大臣談話・大臣記者会見要旨
浅尾大臣閣議後記者会見録 (令和7年5月13日(火)9:30~9:50 於:環境省第一会議室)
1.発言要旨
なし
2.質疑応答
(記者)おはようございます。テレビ朝日の屋比久です。よろしくお願いします。
今日の人工光合成検討会の立ち上げに関連してお伺いします。先週の発表以降、実現を期待する声上がる一方で、変換効率ですとかコスト面など、実現へのハードルの高さを指摘する声も聞こえています。大臣として現時点で実現に向けた課題をどのように認識しているのか教えてください。その上で改めてになりますけれども、人工光合成を世界に先駆けて社会実装するという目標に向けた抱負や意義を教えてください。
(大臣)おはようございます。人工光合成については、先週検討会の立ち上げを発表して以降、ご指摘のように、期待の声と同時に、課題を指摘する声もいただいております。そのような課題こそ、今後の議論において重要な論点となると受け止めています。実用化に向けた課題は、主に3つあると認識しております。第一には、コストの課題。現状では、材料や装置の費用はもとより、変換効率の観点からもコストが高く、経済性には課題があります。第二に、スケールアップの課題があります。実験室レベルでは成果が出ていても、それを社会インフラの規模で成立させるには、安定性・量産性など乗り越えるべき壁があります。第三に、制度や社会受容の課題があります。新技術を社会に導入するには、規制やインセンティブ、国民の理解が必要になると考えております。逆に、こうした課題を乗り越えていくことが大事だと思いますし、本日の検討会で議論を深めて、人工光合成を社会実装につなげる道筋を描いていきたいと考えておりますし、社会実装ができれば世界に先駆けてモデルを構築する気概、まさに「オールジャパン」で取り組んでいくという気概で取り組んでいきたいと思いますが、この社会実装ができれば、まさに日本が、世界が抱えている課題、そして日本が抱えている課題を、すべてを解決することができる夢のある、夢が10個ぐらい詰まっている課題解決になるという話だと考えております。
(記者)共同通信の竹生です。
太陽光パネルのリサイクル法案についてお尋ねします。今国会への提出を目指して準備を進めてきたと思いますが、目途はいかがでしょうかということと、法制的な検討がずっと続いてきたかと思うんですけれども、内閣法制局と具体的にどの点について調整を行っているのか教えてください。
(大臣)太陽光パネルの適正な廃棄・リサイクルのための制度的対応については、本年3月28日に中央環境審議会から意見具申を頂きました。現在、この意見具申を踏まえ、実効的な制度となるよう、検討を深めているところでありますけれども、御指摘のように、法制的な観点からさらに検討が必要であり、今通常国会への提出は厳しい状況であると考えております。内閣法制局とは、昨年夏以来、法制的見地から相談を重ねてまいりました。具体的には、太陽光パネルの設置形態や廃棄・リサイクルの実態は様々なパターンが想定されているところ、パターンごとに作業工程や費用の実態を調査・整理し、関係法令との調整も行った上で制度設計を行うべきとの指摘を受け、改めて検討を進めているところであります。加えて、制度の根幹となるリサイクル費用の負担の考え方について、審議会の意見具申では、拡大生産者責任を踏まえ製造業者等に負担を求めることとされており、また、今後排出が見込まれる既設の太陽光パネルについても、今後太陽光パネルの製造等を行う製造業者等に負担を求めることとされております。具体的に言えば、今あるものについても、今後敷設をする太陽光パネルの事業者に負担をしてもらうというのが、具体的なことでありますが、この点についても、内閣法制局へは昨年夏から相談を重ねてきていましたけれども、その後の相談の中で、他のリサイクル関連法制の費用負担の考え方との整合性等で根本的な論点を含め、法制的な観点から検討がなされるべきではないかと指摘を受けたところ。もう少し具体的に言えば、他のリサイクル法制というのは、既設のものについては既設の人に負担してもらうということになっていると、そこのところが違うということであります。いずれにしても、太陽光パネルの適正な廃棄・リサイクルのための制度的対応は喫緊の課題でありますので、可能な限り早期の法案の提出を目指して、検討を進めてまいりたいと考えています。なお、制度的検討と並行して、リサイクル技術の開発支援や設備の導入促進、再資源化事業等高度化法に基づく太陽光パネルの高度リサイクル設備の認定基準の策定などに取り組むことで、太陽光パネルのリサイクルの費用低減と体制整備の加速化を進めてまいりたい。最後のところは、既設のところを既設の事業者にリサイクルしてもらうとなったとしても、リサイクル費用が下がれば十分対応できるという意味で、申し上げさせていただきました。
