大臣談話・大臣記者会見要旨

原田大臣記者会見録(令和元年8月27日(火)10:42 ~ 11:17 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私からは今日は何点か御報告、また皆さん方からも質問もあるようですけれども、しっかりお答えしたいと思っております。
 まず第1点目は、今日の夜から30日にかけてサウジアラビアへ出張する予定であります。サウジアラビアは次期G20議長国である、こういうことから環境分野における今後の具体的な連携について、環境・水・農業大臣等と意見交換をしてきたいと思っております。また、現地の日系企業との意見交換や廃棄物埋立処分場の視察を行う予定にしております。特に本年10月に我が国で開催いたしますG20資源効率性対話の機会にG20海洋プラスチックごみ対策実施枠組に基づくフォローアップ総会、私どもはあえて海洋プラスチックごみ総会と俗称しておりますけれども、これを開催します。この間のG20で、この問題については実施枠組を運用する、2050年には各国がゼロにするんだとという高らかな目標が安倍総理から発表されたところでありますけれども、それらをどうやって具体化するかというのはこれから話題になってくるわけであります。このことも10月には議論する予定であります。冒頭申し上げましたように、サウジアラビアは来年のG20議長国で、私どもは今年やらせていただいたところであります。謙虚に、私どもからすればこれを遂行するにどういう問題点があったかとか、私どもも今回の議長国として将来へ向けどういうことをお願いしたいということもしっかりまた議論してくる予定でございます。サウジアラビア国からも、私どものG20のときもそうでしたけれども、またその後の連絡の中で日本の先進的な技術や考え方、こういうことをぜひまたお聞きしたいと、非常にそういう丁寧な要請も来ておりますから、私どもはしっかりそれをできる範囲で果たしたいと思っております。特にサウジアラビアを含むあの地域というか、中東、アジア、アフリカですね。私どもも同じでありますけれども、廃棄物対策というのをそれぞれの国が非常に悩んでおります。この廃棄物対策、またどういうふうに埋め立て処分するか、こういうことについても強い御心配や悩みを持っておられるようですから、その辺は私どももしっかりまた取り組んでいこうと思っております。
 それが今日のあれですけれども、実はここで一言御報告をしておきたいと思います。先週私どもは石炭火力につきまして東京電力あてに要請文を出したところであります。長い話は無用でありますけれども、石炭火力はこれからの脱炭素の一番大事な要諦でもありまして、これから我が国がどういう風に石炭火力を処理していくのかと、また各電力業者について色々な要請があるようでございます。非常に大事な電源であることは間違いないわけですけれども、いずれにいたしましても、石炭火力は、多くの皆さんに強い決意で抑制について努力をしていただきたい。国会答弁でも全体としては相当抑制していかなければならないと述べています。さらには新設火力のアセスメントの時には、出来るだけ基準を厳しくして、守れないものは中止を求めるということを方針として出したところであります。国際的な動きも含めまして、できればそういう方向でやってほしいなと。正直言って東京電力さんとはかなり長い間、個別のものも含めて相談をしておりまして、それなりに努力をするということについては私どもしっかり把握をしております。ここで改めて、このことをしっかりお願いした方がいいかなということで、先週要請という形で行ったところであります。この方向で東京電力ないしは業界の皆さんに、そのことがしっかり御理解されればいいなと思っておりまして、そのことを御報告させていただきたいと思っております。私からは以上でございます。

2.質疑応答

(記者)日本テレビの岩田です。幹事社から一問質問させていただきます。昨日フランスで開催されていたG7が閉幕いたしました。成果文書では議長国のフランスが最も重要視していた地球温暖化対策について一言も触れられませんでしたけれども、この件について大臣から御所見をお聞かせください。
(大臣)昨夜に、一応これが終結したというところまでは伺っているところであります。私どもはまだつまびらかに報告を聞いているわけではございませんけれども、現在までのあれはG7の首脳間で気候変動、生物多様性、海洋について率直な意見交換が行われました。環境セッションの内容は議長総括の形で議長国フランスより公表される予定でありますが、現時点ではまだその内容を確認できておりません。安倍総理より環境と成長の好循環を加速化することの重要性やG20大阪ブルー・オーシャン・ビジョンなどG20の成果が説明され、それも踏まえた有益な議論がなされたと伺っております。今回の首脳間の議論を踏まえ、世界が一丸となって地球規模の環境問題の解決に向けた取組を一層前進させるよう引き続き全力で取り組んでまいりたいと思っております。このサミット自体は政治、経済、安全保障も含めて大きなあれでございますけれども、それについてはいろいろ今回のあれが終わって評価されるものと思いますけれども、環境分野については今申し上げましたようにフランスより一応議長総括と、公表されるというふうには聞いておるようでありますけれども、まだそこが具体的には伺っていないところであります。そういう意味では、私どもはこの会が非常に大事な会であったし、その結論に対して関心を持っているところであります。

