大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和元年11月26日(火)9:32 ~ 10:04 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 まず、台風第19号の対応についてアップデートをしたいと思います。宮城県におきまして、地元から早期の撤去の要望が出ていました身近な仮置場である丸森町立金山小学校、今日はこのパネルで分かりやすくお示しをしたいと思いますが、小学校の校庭の災害廃棄物、こちらは10月20日現在、こういうあふれている状況でありますが、ようやく撤去状況としては、このようにきれいに撤去が完了いたしました。聞いたところによりますと、御地元で毎年1月に竹馬運動会というものが伝統的に行われているのがこの小学校だそうです。ですので、こういった形で撤去が無事に終わりましたので、来年年明けに伝統のそういった行事が引き続き行われていくことを期待しています。また、防衛省・自衛隊と連携をした災害廃棄物の撤去活動につきましては、残る活動場所というのが23日、いわき市ということでありましたが、いわき市での作業も終わりました。ということで、自衛隊・防衛省の皆さんに、改めてこの時点で大変御尽力をいただきましたこと、環境省との協力を密にやっていただいたこと、現場の隊員の皆さんに対しても心から感謝を申し上げたいと思いますし、併せて、防衛省の本省におきましても、河野大臣をはじめ、調整、連絡等を環境省と密にやりとりをしていただいたこと、心から御礼申し上げたいと思います。引き続き、連携を深めてまいりたいと考えております。また、広域処理につきましては、今、千葉県から神奈川県内の処理施設へ、長野県長野市から富山県及び三重県内の処理施設へ、長野県千曲市から三重県及び愛知県内の処理施設へ、栃木県栃木市から和歌山県内の処理施設への搬送を既に行っているほか、先週金曜日にお知らせした宮城県仙南地域の身近な仮置場から神奈川県横浜市内の処理施設に向けた鉄道輸送が、本日から開始をされます。さらに、28日から静岡県伊豆の国市から和歌山県及び三重県内の処理施設に向けた搬出を開始するなど、広域処理が進展をしています。また、福島県、茨城県等の災害廃棄物についても、更なる広域処理に向けた調整支援を行っております。引き続き、年内の生活圏内からの災害廃棄物の撤去に向けて、着実に歩みを進めていきたいと考えております。
 二つ目は、日中韓三カ国の環境大臣会合についてです。11月23日土曜日から24日日曜日まで、第21回日中韓三カ国環境大臣会合を開催し、中国の李部長と韓国の趙長官と2日間にわたり議論をしました。昨日は、東京で開催された第3回日中環境ハイレベル円卓対話に李部長と共に出席をしました。この三カ国会合におきましては、現地でも発表した通り、海洋プラスチックごみ対策、気候変動対策、ヒアリを含む外来種対策、大気汚染などについて率直に意見交換を行うとともに、来年策定する環境協力に関する次期共同行動計画に対し、三つの原則と八つの優先分野を合意しました。特に海洋プラスチックごみ問題についてはG20での成果も踏まえ、一層対策を前進させるため、複数分野で横断的に協力することで一致しました。昨日の日中環境ハイレベル円卓対話では、来春署名を目指している両国環境相間の協力覚書の具体的な協力として、海洋プラスチックごみ対策の協力を拡大、深化することで一致しました。具体的には、海洋マイクロプラスチックのモニタリング手法調和とデータ共有、海洋プラスチックごみの発生源の特定、そして3R等の推進に向けた政策対話の開催、この三つを提案して引き続き議論することとしています。今回の三カ国会談の成果としては、李部長、趙長官とも個人的な友好関係、信頼関係を構築できたとともに、三つの原則でも特に三カ国会談の協力を基盤に、それ以外の国や枠組みに展開をする3プラスX、これを5カ年計画として進めることが合意できたこと、また来年は中国において生物多様性COP、これはCOP15と言われますが、これについては日本と韓国が既に生物多様性COPの議長国の経験者であること、そして来年、中国がこのCOP15の主催をするということで、日中韓がすべて議長国経験国ということになるという大変希有な地域になります。そういったことも捉えて、日中韓で生物多様性分野をリードするということも確認できました。改めて、世界における日中韓の役割、特に私としても海洋プラスチックごみという、日本がリーダーシップを示した大阪ブルー・オーシャン・ビジョンをまとめた立場としても、中国という最大の排出国の明確な前向きなコミットメントを確認できたことは、世界にとっても大変大きな意義だと感じております。
