大臣談話・大臣記者会見要旨

浅尾大臣閣議後記者会見録 (令和7年3月11日(火)11:25~11:42 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

おはようございます。
 本日の閣議において、環境影響評価法の一部を改正する法律案を閣議決定いたしました。
 本法律案は、第1に、工作物の建替え事業に関する環境影響評価手続を見直すとともに、第2に、環境影響評価手続において作成された書類、いわゆるアセス図書を継続的に公開できることとするものであります。
 前者については、事業者が事業の位置・規模を大きく変えずに建替えを行う場合には、配慮書において事業位置の選定に関する調査等に代えて、既存事業の環境影響を踏まえ、新設する工作物に関する環境配慮の内容を具体的に記載するものとし、これにより規制の適正化を図ります。
 また、後者については、事業者が作成したアセス図書を、環境大臣があらかじめ事業者の同意を得た上で継続的に公開することで、アセス図書に含まれる環境情報の活用を進めるものです。
 環境省としては、本法案成立に向け、国会にてしっかり御説明してまいります。
 次に、東日本大震災から14年を迎えての所感について申し上げます。
 東日本大震災から本日で14年となります。改めて、お亡くなりになられた方々に哀悼の誠をささげるとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 この1年、環境省として、被災地の復興・再生に向けて特定帰還居住区域での除染・家屋等の解体や、ALPS処理水に関する海域モニタリングなどの取組を進めてきました。
 また、福島県内の除去土壌等の県外最終処分に向けては、最終処分・再生利用の基準、最終処分場の構造・必要面積の複数選択肢、2025年度以降の進め方について取りまとめを進めています。
 さらに、昨年12月には、政府一体で全国民への理解醸成や再生利用の推進等の取組を強化するため、全閣僚が構成員となる閣僚会議も設置されました。
 復興に向けた取組はいまだ道半ばであり、特定帰還居住区域における除染や、除去土壌等の最終処分・再生利用などの課題について着実に取り組んでいく必要があります。
 その決意を新たにし、被災地の復興・再生に向けて取り組んでまいります。
私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)幹事社のTBSテレビの辻です。よろしくお願いします。
 環境アセスメント法の改正についてお尋ねします。
 環境アセスメント法の施行から、昨年で25年がたちましたが、施行後の運用状況と、今回、法改正が進んだ場合に期待することを教えてください、
(大臣)環境影響評価法の施行から25年が経過し、令和6年9月末時点で865事業について、同法に基づく手続が実施されるなど、同法の適用実績が着実に積み重ねられてきているところであります。
 一方、同法の運用を通じて、既存の工作物の建替えを行う事業の割合が今後増加していくことが見込まれる中、現行法には事業の位置や規模が大きく変わらない建替えに対する規定がないことや、事業者によるアセス図書の公表がおおむね1か月程度に限られており、環境影響評価により得られた情報を十分に活用できていないこと、などの課題が明らかとなりました。
 今般の法改正により、建替え事業については、適正な環境配慮を維持しつつ、事業の特性を踏まえた効果的・効率的な環境影響評価手続を実施することが可能となること、アセス図書の継続公開については、後続事業者による効果的な環境影響評価の実施や事業の透明性の向上による地域の理解醸成に貢献することを期待しております。
 
(記者)毎日新聞の山口と申します。
 東日本大震災についてお聞きします。
 福島の原発事故の影響で、多くの住民が現在、元々住んでいた場所を追われているかと思います。近隣7市町村で震災当時の2割に満たない人口です。このことに関して、原子力防災を担当する大臣として、どのように責任を感じ、今後取り組んでいくか、また、先ほどの所感の中で、今現在、避難をされている方に対する言及がなかったかと思いますけれども、大臣からメッセージがありましたら、お願いします。
(大臣)帰還を求められる方、全員の帰還に向けて、しっかりと取り組んでいかなければいけないと思っております。
 また、先ほど、被災された全ての方々に、心よりお見舞いを申し上げますとお伝えしましたが、現在も避難されている方に対しては特に、できるだけ、今申し上げましたとおり、帰還を求められる方については、全員の、1日も早い帰還に向けて取り組んでまいりたいと考えております。


