大臣談話・大臣記者会見要旨

浅尾大臣閣議後記者会見録 (令和7年4月4日(金)9:25~9:42 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

おはようございます。
JCM指定実施機関の指定について最初に発言をいたします。本年4月1日に、改正地球温暖化対策推進法に基づき、JCM指定実施機関(JCM Agency)として、略称をJCMAと呼びますが、公益財団法人地球環境センター(通称:GEC)を指定しました。
今後はJCMAが、JCMのプロジェクト登録からクレジット発行までの制度運営や、パートナー国との調整等に関する事務を行うこととなります。
このJCMAの発足式を、本日、夕方より、環境省内で開催予定であります。私も出席いたします。報道機関の皆様におかれましても、ぜひご参加いただければ幸いに存じます。
 JCMは、相手国のニーズを深く理解した上で、日本の企業や政府が技術や資金の面で協力して排出削減・吸収を実施することにより、相手国及び我が国の環境と経済の好循環に資するものであります。
 環境省としては、JCMの活用がさらに拡大・加速するよう、JCMAや関係省庁と一丸となって取り組んでまいります。

2.質疑応答

(記者)おはようございます。幹事社、時事通信の吉田です。よろしくお願いします。
冒頭発言に関連してJCMについて伺います。温対計画では、2030年度までに累積で1億トン程度、40年度までに累積で2億トン程度の排出削減・吸収量の確保を目指す目標を掲げていますが、実現の見通しを教えてください。
(大臣)JCMについては、現在、29カ国とパートナー国の覚書に署名し、270件以上のプロジェクトを実施しているところであります。これらが計画通り進行した場合、2030年度までの累積で、数千万トンの温室効果ガスの排出削減を実現できると見込んでおります。今般のJCMAの設立に加えて、今後、2月に閣議決定された改定地球温暖化対策計画に基づき、プロジェクトの範囲を、従来からの省エネ・再エネ等に加え、農業や森林、交通、CCSなど幅広い分野・領域へ拡大するとともに、削減ポテンシャル等も加味した、新規パートナー国の戦略的な開拓などに取り組んでまいります。こうした取組により、JCMを活用した気候変動対策を着実に拡大・加速し、世界全体での排出削減に貢献してまいります。
 
(記者)テレビ朝日の屋比久です。よろしくお願いします。
災害廃棄物に関連する質問です。先日、政府の有識者検討会が南海トラフ巨大地震の新たな被害想定を含む報告書を公表しました。報告書では、想定される災害廃棄物等の総量が約4億2千万トンで、これは前回の被害想定から約1億2千万トンの増加と試算されています。東日本大震災や能登半島地震を大きく上回る量の災害廃棄物等が発生するとの試算結果について、大臣の受け止めをお願いします。
(大臣)中央防災会議の下に設置された「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」において、建物被害等により発生する災害廃棄物が、津波堆積物を含めて、御指摘のとおり合計約4億2千万トン発生するとの想定が公表されました。これは、東日本大震災で発生した災害廃棄物量の14倍に相当する量であります。環境省では、これまで南海トラフ巨大地震で発生する災害廃棄物に関する技術的な検討を行ってまいりましたけれども、今回公表された被害想定はこれまでの想定を大きく上回るものであり、新たな被害想定を踏まえた検討を進める必要があると考えております。現在、環境省の災害廃棄物対策推進検討会等において、南海トラフ巨大地震を含めた、今後の災害廃棄物対策について御審議いただいております。検討会での審議を踏まえつつ、今後必要とされる対策の充実・強化に取り組んでまいりたいと考えております。
(記者)ありがとうございます。今のにちょっと関連すると思うのですけれども、政府が策定している「基本計画」の中で掲げている全国の全市区町村で災害廃棄物処理計画の策定率を令和7年度60%を目指す目標というのは、令和5年度末時点で既に達成済みというふうに認識をしていますが、今回の結果を受けて、今後さらに、環境省として検討・実施が必要と考える目標とか施策があれば教えていただければと思います。
(大臣)災害廃棄物処理計画の策定率は、令和5年度末時点で都道府県は100%、市(区)町村は86%に達しており、災害への備えが進んでおります。昨年8月に閣議決定された「第5次循環型社会形成推進基本計画」においては、市(区)町村の計画策定率について2030年度100%を目標とし、自治体における平時の備えをさらに進めております。一方で、南海トラフ地震や首都直下地震などの巨大地震や集中豪雨等の発生が懸念される中、大規模災害に備えた災害廃棄物処理体制の充実に向けて取り組む必要があります。このため、先ほど申し上げた検討会等における審議を踏まえつつ、自治体の災害廃棄物処理計画の早期策定に加えて、計画改定等により実効性の向上が図られるよう、環境省が策定している指針等の改定やモデル事業等の支援を行ってまいります。
 