(記者)そうすると既設のものは既設のという、内閣法制局の指摘通りに、そこは変えることも検討していくということか。
(大臣)今後そこも含めて、法制局が指摘しているところは何かというと、先ほど申し上げましたけれども、他の法制、例えば自動車リサイクル法や家電リサイクル法については、自動車については、例えば法律が成立した後、自動車を購入した場合には、購入した人にリサイクル費用を(負担させる)ということになっていますが、だから製造業者にも乗せているということになりますけれども、その分が単価に乗っているという理解でありますが、走っている車については、車を持っている人にリサイクル費用を負担してもらうという形になっているということです。
(記者)わかりました。もうあと10年もすれば太陽光パネルが大量に廃棄される時代がやってくると思いますけれども、法案提出が遅れることの影響というのはどのようにお考えでしょうか。
(大臣)使用済太陽光パネルは2030年代後半から排出が顕著に増加すると見込まれておりまして、今後の排出量の増加に的確に対応できるよう、可能な限り早期の法案の提出を目指してまいりたいと考えております。更に、制度的検討と並行して、先ほど申し上げましたように、太陽光パネルのリサイクル費用低減・体制整備を加速化するということが重要になってきておりまして、そのためには事業者の予見性確保のためのガイドラインの改訂や、リサイクル費用の低コスト化に向けた研究開発の加速、リサイクル設備の設置補助による導入の促進、再資源化事業等高度化法に基づく太陽光パネルの高度リサイクル設備の認定基準の策定に取り組んで、太陽光パネルの適正なリサイクルに支障が生じることのないよう取組を前に進めていきたいと考えております
(記者)朝日新聞の福地です。
今のお話の関連ですけれども、太陽光パネルのリサイクル法案に関しては、もうすでにパブリックコメントと審議会での議論も終えているところでして、なかなか国の制度設計において、こういったプロセスを経てもなお国会提出、法案提出ができずに検討が続くということはあまりないケースかと思うのですけれども、今回のこういった経緯については、大臣はどう受け止めていらっしゃいますか。
(大臣)審議会においては、先ほど申し上げましたように、拡大生産者責任を踏まえ、今後の太陽光パネルの製造等を行う製造営業者等に負担を求めるということについて、御了解をいただいたということでありますが、その点が、今申し上げましたように、その後の様々な検討の中で、その他の法律との整合性において、それが取れないのではないかといった指摘、正確に言うと、内閣法制局からは、他のリサイクル関連法制の費用負担の考え方との整合性について指摘を受けたということでありまして、審議会の意見具申と、法制的な観点とが、齟齬があるということも含めて、さらなる検討をしていかなければいけないということであります。一方で、太陽光パネルのリサイクルを促進していくことは、関係者の理解と協力が不可欠でありますから、引き続き、関係者への丁寧な説明を行いながら、実効的な制度となるよう検討作業を進めてまいりたいと考えております。
(記者)審議会での議論というと、外部の識者の方々にも御意見を伺った中で、今国会の提出を目指してきたと思いますが、様々な外部の方々の御協力もいただきながら、提出が今国会で難しくなってきたこと自体は大臣としては、忸怩たる思いというか、やはりちょっとその辺り複雑なお考えもありますでしょうか。
(大臣)先ほど申し上げましたように、審議会で指摘されてまとまったもの、この間、様々議論をしてきたわけでありますけれども、当初の案に対して、その後に様々指摘をされたということで、今回の事態に至っているわけでありますけれども、できるだけ早期に、太陽光パネルのリサイクルの法案を提出していくということが必要になってくると思いますし、その際には、先ほど申し上げましたように、既存のものをどういうふうにしていったら良いのか、解決策はリサイクル費用の低減ということしかなくなってくるということになると思いますし、新設のものについては、当然そのリサイクル費用は、事業者、製造業者に負担してもらうってことになりますから、できるわけでありますけれども、そこを考えていかなければいけないということになろうかと思います。
