大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和元年12月27日(金)09:39 ~ 10:17 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 まず、今年9月から、大変記者クラブの皆さんにもお世話になりました。そして改めて、環境省の職員の皆さんには、9月からありがとうございました。まずは1年間、皆さんもお疲れさまでした。最後の、年末の記者会見になりますけども、まずは報告をしたいと思います。
 私がずっと取り組んできている2050年ゼロカーボンを表明する自治体の件でありますが、これが更に増加をしまして、12月20日時点の29自治体から31自治体となりました。12月25日に鹿児島県鹿児島市の森市長、そして、群馬県の山本知事が、二酸化炭素の排出を2050年までに実質ゼロにすると、方針を表明されました。山本群馬県知事とは、25日に直接意見交換を行いまして、その場で、山本知事からは、全国で初めてとなる五つのゼロの宣言がありました。この五つのゼロというのは、自然災害による死者ゼロ、温室効果ガス実質排出ゼロ、災害時の停電ゼロ、プラスチックごみゼロ、食品ロスゼロ、この五つのゼロを宣言されました。ゼロカーボンシティだけではなくて、新たなゼロを目標として、しかもそれが多くのところが環境省とも密に関わる部分で、意欲的な方針を表明されたことは、大変心強く思っています。これによりまして、累計の人口ベースで、群馬県が人口が197万人、鹿児島市が60万人でありますので、4700万人を超えて、日本の総人口の37%を超える地域でゼロカーボンを目指すということになりました。こういった取組が更に広がるように、今後も後押しを続けていきたいと考えています。
 今日で大体3カ月が経過をしましたので、年末となりますので、少し年末までにやってきたことを振り返りたいと思います。大臣就任当初から、私は、環境省というのは、環境行政だけを取り組むのではなくて、社会変革をやる省だと、社会変革担当省だというふうに言いました。これは、持続可能な社会に向けて、より転換・移行をリードしていく、そういう省庁であるべきだということを言いましたが、まさにそれに沿った、幅広い分野での対応に取り組んでまいりました。まず、気候変動の分野で、炭素中立性連合に参加をしたほか、今申し上げたゼロカーボンシティ、これも大臣就任時には4自治体だったものが、今日の時点で31自治体、人口規模においても倍以上になるなど、着実に増加をしています。こういった取組を積極的に発信を国内外にしてまいりましたが、日本初のリーダーシップ、イニシアチブとして、フルオロカーボン・イニシアチブの立ち上げもCOPで宣言をしたところでありますし、このCOPでは、パリ協定の6条の市場メカニズムについて、各国の閣僚などとの計36回にもわたるバイ会談などを通じて、日本の存在感を高めることができたと考えています。そして、このことが、来年のグラスゴーで開催される予定のCOP26、これに間違いなくつながる形になると思います。海洋プラスチックごみにつきましても、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの実現に向けて、10月に東京で開催されたフォローアップ会合では、来年のG20の議長国でもあるサウジアラビアからコミットメントを引き出すことができ、11月に北九州で開催された日中韓3カ国会合でも、中国からも継続的に前向きなコミットメントを引き出すことができました。そして、COP25では、G20以外の9カ国を含む閣僚や幹部に直接呼び掛けを行い、ビジョンを共有することができました。また、国内でも、ライフスタイルを変えるという第1弾として、レジ袋の有料化を来年7月から実施する予定でありますが、政府がまず率先垂範するという観点から、この5号館におけるレジ袋の配布を取りやめたことに加えまして、これに呼応して防衛省、内閣府、国交省、この庁舎内でのレジ袋の配布を取りやめていただくことになりました。呼応していただいた省庁の皆さんにも、調整、御尽力に感謝したいと思います。更に、災害対応につきましても、12月23日、この前御報告をした通り、台風19号で発生した災害廃棄物については、生活圏内にある身近な仮置場の年内撤去、それをほぼ完了する見込みとなりました。今年はまさに災害に見舞われる1年でもありましたので、社会全体が気候変動による影響の拡大に備える必要性を強く認識した年ではなかったかと思います。環境省としても、私自身、千葉、福島、長野に伺いましたが、気候変動というファクターを防災に取り入れることが、もはや必然となった時代だと思います。気候変動×防災という視点から、気候変動の緩和と適応の両面作戦を展開する必要があると改めて実感をしています。その一環として、11月の気候変動適応推進会議、これで初めて防衛省が参加をしていただくと、そういったことも大変大きな一歩でもあると考えております。最後になりますけれども、東日本大震災からの復興に向けた取組は、環境省にとっても、私自身にとっても大変思い入れの強い分野でもあります。就任直後に福島県に伺いまして、内堀知事から伺いました苦渋と信頼という言葉を胸に刻んで、復興への歩みを着実に進めてまいります。11月の時点で中間貯蔵施設への除去土壌等の輸送量が輸送対象物量の3分の1を超えて、仮置場の約半数が解消されたところでありますが、これからも安全第一を旨に取り組んでいきます。そして、2040年ごろをめどに県内の需要量以上のエネルギーを再生可能エネルギーで生み出す福島県を目指すという県の目標を後押しするため、先日の12月17日の麻生大臣との予算折衝を経て、必要な予算を確保しました。今後もしっかりと役割を果たしていきたいと思います。その他、ヒアリの対策、そして、来年は生物多様性条約のCOP15が中国で開催される予定で、今後10年の方針を決める要の年でもあります。また、10月には、環境省の原点である水俣の地を訪問して、環境大臣として初めて水俣病の語り部の皆さん、産業界の方々と懇談をしたほか、慰霊式で地元の小学生が祈りの言葉を述べる姿を見て、大変印象的に感銘を受けました。今後もこの環境行政の原点、これを忘れることなく、職務に取り組んでまいりたいと思います。また、原子力防災担当大臣としても、島根原子力発電所の周辺地域を視察し、11月には原子力総合防災訓練に参加しました。鳥取県の原子力防災アプリは大変分かりやすいので、こういった取組も更に広げていきたいと思います。