(記者)北海道新聞の石垣です。
弊紙の方で3月29日に報じた、知床の基地局の配置の関係でオジロワシのつがいとみられる成鳥が確認された点について3点伺います。弊紙の取材では、事前に科学委員会が始まる前に環境省も事前にこのつがいの存在を把握していたということをこちらでも確認をしているのですが、科学委員会の中で事務局の環境省がこの事実を報告しなかった理由を教えてください。
また、調査会社は環境省に対して付近で繁殖する可能性があると報告していたようですが、それを公表せずに、専門家があの場で議論をしたことを含め、今回の公表の在り方、手法が適切だったのかどうか含め、大臣の受け止めを教えてください。
3点目、本来であれば年2回ぐらいの開催かと思います。普通に考えると、次は秋ぐらいの開催かと思われますが、この調査結果がまとまるのがおよそ8月末と言われている中で、それより別の機会、臨時に会議等を開く考えがあるのか、そこら辺を教えていただけますでしょうか。
(大臣)3点ありますのでまとめてお答えいたします。知床半島のニカリウス地区の携帯電話基地局整備については、現在、事業者側において調査を実施しているものと承知しております。3月の知床世界自然遺産地域科学委員会では、事業者側から、調査計画案の概要について説明を行うとともに、12月に実施したオジロワシの調査結果の概要について報告があったものと承知しております。調査は途中段階であり、引き続き専門家の指導を踏まえ、調査が行われるものと承知しております。今後、調査全体が完了した段階で、事業者側から科学委員会に報告されるものと考えております。なお、冒頭でありましたけれども、「つがいの存在を確認していた」と御質問されましたけれども、環境省において、つがいと確定した雌雄の個体が確認されたとの報告を受けた事実はありません。
続きまして、調査会社が付近で繁殖する可能性があると(報告をしていた)いう御質問がありましたけれども、3月の科学委員会では、事業者側から、調査計画案の概要について説明を行うとともに、12月に実施したオジロワシの調査結果の概要について報告があったと承知しております。環境省としては、先ほど申し上げましたように、調査が継続しているために、このような報告がなされたものと承知しており、特段問題があるとは考えておりません。結果の詳細については、調査全体が完了した段階で、事業者側から科学委員会に報告されるものと考えております。
最後の質問でありますけれども、3月の科学委員会では、調査計画案の概要について説明が行われ、調査の実施前に、各分野の有識者にヒアリングを実施することとされております。これまでの調査結果の詳細はもちろん、科学委員会からの助言やヒアリング内容等を踏まえ、事業者側において適切に調査計画が設計されるものと考えております。以上であります。
 