(記者)共同通信の松本です。よろしくお願いします。
新潟水俣病についてお伺いします。5月31日で公式確認から60年を迎えると思いますが、まずそのことについての大臣としての受け止めと、今も救済を求める方が多数いらっしゃると思うんですけれどもが、そういった方々に、今後どうやって寄り添っていくお考えかというところをまずお伺いできればと思います。
(大臣)御指摘のとおり、今年は新潟水俣病公式確認60年という節目の年と承知しておりまして、新潟水俣病を含む公害の歴史と教訓を後世に伝えていくことは大変重要なことであります。これまで、政府としては、公害健康被害補償法や二度にわたる政治解決による補償・救済、医療・福祉の充実、地域の絆の修復を目指す地域づくり・地域振興など、水俣病対策を進めてきたところでありますけれども、現場のニーズをお聞きしながらさらに取組を推進してまいりたいと考えております。新潟水俣病の式典への参加については、関係団体との懇談の実施も含め、新潟水俣病公式確認60年という節目の年ということも踏まえて、その時の状況や日程を踏まえつつ検討を進めていきたいと考えております。
(記者)昨年ですと、式典の出席はされなかったですけれども、その後懇談をされたという経緯があったと思うんですけれども、新潟の患者の方からは熊本同様懇談をしたいという声も上がっていると思うのですが、その辺りについては、お考えはいかがでしょうか。
(大臣)そうしたことも、先ほど申し上げましたように関係団体との懇談の実施も含めて、60年の節目の年ということも踏まえて、状況、日程を踏まえつつ、検討を進めていきたいと思っております。
(記者)毎日新聞の大野です。よろしくお願いします。
太陽光パネルの法案についてなのですが、今現在設置されているものの多くが海外製だというふうに言われていて、含有物質が何であるかとか、リサイクルする際に情報管理が必要になってくるかと思うのですが、海外物質が多いとなかなかその分析が難しいのではないかという指摘もある中で、そういったことも今後再検討の課題になっていくのでしょうか。
(大臣)中身そのものということは特段の検討の内容ではないと思います。元々準備しておりました法案については、既設のものもリサイクルの対象にするということになっておりますし、例えば、先般私も北九州の出張に際して、太陽光パネルのリサイクル事業者で、すべてリサイクル可能なものだけにして、特に太陽光パネルを接着している部分を気化して、それを燃やすというような工場なども拝見させていただきましたので、日本においてリサイクル技術は確立しておりますので、有害物質が残らず、すべて残っている(ものは)、例えばガラス、あるいはシリコン、銅線、銀線だけになるということも技術的には可能ということでありますので、今御指摘の何があるか分からないということが、検討ということではありません。
(記者)電気新聞の荻原と申します。よろしくお願いします。
北海道の再エネ促進区域の指定をめぐる環境配慮基準のことについてお伺いしたいと思います。保安林までに除外範囲を広げるこの基準について、10日までに、一部報道で道内の39の市町村が、設定除外を求める申請を出したというようなことがあるんですけれども、この道と市町村のせめぎ合いと言いますか、この一連の経緯を巡る、大臣の現在見ているところの御所感というところをまずお伺いしたいのと、あともう1個、北海道というのはGX投資のポテンシャルが非常に高いと言われている中で、こういういろいろな問題というのが起こってくるかと思うのですけれども、改めて環境省として、地方でGX投資を進めていくためにどのようなこと、施策をやっていきたいかということをお聞かせください。
