大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和元年12月23日(月)10:03 ~ 10:27 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日は、先週も申し上げましたけれども、台風第19号の対応について、年末という一区切りを迎えたということで、これまでの全体的な成果や当面の課題への今後の対応について御報告をしたいと思います。内容は3点です。一つ目が生活圏からの災害廃棄物の撤去について、二つ目が広域処理について、三つ目が今後の取組についてであります。まず1点目として、年内の生活圏からの災害廃棄物の撤去についてであります。被災自治体、支援自治体、関係団体など皆さんの御尽力によりまして、生活圏にある9県79カ所の身近な仮置場のうち、97%に当たる77カ所で年内撤去をほぼ完了する見込みであります。例えば、こちらは私と河野大臣で共同視察をさせていただいた長野県長野市の赤沼公園であります。最後に二人でぶら下がりをやったところですので記者の皆さんもあの現場の様子というのは覚えていると思いますが、まさに本当に公園の中一面、災害廃棄物が広がっているという状況がありましたが、このように多くの皆さんのおかげで、まだ後方に少し残っていますが、これも年内で撤去を完了する見込みであるということです。なお、撤去後には土の入れ替え、そして遊具などの復旧作業を行う予定でありまして、公園としての利用再開時期はまだ決まっていないということではあります。膨大な量の災害廃棄物でありましたけども、長野の特別な取組でもあるONE NAGANO、この取組をはじめとした関係者の御尽力に心から敬意を表したいと思います。ありがとうございます。また、宮城県の丸森町の金山小学校の校庭についてでありますが、これもこういった状況だったものが、このようにきれいに片付いた状況でもあります。この結果、毎年1月に開催されている伝統行事の竹馬運動会というものがあるそうですが、これも開催できる見込みになったそうで、ありがたいことに環境省にも御招待のお手紙が届いております。地元の皆さんの御努力に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。なお、残る2カ所につきましては、1カ所は今なお被災による片付けが続いており、継続的に利用させてほしいという地元住民の御意向がありまして、もう1カ所は、街中に集積されていた災害廃棄物の搬入を継続しておりまして、量が多いため、搬出完了は3月末を予定しています。また2カ所、いずれについても周辺の生活環境保全上の支障がないように仮囲いが設置をされています。次に2点目として、災害廃棄物の広域処理についてでありますが、支援自治体、関係機関などと連携して、調整、支援を実施し、環境省で把握している範囲では12都県52市町村の災害廃棄物について、21都府県の処理施設で広域処理が実施されています。輸送について、道路輸送が中心ですが、海上輸送、鉄道輸送といった様々な形で処理が着実に進展をしています。最後に3点目として、今後の取組についてです。今回の災害対応を踏まえて、来年の降雨、台風に向けて、主に次の4点について事務方に年度内をめどに作業を進めるように指示を出しました。一つ目が防衛省、自衛隊との連携です。台風第15号及び第19号の災害対応を検証して、今後の災害に備える連携のマニュアルを年度内に策定したい。そして二つ目が、地方環境事務所単位の地域ブロック協議会による広域的対応力の強化です。台風第15号、そして19号で関東中部ブロックで相互の人的支援や広域処理の調整が機能したので、年度末の各ブロックの協議会を通じて水平展開をしたいと考えています。これが二つ目です。三つ目が、各市町村の災害廃棄物処理計画の策定、促進です。現在の中小規模の自治体を中心に処理計画策定モデル事業を展開して、初動対応能力向上のための手引の作成を進めていますが、処理計画の有無の違いによる初動対応の成否に係る検証も踏まえて、策定を促進したいと考えています。最後の四つ目が自治体間の人的支援体制の強化です。総務省が所管をしている相互支援の仕組みと連携しつつ、廃棄物担当の相互支援人材の拡充を図っていきたい。以上、この4点について、今後の取組が進んで、結果については年度末に報告をさせていただきたいと考えています。
 次に、2050年ゼロカーボンを表明する自治体が増えたというニュースです。今まで12月10日時点では28自治体ということでありましたが、今回、12月20日金曜日に鳥取県北栄町の松本町長が町レベルとしては初の気候非常事態宣言、そして二酸化炭素の排出を2050年までに実質ゼロにするとのダブル宣言、町レベルでは同時宣言は初めてであります。そして、このゼロカーボン宣言は中国地方の自治体としては初めてということになります。また、先日、12月12日には福岡県の大木町が気候非常事態宣言を表明されました。この大木町の気候非常事態宣言は町レベルでの表明は初めてということで、今回の北栄町の気候非常事態宣言とゼロカーボン宣言、このダブルは町レベルで初めてと。そして、気候非常事態宣言だけでいうと、今回の福岡県大木町の宣言によって、県、市、町、村、全ての自治体レベルで気候非常事態宣言が出されたということにもなります。こういったことは、まさに気候変動に対する自治体の覚醒が更に進んできているということでもありますし、こういった取組というのは海外からも国際社会からも高く評価されていますので、来年、改めてそういった動きが更に進んでいくように私としては後押しを続けていきたいと考えております。私からの冒頭は以上です。

