大臣談話・大臣記者会見要旨
浅尾大臣閣議後記者会見録 (令和7年5月9日(金)8:35~8:47 於:衆議院分館1階)
1.発言要旨
おはようございます。冒頭4件、発言があります。
最初に欧州出張の報告についてであります。5月5日及び6日、ベルギー及びオーストリアを訪問しました。ベルギーでは、フックストラ欧州委員会委員等と会談し、本年11月に開催予定のCOP30を見据え、日本と欧州連合が協調しながら世界全体の気候変動対策を主導していくことを確認しました。オーストリアでは、グロッシーIAEA事務局長と会談し、福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた現在の取組状況等を説明するとともに、IAEAとの連携を改めて確認しました。今回の出張で得られた成果も踏まえ、引き続き関係各国や国際機関とよく連携し、脱炭素社会や福島復興の実現に向けて、取組を進めてまいります。
次に、水道における水質基準等の見直しについてであります。昨日5月8日、中央環境審議会の大塚会長より「水道における水質基準等の見直しについて」答申をいただきました。答申の内容は、水道水中のPFOS及びPFOAについて、水質管理目標設定項目から水質基準へと引き上げること、基準値をPFOSとPFOAとの合算で50ng/Lとすること、その施行時期を令和8年4月1日とすること、などです。今後、本答申に基づき、水道法に基づく省令改正の手続を進め、飲み水の安全確保に万全を尽くしてまいります。
次に、脱炭素先行地域選定結果について御報告いたします。脱炭素先行地域の第6回の募集について、全国から15件の提案をいただき、有識者等による評価を経て、本日、7件の提案を選定いたしました。これにより、計88の地域が脱炭素先行地域となりました。今回の選考でも、先進性・モデル性の観点で際立った特徴があり、地方創生に資するといった点が重視されました。例えば、牛ふんを活用したバイオガス発電で家畜排泄物の処理コストも低減する提案や、小水力発電の導入により、計画から運営までを行政主導で一括で支援するスキームを構築することで、事業者の参入を促す提案等、脱炭素の取組を通じた地方創生の効果が示された提案が高く評価されました。引き続き、地域における脱炭素の取組が進むよう、環境省としてもしっかりと取り組んでまいります。
最後に、人工光合成に関する検討会の開催について御報告いたします。来週13日、火曜日に、「人工光合成の早期社会実装に向けた取組加速化に関する検討会」を立ち上げます。諸般の事情が許せば、私もぜひ参加したいと思っています。この検討会では、人工光合成の第一人者にも参画いただき、本年秋頃までにロードマップを取りまとめる予定であります。2050年ネット・ゼロの実現に向けては、人工光合成のような革新的技術の社会実装が不可欠であります。本検討会を通じて、人工光合成の社会実装に向けた道筋が整理され、更なる取組の実現が力強く後押しされることを期待しております。
私からは以上であります。
最初に欧州出張の報告についてであります。5月5日及び6日、ベルギー及びオーストリアを訪問しました。ベルギーでは、フックストラ欧州委員会委員等と会談し、本年11月に開催予定のCOP30を見据え、日本と欧州連合が協調しながら世界全体の気候変動対策を主導していくことを確認しました。オーストリアでは、グロッシーIAEA事務局長と会談し、福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた現在の取組状況等を説明するとともに、IAEAとの連携を改めて確認しました。今回の出張で得られた成果も踏まえ、引き続き関係各国や国際機関とよく連携し、脱炭素社会や福島復興の実現に向けて、取組を進めてまいります。
次に、水道における水質基準等の見直しについてであります。昨日5月8日、中央環境審議会の大塚会長より「水道における水質基準等の見直しについて」答申をいただきました。答申の内容は、水道水中のPFOS及びPFOAについて、水質管理目標設定項目から水質基準へと引き上げること、基準値をPFOSとPFOAとの合算で50ng/Lとすること、その施行時期を令和8年4月1日とすること、などです。今後、本答申に基づき、水道法に基づく省令改正の手続を進め、飲み水の安全確保に万全を尽くしてまいります。
次に、脱炭素先行地域選定結果について御報告いたします。脱炭素先行地域の第6回の募集について、全国から15件の提案をいただき、有識者等による評価を経て、本日、7件の提案を選定いたしました。これにより、計88の地域が脱炭素先行地域となりました。今回の選考でも、先進性・モデル性の観点で際立った特徴があり、地方創生に資するといった点が重視されました。例えば、牛ふんを活用したバイオガス発電で家畜排泄物の処理コストも低減する提案や、小水力発電の導入により、計画から運営までを行政主導で一括で支援するスキームを構築することで、事業者の参入を促す提案等、脱炭素の取組を通じた地方創生の効果が示された提案が高く評価されました。引き続き、地域における脱炭素の取組が進むよう、環境省としてもしっかりと取り組んでまいります。
