大臣談話・大臣記者会見要旨
COP30閣僚級セッション 石原宏高環境大臣ステートメント
(はじめに)
○議長、ありがとうございます。COP30の開催に尽力されたブラジル連邦共和国に感謝申し上げます。
○ここ、ブラジル・ベレンの周辺には、トメアスの日本人が作り上げてきたアグロフォレストリーや、日本の群馬県からブラジルに移住した方々が育んできた「アマゾン群馬の森」があります。
○気候変動対策はすぐに結果が出るものではありませんが、国、地方政府、地域社会など様々な主体が協力する息の長い取組が必要です。これらの取組にはまさしくMutirão(ムチラォン)の精神が息づいています。
○パリ協定採択から10年を迎える中で、改めて、多国間主義に基づく世界全体での脱炭素の取組を進めることの重要性を強調します。
○昨年、世界の平均気温は工業化以前に比べて1.55℃上昇しました。極端な気象現象が頻度を増し、災害も激甚化しています。気候変動は、人類共通の待ったなしの課題です。パリ協定の目指す1.5度目標を達成するためには、国際社会が団結して取り組まなくてはなりません。
(緩和(国内の取組))
○議長、我が国は、2050年までにネット・ゼロを実現するという目標への我が国の揺るぎない決意を改めて表明します。
○本年2月、我が国は、1.5度目標に整合的で野心的な目標として、2013年度比で2035年度に60%減、2040年度に73%減を目指す新たな「国が決定する貢献(NDC)」を提出しました。実際、2023年度までの10年間で約27%の削減を達成しており、着実に歩みを進めています。
○我が国は、脱炭素、経済成長、エネルギー安定供給の同時実現を目指すグリーン・トランスフォーメーションを推進しています。このため、徹底した省エネ推進、ペロブスカイト太陽電池等GX製品のサプライチェーン構築支援、排出削減が困難な産業におけるエネルギーや製造プロセスの転換支援等を通じて、10年で150兆円超の官民投資の実現を目指しています。
○気候変動対策、生物多様性保全の両方に貢献する持続可能な森林経営と木材利用やブルーカーボン、日本の里地里山など「自然を活用した解決策」の取組を進めていきます。また、我が国が有する農林水産分野における環境負荷低減技術の海外展開を促進することで、世界の温室効果ガス排出削減と食料安全保障の両立に貢献できると考えています。
(緩和(国際の取組))
○1.5度目標の達成には、各国の一致した努力が必要です。しかし、NDC3.0を国連に提出した国は約100か国にとどまっています。全ての国が、可能な限り高い野心のNDCを早期に提出し、着実に排出削減に取り組み、その実施状況を隔年透明性報告書(BTR)で報告し、グローバルストックテイク(GST)において1.5度目標に対する進捗を確認し、その成果を各国が次のNDCに反映する、というパリ協定の野心向上サイクルを回していくことが不可欠です。
○日本は各国の脱炭素化を支援するため、様々な取組を進めています。また、昨年のCOP29において、私たちはパリ協定6条の完全運用化に漕ぎつきました。環境十全性と柔軟性を両立し、世界の脱炭素を効率的に進めることが重要であり、日本は二国間クレジット制度(JCM)に取り組んでいます。
○8月にはインドと署名を行い、パートナー国は31か国、世界の排出量の約20%を占めるまでに広がっています。JCMパートナー国に加えて、6条を活用する国とも連携を強化します。2040年度までの累積2億トンの国際的な排出削減・吸収量を目指して取り組んでいきます。
○日本は、各国の実情に応じた多様な道筋によりエネルギー移行を推進する「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想を掲げ、東南アジア諸国及び豪州との間で具体的な協力を進めています。また、アジア各国のNDCやBTR作成等の脱炭素政策形成支援を進めています。
○アマゾン熱帯雨林や再生可能エネルギーを豊富に持つここ中南米において、気候変動・環境関連分野への民間投資を促進するため、JICAによる「中南米グリーン投資イニシアティブ」、通称「MIDORI」を立ち上げます。