(大臣)2050年ネット・ゼロ実現に向けて再エネの最大限の導入に取り組んでいくためにも、地域との共生を前提に、環境に適正に配慮され、地域の合意形成が図られることが重要だと考えております。その観点から、国としては、地方公共団体が地域の協議会等で合意形成を図り、再エネ促進区域の設定等を行う、「地域脱炭素化促進事業制度」の活用を推進しております。同制度を活用し、都道府県と市町村が連携して地域共生・地域裨益型再生可能エネルギーの導入促進に取り組むことが重要と認識しております。環境省では、当該制度の活用に取り組む地方公共団体への財政支援を実施しているほか、昨年より、北海道庁と連携して、本制度の趣旨・概要について改めて道内の各市町村に対して説明し、活用を促してきたところであります。加えて、本制度の活用に関するインセンティブ強化等についても、さらなる対応を検討してまいります。また、脱炭素先行地域の取組への支援や、株式会社脱炭素化支援機構を通じた地域の脱炭素化プロジェクトへの投資等も引き続き行います。こうした取組を通じて、北海道を含む各地における脱炭素化及びそれを通じた地方創生・経済活性化を支援してまいりたいと考えています。
(記者)インセンティブ対応というところなんですけれど、どのようなインセンティブというものが想定さるのでしょうか。
(大臣)これからさらにいろいろとどういったことが可能かということを検討していきたいということなので、具体的なことを今申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
(記者)環境新聞の小峰です。
浅尾大臣は、広い教養の方なので、宗教についても、非常に御見識が高いと思います。そういう中で、このほどカソリックの新教皇にレオ14世が就任されました。レオ14世は、就任前から気候変動問題に大変に熱心だと聞いています。そしてまた、「Drill, baby, drill、掘って掘って掘りまくれ」のトランプ政権の米国で、トランプさんは、気候変動問題に極めて消極的なんですけれども、新教皇に対して、気候変動問題も含めて、何か期待するところ、また何かコメントあったらいただきたいと思います。
(大臣)累次申し上げておりますけれども、世界の気候変動に対する潮流は変わっていないと思っておりますし、そうした中で、新しい教皇のレオ14世が、気候変動の問題に大変強い関心を持っておられるということは大変ありがたいことだと思っております。
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=n3xMa25w30g
今日の人工光合成検討会の立ち上げに関連してお伺いします。先週の発表以降、実現を期待する声上がる一方で、変換効率ですとかコスト面など、実現へのハードルの高さを指摘する声も聞こえています。大臣として現時点で実現に向けた課題をどのように認識しているのか教えてください。その上で改めてになりますけれども、人工光合成を世界に先駆けて社会実装するという目標に向けた抱負や意義を教えてください。
(大臣)おはようございます。人工光合成については、先週検討会の立ち上げを発表して以降、ご指摘のように、期待の声と同時に、課題を指摘する声もいただいております。そのような課題こそ、今後の議論において重要な論点となると受け止めています。実用化に向けた課題は、主に3つあると認識しております。第一には、コストの課題。現状では、材料や装置の費用はもとより、変換効率の観点からもコストが高く、経済性には課題があります。第二に、スケールアップの課題があります。実験室レベルでは成果が出ていても、それを社会インフラの規模で成立させるには、安定性・量産性など乗り越えるべき壁があります。第三に、制度や社会受容の課題があります。新技術を社会に導入するには、規制やインセンティブ、国民の理解が必要になると考えております。逆に、こうした課題を乗り越えていくことが大事だと思いますし、本日の検討会で議論を深めて、人工光合成を社会実装につなげる道筋を描いていきたいと考えておりますし、社会実装ができれば世界に先駆けてモデルを構築する気概、まさに「オールジャパン」で取り組んでいくという気概で取り組んでいきたいと思いますが、この社会実装ができれば、まさに日本が、世界が抱えている課題、そして日本が抱えている課題を、すべてを解決することができる夢のある、夢が10個ぐらい詰まっている課題解決になるという話だと考えております。
(記者)共同通信の竹生です。
太陽光パネルのリサイクル法案についてお尋ねします。今国会への提出を目指して準備を進めてきたと思いますが、目途はいかがでしょうかということと、法制的な検討がずっと続いてきたかと思うんですけれども、内閣法制局と具体的にどの点について調整を行っているのか教えてください。