(記者)環境新聞の小峰でございます。大臣が冒頭おっしゃっていました2点のうち、石炭火力の東京電力への要請ですけれども、この要請については原田大臣のフェイスブックで既に先週末公表されておりまして、私もこれを読みましたけれども、非常に石炭火力の抑制に対する強い気持ちが伝わりましたけれども、なぜ個別企業の東京電力に改めて要請したということをお聞きしたいと思います。
(大臣)確かに東京電力を相手に今回要請させていただいたところであります。東京電力は最大かつ日本を代表するエネルギー企業であるということから、今回要請させていただきまして、たまたま電力会社として懐が広いといいますか、非常に大きな分野の電源構成を誇っておられますし、その中で新設火力も含むいくつかのプロジェクトを持っておられます。様々な意味を込めまして、石炭火力の実施しようとするところ、また既に実施をしているところを含めまして、確かに東京電力を中心に数ヶ月前から慎重な議論をしてきたのも事実であります。国内でいくつかの中止案件が出されましたし、私も国会やら様々なところで石炭火力を抑制すべきだと言ってきました。私が言うばかりではなく、もちろん議会の側からも、またいろいろな関係者、運動体からも、諸外国の動きとしても、仏独英などはもう既に明確な期限を区切ってやっているとか、また、アメリカも事実上はそういう方向で動いていることがあります。いろんなことを踏まえながら、東京電力を含む各電力業者が、石炭火力を思い切り自主的に抑制するという決意をしていただくのが、日本の環境政策の上では、決して無駄ではないというか、むしろ大いに望まれると思っております。名指しでというのは、広く国民、また産業界へ要請するという気持ちでありますから、今回東京電力さんの今までのいきさつを結構長い間しっかり議論した上で、私の方からすれば、この際関係者として、胸の内をしっかり分かっていただきたい。こういう思いもありますから、このところの脱炭素への動きは当然日本も努力しなければいけませんし、同時に諸外国でも環境政策が国際会議で議論されているところであります。私の個人的な印象かもしれませんが、環境先進国としての日本も、もっともっと売り出すことも必要ではないか、こういう思いもありまして、今御質問がありましたけれどもそういう気持ちで検討した上で、こういう措置に至ったと思っております。脱炭素社会を作るというのは我が省、我が国の大きな目標でありますし、実質的に排出ゼロの実現を目指しておりまして、そのための一つのエポック、タイミングではないかと率直に思いました。

(記者)続いて環境新聞小峰です。具体的にお聞きしたいのですけれども。大臣フェイスブックを見ますと東京電力に対してCO2排出を抑えるということこそが切り札でありますと言っておりますので、当然東京電力の具体的な石炭火力の計画が大臣の頭の中にあると思うのですけれども、東電の石炭火力で言えば、横須賀の横須賀石炭火力、これが大臣の頭の中にあるのではないかと思います。ただ、横須賀石炭火力は環境大臣の意見を経産大臣にいったん上げて、経産大臣が総合的に判断して、一応、ゴーサインが出ているかと思いますけれども、このアセス手続が終わった石炭火力について改めて着工を、見合わせてくれと、言うようにこの大臣のフェイスブックの要請文は受け取れるのですが、そう受け取ってよろしいのでしょうか?
(大臣)議論の中ではそのようなことを言いましたけれども、懐が広いと先ほども申しましたが、電源構成については沢山のものを持っておられますので、仮に横須賀火力の話であればその運転開始が4年先とか5年先ということであります。しかしここで申し上げなければいけないものは、行政たるもの特定の施設に、ああしろこうしろという立場には全くありません、またそうするべきでもありません。ですからそういう意味では議論の過程では促したのは事実でありますが、しかし石炭火力というものを本格的に考えてくれと、私は率直な意見としては言わなければいけないなと。なお、手続的には着工に向けてアセスの手続は終わっていますから、そのへんはああしろこうしろという立場にはありません。全ては東京電力、さらにはそのことをお聞きになった内外の石炭火力の関係者が検討すれば良いことです。暗に求めるかということについては、考えの中にはあるのではないかと思いますけれども、事業者の側からすれば、色々な選択がある、そもそも要請といっても強制力があるわけではありません。お互いが付き合いの中でしっかり判断していただければ良いだけのことであります。東京電力、さらには広く電力業界、さらには産業界は、我々が考えて居るよりも懐が広いと考えています。