 改めて最後になりますけれども、年末の振り返りに加えまして、今後の抱負というか、来年のことも一言触れたいと思います。まず、脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの主力電源化、これは必要不可欠だと思います。COPで私は、石炭についても触れましたけれども、石炭も含めて、今後のエネルギー政策の中で、再生可能エネルギーの主力電源化をするということは政府の統一見解でもありますし、これをしっかりと実現していくことが不可欠だということで、環境省は、このたび、一需要家として2030年までに、環境省の施設で使用する電力を再生可能エネルギー100%で賄うことを目指します。来年度以降の具体的な行動計画をまとめました。それは皆さんのお手元にお配りをしていると思いますが、来年度はまず新宿御苑の電力を100%、再生可能エネルギーで調達をするなど、三つの取組を進めます。詳細は、配布資料を御覧いただきたいと思います。環境省の取組で培った知見は、先日、電力調達の見直しを公表した防衛省をはじめとして、各省に共有し、積極的な再エネ調達を促していきたいと思います。この環境省自身の、いわばRE100、環境省のRE100、この取組は更なる再生可能エネルギーの普及拡大に向けたアクションのスタートであります。今後、省内外の英知を結集して、再エネ普及の妨げとなっている壁を打ち破り、各主体による導入の動きを加速化させていきます。
 そして、プラスチックの問題については、中国などによる禁輸措置、これはピンチとも言えますが、かつてのオイルショックを省エネ社会の実現につなげたように、いわゆるチャイナショック、中国ショックをチャンスとして、日本の優れた技術・知見を生かして、真の循環型社会を築いて、世界の取り組みをけん引していく取組を進めていきたいと思います。こうしたプラスチックの資源循環のためには、製品や社会システムなどを「Redesign(リデザイン)」、再設計していく必要があり、プラスチックをきっかけに、世の中をより良くするための社会変革につなげていきたいと考えています。具体的には、年明け早々からレジ袋有料化をきっかけとしたライフスタイル変革を進めることは当然でありますが、プラごみゼロ宣言など、企業、自治体の先進的な取組を総結集すること、そして、金融業界がプラスチック分野でESG投資を進めるための環境を整備すること、そして、アジアでの資源循環のスタンダードとなる、厳格な廃プラスチック輸出ルールを策定することなど、足早に進めることで、資源循環の輪をプラスチック全体に広げていきたいと考えています。来年開催をする予定の循環経済ビジネスフォーラム、通称CEダボスというふうに言いますが、この場で世界に発信するとともに、プラスチック資源循環戦略の具体化に向けて、本格的な検討・実施を進めてまいります。
 以上述べたような重要課題に対して、限られた人的資源を投入していくために、私も議論に加わる実行本部を立ち上げることとした選択と集中の取組をこれからも進めて、環境と成長の好循環の実現をリードしていきたいと考えています。私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)TBSの守川です。2019年の仕事についての質問です。短期スパンでの大臣御自身の仕事ぶりを振り返られて、達成度をどのように考えているかと、実際に初めての大臣を経験されて、浮かび上がってきた課題をどのように捉えておられて、来年それをどのようにクリアしていこうとお考えか、お願いいたします。
(大臣)まず、この3カ月、本当に濃密で、今年1年間を振り返ると、この9月からの3カ月が3カ月に思えないほど、大変充実した、やりがいのある、大臣としての期間を過ごさせてもらえたのは、やはり環境省の職員の皆さんのおかげです。ほんとにやりがいを持って、そして環境行政、腹の底から重要だと。そして、自分の中に違和感なくすっと入っていく、そういった思いで取り組むことができていることも、本当に多くの方の支えのおかげだと思っています。記者の皆さんにも、9月からこういった場で様々鍛えていただいたなというふうに思っていますし、来年、今までこの3カ月やってきたことをさらに伸ばしていけるようにしたいと思います。課題としては、私はこのゼロカーボンシティの取組にいろんなことが表れているなと感じています。それは、環境省という省の力、そして限られた資源、権限、予算、こういったことを正面からいっても駄目だったら、どんなルートでも使って、現実を変えなきゃいけない。そういう中で一つのアプローチとして、私はこのゼロカーボンシティの取組は象徴的だと思っています。今、4700万人までいきましたが、来年の目標は6500万人に届かせるように取組を発展させたいと思っています。その6500万人の心は、結果として、人口規模過半数を超える。そこまでゼロカーボン、2050年までという現実をつくることができれば、様々、真正面からいっても駄目なところでも現実から変えられる。そういった思いが私にはありますし、結果として、再生可能エネルギーの主力電源化ということを進める上で、エネルギー政策の所管は経産省です。しかし、その再生可能エネルギーをより社会の中で導入を加速化させていく一つのアプローチとして、私はこのゼロカーボンシティは有効だと思っています。現実に、この宣言をする自治体は、今後、再生可能エネルギーの調達を増やしていく方向は間違いありません。そして、横浜が東北の12市町村と再生可能エネルギーの広域連携をしているように、将来の日本の姿を北海道から沖縄まで、大都市と再エネの生産地が、この広域連携のように結び付いていく景色が広がることを考えると、わくわくしますね。そういった環境省らしい、頭を使って、そして、真正面からいくのが駄目ならどんなルートだって使うという、そういったことも含めて、できることはいっぱいあると思いますから、そういった課題の中にも可能性を感じながら、来年取り組んでいきたいと思います。

