大臣談話・大臣記者会見要旨

浅尾大臣閣議後記者会見録 (令和7年9月26日(金)10:10~10:30 於:環境省第一会議室) 1.復興再生利用に用いる除去土壌の呼称について 2.リチウムイオン電池の取り扱いに関する啓発イベントについて 3.日中韓三カ国環境大臣会合等への出席について

1.発言要旨

おはようございます。冒頭3件、発言いたします。 

始めに、復興再生利用に用いる除去土壌の呼称についてであります。復興再生利用に用いる除去土壌については、第3回閣僚会議で決定されたロードマップで、有識者会議等で意見をいただき、環境省においてその呼称を決定するとされていました。これを受け、9月22日に開催した「環境再生に関する技術等検討会」において有識者の方々議論をいただきました。検討会で賛意をいただいたことなども踏まえ、環境省では、復興再生利用に用いる除去土壌の呼称を、「復興再生土」と決定しました。復興再生利用に用いる除去土壌は資源であり、復興再生利用の必要性・安全性について理解を深めていただくため、今後政府が作成する資料等では「復興再生土」という呼称を用いてまいります。 

2つ目の発言は、リチウムイオン電池の取り扱いに関する啓発イベントについてであります。本年9月から実施している「リチウムイオン電池による火災防止強化キャンペーン」について、今後の取組を報告いたします。9月28日に、Jリーグ公式戦「川崎フロンターレ 対 柏レイソル」にて、J リーグとの連携協定に基づく周知・啓発イベントを開催いたします。また、期間中継続して、人気ゲームコンテンツである「アイドルマスター ミリオンライブ!」のアイドルとのコラボレーション等、様々な形での情報発信を行う予定であります。さらに、11月の「リチウムイオン電池による火災防止月間」に合わせ、11 月1日に「リチウムイオン電池による火災防止シンポジウム」を渋谷区の東京ウィメンズプラザで開催します。このシンポジウムでは、お笑いコンビ「マシンガンズ」で芸人活動を行うかたわら、ごみ清掃員としても働く滝沢秀一さんや、国立環境研究所、製品評価技術基盤機構の専門家の皆様と一緒に、リチウムイオン電池の安全な使用方法・廃棄方法等を学べます。リチウムイオン電池の火災防止に当たっては、様々な層の皆様の理解が必要不可欠です。ぜひ、多くのイベントに参加いただき、理解を深めていただきたいと思います。  

 最後に、日中韓三カ国環境大臣会合等への出席についてであります。明日から9月29 日にかけて、中国・山東省煙台市で開催される、第26回日中韓三カ国環境大臣会合、いわゆるTEMM26及び第4回日中環境ハイレベル円卓対話に出席いたします。TEMMは、日中韓3カ国の閣僚級会合としては、最も歴史ある会合であり、1999年に初めて開催され今回で26回目となります。本会合は、新型コロナウイルスの影響で延期となった2020年を除き一度も途絶えることなく開催されており、東アジアの環境協力と友好関係の発展に貢献してまいりました。また、6年ぶりに開催する日中環境ハイレベル円卓対話は、私とホアン生態環境部長が基調講演を行い、これまで両国が長きにわたって取り組んできた様々な分野の環境対策について議論を行うことで、今後の環境分野での協力関係の維持の契機としたいと考えてます。国際的に大きな課題となっている気候変動や生物多様性の保全、黄砂を含む大気汚染などの環境問題について、国際社会で重要な役割を担う3カ国でしっかりと協力を進めていけるよう、議論してまいります。 

 私からは以上であります。 

2.質疑応答

(記者)読売新聞の児玉と申します。お願いいたします。 

幹事社からの質問は2点あります。まず、釧路湿原周辺のメガソーラーなどを巡る関係省庁連絡会議が24日に始まったかと思います。自治体からは、自治体の方で規制区域を設けられるようにするための法整備を求める声ががっていますが、政府としては規制の見直しを含めてどのように対応していかれるお考えでしょうか。また、いつまでに結論を出したいと考えでしょうか。2点目です。クマに対する緊急銃猟の判断が、先日山形県鶴岡市で行われました。鳥獣保護法改正後、初の判断とみられますが、大臣の受け止めをいさせてください。また、今回は結果として警察官職務執行法に基づく発砲となりましたが、そのことについてはどうみていらっしゃいますでしょうか以上、2点です。よろしくお願いいたします。 