(大臣)太陽光パネルの適正な廃棄・リサイクルのための制度的対応については、本年3月28日に中央環境審議会から意見具申を頂きました。現在、この意見具申を踏まえ、実効的な制度となるよう、検討を深めているところでありますけれども、御指摘のように、法制的な観点からさらに検討が必要であり、今通常国会への提出は厳しい状況であると考えております。内閣法制局とは、昨年夏以来、法制的見地から相談を重ねてまいりました。具体的には、太陽光パネルの設置形態や廃棄・リサイクルの実態は様々なパターンが想定されているところ、パターンごとに作業工程や費用の実態を調査・整理し、関係法令との調整も行った上で制度設計を行うべきとの指摘を受け、改めて検討を進めているところであります。加えて、制度の根幹となるリサイクル費用の負担の考え方について、審議会の意見具申では、拡大生産者責任を踏まえ製造業者等に負担を求めることとされており、また、今後排出が見込まれる既設の太陽光パネルについても、今後太陽光パネルの製造等を行う製造業者等に負担を求めることとされております。具体的に言えば、今あるものについても、今後敷設をする太陽光パネルの事業者に負担をしてもらうというのが、具体的なことでありますが、この点についても、内閣法制局へは昨年夏から相談を重ねてきていましたけれども、その後の相談の中で、他のリサイクル関連法制の費用負担の考え方との整合性等で根本的な論点を含め、法制的な観点から検討がなされるべきではないかと指摘を受けたところ。もう少し具体的に言えば、他のリサイクル法制というのは、既設のものについては既設の人に負担してもらうということになっていると、そこのところが違うということであります。いずれにしても、太陽光パネルの適正な廃棄・リサイクルのための制度的対応は喫緊の課題でありますので、可能な限り早期の法案の提出を目指して、検討を進めてまいりたいと考えています。なお、制度的検討と並行して、リサイクル技術の開発支援や設備の導入促進、再資源化事業等高度化法に基づく太陽光パネルの高度リサイクル設備の認定基準の策定などに取り組むことで、太陽光パネルのリサイクルの費用低減と体制整備の加速化を進めてまいりたい。最後のところは、既設のところを既設の事業者にリサイクルしてもらうとなったとしても、リサイクル費用が下がれば十分対応できるという意味で、申し上げさせていただきました。
(記者)そうすると既設のものは既設のという、内閣法制局の指摘通りに、そこは変えることも検討していくということか。
(大臣)今後そこも含めて、法制局が指摘しているところは何かというと、先ほど申し上げましたけれども、他の法制、例えば自動車リサイクル法や家電リサイクル法については、自動車については、例えば法律が成立した後、自動車を購入した場合には、購入した人にリサイクル費用を(負担させる)ということになっていますが、だから製造業者にも乗せているということになりますけれども、その分が単価に乗っているという理解でありますが、走っている車については、車を持っている人にリサイクル費用を負担してもらうという形になっているということです。
(記者)わかりました。もうあと10年もすれば太陽光パネルが大量に廃棄される時代がやってくると思いますけれども、法案提出が遅れることの影響というのはどのようにお考えでしょうか。
(大臣)使用済太陽光パネルは2030年代後半から排出が顕著に増加すると見込まれておりまして、今後の排出量の増加に的確に対応できるよう、可能な限り早期の法案の提出を目指してまいりたいと考えております。更に、制度的検討と並行して、先ほど申し上げましたように、太陽光パネルのリサイクル費用低減・体制整備を加速化するということが重要になってきておりまして、そのためには事業者の予見性確保のためのガイドラインの改訂や、リサイクル費用の低コスト化に向けた研究開発の加速、リサイクル設備の設置補助による導入の促進、再資源化事業等高度化法に基づく太陽光パネルの高度リサイクル設備の認定基準の策定に取り組んで、太陽光パネルの適正なリサイクルに支障が生じることのないよう取組を前に進めていきたいと考えております
(記者)朝日新聞の福地です。