(記者)産経新聞の奥原です。週刊誌報道に関して伺います。来月に第1子が生まれる中で、独身時代のこととはいえ、伴侶ある女性との醜聞が報道されました。このことの事実確認と、宿泊先は政治資金を原資にしているとも報じられましたが、これに対する事実確認もお願いいたします。
(大臣)御指摘の報道についてですが、個人の事柄と政治資金についてと認識をしています。個人の事柄については、私からはお話しすることはございません。政治資金については、事務所にも確認し、法令にのっとって適正に処理していると認識をしています。政治資金の使用はないと理解をしています。継続して確認してまいります。

(記者)テレビ朝日の前田です。先ほどのこれまでの結果ということだが、ゼロカーボンシティなどいい面を伸ばしていこうという面に着目している姿勢は評価されているんですけれども、一方で石炭火力の問題などで自民党内からももっと官邸などと闘う姿勢を見せてほしいという声も出てきています。時には業界や官邸などと対立しながら、それを押しのけて国の政策を変えるところまで持っていくくらいの姿勢を見せるべきではないかと。むしろゼロカーボンシティなどは逃げているというふうにも取られている面もあると思うのですけれども、その点についてはどうでしょうか。
(大臣)まず今回、内外記者会見ではスペインでお話しをしましたが、あの部分をぜひそういうふうに言っている方々には、全てを読んでいただきたいと思いますね。そして、あのステートメントについても様々な報道はありますが、あのステートメントもすべて読んでいただきたいと思います。あれだけ政府の中で、私は調整過程で何があったかということを内外記者会見でもお話をさせていただきましたが、内部の調整、そういった過程でどのようなやりとりがあったか、そういったことについて、あれだけ率直に語るという中にどういう思いをにじませているか、そこの部分も感じていただきたいと思いますし、結果として石炭火力というものが国際社会から大きな批判を浴びているということが、これだけ世の中に報じられることは今までなかったのではないでしょうか。今後、気候変動の対策と、そしてエネルギー政策を、再エネの主力電源化という政府の統一見解の方向にまさに実現をしていく上において、この石炭火力に対する批判というものをどのように受け止めて、より前向きなエネルギー政策を構築していくかというのは、私は必要不可欠な、日本の中での理解の促進につながると思っていますので、私としては、今回のCOP25の私の発信については、これからがまさに石炭火力の批判に覆われて、日本の先進的な取組がかき消されてしまっている今の現状を変える転換のスタートだと私は考えていますので、党内、いろんな方に引き続きこの思いを理解していただけるようにコミュニケーションを図っていきたいと思いますし、昨日も渡嘉敷部会長ともお会いをしましたが、政府・与党、緊密に意見交換はしていきたいと思います。