 次はヒアリであります。ヒアリ対策については、この三カ国会談、中国とのバイ会談においても、防除の対策強化などの対応の徹底について申し入れを行い、李部長からも、引き続き対策と協力の継続を明言いただいたところでもあります。国内での対応としても、10月21日の関係閣僚会議を踏まえて各種対策を強化しているところでありますが、その一環で実施している全国の港湾における追加調査の中で、三重県四日市港においてヒアリの働きアリ約20個体が確認されました。四日市港で確認されたヒアリについては既に駆除を完了しておりまして、女王アリは確認されていません。ですので、拡散の恐れが高いとは考えられていません。また、外国貨物が陸揚げされるコンテナヤードから発見されたということから、東京青海ふ頭で多数の女王アリが確認された事案との関係もないということであります。これまでの類似案件と同様、確認地点周辺でのモニタリング調査を実施していくとともに、全国の他の港湾についても国交省や関係自治体の協力も得て順次調査を実施しているところであります。引き続き、しっかりと水際対策に取り組んでまいります。
 昨日、気候変動適応に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図ることを目的とし、環境大臣が議長を務める気候変動適応推進会議の第2回会合を開催しました。会議では、災害激甚化をはじめとした気候変動への適応について、各省庁での取組を御報告いただきました。今回新たに構成員になった防衛省からは、再生可能エネルギーを更に活用するための電力の調達について検討を始めたとの紹介もあり、今後、防衛省との連携を深める契機となりました。また、各省庁所管の研究機関の連携を図るための連絡会議の設置について環境省から提案し、了承されました。昨日の会議をきっかけに関係省庁との連携を密とし、将来に計画的に備えるための取組の推進に向け、来年の気候変動の影響評価、再来年の気候変動適応計画の見直しにつなげたいと思います。なお、新たに参加をしていただいた防衛省からは、気候変動に伴う災害激甚化などの影響について、防衛省・自衛隊も災害派遣活動などを通じて身をもって感じておられると、そして重大な関心を持っていると。また、25万人の隊員を抱えていますから、全国各地に基地、駐屯地を持つ防衛省・自衛隊としても、気候変動分野における取組として、まずはこれまで以上に再生可能エネルギーを活用できるような電力の調達について検討を始めたということの御報告もあったことを、併せてまた紹介させていただきます。
 新宿御苑についてであります。新宿御苑においては、様々な魅力向上の取組を展開しています。2019年秋から2020年にかけて四つの取組をさらに展開していくこととなりますので、この際御紹介をしたいと思います。新宿御苑では、今年の春から入園料を大人200円から500円に、そして子ども50円だったところを無料に改定しています。つまり、大人は2.5倍にして子どもはただにすると、そういう料金改定をしました。そうした中で大変喜ばしいと思うのは、その結果、前年比1割増の多くの来園者の方にお越しをいただいていると、大人は値上げ2.5倍、子どもは無料、それにもかかわらず入園者が増えたということで、来園者による収入も増えたということでもあります。特に、桜の時期には入園の際に多大な待ち時間が生じ、御不便をおかけしている現状があると聞いています。そのため、利便性を高めるためにも、まずはキャッシュレス決済を導入することとして、その試行として、今週11月28日から、ウェブサイト上で入園券を事前購入いただける取組を開始します。来年2月下旬ごろからは、電子マネー決済等の試験導入も実施して、来年度の本格導入に向けて取組を進めます。また、新宿御苑も障がい者の方々を含め、より多くの方に楽しんでいただくため、民間企業と連携して園内の見どころや足元の注意を要する場所などを、日本語、英語の2カ国語で案内をするユニバーサル対応ガイドアプリの試行を12月3日から実施します。