(大臣)始めに、釧路湿原周辺のメガソーラーに関係する点についてお答えいたします。24日に開催いたしました連絡会議では、関係法令上の対応について関係省庁で協力して検討していくことを確認いたしました。具体的には、釧路湿原国立公園周辺を始め、大規模な太陽光発電施設の建設により、地域との軋轢が生じている事例などの現状や課題等について共有いたしました。その上で、各省庁において改めて、各種法令についてそれぞれ必要な対策がとられているか精査・検討し、次回以降の連絡会議で報告していくこととなったと承知しております。今後について期日を決めているわけではありませんが、再生可能エネルギーについては、しっかりと地域と共生しながら、促進するところは促進し、抑制すべきところは抑制することが重要であると考えており、制度的な対応の要否含めて、関係者間で速やかに議論してまいりたいと考えております 

きまして、クマに対する緊急銃猟の質問がございました。今月20日、山形県鶴岡市において、鳥獣保護管理法に基づく緊急銃猟の実施の判断が行われたとの報告を受けました。今回は、緊急銃猟の指示がなされたものの、捕獲者に伝達されるまでの数分の間に、クマが現場関係者に急接近したため、警察官職務執行法に基づき対応することとなり、緊急銃猟による捕獲とはならなかったわけでありますが、その判断が行われた全国で初の事例であります。これまでは警察官職務執行法では対応ができない膠着状態が見られることもあったが、鶴岡市において緊急銃猟による捕獲等を試みた点において、従前に比べて迅速な対応が可能となっており、法改正の効果を確認できたものと考えています。また、警察官職務執行法に基づく発砲となったことについては、7月に公表した緊急銃猟ガイドラインにおいても、現場の状況に応じて同法の適用も排除されないとしていたところであり、鶴岡市が警察と連携して適切に対応したものと認識しております。環境省としては、これまでに、自治体向けに改正法に関する研修会を実施するほか、自治体への財政支援なども行っており、引き続き改正法の円滑な運用に努めてまいります 

 

(記者)共同通信社の植村です。 

冒頭、発言がありました「除染土」を「復興再生土」と呼ぶという呼称についてお伺いいたします。冒頭でこの目的について、「再生利用の必要性・安全性について理解いただくため」という発言がありましたけれども、改めて「除染土」と呼んだ場合と「復興再生土」と呼んだ場合で、国民に与える印象というものがどういうふうに違いが出てくるのか、その効果についてどのように考えていらっしゃるのかについて教えていただけますでしょうか。 

(大臣)御案内の通り、除染した土のうち、4分の3ほどは復興再生利用ができることがわかっておりまして、復興再生利用を進めていくことが県外最終処分の実施においても大変重要なポイントになると考えております。その際において、「除染土」という呼称以上に、「復興再生土」という呼称の方が理解を得られるのではないかと環境省として考えて、「復興再生土」という呼称を、実際に復興再生利用する、官邸やあるいはこの合同庁舎で利用されているものについては、そうした呼称を使っていくことによって、より国民の理解の醸成に努めていきたいと考えています 

(記者)わかりました。もう1点、先日の有識者会議の中では、除染土は除染土であって「復興再生土」という名称というのは推進するための名称であるといううな意見が出たのですけれども、この考え方についてはどのように捉えていらっしゃいますか。 

(大臣)除染土の中には8000ベクレルを超えるレベルのものも含まれておりまして、その中で復興再生利用するものについて「復興再生土」という形で利用していこうと考えているところであります 

 

(記者)朝日新聞の福地です。 

昨日、日本時間だと未明でしたけど、国連のclimate summitについて伺います。国連に確認したところ、日本側も最初はスピーカーとして出席予定だったと聞いておりますが、その後、日本側から撤回の申し出があったと伺っております。各国とも基本的に首脳が出ておられたのですが、日本側の当初の予定として、石破総理が出られる予定だったのかという点と、撤回した理由教えていただきたいと思います 

(大臣)現地時間の24日午後、日本時間の25日未明、ニューヨークにて、グテーレス国連事務総長及びルーラ・ブラジル大統領が主催する「気候変動に関する特別ハイレベルイベント」、いわゆる国連気候サミットが開催されました。このイベントは各国首脳が自国の温室効果ガス削減目標を発表するものと承知しております。このイベントへの日本政府の対応については、石破総理は、日程の都合上、参加を見送ったと聞いておりまして、今申し上げましたように、温室効果ガス削減目標については、すでに我が国は国連に提出しているという状況であります 

(記者)ありがとうございます。関連して、今回の実際に登壇、演説をされた国々を見ますと、フランス、ドイツ、イギリス、イタリアといったG7各国と、それから中国も習近平国家主席はビデオ演説ではありましたけれども、主要な国々が出ておられました。気候変動対策を、世界的に機運を高めていくという目的のためには、日本側が出るということは大きなメリットもあったのではないかと思うのですが、日本側が欠席したことによる国内外への影響というのはどのようにお考えでしょうか。 