(記者)時事通信の木田です。安倍内閣で内閣府副大臣を務めていた秋元司衆議院議員が収賄容疑で逮捕されました。内閣の一員として今回の事態の受け止めをお願いいたします。
(大臣)捜査機関の活動内容に関わる事柄であることですから、お答えは差し控えます。

(記者)毎日新聞の鈴木です。冒頭の大臣の発言の中で気になる点があり、質問させていただきたいと思います。再エネの主力電源化の中で、先ほど普及に向けて障害を打ち破るという趣旨の発言があったのですけれども、特に今、大臣御自身として再エネの主力電源化に向けて障害になっていると思っていることは何なのかということと、普及に向けて例えば来年以降、環境省としてどんなことを打ち出したいという思いがあれば教えてください。
(大臣)今回、私は環境省のRE100、環境省は100%再生可能エネルギー、これは強烈なメッセージになると思います。そして、環境省自身が2030年までには再生可能エネルギーを100%実現するという、そういうコミットをしたからこそ、内外に対して言えることが出てくると思うんですよ。その中で今、環境省内では、この再生可能エネルギーの更なる普及に向けて課題の整理、そして議論をしている真っ最中ですので、そういったこともよく整理をして、まずは環境省が2030年まで着実に再生可能エネルギーの100%導入、これを進めていくと同時に、社会の中で再生可能エネルギーがより実装されるような、そういった環境整備に向けてできることを実現してまいりたいと考えています。

(記者)NHKの杉田です。先日、地球温暖化防止ファシリテーターをめぐって日当が支払われていたという不正があったと思います。私は、この事業が行われていて、しかも毎年1億円ほど投入されていたことを初めて知ったのですけれども、そもそもこの事業の必要性はどういうところにあると大臣はお考えになっているかということと、もし必要性があると感じているのであれば、具体的にどういう活動に注目して必要性があると考えているのか教えていただければと存じます
(大臣)まず、その件につきましては、今分かっているところで言いますと、12月18日、環境省としても外部からの問い合わせによって把握をして、速やかに当時の受託者に事実関係の確認を行ったところ、12月25日時点で当時の受託者から、平成28年度事業で67名、平成29年度事業で16名、計83名を有償でこのセミナーに参加をさせたという報告がありました。この83名の一部の方に、養成セミナーの参加条件とされているテストの正しい答えを情報提供していたという事実が確認をされました。有償で募集した受講者に対して支払われた日当については、これまでに環境省に提出された精算書類からは、国費の支出は確認をされていません。当時の受託者に対して徹底した原因究明を行うとともに、本委託業務の他年度実施分について、類似の不適正事案が生じていないか確認中でありまして、事実関係を踏まえて適切に対処したいと考えております。なお、この件については、私は昨日も関係部局とやりとりをしましたが、このセミナー自身、またコミュニケーターというのは、温暖化に対して正しく国民に伝える伝え手を養成すると。それで、結果として気候変動とか環境問題に対する意識を、認識を深めてもらうということであるものだというふうに伺っていますが、こういったことがありますし、そもそも令和2年度の予算案においては、今回、不適正事案のあった地球温暖化防止コミュニケーター養成に係る予算計上はしていません。ですので、どんな形が一番いい形なのか、その再出発の在り方というのは、抜本的な見直しも含めて考えてもらいたいと指示を出しているところです。