○また、我が国は、インベントリ分野において、日本に所在するIPCCインベントリタスクフォース(TFI)技術支援ユニット(TSU)の活動を長年にわたり支援してきました。
ここに、2027年開催予定であるIPCC総会の日本開催誘致の意向を表明します。我が国は最良の科学に基づく温室効果ガス削減の取組を引き続き支援することをお約束します。
○気候変動対策には循環経済の移行が不可欠です。日本は民間企業とともに、WBCSDによる企業の循環性情報開示のフレームワークである「グローバル循環プロトコル」の開発に積極的に貢献し、先週日本パビリオンにおいて、第1版を公表しました。これも世界の気候変動対策を前進させる一歩となると思います。
(適応、ロス&ダメージ(損失及び損害))
○我が国は、各国における気候変動に適応するための取組を支援しております。適応、ロス&ダメージ(損失及び損害)に関して、早期警戒システムは途上国でのニーズが大変高いと理解しております。環境省では早期警戒システムについて導入促進イニシアティブの下、官民が連携し、アジア太平洋地域での導入促進支援を行っています。
(気候資金)
○昨年のCOP29において、気候資金に関する新規合同数値目標(NCQG)を決定しました。公的資金に限りがある中、民間の資金の動員拡充を始め、全ての関係者による途上国向けの資金ソースの資金の規模拡大を着実に進めていくことが重要です。
(結び)
○各国の皆様、グローバル・ムチラォンで、COP30を成功に導き、揺らぐことのない1.5度目標達成への道を共に歩み続けていきましょう。
○最後に、先月まで大阪・関西万博を開催し、世界各地から約2900万人を超える方々にお越しいただきました。2027年には花き園芸に加えて、気候変動や生物多様性の損失といったテーマにも焦点をあてた、国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)を横浜で開催します。是非、皆様にお越しいただけたらと思います。御清聴ありがとうございました。
○議長、ありがとうございます。COP30の開催に尽力されたブラジル連邦共和国に感謝申し上げます。
○ここ、ブラジル・ベレンの周辺には、トメアスの日本人が作り上げてきたアグロフォレストリーや、日本の群馬県からブラジルに移住した方々が育んできた「アマゾン群馬の森」があります。
○気候変動対策はすぐに結果が出るものではありませんが、国、地方政府、地域社会など様々な主体が協力する息の長い取組が必要です。これらの取組にはまさしくMutirão(ムチラォン)の精神が息づいています。
○パリ協定採択から10年を迎える中で、改めて、多国間主義に基づく世界全体での脱炭素の取組を進めることの重要性を強調します。
○昨年、世界の平均気温は工業化以前に比べて1.55℃上昇しました。極端な気象現象が頻度を増し、災害も激甚化しています。気候変動は、人類共通の待ったなしの課題です。パリ協定の目指す1.5度目標を達成するためには、国際社会が団結して取り組まなくてはなりません。
(緩和(国内の取組))
○議長、我が国は、2050年までにネット・ゼロを実現するという目標への我が国の揺るぎない決意を改めて表明します。
○本年2月、我が国は、1.5度目標に整合的で野心的な目標として、2013年度比で2035年度に60%減、2040年度に73%減を目指す新たな「国が決定する貢献(NDC)」を提出しました。実際、2023年度までの10年間で約27%の削減を達成しており、着実に歩みを進めています。
○我が国は、脱炭素、経済成長、エネルギー安定供給の同時実現を目指すグリーン・トランスフォーメーションを推進しています。このため、徹底した省エネ推進、ペロブスカイト太陽電池等GX製品のサプライチェーン構築支援、排出削減が困難な産業におけるエネルギーや製造プロセスの転換支援等を通じて、10年で150兆円超の官民投資の実現を目指しています。