さらに、紅葉が深まる季節に合わせて新たな取組として、12月5日から8日までの4日間、新宿御苑・千駄ケ谷門周辺エリアの紅葉のライトアップを実施します。幻想的なモミジ、紅葉、夜の景色をぜひ御観賞いただきたいと思います。また、来年にはオリンピック・パラリンピックに向けた共催プログラムとして、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の日本で初めてとなる野外公演が、6月に新宿御苑で実施をされる予定です。新宿御苑は、都市にありながら広大で質の高い庭園として貴重な財産でもありますので、今後もこのように来園者の皆さんに御満足をいただけるような魅力の向上に取り組んでいくとともに、内外に新宿御苑の魅力を発信していきたいと思います。
 最後に、11月22日、先週金曜日、神奈川県小田原市の加藤市長が定例の記者会見において、小田原市の温室効果ガスの排出を2050年に実質ゼロにすると、こういう方針を言及されました。また、11月25日、昨日には、奈良県生駒市の小紫市長が定例の記者会見において、同じく市内の温室効果ガスの排出を2050年に実質ゼロにするとの方針を宣言されました。国内では、東京都、京都市、横浜市、徳島県など六つの自治体が既に2050年実質排出ゼロを宣言しておりまして、今般の小田原市及び生駒市の動きはこれに続くものでありますし、私としても、今まで自治体に呼び掛ける活動をしてきた立場として、これだけスピード感を持って次々に自治体が宣言、また表明、方針、こういったことに言及をされ続けていることを大変うれしく思います。今日は、昨日宣言されたばかりの生駒市の小紫市長とウェブでつながっておりますので、小紫市長から一言、皆さんに思いを紹介していただきたいと思います。それでは、小紫市長、よろしくお願いします。
(生駒市長)改めまして、大臣、おはようございます。ありがとうございます。御紹介いただきました生駒市長の小紫でございます。今回は、直接東京の方にお邪魔して、大臣に御報告しようと思っていたんですけども、新幹線を使うとCO2も排出しますし、新しい時代のスマートな形で、このような形で報告をさせていただきまして、本当にありがとうございます。生駒市は住宅都市でもございますので、本当にCO2を削減するためには一つの大きな工場の削減をするということじゃなくて、市民一人一人が意識を高く持って行動に移していただかなきゃいけないということで、住宅都市のゼロカーボン宣言というのは、ある意味すごく大きな覚悟が要ると思っております。ただ、大臣がおっしゃっていただいておりますように、やはり国際的な気候変動の問題に対応するためには、本当に一つ一つの基礎自治体が手を挙げてしっかりと対応していかなきゃいけないという思いに我々も強く賛同いたして、今回の宣言につながったということ。もう一つ付け加えるならば、やはりこの二、三年、明らかに気象が異常な状態になっている。大変暑い年、またゲリラ豪雨とか台風が何個も日本に上陸するようなことがございまして、我々基礎自治体の長としては災害対応がある意味一番大きな責務でございます。気候変動は全く我々にとって無縁のものではなくて、むしろ基礎自治体の長にとってこそ気候変動問題、防災の問題というのは大変大きなことでございますので、我々が率先して手を挙げるとともに、大臣のリーダーシップで気候変動問題を一歩でも二歩でも前に進めていただきたいということでお願いをしたいと思います。
(大臣)どうもありがとうございました。これからも環境省出身市長ということで、環境省も注目をしていますから、これからも頑張ってよろしくお願いします。