(記者)朝日新聞の菊地です。週刊誌報道について改めて伺いますが、政治資金については、ポスターやビラ作成などで通常の価格より高い価格で支出していたのではないかと週刊文春は報じております。また、選挙の際の寄付金の取り扱いについても疑義が指摘されていますが、こうした指摘について大臣としてこれは疑惑のままなのか、それとも説明する事実があるのかお知らせください。
(大臣)今回の御指摘を受けて、私も事務所に確認をしました。法令に従って適正に処理をしていると認識していますが、引き続きしっかりと、法令にのっとって適正に対処していきたいと考えております。

(記者)共同通信の水島です。福島県双葉町が、昨日初めて3月4日から避難指示区域の一部解除を正式に決定しました。環境省としても除染等で極めて大きな貢献をされてきたと思うのですけれども、改めて一部解除に対する受け止めと、今後どのように環境省として、また小泉大臣としてコミットしていきたいかということをお願いします。
(大臣)環境省としても、この福島の復興というのは最重要の課題です。その表れが、先日の麻生大臣との予算折衝において、一番最初の項目で大臣折衝に挙げた項目は福島県の復興の予算、こういったことからもお分かりいただけるのではないかなと思いますし、今日官邸で閣議の前に会議がありまして、そこに福島県の内堀知事も出席をされておりました。その内堀知事とも、2040年の再生可能エネルギーを導入していくという、そういう県になるという福島県の目標達成に向けて、引き続き環境省としても全力で支援をしていきたいという旨もお話をさせていただきましたし、今の双葉町のお話もありましたが、この復興に向けて前向きな動きはあるものの、これからも長い、絶え間ない取組が必要な不始末に対して、環境省ができることを全力でやっていきたいと思います。来年もその思いは変わりません。

(記者)環境新聞の小峰です。先ほど大臣がおっしゃったように、気候変動と防災の一体化に関連して、環境省と防衛省・自衛隊の連携が大変進んでおります。これは大臣のお力だと思いますが、小泉大臣の頭の中には、自衛隊のさらなるイメージアップにつながり、自民党結党以来の悲願である憲法改正に貢献したいという気持ちがあるのではないでしょうか。
(大臣)防衛省との連携、自衛隊との連携で、これだけ具体的なことが積み上がってきたのは、あの取組を始めた数カ月前のことを考えれば、私は予想を超える積み上げがあると思いますし、思わぬ反響もあったと思います。まず、予想を超えた取組だというのは、河野大臣と長野県に初めての共同視察に行ったときから、マニュアル化を進めるということを受けていただいてから、来年の3月までの年度内にマニュアルを本当にしっかりと、実効性あるもので作っていくということが動き、さらに、再生可能エネルギーの調達を防衛省自身がより積み上げていくという展開まで至っていること。そして、思わぬ反響というのは、先日のCOP25のスペインでしたね。私は気候変動の適応に関するサイドイベントに出席をして、チリのシュミット議長がそのホストをやっていましたが、そこで日本の適応に関する取組を紹介してくれと言われて、私が紹介をした一つが、適応推進会議というものが日本にはあると。そして、そのホストを環境省がやっている。1回目は、防衛省は参加をしなかったけども、2回目に声を掛けて、気候変動は安全保障上の脅威でもあるという認識の下に、防衛省に参加していただくように実現できたと。この気候変動の取組は、環境省だけでは対応できない問題でもあるので、関係の国の機関を巻き込むことが非常に重要な取組だと思うということで、各国に共有させていただいたところ、その話を聞いていた、会場の席に座っていた国際機関の方から終わった後に呼び止められまして、防衛省を巻き込むというのは素晴らしいねと。なかなか世界では、この適応について、国防を担っている組織を巻き込むということはうまくいっていない。そういった中でこの日本の取組は素晴らしい、もっと内外に伝えるべきだと思うという言葉を頂いて、改めてこの環境省と防衛省の連携を深めるという就任以来取り組んできたことの成果、そして意味というのを私も実感しています。なお、憲法改正についてでありますが、これは自民党の議員であれば誰もが実現をしたいというふうに思っておりますし、実現に至るには、最終的に国民の皆さんの過半数が賛成をしていただかなければ実現ができません。そのアプローチはどのような形が理解を得られるのか、いろんなことを考えていきたいと思いますが、防衛省との連携、これは引き続き来年もしっかりと進めていきたいと思います。