今のお話の関連ですけれども、太陽光パネルのリサイクル法案に関しては、もうすでにパブリックコメントと審議会での議論も終えているところでして、なかなか国の制度設計において、こういったプロセスを経てもなお国会提出、法案提出ができずに検討が続くということはあまりないケースかと思うのですけれども、今回のこういった経緯については、大臣はどう受け止めていらっしゃいますか。
(大臣)審議会においては、先ほど申し上げましたように、拡大生産者責任を踏まえ、今後の太陽光パネルの製造等を行う製造営業者等に負担を求めるということについて、御了解をいただいたということでありますが、その点が、今申し上げましたように、その後の様々な検討の中で、その他の法律との整合性において、それが取れないのではないかといった指摘、正確に言うと、内閣法制局からは、他のリサイクル関連法制の費用負担の考え方との整合性について指摘を受けたということでありまして、審議会の意見具申と、法制的な観点とが、齟齬があるということも含めて、さらなる検討をしていかなければいけないということであります。一方で、太陽光パネルのリサイクルを促進していくことは、関係者の理解と協力が不可欠でありますから、引き続き、関係者への丁寧な説明を行いながら、実効的な制度となるよう検討作業を進めてまいりたいと考えております。
(記者)審議会での議論というと、外部の識者の方々にも御意見を伺った中で、今国会の提出を目指してきたと思いますが、様々な外部の方々の御協力もいただきながら、提出が今国会で難しくなってきたこと自体は大臣としては、忸怩たる思いというか、やはりちょっとその辺り複雑なお考えもありますでしょうか。
(大臣)先ほど申し上げましたように、審議会で指摘されてまとまったもの、この間、様々議論をしてきたわけでありますけれども、当初の案に対して、その後に様々指摘をされたということで、今回の事態に至っているわけでありますけれども、できるだけ早期に、太陽光パネルのリサイクルの法案を提出していくということが必要になってくると思いますし、その際には、先ほど申し上げましたように、既存のものをどういうふうにしていったら良いのか、解決策はリサイクル費用の低減ということしかなくなってくるということになると思いますし、新設のものについては、当然そのリサイクル費用は、事業者、製造業者に負担してもらうってことになりますから、できるわけでありますけれども、そこを考えていかなければいけないということになろうかと思います。
(記者)共同通信の松本です。よろしくお願いします。
新潟水俣病についてお伺いします。5月31日で公式確認から60年を迎えると思いますが、まずそのことについての大臣としての受け止めと、今も救済を求める方が多数いらっしゃると思うんですけれどもが、そういった方々に、今後どうやって寄り添っていくお考えかというところをまずお伺いできればと思います。
(大臣)御指摘のとおり、今年は新潟水俣病公式確認60年という節目の年と承知しておりまして、新潟水俣病を含む公害の歴史と教訓を後世に伝えていくことは大変重要なことであります。これまで、政府としては、公害健康被害補償法や二度にわたる政治解決による補償・救済、医療・福祉の充実、地域の絆の修復を目指す地域づくり・地域振興など、水俣病対策を進めてきたところでありますけれども、現場のニーズをお聞きしながらさらに取組を推進してまいりたいと考えております。新潟水俣病の式典への参加については、関係団体との懇談の実施も含め、新潟水俣病公式確認60年という節目の年ということも踏まえて、その時の状況や日程を踏まえつつ検討を進めていきたいと考えております。
(記者)昨年ですと、式典の出席はされなかったですけれども、その後懇談をされたという経緯があったと思うんですけれども、新潟の患者の方からは熊本同様懇談をしたいという声も上がっていると思うのですが、その辺りについては、お考えはいかがでしょうか。
(大臣)そうしたことも、先ほど申し上げましたように関係団体との懇談の実施も含めて、60年の節目の年ということも踏まえて、状況、日程を踏まえつつ、検討を進めていきたいと思っております。
(記者)毎日新聞の大野です。よろしくお願いします。
太陽光パネルの法案についてなのですが、今現在設置されているものの多くが海外製だというふうに言われていて、含有物質が何であるかとか、リサイクルする際に情報管理が必要になってくるかと思うのですが、海外物質が多いとなかなかその分析が難しいのではないかという指摘もある中で、そういったことも今後再検討の課題になっていくのでしょうか。