2.質疑応答

(記者)TBSの守川です。台風の災害ごみの処理について、非常にスムーズに進んでいるという状況はよく分かりました。今回、連携を非常に強化されて、そスムーズな処理が進んでいる一方で、どうしても課題も残っている。地元のメディアなどの取材のまとめでは、例えば先ほども紹介あった丸森町の全部の処理は年内追いつかない部分があるとか、柴田町などでは町内で生活圏外に置く場所がなかなかない状況で、生活圏内からの撤去というのは難しく、広域の受け入れ先も、距離の問題であるとか雪の問題ということもあって進んでいない現状もある。このように自治体間の格差が出ている問題に関して、出遅れている自治体をどのようにバックアップしていくのかが今後の大きな課題かと思います。どのように対応していかれますでしょうか。
(大臣)おっしゃったように残る2カ所、これは宮城県丸森町、丸森町民広場、そして柴田町の不二トッコン工場跡地ということであります。丸森の町民広場は、今なお被災による片付けが続いており、継続的に利用させてほしいという地元の住民の皆さんの意向があると聞いています。柴田町の工場跡地は、今なお街中に集積されていた災害廃棄物の搬入が続いていると。量が大変多いため、広域処理、そして生活圏外の仮置場への搬出も検討しており、搬出完了は3月末を予定しているということです。なお、2カ所の仮置場においては、臭いの発生や火災の危険がある廃棄物をできるだけ年内に撤去し、撤去できずに一部残る廃棄物も周辺の生活環境保全上の支障がないよう、仮囲いにより飛散防止措置が取られているところです。この仮置場の受け入れ状況や被災自治体の住民の皆さん、こういったことの地元の実情に留意をしながら、引き続き円滑、迅速に処理が進められるように、環境省としても全力で支援をしていきたいと考えております。

(記者)朝日新聞の菊地です。災害廃棄物の処理計画なんですが、今般の台風等の被害を受けて策定を急ぐ自治体も増えてきていますけれども、まだ環境省が求めているペースで上がってきていないのかなと思うのですが、なかなか処理計画を自治体レベルでまとめ切れない背景とか理由について大臣はどのように思われるかということと、環境省として、これまでも長年呼び掛けてこられた結果こうだと思うのですが、大臣の就任後、こういったところをどのように変えていきたいと思うか、考えがあればお願いします。
(大臣)今回の課題、そして反省点、そういったことを挙げるとすれば、一つは防衛省、自衛隊との連携、そしてもう一つがまさに今おっしゃった災害廃棄物の処理計画、これがまだ達成されていない部分があるということだと思います。今回、防衛省との連携を密にしましたが、今回の連携は今後の災害対応でもより確かなものに持っていくためにも正式に防衛省と年度内にマニュアル等をまとめていこうと、そういったことが具体化をして進んでいるということは、次の災害に向けてつながることではあると思います。そして、災害廃棄物処理計画ですが、今まで本当は達成していなければいけなかった数値を達成できていない。その要因分析もされていますが、自治体のマンパワーだったり、今回、千葉等でも私も耳にしましたが、まさかこんな災害に襲われるとはという、もちろん3.11の経験を踏まえれば想定外とか、そういったことはあってはならないというのは誰もが考えていることだとは思いますが、やはりそれでも、台風でまさかここまでとはということも実際あったと思います。ですので、この処理計画の策定がどのように進んでいるのか、私たちとしては全力で後押しをしていきたいし、私は間接的にはいい意味での影響があるのではないかなと思うのは、先ほどの北栄町や大木町、こういったところで気候非常事態宣言などの宣言、そしてまたカーボンゼロの宣言の後の基本計画の見直しとか、こういったことの中で気候変動に対する意識がまさに目覚めてきて、そのことも防災について、私は「気候変動×防災」といつも言っていますが、防災に対する取組をさらに加速させるような一つのきっかけにもなるのではないかなと思いますので、様々なアプローチでこの処理計画、事前に進むように、私も環境省を挙げて引き続き取り組んでいきたいと考えます。