(生駒市長)大臣、一つだけ、生駒の特徴的な取組を御紹介させていただきたいんですけども、生駒市で特に高齢者の方が非常に今困っていることというのが、自分の健康づくりとか、認知症にならないようにとか、そういう健康づくりが一つと、もう一つは昨今の高齢者の交通事故とかですね。非常に車を使うのが不安なんだけれども、買い物に行くのにどうしても必要なんだというところのジレンマ、この2点が非常に大きいんです。それを解決するために、デマンドタクシーとか公共交通のバスを市が走らせるとか、そういう取組ももちろん要るんですけれども、やっぱり逆転の発想で、一番大切なのは高齢者が歩いて行ける場所に、例えば買い物ができる場所だったり、健康づくりの体操ができる場所だったり、そういういろんな機能を持ち合わせたコミュニティーをしっかりと市民と行政が力を合わせてつくっていくということだと思います。そうすれば、歩いて行けるところにそういう最低限の機能がありますので、バスとか車を使う必要がなくなるわけで、CO2の削減にももちろんつながりますし、我々はこのような令和時代の新しいコンビニというか新しいよろず屋というか、そういうふうな形で、生駒市であれば市内に100カ所ぐらいつくれば、高齢者が歩いていけるような、そういうコミュニティーができると思っています。 なので、今、全国どこの自治体でも、いきいき百歳体操とか健康づくりの体操をする場所というのがたくさんできていますので、そこに集まった皆さまのところに、近くの農家の方が朝採れた野菜を売りに行ったりとか、お米を持っていったりとか、またそこで体操が終わった後、皆さんで雑談をしたりとか、そういうような形でコミュニティーをつくっていくことで、CO2が少ない形で環境にも優しいまちづくりができるんじゃないかと思っています。ぜひ大臣には、環境問題を切り口として、こういう各地域の課題を解決する、まさに環境省が地方創生をどんどんリードしていただくようなそういう省にしていただければ、我々としても大変ありがたいと思っております。お願いばかりになりましたけれども、我々も頑張りますので、大臣の方も地方創生から国際関係までぜひ環境という切り口で前に進めていただきたいと思います。
(大臣)ありがとうございます。市長がこのとき働きたかったと言われるような環境省になれるように、頑張りたいと思います。朝からありがとうございました。
(生駒市長)ありがとうございました。
(大臣)以上です。

2.質疑応答

(記者)朝日新聞の松尾です。TEMMはお疲れ様でした。今日は残念ながら、最初に一言申し上げなくてはなりません。生駒市長の今回の会見参加は、非常に残念なことに、環境省及び生駒市の間で話がつけられて、そして午後6時に向こうで発表されて、その後に幹事社に連絡があるという次第でした。これは、報道機関が主催する記者会の事としては非常に残念なことであります。事前の説明、調整が必要なことだと思いますので、今後、事務方を含め、いろいろ話し合いの機会を持たせていただきたいと思います。
(大臣)しっかりやってもらいたいと思います。
(記者)その上で質問です。来週にもCOPが始まります。NDC引き上げ、いろんなところから声が聞こえてきます、石炭火力の問題があります。この中でNDCを引き上げられないと方々で言われていますが、大臣の口からそのような状況下で、どのようにCOPに臨まれるのかお聞かせ下さい。
(大臣)報道もNDCに関してはありましたが、まず目標の引き上げ、そしてまた野心の引き上げ、そういったことも表現されますが、何がより日本の前向きな気候変動の取組として国際社会に届くかということはよく考えた上で、このCOP25においてどのようなスピーチをステートメントをするか、今、関係省庁、そしてまた環境省内でもよく考えていますので、このNDCイコール数字のみのような、そういう捉えられ方というのがよく報道でもありますが、これは具体的な行動とかアクションの積み重ねも含めてこれから国際社会に届けていく必要がありますので、私としては最も日本が世界の中で評価をされるようなステートメントや発信の中身にしたいと考えております。今まで9月のニューヨーク以降、特に炭素中立性連合、そして今日の生駒市、そして小田原市を含めた地方自治体の2050年ネット・ゼロ、こういったことに対しても思いを持って取り組んできたのは、むしろ国内よりも国際社会にこれは評価されると、そういったことに力を入れなければいけないと、そういった思いからでありますので、よく考えて臨みたいと思います。

(記者)産経新聞の奥原と申します。本日の生駒市、小田原市の話も含めてなんですけれども、2050年ネット・ゼロを表明した自治体の取組を最近大臣は紹介されていると思います。具体的に2050年ネット・ゼロを自治体に表明してもらうところに関して、大臣自身は具体的にどういう後押しをしているのかということと、実際に地方自治体と国の行政の決定過程は別物であって、その辺は先週もお話しになられた環境大臣としてのジレンマという所を感じられているのかなとも思うのですけれども、そのジレンマの中身についてもう一回詳しく教えていただきたいということと、今後、環境大臣としての務め、炭素、ガス排出に関してどう務めを果たしていかれるかお聞かせください。
