大臣談話・大臣記者会見要旨

浅尾大臣閣議後記者会見録 (令和7年10月21日(火)10:50~11:10 於:環境省第一会議室)

1.発言要旨

おはようございます。本日の閣議におきまして、閣僚の辞表を提出いたしました。
記者クラブの皆様には大変お世話になり、厚く御礼を申し上げます。この御縁を引き続き今後も繋がせていただければ幸いです。お世話になりました。本当にありがとうございました。

2.質疑応答

(記者)おはようございます。フジテレビの浅川です。
大臣は昨年の環境大臣就任以降、福島県の除去土壌の中央省庁での復興再生利用だったり、人工光合成の検討会の開催など様々な環境政策に取り組まれてきました。改めて振り返って特に印象に残っている政策、そしてその成果についてどう評価されていますでしょうか。また、今後の環境行政に期待することがあればお聞かせください。
(大臣)昨年10月の環境大臣の就任以来、1年余りにわたって、環境政策を前に進めるため力を尽くしてまいりました。合わせて、原子力防災担当大臣として、防災体制の充実・強化についてもしっかりと取り組んでまいりました。よく原子力防災は終わりや完璧がないということが言われておりますけれども、環境政策一般についても同様なことが言えるのではないかと考えておりまして、1つ1つの政策についてPDCAサイクルを入れることで、よりよく政策を前に進めていくことを念頭に、環境政策にも取り組んできました。その中で6点について申し上げていきたいと思います。第1に、今お話がありました復興再生であります。今年の3月には、実証事業等の成果を踏まえて、復興再生利用の基準等を策定するとともに、2045年3月までの福島県内の除去土壌等の県外最終処分の実現に向けて、閣僚会合の下、基本方針、ロードマップを取りまとめ、官邸や霞が関の中央省庁での復興再生利用を実現いたしました。加えて、能登の創造的復興に向けて、公費解体の加速化など被災地支援に全力で取り組んでまいりました。第2に、気候変動対策であります。2050年のネット・ゼロの実現に向けて、地球温暖化対策計画の改定や新たなNDCの提出を行うとともに、人工光合成の社会実装に向けたロードマップを取りまとめました。また、熱中症対策については、推進会議に石破総理にも御出席いただき、総理の御指示のもと、関係省庁の連携や国民への呼びかけに力を尽くしてまいりました。さらに、大規模な太陽光発電について、地域での懸念が顕在化する事例が生じてきたことから、地域と共生しながら、促進するところは促進し、抑制すべきところは抑制できるように、関係省庁連絡会議を設置し、検討を始めたところであります。第3に、自然環境関連であります。クマの市街地での出没に対応するため、鳥獣保護管理法を改正し、緊急銃猟の制度を創設し、先月運用を開始いたしました。また、地域生物多様性増進法に基づく自然共生サイトの認定を推進してまいりました。第4は、循環経済であります。循環経済への移行を加速するため循環経済資源有効利用促進法を改正しました。特に、リユース促進に向けて懇談会を設置し、ロードマップの方向性を取りまとめました。第5に、安全・安心についてであります。特に我が国の環境行政の原点である水俣病について、地域の方々が安心して暮らせる社会を実現するため、補償・救済の着実な実施や、地域の医療・福祉の充実、地域の再生・融和・振興に取り組んでまいりました。また、PFASに関して、PFOS及びPFOAに係る水道水の水質基準を新たに設定するなど、国民の安全確保のために取り組んでまいりました。第6に、原子力防災についてであります。柏崎刈羽地域の緊急時対応の取りまとめや、川内原発を対象とした原子力総合防災訓練の実施など、原子力防災体制の充実・強化に取り組んでまいりました。このように環境行政が扱う課題は、世界人類の共通課題から国民の生命や生活に直結する課題まで多岐にわたり、いずれも極めて重要であると考えています。新たな環境大臣には、環境行政に関する1つ1つのテーマについて、政策を前に進めてもらえることと確信しております。
 