(記者)産経新聞の奥原と申します。小泉大臣、来月には第1子の出産を控えられて、御自身の育休取得の状況について改めて進捗状況などを伺えればと思います。御自身よりも、多分周囲の環境整備の方が重要だというふうにおっしゃっておられましたけれども、職員さんの育休取得の環境整備の進捗状況についても教えてください。
(大臣)まず前提として公務最優先、そして危機管理を万全にする、そういったことの上でどのような形で取れるか、そういったことは考えていますが、あと一月以内で出産かなという状況の中では、現時点で本当に願っていることは、無事に健康にその日を迎えていけるようにしっかりと妻をサポートしたいと、そういうふうに思っています。職員の皆さんのこういった環境も、今担当のところとも、これは育休だけではなくて、職員の皆さん、それぞれ生活面における、例えば介護の問題もあるでしょうし、どんな状況であっても、仕事と家庭と両立をしやすい環境を整えていくために何ができるか考えようと、そういったことは具体的に話を進めています。更に、私も大変ありがたいなと思ったのは、環境省の中に有志でこういった働き方改革を含めたことに取り組んでいるチームがあります。その担当の若手職員から、ぜひ大臣御夫婦で読んでくださいといって、サポートブックというのを皆さんが作っているんですけど、そのサポートブックを先週末に頂いて、この週末に読みました。体験談というのが大変豊富で、それを夫婦で読んでいて、よりイメージが湧いて、こういうことで悩んだら環境省内には相談できる人がいっぱいいますからぜひ声をかけてくださいというような文言が書いてあったんですね。ああ、いい組織だなと思いましたね。ありがたいなと。しかも、こんなことを業務外で考えているんですよ、その人たちは。そのサポートブックを作っている。そういったことを考えている人たちが環境省内にいること、そしてそれが組織の制度と、取りやすい環境につながっていくような後押しを私としてはやっていきたいと思います。

(記者)NHKの吉田です。災害廃棄物のことに関連して1点伺わせてください。現在の進捗状況については97%が年内に撤去される見込みということで、かなり進捗はしていると思うのですけれども、今後、公費解体の始まるところだと思いまして、実際被害が大きかった長野市ですと、受け付けが来月から始まるところでしたり、当初発生した災害廃棄物の対応だけではなくて、今後は公費解体に伴って出る災害廃棄物についても対応しなければいけないと思うのですけれども、公費解体の部分について大臣はいかがお考えか教えてください。
(大臣)公費解体、担当部局から何か補足でありますか。
(事務方)公費解体、今おっしゃったように、まさにこれから始まるということでございますけれども、昨年、一昨年等々、既に経験したような自治体の職員をそれぞれ今後公費解体を予定しているようなところに派遣して支援等はしておるところでございますので、またそういう希望等がございましたら、そういうサポートはしていきたいというふうに考えております。