(大臣)石破総理は、日程の都合上、参加を見送りましたけれども、我が国は、2050年ネット・ゼロに向け、2035年度、2040年度において、先ほど申し上げましたように、温室効果ガスを2013年度からそれぞれ60%、73%削減することを目指すNDCを、本年2月に国連気候変動枠組条約事務局に提出済みであります。気候変動は人類共通の待ったなしの課題であり、主要排出国を含む全ての国の取組が重要であります。このため、我が国は、様々な機会を通じて、各国に早期のNDCの提出を呼びかけてきたところでありまして、パリ協定が目指す1.5度目標の達成に向けて、引き続き多国間連携の重要性を訴えてまいりたいと考えております 

(記者)ありがとうございます。もう1点だけ、リアルタイムの数字で把握しきれていなくて恐縮でが、今のところ各国のNDCの国連事務局への提出が、40か国前後ぐらいだったかと思います。全体だと190か国以上、本来であれば提出していなければいけない。月が締め切りとして新たに設けられているわけですけれども、なかなか各国のNDCの提出が進んでいない状況ではありますが、そういうところについて、世界的な取り組みの遅れといいますか、大臣の懸念とか、そういったところはありませんでしょうか。 

(大臣)国連によりますと、国連気候サミットでは100か国近くが新たな気候目標を発表し、最終化することを約束、あるいは実施に向けた決意を表明したとのことであります。パリ協定が目指す1.5度目標の達成に向けた多くの国のコミットメントを歓迎したいと思います。これまでのところ、次期NDCの提出は、我が国を含めて指摘のとおり42か国にとどまっているところであります。今回目標を発表した国についても、できるだけ早期に、そして遅くともCOP30までにNDCを国連に提出していただけるよう、引き続き呼びかけていきたいと考えております 

 

(記者)共同通信の鈴木です。 

今の朝日新聞さんの質問に関連してお伺いします。まず、話題に出た気候サミットでは、今話題に出たNDCでは、中国が新たに35年までにピーク時から7~10%削減するという目標を発表しました。これについての受け止めをまずお願いします 

(大臣)国連気候サミットにおいて、中国は、2035年までに経済全体で温室効果ガスの排出をピークレベルから7~10%削減し、更に良い成果を目指すべく尽力すると表明したと承知しております。我が国としては、全ての温室効果ガス、全てのセクターをカバーする、総量削減目標Absolute Reduction Targetの設定を求めてきたところでり、中国の目標はこれらを満たすものであると理解しています。しかしながら、基準となるピークレベルが明確でなく、目標量が定量化されたとは認識しておりませんので、これから内容を確認したいと考えています。今後、COP30に向けて、NDCが早期に国連へ提出されることを期待したいと考えています 

(記者)ありがとうございます。もう1点なのですが、気候サミットの前の日から一般討論演説が始まりまして、そこでトランプ大統領はまた「地球温暖化は起きていない」や「気候変動対策は史上最大の詐欺だ」というこれまでの主張を繰り返していました。11月にCOP30が控えていて、しかも先ほど大臣も発言があったように、気候変動は世界全体の課題ということで、こうした発言が国際協調の機運に与える影響をどういうふうにお考でしょうか。またその機運を維持するために日本政府はこれからどういうことができるとお考えでしょうか。よろしくお願いします。 

(大臣)今週23日の国連本部での一般討論演説において、トランプ米大統領が、気候変動は「史上最大の詐欺」である旨を述べたことは承知しています。しかしながら、気候変動の科学的知見については、気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCが、30年以上にわたって知見を蓄積し、確信度を高めていった結果、「人間活動が主に温室効果ガスの排出を通して地球温暖化を引き起こしてきたことには疑う余地がない」と結論付けたと承知しております。そのため、気候変動は世界が一致して取り組むべき喫緊の課題であり、パリ協定が目指す1.5度目標の達成に向けて、主要排出国を含む全ての国が温室効果ガスの排出削減に取り組むことが重要と考えています。我が国としては、本年2月に閣議決定した地球温暖化対策計画やGX2040ビジョン等に基づき、揺らぐことなく気候変動対策に取り組むとともに、我が国の経験や技術等を通じて世界の脱炭素化にも貢献してまいりたいと考えております。さらに、COP30においても、全ての主体がネットゼロ実現への歩みを止めることの無いよう、多国間連携の重要性を訴えていきたいと思いますし、このすべての主体というのは、当然政府が中心になりますが、民間も参加するという点も含まれますけれども、その中では、これはまだ未確認でありますけれども、ハイパースケーラーと言われているデータセンターを使っているところが、COP30のサイドイベントで、どういう形で電力を確保していくのかということについて、サイドイベントを計画しているとい情報も一部入ってきておりますので、そうしたことについても、しっかりと注視しながら、政府、そして民間も含めて、1.5度目標につながるような、そういうことに我が国としても積極的に貢献していきたいと考えております 

 

会見動画は以下にございます。 

 

(以上)