(大臣)まず2050年ネット・ゼロ、この自治体に多く呼び掛けていることはどういうことをやっているのかというのは、私から積極的にお話をさせてもらっています。例えば昨日も奈良県の川上村の村長がいらっしゃいました。人口1300人ぐらいの、有名なのは吉野杉の生地であります。私もかつて訪問したことがある大変素晴らしい村で、その村長さんにエコツーリズムなども含めた認定を昨日環境省からしたものですから、その場で実は2050年ネット・ゼロ、これは川上村のような森に囲まれているというよりも、森の中にある村みたいな、そういう村にとっては、もうゼロどころか吸収源の方が多い。そういった村にとっても一つこの村はどういう村かと。環境に取り組んでいるとか、そういったことをPRできる素晴らしいところでもありますし、実は世の中に、国際社会に、地元の地域をどのようにブランディングして売っていくか。そういったことはまだまだ様々な施策を活用することでできる余地が大変多くあると思っています。ですので、私から積極的に様々な形で、自分が首長さんと直接話したりすることも含めてやっている結果がこうやって次々、2050年ネット・ゼロという結果に表れていると思いますし、本当に国際社会にはこれは評価されますし、気候変動の中でキーワードの一つは「ノンステートアクターがいかに前向きに取り組むか」ですので、まさにノンステートアクターを今掘り起こしているというのも、私の思いと世界の取組の流れは一致していると思います。また、ジレンマという話がありましたが、そのジレンマの中と私なりの思い、それを表した分かりやすい表現としては、国会でも答弁しましたが、2050年以降、できる限り早い時期に脱炭素社会の実現をするというこの政府方針も、私なりの表現として2050年以降、できる限り早いということは2051年を含むという、その表現に表れているのではないかなと思います。

(記者)TBSの守川です。温室効果ガスの削減に関しての質問なのですが、先日、イギリスの著名なロックバンドのコールドプレイが環境負荷への影響に配慮するということで、ワールドツアーを今回行わないという発表を行いました。現代社会の利便性と環境負荷への対応の折り合いをどこでつけるのかということで大変議論を呼んでおりますが、彼らの決定について大臣はどのようにお感じていらっしゃいますでしょうか。
(大臣)まず、その判断はコールドプレイが発信をされるのが一番分かりやすいと思いますし、私も好きですから、日本で、また世界で直接ライブコンサートに行くことを楽しみにしていたファンは残念だなと思っている方が結構いるんじゃないかなと。同時に、そういう我々環境省とか国が直接メッセージがなかなか届くことが難しい層、そういった皆さんに、なぜコールドプレイが飛行機に乗らないんだろうと。グレタさんもそうですけど、そういった形で何かを考えるきっかけになるとしたら、それは大変素晴らしいことですし、やはりそういう行動が世界中を動かすということは、アーティスト、ミュージシャン、そういった皆さんの力というのは本当に大きいなと思います。ですので、環境省としても、我々だけでは届くことができない皆さんに対して、どうやったら届けられるのかということも含めて、今まで環境省は小林武史さん、あとはミスターチルドレンとかがやっているap bankとの連携とかVOGUEとの連携とか、様々なメディア、媒体、機会を通じて広げようと思っているのは、一部の、また環境に対してものすごい思いを持って先進的に取り組んでいるところだけに訴えているとなかなか社会全体は変わらない。むしろ無関心な方々に関心を持ってもらうというところまでいかなかったら、世界全体の気候変動の取組は動かないと思いますので、こういうことも機にぜひ多くの方が気付いて、自分たち一人一人がそれぞれ持続可能な取組を起こすきっかけとなってくれたら大変うれしいと思っています。

(記者)郵便局の新聞を作っております郵湧新報の園田です。日本郵便が2020年度末までに配達用の車を電気自動車に大幅に切り替えるというリリースをしたのですけれども、そうした取組についての御見解をお願いします。
