大臣談話・大臣記者会見要旨

原田大臣記者会見録(令和元年5月21日(火)9:03 ~9:20 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

それでは、今日は何点か御報告申し上げます。
 まず一つは、先週でありますけども、5月18日に福岡市内において環境省主催による九州地域循環共生圏シンポジウムを開催しました。私も冒頭のごあいさつをさせていただいたところであります。このシンポジウムでは、九州地方の自治体、経済界等の幅広い主体に御参加いただき、地域循環共生圏の創造に向けた議論も深めることができました。これをキックオフといたしまして、九州地方の関係者との連携をさらに進め、また全国にも取り組みを広めていきたい、こう考えております。このシンポジウムには福岡県、また熊本県の県知事さんも御参加いただきましたし、また、ノーベル賞を受賞された名古屋大学の天野浩教授に特別講演もしていただいたということで、大変盛り上がったと伺っております。また、翌日には九州大学水素エネルギー国際研究センターを訪問しまして、九州大学の最先端の水素研究を伺ったところであります。さらに、環境省事業として東芝が大牟田市で建設中の、国内初の商用規模のCO2回収実証プラントの視察もいたしました。いわゆるCCUSと言われている、排出されたCO2を回収して、分離して無害なものにするというような極めて高度な技術でありますけれども、今後の地球温暖化対策において、非常に決定的な技術だと言われています。まだ各国、研究途上でありますけれども、そういう技術も視察をさせていただいたところであります。来月のG20に向けてイノベーションを起こすためにこのあたりの実態も視察させていただきまして、リーダーシップを取っていきたいと、こう考えているところであります。九州地方の地域循環共生圏を皮切りに、我が環境省の一番の中核として、外に向かってはSDGs、また、内においてはこの地域循環共生圏を各地区にしっかり広めることによって、環境行政をさらに総合的に推進したいと、こう思っているところであります。
 続きまして、昨日5月20日でありますが、廃プラスチック類の処理に係る通知を自治体に発出したところであります。内容は、産業廃棄物である廃プラスチックに係る都道府県独自の搬入規制等の廃止・緩和、排出事業者責任の徹底、不法投棄等の監視の強化、市町村の一般廃棄物処理施設への受け入れなどの検討を要請するものであります。併せて、廃プラスチック類のリサイクル施設等の処理施設の整備支援などの対策を講じてまいります。これらの取組により、国内の廃プラスチック類の処理の円滑化を図ってまいります。再三の話でありますけども、廃プラスチック類の処理が、日本のみならず地球全体の話、全世界の話になっております。従来、国内では当然のことながらできるだけ対応しているところでありますが、どうしても今まで余っていた部分というと語弊がありますけども、それを例えば中国を中心に輸出という形で出しておったところであります。しかしそれぞれの国等の情勢もありまして、これが出せなくなりました。しからば国内での処理対策を当然のことながら自分でやらないといけないわけですが、特に産業廃棄物の処理というのは、これは民間の事業者が原則すべきであるとされており、一般廃棄物、すなわち生活廃棄物はそれぞれ自治体が責任を持ってやると、大体そういう法律的な仕分けになっているわけでありますけども、特に都市部においては産廃施設がオーバーになっていまして、とても処理できないというようなことがあります。そこででき得れば自治体の管理する一般廃棄物の処理施設で少し処理してくれないかと、そういう要請がこのところ特に都市部を中心に目立ってきております。都市部は都市部で、まずは自治体の処理分をきちんとやることが自分たちの仕事でありますから、あまり余裕がないというのも現実ですが、昨日の通知によりまして、できればそれぞれの地域の特殊性に応じまして、産業廃棄物を一般廃棄物の炉で容量があればぜひ手伝ってほしいと、こういう状況があります。そこでそのことも含めて、この際にしっかり産業廃棄物の処理、また一般廃棄物の処理について、各自治体に私どもの考え、希望を述べたところであります。今日の報道でもだいぶその辺のことは伝わっておりますけど、いずれにいたしましても、私どもからすれば、廃棄物というのは何といってもこれは結局は自分で処理するということが当たり前のことなんですけども、従来は外に持っていって処理というふうな、そういう方法もあったわけですが、時代の流れで国内での廃棄物対策の強化をこれからやっていこうということであります。差し当たり昨日は、私どもから自治体の皆さまにしっかりまた応援もお願いしたと、こういう趣旨でございます。
 それから、3点目でございますけども、平成30年は記録的な酷暑でありました。熱中症予防対策の強化は喫緊の課題となっております。そこで、今年度新たに、熱中症発症者数の増加が見込まれる5月から9月まで、夏の熱ストレスを一人一人の工夫で低減できる暑さ対策として、暑さ指数の低減効果が比較的高い日傘の活用を推進してまいりたいと思います。具体的には、昨年夏に首都圏で行った計測で、暑さ指数が日向に比べ日傘をさすと最大3℃程度下がる効果があるというふうに研究も進んでおります。そのため今回、日本百貨店協会および日本洋傘振興協議会と連携いたしまして、全国の百貨店において日傘による暑さ対策を呼び掛けることとしております。詳細はお手元の資料を確認ください。日本では、女性は大体日傘ということで慣れておられるようでありますけども、男性にはなかなかその文化が伝わっておりません。今日はそういう意味で、この日傘の活用というのをしっかり訴えたい、私が似合うかどうかは別としまして、こういう日傘を勧めたいと思います。報道の皆さまも中心になりまして、ぜひまた国民の皆さん、何といってもこの暑さ対策、熱中症対策を進めていければいいなと思っております。取りあえず私からは以上3点でございますけれども、また御質問があればと思っております。

