大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣閣議後記者会見録 (令和7年11月11日(火)9:40~10:02 於:環境省第一会議室)

1.発言要旨

私の方から2点、報告をさせていただきます。
まず、クマ対策について、自治体のニーズを踏まえた追加的なクマ対策として、専門家を出没地域に派遣し、自治体や地域住民に対してクマの出没対策等の指導・助言を行う事業を実施します。例えば、誘引物の管理や緩衝帯の整備などの指導や助言を想定しています。
派遣については今月のできるだけ早い時期に開始するよう指示しました。また、先週7日には長野県飯山市において、改正鳥獣保護管理法に基づく緊急銃猟制度に関する現地研修会を開催しました。本研修会には、飯山市以外の自治体職員等を含む、総勢146名が参加し、大変有意義だったと聞いています。環境省では、引き続き、全力でクマ対策を進めてまいります。
続きまして、COP30への出席について、昨日からブラジルのベレンで開催されていますCOP30に、私も参加いたしますので、報告いたします。来週17日に日本を出発し、2週目から始まる閣僚級会合や各国閣僚等とのバイ会談等を行う予定です。今回のCOP30は、2015年のパリ協定が採択されてから10年の節目に当たります。改めて、多国間主義に基づく世界全体での脱炭素の取組を進めることの重要性を訴えてまいります。中でも、1.5度目標の達成に向けた気候変動対策の強化は急務です。全ての国が野心の高いNDCを提出し、我が国と同じく、着実に排出量の削減に取り組むことを求めてまいります。また、我が国の国際社会への貢献を世界に発信してまいりたいと考えております。JCMの推進やASEAN諸国等との脱炭素型経済成長に向けた協力などを、ジャパン・パビリオンを始め、様々な場面でアピールする予定です。これらを通じて、気候変動分野での力強い外交を達成できるように積極的に交渉をリードしてまいりたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)おはようございます。時事通信の吉田です。
今発言がありましたCOP30への出席についてお伺いします。就任後初めての国際会議への出席となりますが、改めて大臣の意気込みを教えてください。また、1.5度目標の達成がやや危ぶまれる中で、日本政府としてどのように交渉に臨むか。バイ会談で特に重要視している国があるかどうか教えてください。お願いします。
(大臣)少し重なるところもありますけれども、気候変動は人類共通の待ったなしの課題であります。世界各国が連携して対応していく必要があります。COP30では、改めて、多国間主義に基づく世界全体での脱炭素の取組を進めることの重要性をしっかりと訴えてまいりたいと思います。我が国の国際社会への貢献をしっかりと発信してまいりたいと思います。また、1.5度目標の達成に向けた気候変動対策の強化は急務です。全ての国が野心の高いNDCを提出し、我が国と同じく、着実に排出削減に取り組むことを呼び掛けてまいりたいと思います。バイ会談については調整中ではありますけれども、G7各国や中国・インドなど、多くの国の閣僚と膝をつき合わせて議論し、気候変動対策を前進できるように積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
 
(記者)読売新聞の児玉と申します。よろしくお願いいたします。
先ほど冒頭発言にもありましたクマ対策について、専門家を地域に派遣をするという話がありましたけれども、こちらどのような施策を行うか、先ほど具体的な事例がいくつかありましたけれども、もう少し詳細に伺えますでしょうか。
(大臣)クマ対策は、前にも閣議後記者会見でお話ししましたけれども、各自治体から意見を聞いている中で、やはり出没をさせない対策みたいなことをぜひ教えてほしいというような、そうしないようにするような話を聞かせてほしいということで、そういうこともしっかりと伝えられるような専門家を、学識経験者や民間のコンサルタントなど鳥獣保護管理に関する知見や経験を有する方を派遣していきたいと考えています。
(記者)派遣する範囲等はどのようにお考えでしょうか。
(大臣)できるだけ多く派遣したいと考えております。詳細については、ぜひ事務方の方に御確認いただければと思います。
 
