大臣談話・大臣記者会見要旨

浅尾大臣閣議後記者会見録 (令和7年4月25日(金)8:35~8:46 於:衆議院分館4階スペース)

1.発言要旨

おはようございます。2023年度の我が国の温室効果ガス排出量及び吸収量の国連提出及びGOSAT最新機の打上げについて、まず、発言いたします。
本日、国連気候変動枠組条約事務局に、我が国の2023年度の温室効果ガスの排出量及び吸収量、いわゆる温室効果ガスインベントリを提出いたします。2023年度において、我が国の排出量から吸収量を差し引いた実績値は、(約)10億1,700万トンとなりました。これは、削減目標の基準年である2013年度以降で最も低い値であり、2013年度比27.1%減、また前年度比4.2%減となります。2050年ネット・ゼロ実現に向けて直線的な減少傾向を維持しております。
また、昨年度に引き続き、ブルーカーボンやCO2吸収型コンクリート等による吸収量についても算定・報告し、取組を一層促進することとしております。あわせて、環境省がJAXAとともに開発した「温室効果ガス・水循環観測技術衛星」、いわゆる「GOSAT-GW」について、打上げ予定日が本年6月24日に決定しました。環境省として、GOSATシリーズ3機目となる本機により、温室効果ガス観測の観測精度やデータ数を大幅に向上させ、国内外の排出削減のための行動を後押ししてまいります。
続きまして、水俣病犠牲者慰霊式への参列等について発言いたします。
5月1日に熊本県水俣市において開催される、水俣病犠牲者慰霊式に参列いたします。
水俣病により亡くなられた方々の御冥福を、心を込めてお祈りをしたいと思います。
また、慰霊式への参列に併せ、前日の4月30日から2日間かけて、関係団体の皆様との懇談や、関係施設への訪問をいたします。懇談においては、十分な時間を確保し、じっくりと皆様のお話をうかがい、今後の施策に活かしていきたいと考えております。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(記者)朝日新聞の福地です。よろしくお願いします。
先ほど御発言いただいた水俣病の関係ですけれども、昨日24日に立憲民主党から健康調査に関しての緊急要請がありました。これに対する受けとめと、今後の対応をどのようにされていくのかを教えてください。もう1点、先ほどもお話があった、来週30日から5月1日、2日間の現地への訪問ですけれども、昨年のマイクオフ問題から1年ということで、先ほども御発言があったのですが、それを踏まえた上で今回こういった日程になった理由について教えてください。
(大臣)昨日、立憲民主党の求めに応じて、中田副大臣が要請文書を受け取ったところであります。先方からは、主に、健康調査に関して関係団体の御意見を聴くこと等について要請があったと承知しております。また、環境省としては、まずは、4月30日、5月1日の関係団体との懇談において、十分な時間を確保し、健康調査も含めて、じっくりと関係団体の皆様からのお話を伺ってまいりたいと考えております。また、今回の日程・場所については、参加者の声を十分にお聴きすることができるよう、関係者や関係団体とも調整した結果であり、昨年に比べて、懇談の時間を大幅に増やし、2日間にわたって懇談を実施することといたしました。
 
(記者)熊本日日新聞の高宗です。よろしくお願いします。
今、御発言があった水俣病に関してなんですけれども、今回初めて現地に行かれるということで、特にどういったところを重視して視察、懇談に臨まれるかを教えてください。
(大臣)関係団体の皆様から、御意見をよく聴かせていただいて、また現地において様々な方々、あるいは施設等を拝見させていただきたいと考えております。
(記者)もう1点、前の伊藤信太郎環境大臣が、水俣病が終わっていない責任は環境省にあるという発言をされているのですけれども、今回改めて問題の解決について決意なるものがあったら教えてください。
(大臣)関係当事者の皆様としっかりと意見交換をさせていただきながら、もやい直しも含めて、皆様と話をして、少しでも解決に向けて前進していきたいと考えております。
 