(大臣)中身そのものということは特段の検討の内容ではないと思います。元々準備しておりました法案については、既設のものもリサイクルの対象にするということになっておりますし、例えば、先般私も北九州の出張に際して、太陽光パネルのリサイクル事業者で、すべてリサイクル可能なものだけにして、特に太陽光パネルを接着している部分を気化して、それを燃やすというような工場なども拝見させていただきましたので、日本においてリサイクル技術は確立しておりますので、有害物質が残らず、すべて残っている(ものは)、例えばガラス、あるいはシリコン、銅線、銀線だけになるということも技術的には可能ということでありますので、今御指摘の何があるか分からないということが、検討ということではありません。
(記者)電気新聞の荻原と申します。よろしくお願いします。
北海道の再エネ促進区域の指定をめぐる環境配慮基準のことについてお伺いしたいと思います。保安林までに除外範囲を広げるこの基準について、10日までに、一部報道で道内の39の市町村が、設定除外を求める申請を出したというようなことがあるんですけれども、この道と市町村のせめぎ合いと言いますか、この一連の経緯を巡る、大臣の現在見ているところの御所感というところをまずお伺いしたいのと、あともう1個、北海道というのはGX投資のポテンシャルが非常に高いと言われている中で、こういういろいろな問題というのが起こってくるかと思うのですけれども、改めて環境省として、地方でGX投資を進めていくためにどのようなこと、施策をやっていきたいかということをお聞かせください。
(大臣)2050年ネット・ゼロ実現に向けて再エネの最大限の導入に取り組んでいくためにも、地域との共生を前提に、環境に適正に配慮され、地域の合意形成が図られることが重要だと考えております。その観点から、国としては、地方公共団体が地域の協議会等で合意形成を図り、再エネ促進区域の設定等を行う、「地域脱炭素化促進事業制度」の活用を推進しております。同制度を活用し、都道府県と市町村が連携して地域共生・地域裨益型再生可能エネルギーの導入促進に取り組むことが重要と認識しております。環境省では、当該制度の活用に取り組む地方公共団体への財政支援を実施しているほか、昨年より、北海道庁と連携して、本制度の趣旨・概要について改めて道内の各市町村に対して説明し、活用を促してきたところであります。加えて、本制度の活用に関するインセンティブ強化等についても、さらなる対応を検討してまいります。また、脱炭素先行地域の取組への支援や、株式会社脱炭素化支援機構を通じた地域の脱炭素化プロジェクトへの投資等も引き続き行います。こうした取組を通じて、北海道を含む各地における脱炭素化及びそれを通じた地方創生・経済活性化を支援してまいりたいと考えています。
(記者)インセンティブ対応というところなんですけれど、どのようなインセンティブというものが想定さるのでしょうか。
(大臣)これからさらにいろいろとどういったことが可能かということを検討していきたいということなので、具体的なことを今申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
(記者)環境新聞の小峰です。
浅尾大臣は、広い教養の方なので、宗教についても、非常に御見識が高いと思います。そういう中で、このほどカソリックの新教皇にレオ14世が就任されました。レオ14世は、就任前から気候変動問題に大変に熱心だと聞いています。そしてまた、「Drill, baby, drill、掘って掘って掘りまくれ」のトランプ政権の米国で、トランプさんは、気候変動問題に極めて消極的なんですけれども、新教皇に対して、気候変動問題も含めて、何か期待するところ、また何かコメントあったらいただきたいと思います。
(大臣)累次申し上げておりますけれども、世界の気候変動に対する潮流は変わっていないと思っておりますし、そうした中で、新しい教皇のレオ14世が、気候変動の問題に大変強い関心を持っておられるということは大変ありがたいことだと思っております。
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=n3xMa25w30g
(以上)