大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和元年11月5日(火) 9:18~9:31  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 まず、台風19号関連について一言申し上げたいと思います。台風19号に関連して、長野県長野市へ視察を河野防衛大臣と3日に行いました。市民、ボランティア、自治体、環境省、自衛隊、民間事業者が一体となって行う災害廃棄物の撤去活動である「One NAGANO」の現場を視察しましたが、自衛隊はじめ関係者の御尽力もありまして、撤去活動が着実に進展しているということを確認できましたし、環境省と防衛省の連携が新たなステージを迎えているなと、そういったことも強く実感できる象徴的な合同視察になったと思います。今後、その連携をより確かなものとしていくために、今回の活動を含めた災害廃棄物に関する連携事例を両省で検証、共有をして、両省間で発災時の情報共有の在り方、関係者の役割分担の整理、意見交換等を通じて平時からの連携を更に強化していきたいと思います。当日御同行された記者の方々は、あの場で河野大臣がマニュアル化をしていきたいという発言があったことは御承知だと思いますが、引き続きそれを具体化していくために、両省連携を深めていきたいと思います。長野県での災害廃棄物の撤去については、富山県が中心となって調整を行いまして、県内の民間処理施設で受け入れが決まりました。今後、富山市及び立山町などの調整により、富山地区広域事務組合の処理施設での広域処理、そして三重県及び愛知県の民間処理施設での広域処理も行う予定であります。市民の皆さんの身の回りから一日も早く災害廃棄物の撤去を進めるべく、年内を目標に生活圏内からの撤去の完了を目指して引き続き取り組んでいきたいと思います。
 次は、アメリカのパリ協定からの脱退通告についてであります。昨日、日本時間の本日未明でありますが、アメリカがパリ協定からの脱退通告を行ったことが発表されました。脱退の方針は2年前の2017年6月から表明されていましたが、今回正式に通告がなされたことは極めて残念であります。昨今、台風などの気象災害が頻発しており、気候変動が進めば、こうした災害リスクが更に増大することを考えれば、脱炭素社会の実現は喫緊の課題であります。その中で、世界が合意したパリ協定の枠組みから世界第2位の排出国が脱退通告をしたことは非常に残念です。かつてアメリカは京都議定書を批准しませんでしたが、京都議定書がなくなったわけではありません。パリ協定から今回アメリカが脱退したとしても、パリ協定はなくなりません。アメリカの方針にかかわらず、日本は引き続きパリ協定の締約国として6月に閣議決定した長期戦略に基づいて気候変動対策にしっかり取り組んでまいります。パリ協定は、国連気候変動枠組条約という条約の下での協定でありますから、アメリカはパリ協定を脱退した後も条約には残ります。本日のアメリカ国務省発表のプレスステートメントでも、アメリカはこのように、ちょっと文言を引きますけども、「引き続き気候変動の影響に対する強靱性の向上、自然災害への備え及び対応のためグローバルパートナーと協働していく。これまでにも行ってきたのと同様、アメリカは排出を削減し、世界の友人とパートナーに対して支援の手を差し伸べつつ、研究、イノベーション及び経済成長を続けていく」、このように述べております。条約の会議である来月のCOP25には、引き続きアメリカも参加をする予定ですし、COPの場で対話を継続することができます。また、トランプ大統領自らも、パリ協定から脱退したとしても排出削減の取組を続けると、そういう意思を表明していますので、引き続きアメリカとの対話を続けつつ、具体的な削減につながる行動をアメリカと協調し進めていきたいと考えております。
 最後に、COP25についてであります。COP25については、開催地がスペインのマドリードに決定をしました。当初の日程を変えることなく開催できることは、率直に言ってよかったと思っています。一方で、開催まで1カ月を切っている中で、開催費用の確保、会場の準備、その他様々な困難が想定をされます。COP25ではパリ協定の着実な実施に向け、残された課題を議論する予定であります。途上国を含む全ての締約国の着実な実施が、パリ協定が機能するために重要な要素であります。このような点をしっかり議論してもらえるように、日本としてもスペインでの会議開催について、今後、条約事務局に対して求められている中で可能な限りの支援をしたいと思います。聞いたところによれば、今回のチリからスペインへの会場変更等、そういった突発的なイレギュラーなことが起きたことによって、事務局側も資金面等様々逼迫している点もあると伺っていますので、そこに日本ができることをやっていきたいと思います。また、どこで開催されようとも、パリ協定に基づく市場メカニズムに関する実施指針の策定等に向けた国際的な議論を促進する上で、日本が果たすべき役割の重要性は変わりありません。しっかりとその役割を果たせるよう、万全の準備を環境省並びに政府一丸となって準備を進めてまいります。私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)時事通信の武司です。台風19号被災地の長野県の視察について、防衛省と連携を更に強化して発災直後の対応をマニュアル化するという話があったのですけれども、マニュアル化の狙いや意義についておねがいします。
(大臣)まず、この防衛省との連携は熊本の地震から深まったというふうに私も聞いています。そして西日本豪雨、これも更なる連携の深化につながり、そして今回の台風15号、19号での災害廃棄物の撤去での連携は今後、新たなステージに持っていく上でも大きな意義を与えてくれたものだと思いますから、私も環境省の中で、今後、防衛省との連携の中で何が可能性として具体的に考えられるかと、そのように議論もしました。その結果、環境省内でも、やはり今後の一つの課題は、いかに平時からこの連携を深めていけるか、それが今後の課題だということでありましたので、河野大臣ともお話をして、合同視察の実現、そして更にそれの具体化、そしてこの災害対応ということにとどまらず、今後、防衛省そして環境省、何ができるかを継続的に考えようと、そういったことで今後の連携の強化に私自身も期待をしています。

