大臣談話・大臣記者会見要旨

原田大臣記者会見録(令和元年7月29日(月)15:42 ~ 16:05 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日は、私の方から発言することはありません。

2.質疑応答

(記者)幹事を務める毎日新聞の鈴木です。よろしくおねがいいたしします。幹事からの質問は1点で、先週25日にあった中環審のカーボンプライシング小委員会で、これまでの議論の中間的な整理をされました。まずはその受け止めを教えていただきたいということと、あと、今後の税制改正に向けて、環境省としてはどう進めていかれる予定があるかお聞かせください。
(大臣)先週25日に、おかげさまで中環審のカーボンプライシング小委員会において、約1年かけましてこの問題について取り扱っていただいたところであります。まずはその委員長さんをはじめとして、長きにわたり大変突っ込んだ御議論を委員の皆様にしていただきましたこと、心より感謝を申し上げたいと思います。委員会において、このカーボンプライシングの可能性については幅広い御意見を頂けたと、これまでにない貴重な成果であるなと思っております。今後さらにこの問題を深めていくということが必要ではないかと思っております。

(記者)環境新聞の小峰でございます。大臣、今のお答えでははっきりしません。来年度の税制改正や来年度の予算要求で、政治家としての原田義昭さんが決断するべきときだと思います。今年1年かけてやっていますけれども、その前にはカーボンプライシングのあり方小委員会をもう4、5年もやっているんです。そして、今回も中間整理は両論併記でしたけれども、両論併記だっていうことは、大臣に両論のうちのどちらかを政治的に選択してくれということです。政治家として逃げているんではないんですか。
(大臣)ただいま御報告、また御意見をいただいたところであります。非常に大事なところでございまして、政治家として、ないしは環境相として、率直に申し上げましてこの1年間の議論、そしてまた各界各層の御意見を踏まえて、私も、また私どももしっかりその意見を踏まえながらこれから取り組んでいかなければいけないと思っております。その上で、この問題についてそろそろ結論を出さなければいけないというのはそのとおりだろうと思っております。COP24も、またこれからもCO2、温暖化の問題、パリ協定をどうするかということについては、日本もこれから環境政策の旗頭の一人としてやっていかなければいけないと思っております。カーボンプライシングにつきましては、これは当然のことながら前向きにこれに取り組んでいかなければまずはいけないなと思っております。もちろん、税を賦課することがどういう形がいいかどうかというのは、これは当然議論をこれから進めていくことでありますけれども、私どもの当初の目的といいますか、考え方の中に、当然地球温暖化、さらにパリ協定、さまざまな環境課題があります。私はせっかく今回しっかりとした御意見、またさまざまな影響のものを踏まえて、これからしっかりまた環境省としての原案を作っていかなければいけないと思っているところです。当然のことながら、これから夏から秋にかけまして予算制度、さらに税制改革等も出ますから、その中において環境省がどのような選択をすべきか、これは一番大事なところであると思いますので、この問題についてはしっかり前向きに、積極的な立場でこれを取り入れるという方向で検討していかなければいけないと思っております。もとよりこれは大変な話でございます。経済界への影響とか、また、仮にこれが税という形になりますと、例えば得るであろう税を環境政策にどう活用するかということも含めて、これから少し目標を絞った、またより具体的な形でこのカーボンプライシングの検討を進めていきたいと思っております。もとより、当然のことながらこれは各省、さらには自民党を含め、政治の側と相談しながらいけませんけれども、まずは環境省がやっぱりこういう方向で行くんだ、行きたいんだということを出さなければいけないなと。かく言う私も、これから皆さん方の御意見もいただきながら努力していくつもりであります。