(記者)日本経済新聞の井田です。よろしくお願いします。
冒頭御発言のあった温暖化ガスの排出量に関連してお伺いいたします。政府は昨年、新しい温暖化ガスの排出目標として、35年度、40年度の削減目標を設定しております。最終的な2050年のネット・ゼロに向けて、減少しているとはいえまだまだ目標には、排出削減が一段と必要な状況ですが、今後更に排出量を削減していくためにどういったところが必要となるのか、環境省としてどういったところに取り組んでいくのかというのを教えてください。
(大臣)御案内のとおり、2050年ネット・ゼロに向けては、直線的な経路で削減が進んできておりますけれども、まだまだ道半ばということであります。この間、我が国が継続した省エネ努力や、電源の脱炭素化といった取組が進んできたということは一定の評価ができるものだろうと思います。今お話がありました2035年、2040年といった目標の実現については、新たな技術革新や社会実装の早さ等、様々な不確実性が高まっているということでありまして、その実現は決して容易なものではないと認識しておりますが、しっかりと実現していかなければいけない目標だと併せて認識しております。そして、2050年ネット・ゼロの実現に向けては、森林以外の吸収源対策というのも極めて重要だと考えておりまして、特にブルーカーボンは、沖合での取組の検討を開始して、今回、CO2吸収型のコンクリートについても、クレジット化の検討を加速していくことといたしました。いずれにしても、2050年ネット・ゼロに向けて、官民が総力を結集できるように政府一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。
(記者)関連でもう1問お願いします。世界を見てみると、主要排出国の1つであるアメリカは、トランプ大統領が就任して気候変動にかなり後ろ向きになっております。大臣はこれまでも日本の政策としては変わっていかないということを強調されておりましたが、今回の排出量の状況も踏まえて、改めて今後世界の中で、どういうふうにトランプ政権の不確実性もありながら、環境政策をどのように進めていかれるのかというところをお願いいたします。
(大臣)今お話がありましたように、日本の政策としては、ゆるぎなく、2050年ネット・ゼロに向けて取り組んでいくことであります。また、このネット・ゼロ、気候変動対策というのは、世界の潮流として潮目は変わってないと認識しておりますので、しっかりとそうした中において、我が国として貢献をしていくことに努めてまいりたいと考えております。
 
(記者)西日本新聞、村田です。
水俣病の方の質問に戻りますけど、関係団体との懇談について、水俣病はまだ健康調査の問題なり、被害者救済の問題なり、いろいろ課題が残されていると思いますけど、大臣が特に、懇談の中で問題意識を持って意見交換をしたいテーマなどあればお聞かせください。
(大臣)皆様から様々なお話を伺わせていただきながら、先ほど申し上げたもやい直しに向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 
(記者)NHKの岡崎です。
先ほどのインベントリに関連してなんですけれども、吸収源対策のところはブルーカーボンを含めてというお話だったのですけれども、排出量を減らす取組ももちろん大切になってくると思います。そこのところを改めてどうお考えか、特に進めなければならないとお考えの分野などあればお聞かせください。
(大臣)排出量を減らすに当たっては、電源構成というのも大変重要になってまいります。そういう意味では、再エネの導入というのもしっかりと取り組んでいかなければいけないことだろうと考えております。環境省としては、地域脱炭素推進交付金等による支援を通じた、地方公共団体が主導する地域共生型の再エネの推進といったことにも取り組んでおりますし、あるいは電源構成直接ではありませんが、住宅や建築物への自家消費型の再エネの導入支援とか、あるいは住宅等における断熱による電力消費量の削減といったようなことにも取り組んでいき、政策の総動員をしていかなければいけないという考えは変わりありません。
 
(記者)朝日新聞の福地です。
先ほど質問した水俣の関係なんですけれども、昨年は、再懇談の時は離島にも行かれて、今回も離島に来てほしいというお声もあったんですが、離島には行かずに、今回の日程になった理由についてお願いします。
(大臣)できるだけ多くの皆様と、様々な機会を通じて懇談をさせていただくという中で、今回の日程を決めさせていただいたということでありまして、日程の中で関係当事者とできるだけ十分な時間を確保したいということで、今回の日程となりました。
 
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=JW8o83KcIyk
 
(以上)