(記者)日本経済新聞の安部です。気候変動関連で1点お尋ねします、パリ協定に基づく温暖化ガスの目標の再提出が来年2月を予定されていると思います。COPで大臣がいろいろ裏に表に動かれた中で、日本がどういう目標を打ち出すかは国際的にも注目されるところではないかと思います。具体的な議論はこれからかもしれないですが、特に大臣として何を強調されていきたいのか、教えてください。
(大臣)COPでのぶら下がりで申し上げた通りなんですが、帰ってから政府内の調整を加速するというふうに言いました。そして、COPから帰ってきて総理に帰朝報告を行いまして、その場でこのNDCの提出の在り方についても私なりの考え方をお話をさせていただきました。そして、そういった考え方の下に、今、政府内の調整をしています。私が重要だと考えているところは、まずはしっかり国際社会の動きを見ること、これは非常に重要です。日本て時に、あまりにも真面目過ぎて、そのことで本当に大切にしなければいけない、達成しなければいけないものを見誤るケースがよくあると思っています。何を言っているかというと、2月が締め切りというふうに言われています。ただ、主要な国々の中で2月に出すということを言っている国はまだありません。そういった中で、日本のNDCの中身が的確に国際社会に評価されるものとして提出ができるような、NDCの提出の在り方というものはあるのではないかという思いで、今そのタイミング、そして出し方、その中身、このことについては何度も関係部局とも意見交換をしているところであります。現実として26%目標というのは、この達成すら容易なことではありません。そういった中で、世界の中で今後野心の引き上げ合戦というような方向で、COP26に向けて様々な宣伝戦とも言われるような展開が国際社会の各国で行われる可能性が高い中で、日本がしっかりと前向きな評価をしてもらえるような、その土俵は何なのか、こういったことについてしっかり考えて、対応したいと考えています。

(記者)共同通信の広江です。福島県の除去土壌の再利用と減容化について質問がございまして、中間貯蔵施設への除去土壌の運び込みがピークを迎えていて、仮置場は半分ほど解消されているのは一定の進歩だとは思うのですけれども、一方で除染土壌の再利用とか減容化についてはあまり明確なメッセージが出ていないように思っておりまして、今後、何か道筋や方策は考えていらっしゃいますでしょうか。
(大臣)再生利用は非常に重要なことだと思いますし、私の環境大臣室には飯舘村の長泥の再生利用の実証をやっているところで栽培されているトルコキキョウ、これが、この前持ってきていただいて飾ってある。そしてまた、11月に行われた日中韓3カ国環境大臣会合のあの会場で、3大臣の前にお花を見た方がいると思いますが、あれは私からも紹介をさせていただいた通り、長泥の再生利用で実証されたお花であります。こういった取組をより前向きに進めていくためには、地域の皆さん、そして国民の皆さんの理解というのは不可欠です。様々な課題がある中で、これはもしかしたら大きな希望になるかもしれない、そういうふうに思って努力をしている方が、まさにこの実証の現場でもう一度農業をやりたい、そしてこの村で生活をしたい、そういうふうに思っている方々の後押しにつながる更なる後押しは何ができるのか、今、関係の部局とも話し合っていますし、引き続きこれが更に展開を前向きに進めていくような環境整備を全力で尽くしていきたいと考えています。

(記者)週刊誌報道について戻ります。先ほど質問のあったところに追加なんですが、1点が政治資金の問題で、法的に問題がなかったとしても、いわゆるベストの取り扱いではなかったとは考えていないのかが1点と、もう1点は、政治家も当然プライベートは認められるべきですし、公人もプライベートは配慮されるべきだと私も考えております。とはいえ、一方で大臣は、家族の在り方であるとか、政治と家族、働きながら子育てをするということも含めて社会変革や生き方も発信されている、非常に社会にも大きな影響を与えている責任があると私は考えております。であるならば、御自身の家族、先方の家族についてどのような責任を果たすのか、どのような行動を取られたのかということについてお話しする責任もあるのではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。

(大臣)御指摘の報道についてですが、個人の事柄と政治資金についてと認識をしています。個人の事柄については、私からお話しすることはございません。政治資金については事務所にも確認し、法令にのっとって適正に処理していると認識をしています。今後も適切に対応してまいります。

(以上)