最後に、人工光合成に関する検討会の開催について御報告いたします。来週13日、火曜日に、「人工光合成の早期社会実装に向けた取組加速化に関する検討会」を立ち上げます。諸般の事情が許せば、私もぜひ参加したいと思っています。この検討会では、人工光合成の第一人者にも参画いただき、本年秋頃までにロードマップを取りまとめる予定であります。2050年ネット・ゼロの実現に向けては、人工光合成のような革新的技術の社会実装が不可欠であります。本検討会を通じて、人工光合成の社会実装に向けた道筋が整理され、更なる取組の実現が力強く後押しされることを期待しております。
私からは以上であります。
2.質疑応答
(記者)テレビ朝日の屋比久です。人工光合成に関連して2問、お伺いします。
1点目として、人工光合成は夢のエネルギーと称されて、大臣御自身も長年この分野に関心を持ってこられたと承知しておりますけれども、ただ、多くの国民はまだ人工光合成を知らないのが現状だと思います。そこで、人工光合成の技術が実現すると日本や世界にどういったメリットがあるのか、大臣はこの技術のどういった所に関心があるのか教えてください。
(大臣)人工光合成というとちょっと固い言葉のように聞こえますが、植物が行っております光合成、これは太陽(光)と水、二酸化炭素等から水素とブドウ糖を作るという過程でありますが、これを人工的に生み出すということでありまして、そういう意味で夢の技術と呼ぶにふさわしい、大きな可能性を秘めた革新的な技術であると考えております。メリットとして、まずは、人工光合成は脱炭素社会の実現に向けた強力なツールとなり得ます。具体的には、人工光合成によって、大気中に排出された二酸化炭素を活用することができれば、二酸化炭素の削減に貢献することとなります。また、石油を原料とする様々な化学製品の製造に、人工光合成によって得られた原料を使えるようになれば、産業構造そのものの転換になります。言わば、日本が産油国となり、我が国の生産性を飛躍的に高めるような、そういった夢のある技術だと考えております。今はまだ多くの国民の皆さんにとって耳慣れない技術かもしれませんが、日本は実はこの分野の基礎研究において世界をリードしてきた実績があります。産学官が連携して、将来的には日本発のグリーンイノベーションとして、世界中の課題解決に貢献できると確信しております。
(記者)今の関連なんですけど、人工光合成の基礎研究において、日本はこれまで世界のトップを走ってきたと思いますけれども、近年世界各国の追い上げが加速しています。そういった中で、日本が世界に先駆けて人工光合成を実現するには、まさに産官学が連携して「オールジャパン」の体制で臨むべきだというような指摘がありますけれども、国としての意気込みをお聞かせください。
(大臣)先ほど申し上げたとおり、日本は人工光合成の基礎研究において世界をリードしてきた実績がある一方で、近年では諸外国が人工光合成や関連する水素技術に巨額の投資を行って、急速に追い上げを見せてきております。例として挙げるとするならば、1961年にケネディ大統領が「人を月に10年以内に送る」と言った時に、アメリカが持っていた技術は、地球の周回軌道に衛星を載せることもまだできなかった。それと同程度の技術を人工光合成の世界で日本は持っている。その持っているところに、今急速に他のところが追いかけてきているということでありますが、日本が世界をリードして国際的なイニシアティブを取っていくためには、まさに持っているものをさらに進めていくという意味で、産学官が一体となった「オールジャパン」で戦略的に取り組むことが不可欠であります。先ほど申し上げました、1961年の段階から、1969年に月に人を送って戻ってくるアポロ計画というのは、まさにアメリカでやった産学官一体のものでありますが、同じようなことを日本としてやっていくべきだと考えております。環境省としても、今回立ち上げる検討会も活用しながら、他省庁とも連携し、産業界や大学、研究機関との連携をさらに強化し、社会実装に向けた支援、国際協調の場での発信など、多方面から後押ししてまいりたいと考えております。世界に先駆けたモデルを構築する気概を持って取り組んでまいりたいと考えております。
(記者)朝日新聞の福地です。
先週、大臣は水俣を訪問されて、慰霊式と関係団体との懇談を例年よりも長い時間かけて行ったと思いますけれども、改めてこの問題について大臣はどのような認識を持たれたか、それからこれからどう取り組んでいかれるか、お願いします。