(記者)ありがとうございました。NHKの後藤です。
今全国でクマによる人身被害が相次いでいます。その一方でクマの捕獲にあたるハンターの減少が課題となっていて、担い手の確保が喫緊の課題となっていると思います。こうした中、昨日の民放のテレビ番組の出演の中で浅尾大臣が、銃猟ができる資格を持っている人を自治体が直接雇用できる形で、雇用する原資を出す交付金を検討していると述べていらっしゃいました。改めて今後、ハンターの確保に向けてどのように当たっていこうと考えていらっしゃるか、お考えをお伺いさせてください。
(大臣)どのような体制でクマを始めとする鳥獣の被害と向き合うかは、地域による事情に応じて柔軟に考えるべきだと思いますけれども、自治体においてハンターを雇用することは、鳥獣害対策の選択肢の1つであると考えます。これまでも、宮城県や長野県小諸市のように、自治体でハンターを雇用し、鳥獣害対策を推進している事例や、地域おこし協力隊として、鳥獣害対策を担う人材を確保している事例があると承知しております。環境省としても、自治体が雇用したハンターの活躍を経済的・技術的にも支援ができるように、指定管理鳥獣対策事業交付金の確保や、使途の拡大について、財政当局と調整しているところであります。今後とも自治体への技術的、財政的な支援を継続し、鳥獣害対策を進めてまいりたいと考えています。
 
(記者)日本経済新聞の井田です。大臣、ありがとうございました。
原子力防災に関連してお伺いしたいと思います。先ほど大臣からも柏崎刈羽地域の緊急時対応に取り組まれたという御発言もありましたが、先週、新潟県議会でも内閣府の原子力防災の担当者が県議会に出席をして、柏崎刈羽地域の緊急時対応等について、また、屋内退避の方針等について説明しましたが、未だに県議会の中の質疑でもそうですし、市民の中でも原子力防災に対するまだ不安というか、そういった声が上がっているのも実情です。原子力防災に対する、特にこの柏崎刈羽地域での重大事故が発生した時の原子力防災の取り組みに対する理解は、この1年間で高まってきたと、理解が広がってきたと大臣お考えでしょうか。また、今後そうした取り組みを、理解を広げていくために、今後、その次の政権にはどのようなところを期待したいのか、大臣の考えをお願いいたします。
(大臣)御指摘の10月16日の新潟県議会で、6月の原子力防災会議で了承された柏崎刈羽地域の緊急時対応の内容や、8月の原子力関係閣僚会議を踏まえた原子力防災体制の充実・強化に向けた今後の取り組みについて、事務方から説明させていただきました。新潟県は豪雪地帯であることなども踏まえて、屋内待機施設の環境整備や避難のためのバスの確保の課題などに関する質疑がなされたものと承知しており、貴重な機会をいただいたものと考えています。先ほども申し上げましたけれど、原子力防災に対する備えに終わりや完璧はありません。引き続き新潟県や関係市町村や、関係省庁と連携しつつ、先般の質疑も踏まえて、柏崎刈羽地域の原子力防災体制の充実強化に取り組んでいくとともに、そのことについての住民の皆様方の理解も進めてまいりたいと考えています。
 
(記者)日刊工業新聞、松木です。大臣、一年間お疲れ様でした。
先ほど大臣の在任中の政策の振り返りありましたけれども、実際の、大臣の就任前と就任後で、環境問題に対する意識が変わったことがあれば教えていただきたいのと、あと、大臣を辞められた後、環境問題にどのように関わっていくか教えてください。
(大臣)就任前と就任後で変わったところということで申し上げますと、先ほども申し上げました、大変幅が広いことでありますし、加えて、環境問題一般について言えば、終わりや完璧がない。当然のことでありますけど、人間活動をしている限りは、何らかの面で、環境に影響を与えるということだと思いますので、そのことを改めて、就任して認識させていただきました。就任後、どういうふうに取り組んだかということでありますけれど、先ほど申し上げたように、1つ1つの政策を、その効果をしっかりとPDCAサイクルを回すことによって、より良くしていくということを考えなければいけないと。PDCAサイクル、具体的に申し上げるとするならば、例えば、今年も暑い夏でありましたけれども、熱中症対策、様々な取り組みをさせていただきましたけれども、それが実際の取り組みとして効果が出ているのかどうか、足りないところがあったとすれば、どういうふうに改善していくべきか、ということについては、1つの例として申し上げますけれども、そういったことを様々な政策の中で、退任後もしっかりと見ていきたいと考えております。
 