(記者)環境新聞の小峰です。
4月2日、日本時間4月3日、米国のトランプ政権が、すべての国に一律10%、そして上乗せ関税ということで、日本には24%の関税を課すと発表しました。これは世界経済の実質GDPを0.5%超下げるという試算結果も関係機関から出ておりますが、また、日本の実質GDPも2025年で0.6%、2029年まで実施されれば2.9%減などという試算結果も出ております。そうした中で、これだけの世界同時不況になるかもしれない、日本経済がひょっとして貿易立国であった日本経済が滅亡するかもしれないというような大変な危機の中で、世界と日本の温室効果ガスの排出量は当然減ると思いますけど、どのくらい減るということが、現時点で急に言われてもわからないかもしれませんけど、大臣の見通しと、それから世界と日本の気候変動対策、特に今年2月に閣議決定した第7次エネルギー基本計画、そして温暖化対策計画、そしてGXビジョンなど、気候変動環境戦略に大きな影響が出るのではないかということについての大臣の御見解をお願いいたします。
(大臣)トランプ政権の関税についての御質問でありますけれども、日本政府としては、これまで我が国の懸念を説明するとともに、一方的な関税措置をとるべきでない旨などを申し入れてきたにもかかわらず、米国政府が今般の相互関税措置を発表したことは、政府の一員として極めて遺憾に感じております。米国の相互関税措置に伴う温室効果ガス排出量の変化について、予断を持ってお答えすることは困難でありますが、今後の動向を注視していきたいと考えております。いずれにしても、気候変動対策については、主要排出国を含む多くの国が年限付きのカーボンニュートラル目標を引き続き掲げるなど、脱炭素の取組に関する世界的な潮目は変わっていないと考えております。我が国としては、今年2月に閣議決定した地球温暖化対策計画やGX2040ビジョン等に基づき、揺らぐことなく気候変動対策に取り組んでいきたいと考えております。
 
(記者)南日本新聞、有田です。
熊本県の水俣市である水俣病犠牲者慰霊祭について、あと残り1か月を切ったが、以前、大臣は諸般の事情が許せば参列したいとおっしゃっていましたが、その後、予定はいかがでしょうか。
(大臣)前にも申し上げておりますけれど、5月1日の慰霊式には、国会等の事情が許せばぜひとも出席したいと考えておりますし、その際に、その前後でということになろうかと思いますけど、時間を取っていろいろな方と、ないしはいろいろな所も含めて、訪問してまいりたいと、国会等の日程次第でありますけれども、考えております。その前にということについても、国会等の日程次第ということであります。
(記者)被害者とか支援者の連絡会が求められている現地訪問についても、国会等の日程が許せばという理解でよろしいですか。
(大臣)そういうことです。
 
(記者)北海道新聞の石垣です。
幌延町のユーラスエナジーの風力発電が、バードストライクを理由に一時的に発電を日中休止するという、会社の方からプレスリリースがありました。環境省としても、準備段階の意見書等から、バードストライクを危惧して配置の変更等を求めていたように思います。ただ、実際稼動直後からすでにバードストライクが発生しておりまして、大臣のこの事象に対する受け止めと、より意見書の実効性というか、アセスの効果というか、その辺の今後の取り組みについて伺えますでしょうか。
(大臣)御指摘の事業によって、海ワシ類であるオジロワシのバードストライクが複数発生していることについて、海ワシ類の保護の観点から懸念しております。この事業については、鳥類への影響が強く懸念されることから、2017年6月に、環境影響評価法に基づいて、今御指摘がありましたとおり、設置基数及び配置の見直しを行うこと、希少猛禽類及び渡り鳥に対する重大な影響が認められた場合は、稼働制限等を含めた追加的な環境保全措置を講ずること等を求める環境大臣意見を述べており、今般の事業者による対応は、この意見を踏まえたものであります。このように、重大な影響が懸念される事業については、環境保全の見地から厳しい大臣意見を述べ、当該意見によって、事業者が責任を持って、対策を検討・実施することにより、制度の実効性は担保されていると考えております。その上で、本事案について、環境省として、引き続き事業者からの状況を確認するとともに、今後の対応を注視していきたいと考えております。
 
(記者)南日本新聞の有田です。
先ほどの私の質問について、追加で質問なんですけれども、先ほど現地訪問について、あちこちとおっしゃっていたと思うのですけれども、もし具体的な候補地等あれば教えていただければと思います。
(大臣)これも現在検討中です。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=jyauCtGg_Xg
(以上)