(大臣)5月1日に、水俣病犠牲者慰霊式に参列するとともに、前日の4月30日から、今御指摘のとおり、2日間かけて、関係団体の皆様との懇談や、関係団体が運営されている福祉施設等の訪問をさせていただきました。慰霊式では、もたらされた被害の深刻さを改めて認識するとともに、関係者が集まって歴史と教訓を引き継いでいくことの重要性を実感いたしました。また、関係団体の皆様とは、しっかりと時間を確保してお話を伺うことができ、大変重要な機会となりました。環境行政の原点と言える場所に環境大臣として立った気持ちを忘れずに、引き続き、水俣に関わる多くの方々とともに、持続可能で安心して暮らしていける社会の実現を目指して様々な取組を進めていきたいと考えておりますし、また様々な懇談の場でいただいた課題等についても、引き続き真摯に取り組んでまいりたいと考えております。
(記者)南日本新聞の有田です。関連してお伺いいたします。
4月30日、5月1日に実施された懇談の際に、昨年の懇談の際の「マイクオフ」のシナリオの存在が大臣に伝わっていなかったということについて、どのように認識されておりますでしょうか。
(大臣)昨年度の懇談に、1人3分という時間制限を設け、時間を超過して発言された方のマイクの音量を切るという運営を行ったことは認識しておりましたが、シナリオについて、認識していなかったのは事実であります。こうした不適切な事態を招いた原因は、患者・被害者を始めとする関係者の皆様に寄り添い、十分に御意見をお伺いできるよう耳を傾けていくという姿勢が徹底されていなかったことにあると認識しております。そうした反省を踏まえて、今回は懇談の時間を大幅に増やし、2日間にわたって懇談を実施することとし、参加者1人当たりの御発言時間に制限は設けず、関係団体の代表の方と協力して懇談を進行するなどの対応を図ったところであります。今後も、関係者の皆様に寄り添い、御意見に耳を傾けながら、水俣病対策を前進していきたいと考えております。
(記者)時事通信の吉田です。よろしくお願いします。
関西電力の子会社のKANSOテクノスが先週、環境省からの受託事業で人件費を水増し請求していたことを発表しました。大臣の受け止めと環境省としての行政措置の方針を教えて下さい。
(大臣)株式会社KANSOテクノスが、令和5年度までのCCSに関する委託業務において、人件費等を不正に請求していたことは大変遺憾であります。先週5月2日のKANSOテクノスの公表を踏まえ、昨日、1カ月間の指名停止措置を行いました。また、不正請求していた費用については、返納手続を進めています。今後このようなことが起こることのないよう、受託事業者に対して適切に指導してまいりたいと考えております。
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=Vs8Rt-fD-oY
1点目として、人工光合成は夢のエネルギーと称されて、大臣御自身も長年この分野に関心を持ってこられたと承知しておりますけれども、ただ、多くの国民はまだ人工光合成を知らないのが現状だと思います。そこで、人工光合成の技術が実現すると日本や世界にどういったメリットがあるのか、大臣はこの技術のどういった所に関心があるのか教えてください。
(大臣)人工光合成というとちょっと固い言葉のように聞こえますが、植物が行っております光合成、これは太陽(光)と水、二酸化炭素等から水素とブドウ糖を作るという過程でありますが、これを人工的に生み出すということでありまして、そういう意味で夢の技術と呼ぶにふさわしい、大きな可能性を秘めた革新的な技術であると考えております。メリットとして、まずは、人工光合成は脱炭素社会の実現に向けた強力なツールとなり得ます。具体的には、人工光合成によって、大気中に排出された二酸化炭素を活用することができれば、二酸化炭素の削減に貢献することとなります。また、石油を原料とする様々な化学製品の製造に、人工光合成によって得られた原料を使えるようになれば、産業構造そのものの転換になります。言わば、日本が産油国となり、我が国の生産性を飛躍的に高めるような、そういった夢のある技術だと考えております。今はまだ多くの国民の皆さんにとって耳慣れない技術かもしれませんが、日本は実はこの分野の基礎研究において世界をリードしてきた実績があります。産学官が連携して、将来的には日本発のグリーンイノベーションとして、世界中の課題解決に貢献できると確信しております。
(記者)今の関連なんですけど、人工光合成の基礎研究において、日本はこれまで世界のトップを走ってきたと思いますけれども、近年世界各国の追い上げが加速しています。そういった中で、日本が世界に先駆けて人工光合成を実現するには、まさに産官学が連携して「オールジャパン」の体制で臨むべきだというような指摘がありますけれども、国としての意気込みをお聞かせください。