(記者)もう一つ関連して、今懐の広い東京電力とおっしゃいましたけど、火力発電については、中部電力との合弁会社JERAというのを作って、更に懐広くなっていますね。東京電力JERA、中部電力と東京電力の火力燃料部門が統合した、これもまた懐が広いですよね。東電に比べて。
(大臣)それぞれ多くの関係者がいますね。私からしっかり接触して、意のあるところは伝えているところであります。繰り返しますけれども、私がどれをどうしろという立場にはありません。皆様に、私としてはこういうことを考えている、ということは素直に訴えた上で、後は皆さん方の判断に任せると。そこについて、最大限努力するというお話については私は承っているところであります。どのみち少し時間のかかることでもありますし、また時代もどういうふうに受け取るか。一言だけ申し上げたいのは、この現下の環境政策の中で、今度のサミットで安倍総理も言われましたけれども、環境と経済は好循環だと。環境政策があるために厳しいコストだが逆にそれに乗り越えるようなイノベーションとか、研究開発とか、経営開発とかあるかもしれないし、あわせて、今やESGの社会だと。金融界でも今や率先してそういう環境対策に対して熱い思いを持っているわけですから、必ずや皆さんと乗り越えられると思っております。

(記者)熊本日日新聞の並松と申します。話題変わって、水俣病の特別措置法で実施された被害者の救済についてお尋ねします。私どもの報道なんですが、入手した資料で、当時、国が対象地域外とした山間部などでも一時金の対象となった方が相当数いらっしゃったということを具体的な数字で報道させていただいたところなのですけれども、それについて、まず、大臣の所感をいただきたいと思います。
(大臣)水俣法に基づく救済制度に関しまして、地域の線引きを行って対象地域を定めたことを疑問視する記事が見られたというのは私も承知しておるところであります。特措法の対象地域は、ノーモア・ミナマタ訴訟において裁判所が示した和解所見を基本に、訴訟をしなかった団体との協議も踏まえて設定されたものでございます。申請時に対象地域外にお住まいだった方であっても、暴露の可能性が確認されれば救済の対象とすることとされておりまして、関係県におきまして丁寧に審査されたものと承知しております。 環境省としては引き続き、関係県市と密に連携しながら、公害健康被害補償法の丁寧な運用に努めてまいりたいと思っております。

(記者)暴露の可能性が確認されれば救済するというようなことがありましたが、これだけ相当数の人が対象になったということは、そもそも暴露の可能性を被害者側が証明する手続そのものが必要だったのか、そういう線引きが必要だったのかというような疑問も出ております。先ほど和解所見の中で、協議も踏まえてということでしたけれども、当時の線引きの妥当性について、いかがお考えでしょうか。
(事務方)妥当性ということでございますけれども、先ほど大臣がお答えになったものの繰り返しになりますけれども、当時関係者と協議を踏まえて設定させていただいたものでございますので、それに基づき丁寧に審査をさせていただいたものということで、御理解いただければと思います。

(記者)テレビ朝日の島田と申します。よろしくお願いいたします。先ほどの東電さんへの御要望について、追加で伺いたいんですけれども、昨日、東電の小早川社長が柏崎市長を訪れて、柏崎刈羽原発の1号機から5号機のうち、1基廃炉のステップについて約束をしました。そのうち1~5号機と曖昧な表現になった理由としては、その他の電源について見通しが見えないからという説明でありました。今回の御要請がすぐに曖昧な説明に影響があったとは思えないんですけれども、こういった御要望が廃炉の計画やステップについて影響を及ぼさないために何か付け加える御言葉はありますでしょうか。
(大臣)今、東京電力と地元の皆さんがいろいろ接触されているというのを伺っているところであります。その上で、私の責任所管の問題もきちんと、やっぱり御報告しておかなければいけないのですけれども、エネルギーにつきましては、原子力政策やエネルギーの中で原子力等技術開発していく、これは、ほぼ専ら経済産業省が担当しているところであります。既に安全基準については、原子力規制委員会が担当しているところであります。 原子力規制委員会は、環境省の外局として設置されておりますけれども、極めて独自性の高い、国家行政組織法上の三条委員会として、専ら判断します。とりわけこれから個別の原子力炉をどうするかということについては、環境大臣はそういう意味では、それに対して関わる立場にないというのを、はっきりさせていただきたいと思います。私どもは、いわゆる原子力防災担当として、一般的な、また万が一のときの周辺の防災対策がしっかりできているかというようなことをやる立場におりまして、その防災対策の継続的な充実、強化を図っていきたいなと思っております。ただいまの御質問は、どちらかというと、また原子力の各個別の施設をどう運営するか、その前提として安全性をどうするかということのようでありますので、ちょっと私は、この場ではお答えできないということを、御理解いただきたいと思っております。