2.質疑応答

(記者)テレビ朝日の広瀬です。よろしくお願いいたします。産廃プラスチックについてなのですけれども、通知にも書かれていましたが、中国の輸入禁止措置以前は150万トンほど輸出していたのが、それ以降は100万トンほどになってしまったということで、単純計算だと50万トンプラスで処理しなければいけなくなったということだと思います。新しい規制が発効後はさらに増えていくという予測だと思いますが、そういった新たに処理しなければいけないもののうち、どの程度昨日の通知のアクションによって処理できると考えているのか教えてください。
(大臣)まさに私どもが心配しているところはそこであります。通知はお願いベースということでありますけど、いずれにしましても御指摘の通り、今までは余った部分は外で買っていただいたということがあったのですけども、これからは、日本ばかりじゃありませんけども、当然自らの国内で処理するというのは当たり前の時代になってきます。特に自治体の焼却炉活用について、処理量の見込みについては受け入れ可能な自治体の数やその処理能力によることから、ここではこれだけ処理するというようなことは、お示しするということはなかなか困難であると考えております。環境省としては、廃プラの処理の円滑化に向け、今後の状況を注視しつつ、必要に応じてさらなる対応を検討していくということでございます。それぞれの地域、自治体の特殊性に応じて、都市部ではどうしても産業廃棄物が非常に多くなっておりまして、地域の、また近くの自治体でうまくそれをマッチングできればありがたいなと思っております。必要に応じて、私ども環境省としていろいろ調整をお願いするということもあろうかと思いますけれども、まずは今回の通知で、それぞれの地域の皆さんが独自の立場で調整をするということをお願いしようと思っております。

(記者)もう一つ御質問させていただきたいのですけれども、プラごみに関しては処理やリサイクルも大事だと思いますが、発生を抑制することも大切な一つだと思うのですけれども、これまでレジ袋の有料化などさまざまな施策を進めてきてらっしゃると思いますが、例えば、2021年1月までにはレジ袋を有料化するなど、他に発生を抑制するプランや施策などを考えていらっしゃればお願いします。
(大臣)まさにこれはプラごみに限らず全ての資源に関係するんですけども、要するに私どもが貴重な資源を活用するに当たって、3Rというのは、これはもうどこの事業においてもしかるべきであろうと思います。プラスチックの問題についても、資源循環戦略ではリデュースに関し、2030年までに累積で25%の使い捨てプラスチックの排出抑制を目指すということをそこでは盛り込んでおります。ただ同時に、一般的な遠い目標のみならず、実際に足元で何をすべきかということを当然考えなければいけないと思っております。レジ袋の有料化等も含めまして、今さらに具体的な方策について考えているところでございまして、G20までいよいよ1カ月を切ったところでありますので、それに向けてどういうものが皆さんに提示できるかということを今最終的に考えているところであります。いずれにいたしましても、広い意味ではリデュース・リユース・リサイクル、また、どうしてものときはしっかりと熱処理をするという、その流れの中で今回の通知も位置付けられるわけでありますけども、いずれにしましても、これはゆるがせにできない極めて大事な問題だと考えております。

(記者)日本経済新聞の安倍でございます。廃プラの関係で昨日通知を出されましたけれども、自治体の中には会見などで首長が、受け入れる自治体も厳しいんだと言っているところも幾つかあるようです。通知を出しただけでは自治体も本当にそれで動くのか疑問に思います。もう一歩促すために、ただ単に出すだけでは物足りないのではないかと思いますが、動いてもらうためにさらに考えていることがあれば教えてください。
(大臣)おっしゃる通り、当然のことながら、自治体の皆さんからすれば、まずは自分のところのいわゆる一般廃棄物をどうやってきちんと処理するか、これが一番大事な仕事であります。ですから、あくまで私どもも余力があれば話し合い等をやらないといけないなと、こう思っております。昨日のは第1弾でございましたから、その上で、それぞれの地域の実情、また廃棄物処理業者の立場も踏まえながら、今後、例えば市町村や一部事務組合において受け入れがさらにできないかということも含めて、環境省の立場としても乗り出すこともあると思います。差し当たりは昨日の指示に基づいて、それぞれ解決策を見いだしていただくことが大切だと思います。当然私どもも、場合によってはお願いに行くということもあると思います。

(以上)