(記者)朝日新聞の松尾です。先ほどの防衛省との災害廃棄物の関連での協力についてなんですが、環境省というのは確かに自前の現場に当たるマンパワーが極めて限られている。その中で自衛隊というマンパワーを持った組織を持つ、ある種の一体化を進んで、これまでのいわゆる一般廃棄物の取り扱い、産廃の取り扱いを超えて、地球温暖化が進む中で新たな仕組みを今回のような協力という形ではなくて、制度として何らか作り上げないと対応できないのではないかと思うのですが、大臣のお考えをお聞かせください。
(大臣)まず、これからマニュアルを作っていくという、年度内に策定をするということは、まさに防衛省と環境省が一緒になって作っていくマニュアルですから、今回の台風15号、19号にとどまらない、これから制度化されていく一つの表れだと思います。そして、今日、河野大臣もこれから会見されると思いますけど、再生可能エネルギーの調達、こういったことも気候変動の観点から、防衛省をはじめとして、ほかの省庁が広げていくというような動きもこれから出ていくと思いますので、環境省から動きだした気候変動の動き、そして「気候変動×防災」という関係の取組というのは、私は着実に制度や形になって動いていっていると、そういうふうに思っています。

(記者)TBS守川です。気候変動対策について、若者の参加の関係でお伺いしたいのですが、前回の会見で大臣がグレタさんの活動に関連して、世代間対立をあおるのではなくて、全世代が参加できるような形のムーブメントが重要ではないかという趣旨の発言があったと思います。とはいえ、一方で、環境問題の特徴として、前の世代が起こしたツケを次世代が負っていくんだという問題があるからこそ、どうしても世代間対立を生みやすい構造的な問題があると思うんですね。プラスして、アメリカやブラジルの大統領が、逆に大人の世代の方が世代間対立をあおるような、若者をアジるような発言もあったりして、なかなか大人の方からの歩み寄りも見えないのではないかなと思っておるのですが、大臣から見て、若者だけではなくて、いわゆる権力者の側、大人の側からも、もっとこういうふうに歩み寄ればいいのではないかというようななにか考えはおありでしょうか。
(大臣)まさに日本ができるアプローチというのは、そのような全世代を巻き込むアプローチで、大事なことは、持続可能な取組をすることだと思います。気候変動の対策をパリ協定の目標達成2度未満、そして1.5度未満、これに実際につなげていくためには、一過性のものでは駄目で、本当に持続可能で、かつ非連続のイノベーションが起きるような環境をつくっていかなければ、今の延長線上のままでは絶対に実現不可能です。だからこそ、何か一部の世代、一部の国、一部の業界、そういったところがはじかれるような、そういったことは招いてはいけないという思いですので、私はグレタさんの影響力、すさまじいものがあると思います。その部分は、そのことによって目覚めた方、世界中で若者を含めいっぱいいると思います。一方で、今まで対策を十分に取ってこなかったという大人たちに対する糾弾ということに終わってしまっては、私はそれも未来はないと思っています。私も環境大臣になってから、今まで日本の中で気候変動に取り組まれてきた方がどのような形で発信をされ、取組をされたのかというのを自分なりに調べたりはしています。その中で、発掘をしていって、発信をしなければいけないなと思った一つは、竹下登元総理の環境、気候変動に対する思いの強さというのは、1992年のリオのサミットにおいても、竹下さん、相当思いを持たれていたんですよね。あのとき、来年、GEAという、Global Environmental Actionという国際会議が日本で開催されますが、この最初に発足の礎となったのは竹下元総理の動きでした。その1回目で元総理のされているスピーチを私は全て見ました。もしも竹下元総理の名前を隠して、1992年というのも隠して、今だと思って読んだら、これは今読んだんじゃないかと思うような中身でした。まさに人類が危機であると。そういうように、先人の中では危機感を持って取り組まれた方もいたんですよね。そのことが京都議定書につながって、京都議定書は途上国は入らない形の枠組みでしたが、結局、京都があったからパリという、途上国も含めて世界中が入る枠組みができた。必ずしも何もやってこなかったわけではない。もちろん十分な取組ではなかったかもしれませんが、そのときと今と違うことは、今は新しい技術がある、そして世界中がよりつながりやすい、SNSを含めた、そういったツールも出てきた。こういったことを考えると、私は過度な悲観をせずに、危機感を持ちながら、まさに非常事態宣言が県、市町村、全てのところで出ているような危機感を前向きなアクションと、そして全世代の意志につなげていくのが環境省としての重要な役割ではないかなと考えているところです。

(以上)