(記者)それに関連して、環境新聞の小峰です。年末に向けて税制改正のほか、予算編成ということもあります。今、大臣から政治家として非常に前向きな御発言をいただいたと思います。その御発言の中に、仮にこの税ができた場合は、その使途についてもいろいろ考えていきたいということでしたけれども、大臣は昨年の10月の就任以来、地域循環共生圏構想に並々ならぬ力を入れていおります。そういう意味で、もしこの税が実現した場合は、地域循環共生圏と何らかのリンクをした形で予算編成を求めていくと理解してよろしいでしょうか。
(大臣)今、特定の目的のこともお話しになりましたけれども、今、私ども環境政策は、例えば気候変動対策、海洋プラごみの問題、福島の再生の問題、国立公園、生物多様性の問題、さまざまな課題を責任を持って進めているということは皆さま御了解、御承知のとおりだろうと思います。今、地域循環共生圏のことも具体的にお話しになったところでありますけれども、いずれにいたしましても、これらの環境政策はこれからもしっかり進めていかなければいけないわけでありまして、政策というのは、当然のことながら予算ないしは税制等々様々な政策手段がございますけれども、いずれにいたしましても、私どもは環境省としてどうあるべきかということを、国際的な動きも含めてしっかりそこを見据えて、環境省として与えられたマンデート、何を環境省というのはやるべきかと、そこのところをやっぱり当然のことながら自らの原案を書いて、それを我々の国の政策として反映させたいと思います。今言われたように、非常に具体的にどうというところまでは、実はこの小委員会の報告をいただいたばかりでございますから。しかしまた、私どもは必ずそういう方向で頑張らなければいけないというのが私の考え方でございます。今、政治家としてというお話がありましたが、これはそういうこととは関係なく、まずは行政としての、また環境省としての態度をやっぱり示すべきときだと、これはもう当然そう思っております。

(記者)NHKの金澤と申します。従来から大臣に何回かお尋ねしている話ではあるんですけれど、福島県の除染土の再生利用について、これまで8年4カ月たちましたけれども、今のところ福島県の飯舘村で実証事業、前向きに取組が行われていますけれど、それ以外の自治体で具体的な動きが今見えてきていないと感じています。そこについては、進捗状況も含め、あくまで国の方針として再生利用をしていくのであれば、今の現状をどう受け止めているのか一言お願いします。
(大臣)この再生事業、実証事業は、これまでに閣議でもこれを決定していただいたところであります。最終処分量を低減するために除去土壌等の減容、再生利用を進めていくという方針はこれまでのとおりでございます。再生利用の際にも、当然のことながらその安全性について、これは実証していかなければ、住民の皆さんの御理解も含めて一番大事なことであります。現在、南相馬市東部仮置場及び飯舘村の長泥地区における実証事業と、今、必ずしも順調とは言いませんけれども、着々と検討が進められているところでありまして、その際に安全性はもちろん確保するのは当然としても、同時に減容化する、さらにはそれを再生利用するということ、これは大きな方針として私どもは堅持しておるところであります。当然のことながら、地元の皆さんの御意見、特に懸念されるところも当然あるわけでございまして、そのことについてもしっかり承知しているつもりでございまして、安全は間違いなく確保しているんだと。同時にやっぱり再生利用の必要性等をしっかりまた説明していかなければいけないなと。丁寧な説明を踏まえまして、また、今申し上げました安全性等のことについて、やっぱり住民の皆さんの御懸念を払拭するような努力が必要だと思っております。今、御質問のように、見方によってはまだまだ十分でないという御意見もありますし、また私どももそういうことが分かった上で、とにかく少しでも歩みを進めていかなければいけないと思っております。

(記者)関連してですけれども、安全性とか住民の理解という意味で、これまでいろいろ環境省でも取り組まれてきているとは思うんですけれども、安全性を理解するに至るまでの住民の基本的な価値観だったり正しい理解であったり、これは我々マスコミもきちんと伝えてきているつもりなんですけれども、うまく伝わっていない部分もありますし、いまだに国が言う安全とは何なのかが分からない当事者もたくさんいらっしゃいます。その中で、再生利用だけ、無理に政府の方針が決まったから進めるというのではなく、もう少し初歩に立ち返って、どこから始めれば住民の理解が得られるのかというふうに考え方を変えないと、これだけ住民の反対の声も多いし、再生利用と一言で言ったところで、何を担保に安全と言われているのか正しく理解できていない住民がまだまだ多い。特に福島においてでもそういう状況ですので、全国で再生利用となるといろいろな弊害が出てくると思うのですけれど、本当に抜本的に再生利用するのであれば、これまでの取組を見直して、国としての周知の方法であったりだとか、いかに住民の正しい理解につながるかという意味で、取組が必要だと思いますが、それについてどうですか。
(大臣)御指摘のとおりだろうと思います。安全性、これは基本的には科学的な水準というようなことが一番大事になろうかと思います。しかし、同時に、それ以外の社会的だとか心理的なものも含めまして、これは本当に住民の皆さまの真からの納得もどうしても必要なことだと思います。ですから、今おっしゃったように、説明の仕方、また安全性の考え方、その辺の手法も含めて、当然日々改善というか、日々努力していかなければいけないと思っております。

