして、これは国際社会も2050年の宣言ができるかできないかとよく言われますが、結果、宣言したところの評価というのは間違いなく国際社会で高いでしょうね。生真面目にできるかできないか分からないから言わないよりも、そっちの方向性に行くぞという意思表示を明確にする方が間違いなく評価を受けているはずです。その上で、やはりこれは日本も突破しなきゃいけない発想の壁というのがあると思いますが、その方向に向いて全力を尽くしてまずはやってみる、こういう部分というのは国際社会にはある。イギリスだって2035年に目標を前倒しして、ハイブリッドも含めてやめると。こういったことは本当にできるのかと言うけども、本当にできるかどうかというのはやってみなきゃ分からないという、そういった部分だってありますよね。ですので、日本というのは何か宣言をしないとしないで、「宣言しないんですか」となり、宣言をすればしたで、「できるんですか」というふうになりがちだと思うんですけど、もっと宣言自体をいかに実現するか、みんなで後押ししようという機運が私は生まれてしかるべきなのではないかなというふうに思います。実際に宣言だけで終わっているものでもありませんし、環境省としてもさっき私が紹介をした事業、これを活用して、既に奈良県の生駒市とか、小田原市とか、取り組まれているところもあります。今日私が紹介をした愛媛県などでも今月に策定をする第三次えひめ環境基本計画、そして愛媛県地球温暖化対策実行計画において2050年にゼロカーボン、この実現を目指すことを明記する予定であると。この明記をした暁には、さあそれをどうやって実現しようかと頑張るのが日本ですから、横浜と東北が再生可能エネルギーの広域連携をしているように、間違いなくこのゼロカーボン宣言の高まりと自治体の数の増加が日本の中での再生可能エネルギーの需要の創造につながってきて、我々がずっと言っている再生可能エネルギーの主力電源化に向けて間違いないアプローチになっていると、私はそういうふうに思っています。

(記者)朝日新聞の松尾です。今の関連なんですけれども、先般の国会での総理の御答弁とかを含めて、例えば人工光合成とかイノベーションという面であったりとか、そういったところが強調されるんですが、イノベーションというのは時間がかかると思うんですよ。一つの製品を作るにしても2桁の年がかかったりする。一方で、国際社会で言っていること、グレタさんたちが言っていることは、程度はいろいろありますけれども、ここ数年以内とか今すぐとか、そういう要求だと思うんですね。政策においてもちろん緩和もイノベーションもいろんなものが必要だと思うんですけれども、時間軸については大臣御自身はどうお考えなのか、そして環境省としてその考えに基づいてまずは何を打ち出すべきか、どうお考えか教えていただけますでしょうか。
(大臣)時間軸の問題意識は私も常に感じています。COP25で私がまず石炭の話、これを正面から受け止めて、その上で日本の強みとなるようなことを語ったのも、やはり時間軸の違いを意識した発信をしないと国際社会に刺さらないという思いです。イノベーションというのも、今、イノベーションと言っていれば解決する問題ではなくて、逆に国際社会でまたイノベーションという言葉に逃げているというふうに思われるような発信をしては逆効果なので、今2030年までが行動の10年だというふうに言われている中で、じゃあ日本が言っているイノベーションは2030までに実現するのか、市場実装されるのかというと、残念ながらそこには全然間に合わないようなところもあるわけですよね。だけど、もちろんそれを否定するわけではありません。いつ実現できるかはともかくとして、実現できれば本当に社会が根本から変わるような技術というのはやっぱりあるわけで、それについては、今、環境省も取組を後押ししている窒化ガリウムだとか例えばカーボンリサイクル、そういったことを様々やるべきだとは思います。ただ、どういう時間軸で語らなければいけないのかというのは、もっと本当に考えないと、言っていて何となく国内ではもっともと聞こえても、国際社会では相手にされない。本当にはっきり言っちゃうと、石炭の問題で何かしら前向きなアクションを踏めなければ、何を言ったって聞かれない、それぐらいの状況だと思いますよ。COPの最前線に立っている場としてはその思いがあるから、いろんな御意見があるかもしれませんけど、とにかく少しでも前向きな動きを示さなきゃならない。それ抜きには語れない。COP26だって、今求められていることは明らかですからね。そういった中で私は、環境先進国日本の復権を実現したい、そういう思いでやっていますので、時間軸の問題意識は、私は共有する問題意識だと思います。
(記者)石炭の前向きというのは、具体的に言うと、例えば石炭の前向きというのは何がありますか。
(大臣)前向きというのか、より国際社会から理解を得られる方向へのアクションというふうに言った方がいいかもしれませんが、今4要件、これについても問題意識を持ちながら提起をして、これだけ予算委員会で石炭火力の問題と、恐らく4要件という言葉が予算委員会で取り上げられたのは史上初だと思いますよ。そして、4要件というのを初めて知った人も多かったと思います。実際それを見ると、こういうことになっているのと。この問題意識から、今、政府内の様々な議論が行われているところでありますので、これ以上は差し控えますが、その分野において前向きなアクションを踏まなければ、COP26に行っても評価されることはないと私は思います。

(以上)