(記者)NHKの後藤です。
冒頭に発言がありましたCOPについてお伺いさせていただきたいと思います。ブラジル、ベレンでCOPが開幕されましたが、未だに宿泊費の高騰への懸念の声が上がっていて、一部の国や環境団体から宿泊先を確保できないといった声も上がっています。COPは多くの国や企業が参加して、世界全体で温暖化対策についての議論をする場だと思うのですけれども、こうした懸念の声に対してどう受け止めていらっしゃるかをお伺いしたいのが1点でございます。もう1点、追加の御質問なのですけれども、COPの中で、先ほども緩和とか適応について議論されたいということをおっしゃっておられましたけれども、この中でタイとの2国間クレジットの内容などについても御発表するというような報道もありましたけれども、具体的にどういうところを、日本の取り組みをPRしたいかというところについてお伺いしたいと思います。お願いします。
(大臣)1点目の宿泊費の問題ですけれども、COPのように世界各国から多くの参加者が集中する国際会議では、開催地の宿泊費の高騰は避けがたい部分があります。加えて、今回の開催地は、深刻な熱帯雨林の減少について発信するため、アマゾンのベレンが選ばれたという理由があります。例年より宿泊施設の少ない都市での開催となったため、宿泊費がかなり高くなっているということだと思います。ブラジル政府も対策を講じられていると認識しております。その対応策としては、交渉での主要セッションやパビリオンでの各種イベントは、ライブ配信やオンデマンド視聴が予定されています。こうした方法により、現地参加が難しい場合でも、最新の動向や議論の状況を把握できる環境は確保されていると承知しています。また、私自身も、環境省自体でも、積極的に発信をしてまいりたいと考えています。タイとのJCMに関する報道については、この度、我が国とタイの決定により、タイで行われた水上での太陽光発電事業による温室効果ガス排出削減量の一部を、パリ協定6条に沿って、日本の削減分として、初めて国連に報告できることになりました。私自身も、JCMにおいて、このような初の事例が実現することは大変喜ばしく思っているところであります。また、COP30においても、JCMパートナー国会合を開催する予定であります。これらの成果を世界に発信し、31のパートナー国を始めとする世界各国に、脱炭素に向けた協力を呼び掛けてまいりたいと考えています。私からは以上です。
 
(記者)日本経済新聞の井田です。よろしくお願いします。
私からもCOPに関連して2点お伺いしたいと思います。まず1点目なのですが、今回のCOPでは温暖化ガスの削減、また気候災害への対応とともに、その途上国に対する資金支援も大きなテーマとなります。日本はこれまでも先進国の1つとして、資金を途上国に対して支援を続けてきましたが、今回のCOP30で、大臣として気候資金についてどういったような議論をしていくことを想定されているのか。特に先進国だけがその資金を出していくという枠組みについて、大臣はどのようにお考えなのかというのをまず1点目お願いします。
(大臣)気候(変動)対策に、資金が重要な役割を果たすため、我が国は、国際社会の一員として、途上国への支援を継続してまいりたいと思います。一方、交渉においては、先進国の公的資金のみならず、先進国以外の国による支援や民間資金の活用が重要であることを訴えて、認識を共有してまいりたいと考えております。
(記者)ありがとうございます。2点目なのですけれども、日本時間で言うと今日の深夜、現地の11日のお昼に、グローバル循環プロトコルが日本パビリオンで発表になると聞いております。日本の環境省も含め、日本企業等が参加して、循環経済に関する国際的な開示の枠組みができるということを聞いているのですけれども、改めて大臣としてこのGCP、日本が関わったこういう国際ルールが出ていく意義というか、重要性をどのように大臣はお考えになっているか、御所見をお願いします。
(大臣)GCP、グローバル循環プロトコルの概要を説明させていただいて、私の所見を述べたいと思います。資源循環に関する企業の取組を評価・開示するための国際標準を目指して開発が進められている、グローバル循環プロトコル、いわゆるGCPの初版が、日本時間12日のCOP30のジャパンパビリオンにおいて公表される予定であります。これは、世界的な経済団体のWBCSDが開発してきたものであります。環境省は昨年、同団体と協力覚書を交わして、産業界や関係省庁とも連携してGCPの開発に協力してまいりました。これまで資源循環分野では存在しなかった企業の包括的な評価や情報開示の枠組みが、今回初めて示されるものであります。国際的な資源循環の進展にとって、大きな一歩であると評価しております。今後、企業の現場で活用いただきながら、改善につなげてまいりたいと思います。環境省としては、引き続きWBCSDと連携し、更なるGCPの発展と、資源循環分野の情報開示に関する国際ルール形成に貢献してまいりたいと思います。循環経済とか気候変動、特に気候変動とかネイチャーポジティブ、生物多様性では、欧米を中心にTCFDとか、TNFDとか、進められてきましたけれども、循環経済のところで、日本がかなり関与してGCPをまとめられたことは、私は大変有意義なことではないかと思います。ある意味での国際ルールを形成していく中で、日本が大きな役割を果たしているということは、私は日本外交にとっても非常にプラスなのではないかと考えております。
 