(記者)読売新聞安田です。アメリカの離脱についてお尋ねしたいと思います。日本としてこれからどういうふうな働き掛けをアメリカにしていくつもりなのか。具体的には例えば、協定に復帰するように説得していくとか、そういうことが考え得るのか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
(大臣)率直に言って、恐らくトランプ大統領に翻意を促しても、それは不可能だと私は思います。直近のツイッターをぜひ見てください。トランプ大統領の率直な思いがそこに表れていると思いますし、結構衝撃的です、いろんな意味で。そして、先ほど京都議定書の話もしましたが、アメリカはそもそも京都議定書は批准をしていません。今回は抜けるという形でありますが、京都議定書の時は途中でカナダが抜けました。そういったことがあったとしても、京都議定書はなくなることはなく、そして今のパリ協定につながっています。ですので、アメリカが抜けるということがあったとしても、アメリカがこの条約の中から抜けるということではありません。私もウィーラー長官ともお話を9月にニューヨークでしましたが、海洋プラスチック、そしてフードロス、様々環境関連の施策で前向きに取り組んでもらえる分野があると私も感じていますので、むしろ今後、アメリカの離脱の通告があったことで、来月のCOP25の重要性というのは、より重みを増したのではないかなと。これで、アメリカの離脱の通告が実際に効力を発揮するのは1年後でありますが、日本がこのパリ協定は揺るがない、そういったところに貢献できることは何ができるのか、しっかりと準備をしてCOP25に臨みたいと思っています。

(記者)TBSの守川です。実際の離脱は1年後ということで、アメリカの大統領選後ということになります。民主党の全国委員長名だったと思うのですが、今回の離脱通告を厳しく非難する声明を出されています。大統領選に向けて、党派対立の要素にこの離脱がなるのかどうか、この件についてどのように見ておられるか、おねがいします。
(大臣)選挙がもう1年を切る中で、党派的な対立が激しくなるというのは、民主主義国の中で万国共通の政治の現象だと思いますから、そこは我々が言うことではないと思います。ただ、いずれにしても、民主党、共和党を問わず、このパリ協定に向けた動きというのは、私は変わることはないと思いますから、今後、どのような政治情勢になっても日本がそれを見ながらやるということではなくて、日本自身、今回の台風についても気候変動の現実というのをまざまざと感じている方は多いと思いますから、むしろアメリカの離脱の通告があって、その他の国々、日本も含めて、より地球規模の課題に対して何ができるのかという貢献が更に引き上げられていく、そういったことにつなげていけるように、私たち日本自身も、より更なる行動が何ができるかを積極的に考える機会と私はしていきたいと思います。

(記者)時事通信の木田です。所管外で恐縮ですが、政府は1日、全ての国家公務員の男性が1カ月以上の育休を取得できることを目指す方針を発表しました。大臣も以前、育休について検討しているとおっしゃっていましたし、子育て世代の当事者のお一人として、今回の政府方針をどのように見ていらっしゃるいか、教えて頂ければと思います。
(大臣)ありがとうございます。私も以前から検討ということで言っていますが、この前の閣僚懇談会、そこで武田国家公務員制度担当大臣から、男性職員の育児休業等の取得推進に向けて取組を進める点についてお願いがあって、各大臣に対しても一層の協力について要請がありました。育児に伴う休業については、女性に比べて男性の取得率が極めて低いのが現状でありますから、これを高めることは男性の育児参加、女性活躍、ひいては少子化対策の観点からも極めて重要だと考えています。私としても必要な協力を行って、男性職員の育児休業等の取得推進に尽力をしていきたいと思います。省内でもこういったことについて何ができるか、実際に職員の方から声を聞きたいということで、今度、私とそういった職員の皆さんとの意見交換もちょっと企画をしていますし、私自身、もちろん一般にお勤めの方と、そしてまた公務員の方と、私の立場ではその取り方というのはおのずと違いますし、理解の得られ方も違うと思いますが、私としては何度も言っていますが、公務最優先、そして危機管理も最優先、ただその中でどういう形であれば国民の皆さんの理解を得られる形を実現できるか、私は前向きに考えていきたいと思いますし、省内でもそういう御協力が得られるように職員の皆さんの理解も得ながら臨んでいきたいと思います。

(以上)

会見動画は以下にございます

https://www.youtube.com/watch?v=YMqrHk8xT0w