(記者)読売新聞の鬼頭です。ありがとうございました。
気候変動対策に関する米国との連携のあり方について、協力を呼びかけるなど、積極的な対応を期待する声もあったように感じますけれども、関税交渉などもある中で、直接呼びかけるということはされなかったように感じます。しかし、IMOの船舶が排出する温室効果ガス規制の決議が先送りされたり、国内外に米国の影響というのが及んでいる中で、こういった状況をどう御覧になっているのか、少し振り返っていただけないでしょうか。また、米国との連携のあり方について、次期環境大臣に期待することをお願いします。
(大臣)米国政府においても、おそらく適応の方は、様々な、それを気候変動によるものというかは別にして、対応していくことが必要になってくるだろうと思います。これは米国内においても、そういったことに対する対応がなされるだろうと思いますし、国際的に適応の点については、引き続き米国と国際社会、連携が取れるところはしっかりと取って進めていくことが重要になってくるだろうと思いますし、州政府、あるいは民間レベルで、米国内において進められている緩和策についても、しっかりと協力できるところは協力し、対応を見据えていきたいと考えています。
 
(記者)時事通信の吉田です。一年間ありがとうございました。
先ほど6つ挙げていただいた中で、人工光合成についてお伺いしたいと思います。ロードマップの策定は大臣が就任会見で国家戦略として進めていきたいとおっしゃったことが1つの契機になったと思いますが、その成果に対する感想と今後大臣が辞められた後も、どのように関わっていくか、新しい大臣にどのようなことを期待するか教えてください。
(大臣)ロードマップを取りまとめさせていただきました。先ほど申し上げたPDCAサイクルもしっかりと回しながら、ロードマップに沿って成果物が出てくることを期待したいと思いますし、さらにそれを前倒ししていけるようなことを、引き続き取り組んでいければと思いますし、これは日本のみならず、世界の課題を解決していくことにもつながるものだと思っておりまして、実は先般、世界経済フォーラムにそれに関する寄稿もさせていただきましたので、ぜひ日本語も出ていますので、両方読んでいただければと思います。
 
(記者)朝日新聞の福地です。大変お世話になりました。
ガソリン暫定税率、軽油も入っておりますけれども、その議論に関して伺います。自民党と立憲民主党、それから公明党の3党協議の中で、今週中にも自民党側から新たな財源案を示すというふうになっておりますけれども、一方で環境省側が求めてきたCO2排出を減らすような税制という検討の部分では、なかなか具体案がまだ見えてきていない状況にあります。この点について、浅尾大臣は、今後どういうふうに進めていってほしいか、お考えがありましたら、改めてお願いします。
(大臣)先般も申し上げましたけれども、二酸化炭素の排出を減らしていくということは、重要な、国としての国際公約にもつながっているところであります。その中で、ガソリンのみならず、二酸化炭素というものを広く排出する様々な要素があるわけでありますから、そういった中で、しっかりと排出が減らせるような、そういった税制、すぐにはできるわけではないと思いますけれども、そういったものも考えていく必要性があると私自身としては認識しております。
 
(記者)エネルギージャーナルの清水です。どうも一年間御苦労様でした。
ちょっとまた嫌な質問であれでしょうけど、自民党と維新の会の政権が明日発足するということで、12項目の合意ということのようですけども、その中には大臣がおっしゃっている気候変動の「き」も出てこないし、温暖化の「お」の字も出てこない。やっぱり政治レベルであまりにも環境行政というか、気候変動対策というのが低位に置かれているという感じがするんですけれども、1年間頑張ってこられてどうですか、その辺の認識と政権のあり方における環境行政は。
(大臣)自民党と日本維新の会との政策合意の中で、あえて出していないということは、これまでの環境政策について、維新側もそこに反対ではないという、新しい提案があるというものではないと、私自身としては認識しておりますので、しっかりと従来環境行政として取り組んできたことを、先ほど申し上げましたPDCAサイクルを回しながら、前に進めていくということが大事だと考えています。
(記者)光合成のことは非常に重要だと思いますけども、ただ光合成が実用化して汎用化されるかもしれないですが、もうその時点では気候変動が深刻で、どうしようもなくなっているという可能性もあるのではないかと。内外の対策で、一体今の対応で気候変動が解決していくと御認識されてますか、それとも温暖化を一体どうしたら止められるとお感じですか。最後に伺います。
(大臣)我が国が提出したNDCは、その中には人工光合成による削減は当然のことながら入っていないわけでありまして、日本としてはこれまで提出したものに則って、しっかりとそのラインに従ってやっていくと。御指摘の国際社会全般がどうかということについては、他の国にも早期のNDCの提出を今呼びかけているところでありまして、それをしっかりとやっていただく。その上で、人工光合成が実現化される中で、カーボンネガティブが達成できれば、他の国がNDCがうまく達成できないときにその備えになればと考えています。
(記者)エネルギージャーナル社の清水でした。どうも御苦労様でした。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=vWEuVwHolKE
 
(以上)