(記者)熊本日日新聞の高宗です。
ちょっと話題が変わるのですけれども、水俣病のことについてお尋ねさせてください。先週、水俣病の被害者団体側から、教科書の記述に水俣病の被害を矮小化するような内容があるので、改善してくださいという要望が提出されていると思います。まず、こういう記述が教科書に載っている現状についての評価と、環境省の対応について教えてもらってもよろしいでしょうか。
(大臣)御指摘の要請書については受け取っております。内容については、事務方において文部科学省にも連絡を図りつつ、確認しているところです。いずれにせよ、水俣病に関する正しい知識を伝え、差別・偏見をなくしていくことは非常に重要であり、環境省としてもこれまで必要な支援等を行ってまいりました。さらに、令和8年度概算要求には、更なる啓発のために必要な予算を盛り込んでいるところであります。
(記者)文科省と連携して、改善に向けて動くという理解でよろしいでしょうか。記述の改善に向けて動くという考えでよろしいでしょうか。
(大臣)まずは文科省と連携しながら、要請書の中身の確認をさせていただいているところです。
(記者)ありがとうございます。もう1点なのですが、先週の4日に熊本県知事と面会を大臣はされていると思うのですが、その際に必ず水俣に行くということを知事に発言されたというふうに、熊本県知事のぶら下がりで知事が説明されています。この趣旨なのですけれども、犠牲者慰霊式に出席したいという意味なのか、それとも被害者団体と、その前にでもお会いしたいということなのか、この発言の趣旨について教えてもらってもよろしいでしょうか。
(大臣)来年は水俣病が確認されて70年ですから、慰霊式典の方は間違いなく行かせていただきます。まだ細かな日程は確定していません。ただ、そういうことも含めて、70年目を迎えるということで訪問させていただきたいというようなことを、知事にはその話をさせていただきました。知事の方からは、前浅尾大臣が被害者団体の皆様だけではなくて、経済人の方とも会われたみたいなのでぜひもう1度、石原大臣も被害者の団体の方プラス、そういう経済人の方とも会ってほしいという御要請がありました。それも含めて、日程は確定していませんので。
(記者)最後、少し大臣の発言がちょっと聞き取れなかったので、確認なのですが、先ほど犠牲者慰霊式には必ず行くとおっしゃられたのでしょうか。
(大臣)まだ確定はしていませんが、来年は70年の節目ですから、間違いなく参加をするということになると私は思っています。
 
(記者)共同通信の鈴木です。
また、話題をCOPに戻してしまいます。まず1つは、冒頭発言に関して御確認させていただきたいのですが、17日に日本を立たれて現地入りするのは何日になるか、今のところ予定があればまず教えてください。
(大臣)18日に着いて、日経のイベントに出て、すぐに着いた日に閣僚ステートメントを3分間英語でやらないといけないと聞いております。
(記者)もう一つは、COP本体に先立って、先週開かれた首脳級会合で、金曜日の時点ではTFFFをお伺いしましたけれども、その後、持続可能燃料を4倍にするという目標にも日本が、提案側でされたと思います。それに関して、その2つの日本が参加する新たなイニシアチブについて、森林の熱帯雨林基金の方は、賛同するけれども、お金は今のところ出しませんと、先週金曜日御説明いただいた内容に対しては、賛同するのになんでお金を出さないんだという指摘が届いていたりですとか、サステナブル燃料の方は、日本も提案しているのに、首脳級会合、外務省の大使も参加されていましたけれども、首脳級の参加がなかったということで、その辺どうしてなんだという声が届いておりまして、御説明いただける範囲で、その辺の背景を教えていただければと思います。
(大臣)「持続可能性燃料4倍宣言」は、ブラジル政府が提案した宣言であります。COP30の首脳級会合が開かれた11月7日までに、我が国を含む計19か国が支持を表明したと承知しております。本宣言は化石燃料からバイオ燃料や水素等への転換により、輸送分野等における排出削減の手段を広げるものです。現実的なエネルギートランジションという観点から、我が国としても支持をしております。資金の面はお答えできないです。
 
(記者)共同通信の松本です。
またクマ対策に戻ってしまうのですけれども、今回冒頭発言にあった、自治体へクマ出没対策の専門家を派遣することを通じて、現状この過去最悪となっている、クマによる人身被害をどのように、改めて防いでいきたいという考えなのかお伺いできればと思います。
(大臣)まだお話できないのですけれども、かなりクマ被害対策パッケージの議論も大詰めを迎えていますので、内々にこの進捗を聞いている中では、それなりの施策が揃ってくるのではないかと思います。その施策を確実に実施して、今年のような史上最悪の死傷者が出るような状況を、来年は回避できるように、関係省庁が力を合わせて取り組んでまいりたいと思います。
(記者)専門家の派遣事業というのは、初めての試みになるのでしょうか。
(大臣)今までも必要に応じてやってきましたけれども、しっかりと今後、できるだけ多く実施してまいりたいと考えております。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=ILaz56-I-bQ
 
(以上)