(大臣)2021年度までに日本郵便が配送に使っている車を1200台、EV、電気自動車にすると、そういうアナウンスがされ、またこのことによって日本郵便の持っている東京都内での配送に使っていた軽四輪車の3割がEVに入れ替えられるということになり、CO2排出量を約15%削減できる見込みだというのはうれしいニュースだと思っています。これを機に、日本郵便さんには更に環境への取組を様々な形で実現していただきたいと思っています。例えば日本郵政さんはTCFD、これは気候変動リスクの情報開示をしている取組でもありますが、そのTCFDの賛同企業数というのは日本が今世界1位です。そういったことも含めて、最近環境省が力を入れている金融の分野における気候変動の取組を前向きに動かすドライブとして見ていますので、ESG投資、ESG金融、こういったこともさらに日本郵便を含めて日本郵政グループにも取り組んでもらいたいなと。ちなみに環境省は10月にESGファイナンス・アワードを創設していますので、ぜひそういったところにも応募をいただくなりしていただきたいと思います。

(記者)NHKの杉田です。大臣が先ほどもおっしゃっていました炭素中立性連合のことでお尋ねしたいんですけれども、この連合は2020年までにパリ協定で定める目標を達成するため、長期低炭素で気候耐性のある発展戦略を2020年までに策定することという宣言をしているのですけれども、これに向けて具体的に何かその後取り組んでいることがございましたら教えていただければと思います。
(大臣)まず炭素中立性連合は今確認したところによると、24 カ国が参加表明をしているということであります。この週末、北九州で、私から炭素中立性連合の話をしたところ、韓国は積極的に、前向きに検討するということだったので、もしかしたら次回、お会いをするときには炭素中立性連合国同士になっているかもしれませんが、日本は、G7 の中では唯一長期戦略でカーボンニュートラルを宣言しています。ですので、この連合の中で、まだ長期戦略を策定していない国の方が多いと思いますので、私はこのメンバー国の中でも日本が積極的な役割を果たすことができると考えています。ちなみに、来月スペイン・マドリードにも行きますが、その場でも炭素中立性連合国のメンバーともお会いしたいと考えております。
(記者)Climate Ambition Allianceの方には日本は入る予定はあるのですか、COP25で。
(大臣)その他のイニシアチブをどうするかは、今まだ検討中だと思います。

(記者)環境新聞の小峰でございます。大臣が冒頭おっしゃった昨日の第2回気候変動適応推進会議に防衛省が参加されましたけれども、先週金曜日の会見で小泉大臣は河野太郎防衛大臣に直接話をされて防衛省の初参加となったとおっしゃっていました。改めて防衛省参加の意義をお聞かせください。
(大臣)まず、意義としてはすごくシンプルな一つは、今まで参加していなかったことが参加したということだと思います。第1回の推進会議には構成員にすらなっていなかったわけであります。その防衛省が2回目に呼び掛けたことによって参加をしてくれ、しかもなおかつその場において気候変動に伴う災害激甚化などの影響について、防衛省・自衛隊としても災害派遣活動を通じて身をもって感じていると。自衛隊の任務に与える影響の観点からも重大な関心を持っている、そういった明確な意思表明というのがあったこと。そして、どのような環境下にあっても、国民の生命と平和な暮らしを守り抜くという任務を全うしなければならない防衛省・自衛隊にとって気候変動への適応は重要な課題だと認識をしているということ、そういったこともお話がありました。そしてさらに、これは大変喜ばしいニュースでありましたが、環境省としても環境省独自で再生可能エネルギーを環境省が持っている施設などでより導入することができないかということを、今関係の部局には指示を出しているところでありますが、防衛省からも再生可能エネルギーを活用できるような電力の調達について検討を始めたということがその場で報告があったことは大変喜ばしいと思います。引き続き更にまだ何ができるか考えていきたいと思っています。

(以上)

会見動画は以下にございます

https://www.youtube.com/watch?v=xaWB5zOpQWY