(大臣)先ほど申し上げたとおり、日本は人工光合成の基礎研究において世界をリードしてきた実績がある一方で、近年では諸外国が人工光合成や関連する水素技術に巨額の投資を行って、急速に追い上げを見せてきております。例として挙げるとするならば、1961年にケネディ大統領が「人を月に10年以内に送る」と言った時に、アメリカが持っていた技術は、地球の周回軌道に衛星を載せることもまだできなかった。それと同程度の技術を人工光合成の世界で日本は持っている。その持っているところに、今急速に他のところが追いかけてきているということでありますが、日本が世界をリードして国際的なイニシアティブを取っていくためには、まさに持っているものをさらに進めていくという意味で、産学官が一体となった「オールジャパン」で戦略的に取り組むことが不可欠であります。先ほど申し上げました、1961年の段階から、1969年に月に人を送って戻ってくるアポロ計画というのは、まさにアメリカでやった産学官一体のものでありますが、同じようなことを日本としてやっていくべきだと考えております。環境省としても、今回立ち上げる検討会も活用しながら、他省庁とも連携し、産業界や大学、研究機関との連携をさらに強化し、社会実装に向けた支援、国際協調の場での発信など、多方面から後押ししてまいりたいと考えております。世界に先駆けたモデルを構築する気概を持って取り組んでまいりたいと考えております。
(記者)朝日新聞の福地です。
先週、大臣は水俣を訪問されて、慰霊式と関係団体との懇談を例年よりも長い時間かけて行ったと思いますけれども、改めてこの問題について大臣はどのような認識を持たれたか、それからこれからどう取り組んでいかれるか、お願いします。
(大臣)5月1日に、水俣病犠牲者慰霊式に参列するとともに、前日の4月30日から、今御指摘のとおり、2日間かけて、関係団体の皆様との懇談や、関係団体が運営されている福祉施設等の訪問をさせていただきました。慰霊式では、もたらされた被害の深刻さを改めて認識するとともに、関係者が集まって歴史と教訓を引き継いでいくことの重要性を実感いたしました。また、関係団体の皆様とは、しっかりと時間を確保してお話を伺うことができ、大変重要な機会となりました。環境行政の原点と言える場所に環境大臣として立った気持ちを忘れずに、引き続き、水俣に関わる多くの方々とともに、持続可能で安心して暮らしていける社会の実現を目指して様々な取組を進めていきたいと考えておりますし、また様々な懇談の場でいただいた課題等についても、引き続き真摯に取り組んでまいりたいと考えております。
(記者)南日本新聞の有田です。関連してお伺いいたします。
4月30日、5月1日に実施された懇談の際に、昨年の懇談の際の「マイクオフ」のシナリオの存在が大臣に伝わっていなかったということについて、どのように認識されておりますでしょうか。
(大臣)昨年度の懇談に、1人3分という時間制限を設け、時間を超過して発言された方のマイクの音量を切るという運営を行ったことは認識しておりましたが、シナリオについて、認識していなかったのは事実であります。こうした不適切な事態を招いた原因は、患者・被害者を始めとする関係者の皆様に寄り添い、十分に御意見をお伺いできるよう耳を傾けていくという姿勢が徹底されていなかったことにあると認識しております。そうした反省を踏まえて、今回は懇談の時間を大幅に増やし、2日間にわたって懇談を実施することとし、参加者1人当たりの御発言時間に制限は設けず、関係団体の代表の方と協力して懇談を進行するなどの対応を図ったところであります。今後も、関係者の皆様に寄り添い、御意見に耳を傾けながら、水俣病対策を前進していきたいと考えております。
(記者)時事通信の吉田です。よろしくお願いします。
関西電力の子会社のKANSOテクノスが先週、環境省からの受託事業で人件費を水増し請求していたことを発表しました。大臣の受け止めと環境省としての行政措置の方針を教えて下さい。
(大臣)株式会社KANSOテクノスが、令和5年度までのCCSに関する委託業務において、人件費等を不正に請求していたことは大変遺憾であります。先週5月2日のKANSOテクノスの公表を踏まえ、昨日、1カ月間の指名停止措置を行いました。また、不正請求していた費用については、返納手続を進めています。今後このようなことが起こることのないよう、受託事業者に対して適切に指導してまいりたいと考えております。
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=Vs8Rt-fD-oY
(以上)