(記者)最後に関連してもう1点だけ。結局、原発事故が起きて、いまだにこれだけ価値観が違っている状況の中で、一方で再稼働が進んでいて、取材していて本当に思うのは、あの原発事故から何を学ぶのか。学ぶという意味では福島の人たちはいろいろ考えてはいますけれど、全国に及ぶと理解度も全然まちまちですし、原発事故で何が起きて、何が危険で、何が安全か知ろうともしない人たちもたくさんいますし、そういう人たちにこれから訴え続けていく必要が継続的にあると思うのですけれど、この再生利用についても、福島県外での最終処分についても、同時に国の方針が決まったからとか政府が決めたからではなくて、同時に一人でも多くの住民の理解を進めていかないと、決まったからなんとかなるとかそういう話ではなくて、結果的に決まらなければ福島だけが廃棄物を背負って、負担することになるというのは目に見えているので、それは福島の住民たちも気付いていますし、そこに対して環境省がどう責任を持って取り組んでいくのか、最後に大臣のお話を聞けたらと思います。
(大臣)最後は、今お話しのように、当然のことながら、住民の皆さんの御理解が必要でございます。ですから、方針が決まったからと言っているわけでは必ずしもございませんで、大きな方針ではあるけれども、まずは減容化をするために住民の皆さんの御理解を深化させるということ、このための努力は決して怠ってはいけないと思っております。そういう意味で、福島の皆さんがいかに、今までもそうでありますし、今後もそうでありますけれども、本当にどれだけ御苦労されているか、その辺のことにも、よく寄り添いながらというお話もございますけれども、本当に私どもは、そういうことも含めて、しっかり皆さん方の御意見も聞きながら進めていくということが必要ではないかなと思っております。私どもは今まで、この3年ほど経験もしてきまして、当然のことながら、皆さんの悩みがどこにあるかも大分経験を積んできているところであります。これからも皆さん方の御理解に少しでも沿えるように、私どもも努力していかなければいけないと思っております。

(記者)毎日新聞の鈴木です。よろしくおねがいします。カーボンプライシングの関連で1点お聞きしたいのですけれども、先ほど大臣の御発言の中で、環境省として態度を示すときだと思っているという言い方をされたと思うのですけれども、例えば、今後いつ頃をめどにとか、具体的なことは考えているのでしょうか。
(大臣)まだそこまでは考えていませんけれども、秋の、まあ私が入る前からでもありますけれども、いずれはこれについては結論を出さないといけないということについては、最初からのマンデートとしてあるわけでありまして、そういう意味では、いつ頃というところまではまだあれしませんけれども、多くの御意見、まだ相談しなければいけませんけれども、ただ、そのために8月の概算要求とか、また秋の税制改正とか、さまざまな折り目はあろうかと思いますから、そういうものを見ながら、やるならできるだけ早期にやらないといけませんし、もちろん、その過程で、当然のことながら御意見が出てきます。実は、その辺の御意見はまた今回までの中間取りまとめの中で相当な御意見が出てきていますから、一つ一つしっかりそれは私どもも考査しながら、しかし全体としては、一歩進めなければいけないという気持ちであります。いずれにしても、環境省がまずは責任を持って、予算の原案を作らなければいけないと。それから先は、国全体として、国民全体としての話でありますので、その辺はそれぞれ政治、行政、経済、こういうものを皆さんと相談していく必要があるかと思っております。

(記者)今の発言ですと、中間的な整理の中でも意見が集約されていない状況が続いていると思います。特に経済界や産業界が反発しているのは前から同じような構図だと思うのですけれども、そこについて現状を変える努力をしないと、なかなか環境省としても原案が出せないというお考えだということですか。
(大臣)いや、それぞれの皆さんの御意見は、今回大分伺いました。ですから、その上で、我々はやはり行政ですから、そこは行政として、国際的な動きも含めて、まずは何をすべきかというのは当然考えをそろそろ持たなければ、物は進みません。当然、皆さんの御意見を、小委員会でもそうだけれども、同時に行政として、政府としての考えが今の時期どうあるべきかというのは、全く私ども、これからのことでありますけれども、ただ、何もできませんというわけにもいきませんから、当然のことながら一歩、半歩進めるにはどうしたらいいか。それはやはり、私は環境省の中に考えがあるんだということを示さなければ物事が進まないかなという考えであります。

(以上)