(記者)こういった御要望が火力発電以外の非化石燃料の電源を御要望ということで、そこで原子力のステップに影響がないように何か付け加えるとか、そういった原子力に対して利用しないようにといったコメントはあるのでしょうか。
(大臣)それも含めて、今のお話ですと、どちらかというと原子力政策、また、これをどういう開発をするかということでありますので、専ら経済産業省資源エネルギー庁の職分であるというふうに御理解いただきたいと思っております。

(記者)NHKの吉田です。話題変わりまして、ワシントン条約のことについて伺いたいのですが、昨晩の条約国会議の委員会で、コツメカワウソについて委員会の採択がありまして、この中で商業目的での附属書ⅡからⅠに変わりまして、国際的な商業取引が原則禁止される見通しになったんですが、日本としては採択で反対をしていたという報道もありますし、日本でコツメカワウソというとペットでも大変人気な動物かと思います。国内への影響は相当あると思うのですが、こういった委員会で採択が可決したことへの受け止めと、環境省としての今後の対応についての所感をお聞かせください。
(大臣)後でまた事務的な説明補足もあるかと思いますけれども、いきさつは今、御指摘の通りでございます。ワシントン条約第18回締約国会議が行われまして、コツメカワウソとビロードカワウソを附属書Ⅱから附属書Ⅰに移行する案が投票により可決されたことは承知しております。締約国会議の最終日に採択されることで確定することになります。その結果を踏まえ、今後国内の流通も規制すべく、種の保存法の国際希少野生動植物種への指定の手続を進めたいと考えております。あわせて、先ほどの科学的根拠に基づく個体数の動向などを客観的に判断して、最終的に反対票を投じたというふうに聞いておるところでありますけれども、一部の生息国からカワウソの状況は、附属書Ⅰに該当しないとして反対の表明があったところであります。コツメカワウソについては、インドネシアから附属書Ⅱ掲載のまま野生個体の輸出枠をゼロとする代案が提示され、わが国としては適切な管理を目指そうとする生息国の意思を尊重し、その代案の方に賛成したといういきさつがございます。この辺であれでしたら、もう少し詳しい御説明をしたいと思いますけれども、以上、私から御報告したいと思います。
(事務方)大臣が今、御説明いただいたことに補足させていただきますと、条約事務局の方から、各附属書改正提案について評価というものが出されておりまして、条約事務局の方としましても、このカワウソ提案については、附属書Ⅰの掲載基準、生態学的基準に合致しないとして反対すべきというコメントを出されています。それにつきましても、我が国として考慮して、投票行動に入ったということでございます。

(記者)もう1点補足で、私の聞き方も悪かったのですが、コツメカワウソはペットとしても人気で、取り扱っているペットショップや動物カフェなども最近増えているところだと思うのですが、こうした取引について原則禁止になると、規制が新しく加わると、取り扱うペットショップ、動物カフェとか、業者の間でも、登録などの制度をめぐって混乱を招きかねないと思うのですが、そうした業者への対応などというのは、今後どうしていくお考えか。
(事務方)これで締約国会議の最終日を迎えまして、この判断が確定した段階で、3カ月以内に種の保存法の施行令の改正をすることになっておりまして、種の保存法の国内取引に関する規制が発生します。ですので政府としましては、新たな規制について周知に努めてまいります。事業者もそうですし、一般国民の方々に対しても周知徹底を行いたいと思いまして、その点につきまして、マスコミの皆様の御協力もいただきたいと思っております。以上です。

(以上)