大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣COP30現地ぶら下がり (令和7年11月23日(日))

1.発言要旨

本日これから、帰国の途に就くためCOP30の会場を後にします。全ての文書が採択されていない中で帰国するのは大変心残りですが、本COPで世界の気候変動を前進させるという私の意思は、日本政府代表団に伝えているところですので、この後、無事に文書が採択されることを期待しております。世界で地政学的に困難な状況が続く中、ゆらぐことなく、1.5度目標の達成に向け各国が連携する、その政治的意思を確認することが、今回のCOPの最重要目標と考えて交渉に臨みました。私自身、バイ会談も含めて多くの国の閣僚らとひざ詰めで議論をし、本音で語り合いました。様々な意見がぶつかり合う中、全ての国の合意を得るのは容易ではないと痛感しましたが、一方で、各国は合意を目指して精力的に交渉に臨んでおり、多国間連携は機能していることも認識したところであります。また、到着後のハイレベルセグメントにおけるステートメントでは、国際協力による確実な削減や国際ルールの形成への貢献について発信し、それらを含む政策をパッケージとして、「日本の気候変動対策イニシアティブ2025」を発表しました。我が国としては、本COPでの合意に向け引き続き最大限努力を続けるとともに、パリ協定の着実な履行に向け、取組を一層進めてまいります。
私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)NHKの黒瀬と申します。
今回の最終の合意案で、化石燃料のロードマップは特に入っていなくて、一方で適応の目標の方は数字が盛り込まれた。そこについて受け止めを教えてください。
(大臣)適応の指標については、我が国としては、世界全体の進捗を図る観点から、バランスが取れたものとなるよう、主導してまいりました。熱心に交渉を進めていると承知しており、世界全体の適応の努力を促進する合意が得られることを期待しているところです。
(記者)化石燃料のロードマップの方は特に。
(大臣)ロードマップについてはまだ最終的な合意に至っていないので、ただ載らないのではないかと交渉団から聞いているところです。
(記者)それについて受け止めを一言いただいてもよろしいですか。
(大臣)これは色々な国々の立場がありますので、特に石油産油国の方々もそれに対しては非常に難しさを感じていらっしゃるので、そういうことも配慮しながら、世界全体で合意を形成して、やはりパリ合意の1.5度を(達成するため)、しっかりとNDCなども出しながら、そしてフォローアップもしながら実施をしてくということが必要だという一番の肝のところに取り組む中で、そういう形になったのだと私は推測しています。
(記者)今回長期間滞在されていましたけれど、今回参加されてみて、この会議を通じて気候変動対策が前進したかどうか、その辺の所感はいかがでしょうか。
(大臣)COPは世界全体で気候変動対策を進める上で非常に重要な会議です。各国の大臣と膝詰めで議論を行っており、閣僚級の会議にも参加して、忙しいなかで日程をこなしてきました。本当に充実した滞在でありました。私は間違いなく、このCOPを行うことによって、一歩一歩気候変動(対策)のためのいろんな試みが前に進んでいると確信しております。

(記者)共同通信の竹岡と申します。日本政府として今回の成果文書案をどこがポイントだと認識して、そこを日本政府としてはどのように評価されていますでしょうか。
(大臣)まだ成果文書はできていないので、一概に言うことはできないのですが、今までの議論の中では、緩和の部分で明確に1.5度目標を堅持されることが、引き続きしっかりと押さえられているところだと思います。そして適応については先ほど質問がありましたけれど、適応の指標について、これもまだ決定していませんけれども、いくつかの指標が採択されていく形になりますので、今まで適応の指標はありませんでしたから、一歩前へ進んでいるという認識でいます。
(記者)適応で主に途上国支援の資金を3倍という目標が入りましたけれども、日本政府としてはこの目標について、どう乗っかっていけるのか。
(大臣)そのこともこれから採択されますので、その採択の中身を見ていただいて、その点についてはまた帰国して閣議後会見などで質問していただければと思います。今の段階でコメントは控えたいと思います。確定されていないので。

(記者)朝日新聞の福地です。先ほども話が出た化石燃料からの脱却の行程表策定に関しては、コロンビアなどがそれは絶対に必要だという主張をされていたのですけれど、日本政府としては交渉の中でどういった主張をされていたのでしょうか。
(大臣)そもそも、コロンビアは御存知のように化石燃料からの移行に関するベレン宣言というものを送付されていることは承知をしております。例えばルラ大統領もそういう思いがあられたような話も聞いておりますが、実際には宣言の中で私の認識では載っていないということではないかと思います。先ほど少しお話をしましたが、やはり過去からもそうですが、特に産油国の方々はそのことに対しては非常に懸念を持たれているということで、そういうことがあるんだろうと思います。
(記者)政府としては公的に策定をするという言葉が合意文書に入ることに対しては慎重になったとか反対したとかその辺りはいかがでしょうか。
(大臣)そもそも、そのことが合意文書の俎上に載っていないんですね。最終的なものには載っていないので、載っていないことに対してコメントは控えたいと思います。
(記者)今日まだプレナリ終わる前の帰国となるわけですけれども、改めてこのタイミングで帰国する必要がある理由を教えていただきたいです。
(大臣)これは申し訳ないのですけれども、国会日程もあって、帰国したら翌日に環境委員会で所信質疑をやるのですが、もう既に今週は各委員会で大臣の所信質疑をしておりますので、1週間以上国会の方も、国対の御理解もいただいて、出張させていただいたので、補正予算もこれから12月に入ったらありますので、国会のスケジュールがなかなかタイトなので、これからプレナリ始まりますけれども、一つ一つ採決されますが、この場で帰らざるを得なくて非常に心残りではありますけれども、先ほど言ったように交渉団には私の思いを伝えておりますので、これから帰国させていただきます。
(記者)所信は月曜日ということですか。
(大臣)所信は火曜日です。飛行機が結構(時間が)かかるので、今日出ても着くのは月曜日の夜なんですよ。
 
(記者)日経新聞の井田です。今回の文書、これから採択される文書全体を通して、大臣としては内容を評価されているか、評価されていないかで言ったらどちらでしょうか。
(大臣)私は先ほども言いましたけれども、しっかりと1.5度目標について野心的なサイクルを回していくという文言も入っていくのではないかと思いますし、また適応の部分では指標というものも全てが合意をしているというものではないとは思いますけれども採択されてくるのではないかと思いますので、これは一歩一歩進んでいるということで評価したいと思います。

(記者)読売新聞の大月と申します。気候変動分野で、なかなか日本のプレゼンスが見えないといいますか、やはりそういった指摘も多く聞かれていて、私も海外メディアを見ていて日本が指摘されることの分野はほとんどないというふうに受け止めています。そのことについてどのようにお考えでしょうか。
(大臣)これはどこのメディアかというのもあると思うんです。ヨーロッパなのかもしれませんが。ただ私が会ったインドの環境大臣や、ASEANの皆様からは、JCMやAZECについて高い御評価をいただいているので、記者さんが言われているのはどこの国でどういう評価なのか私は認識していないので、私はそれなりにちゃんと色々な国に評価をいただいているのではないかと思います。
(以上)