○気候変動対策、生物多様性保全の両方に貢献する持続可能な森林経営と木材利用やブルーカーボン、日本の里地里山など「自然を活用した解決策」の取組を進めていきます。また、我が国が有する農林水産分野における環境負荷低減技術の海外展開を促進することで、世界の温室効果ガス排出削減と食料安全保障の両立に貢献できると考えています。
(緩和(国際の取組))
○1.5度目標の達成には、各国の一致した努力が必要です。しかし、NDC3.0を国連に提出した国は約100か国にとどまっています。全ての国が、可能な限り高い野心のNDCを早期に提出し、着実に排出削減に取り組み、その実施状況を隔年透明性報告書(BTR)で報告し、グローバルストックテイク(GST)において1.5度目標に対する進捗を確認し、その成果を各国が次のNDCに反映する、というパリ協定の野心向上サイクルを回していくことが不可欠です。
○日本は各国の脱炭素化を支援するため、様々な取組を進めています。また、昨年のCOP29において、私たちはパリ協定6条の完全運用化に漕ぎつきました。環境十全性と柔軟性を両立し、世界の脱炭素を効率的に進めることが重要であり、日本は二国間クレジット制度(JCM)に取り組んでいます。
○8月にはインドと署名を行い、パートナー国は31か国、世界の排出量の約20%を占めるまでに広がっています。JCMパートナー国に加えて、6条を活用する国とも連携を強化します。2040年度までの累積2億トンの国際的な排出削減・吸収量を目指して取り組んでいきます。
○日本は、各国の実情に応じた多様な道筋によりエネルギー移行を推進する「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想を掲げ、東南アジア諸国及び豪州との間で具体的な協力を進めています。また、アジア各国のNDCやBTR作成等の脱炭素政策形成支援を進めています。
○アマゾン熱帯雨林や再生可能エネルギーを豊富に持つここ中南米において、気候変動・環境関連分野への民間投資を促進するため、JICAによる「中南米グリーン投資イニシアティブ」、通称「MIDORI」を立ち上げます。
○また、我が国は、インベントリ分野において、日本に所在するIPCCインベントリタスクフォース(TFI)技術支援ユニット(TSU)の活動を長年にわたり支援してきました。
ここに、2027年開催予定であるIPCC総会の日本開催誘致の意向を表明します。我が国は最良の科学に基づく温室効果ガス削減の取組を引き続き支援することをお約束します。
○気候変動対策には循環経済の移行が不可欠です。日本は民間企業とともに、WBCSDによる企業の循環性情報開示のフレームワークである「グローバル循環プロトコル」の開発に積極的に貢献し、先週日本パビリオンにおいて、第1版を公表しました。これも世界の気候変動対策を前進させる一歩となると思います。
(適応、ロス&ダメージ(損失及び損害))
○我が国は、各国における気候変動に適応するための取組を支援しております。適応、ロス&ダメージ(損失及び損害)に関して、早期警戒システムは途上国でのニーズが大変高いと理解しております。環境省では早期警戒システムについて導入促進イニシアティブの下、官民が連携し、アジア太平洋地域での導入促進支援を行っています。
(気候資金)
○昨年のCOP29において、気候資金に関する新規合同数値目標(NCQG)を決定しました。公的資金に限りがある中、民間の資金の動員拡充を始め、全ての関係者による途上国向けの資金ソースの資金の規模拡大を着実に進めていくことが重要です。
(結び)
○各国の皆様、グローバル・ムチラォンで、COP30を成功に導き、揺らぐことのない1.5度目標達成への道を共に歩み続けていきましょう。
○最後に、先月まで大阪・関西万博を開催し、世界各地から約2900万人を超える方々にお越しいただきました。2027年には花き園芸に加えて、気候変動や生物多様性の損失といったテーマにも焦点をあてた、国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)を横浜で開催します。是非、皆様にお越しいただけたらと思います。御清聴ありがとうございました。