(記者)エネルギーと環境、エネルギージャーナルの清水です。
 アセス法の改正について伺います。
 1つは、現在、865事業に適用ということになっていますけども、その事業がアセスをやった結果がどうだったか。そして、評価書や何かの過不足がなかったかどうかというチェックが、ほとんど行われていないんじゃないかと思うんです。これはやっぱり、今のアセス法の欠陥でもあるんじゃないかと。
 ただ、今回の改正で、アセス図書を環境省が公表できるようにするといったって、事業者がきっちり何年間、5年とか10年はちゃんと図書を公開しますとか、そういうものがなければ、環境省に事業のことを聞いてもほとんど分からないでしょう。
 要するに、評価のことは分かるかもしれないけど、という気がするんですよ。どうですか、その辺。要するに、やったアセスについてのフォローアップ、これが不十分じゃないかと思うんですけども、大臣の認識はどうですか。
(大臣)環境影響評価法によるアセスを行って、事業者自身がその評価書に記載されていることについて、しっかりと守っていただくということが大事だというふうに思っておりますし、その補填について、環境省としてもしっかりとフォローしていきたいと考えています。
(記者)だから、事業者がしっかり守っているということをやっぱりチェックしなきゃいかんわけで、そこになんか1つのきちんとした法律上の規定を設けるべきじゃないかと思うんですけれども、どうですか。
(大臣)環境影響評価法は、今、御指摘がありました(とおり)、事業者は、評価書に記載された環境の保全についての適正な配慮をしながら対象事業を実施するというふうになっておりますので、事業者において、評価書に記載された内容に相当する措置を取っているということについてしっかりと環境省としてもフォローアップをしていくということだと考えています。
 
(記者)朝日新聞の杉浦と申します。
 冒頭に言及があった、東日本大震災の除染土の再生利用について伺います。
 今、閣僚会議も立ち上げて、来年度から再生利用に向けて進んでいくところかと思いますが、環境省が調査して分かった科学的な安全性と、一般の方が思う安心だという感覚の間を埋めていくというのが、これからの作業になるかと思います。
 こういうことを埋めるために、どういったことが必要になると大臣自身はお考えになりますか。
(大臣)御指摘のところは、大変重要な点だというふうに思っております。
 環境省というよりは、これは科学的な知見で言いますと、今回再生利用する土壌は、1キロ当たり8,000ベクレルで、その上で、何ら措置を取らない中で畑等の農作業を1年間365日、その作業に1日8時間従事したとして、被爆する量は1ミリシーベルトです。
 この1ミリシーベルトというものは、例えば機械によって違いますけれどもCT(検査)は、1回受けると大体10ミリシーベルトといったようなものもありますし、累積で100ミリシーベルトを超える被爆がないと、がんへの優位性はない、100ミリシーベルトを超えたとしても、野菜不足と同程度というのが科学的な知見でありまして、このことから考えても、安全であるということだと思いますが、一方で、安全だということが知れ渡っていないということから、御指摘がありました、安心できないんじゃないかという点が大きな課題だと思っておりまして、今申し上げた前段の、どういうレベルの被爆をすると、どういった危険性があるのかということも含めて、理解醸成を進めていくということが大変重要だと考えております。
 その理解醸成を進めるための取組にも、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
 
(記者)読売新聞の児玉です。
 今の朝日新聞さんの質問に関連してなんですけれども、本日の読売新聞にも掲載されているんですが、最終処分場の受入れについて、条件次第で検討すると回答したのが5県にとどまったというようなアンケート調査の結果が出ました。
 これに対する大臣の受け止めをお伺いさせてください。
(大臣)今申し上げました理解醸成は、広く一般の方に進めていくことも必要だというふうに思いますし、特に、自治体等の首長にも、事実関係は理解醸成を進展していく上では大変重要なこと、理解醸成コミュニケーションを含めて、働きかけをしていきたい、安全性についての働きかけを進めていくことが重要だというふうに思います。
(記者)中には、例えば九州とかのほうだと、電力の需要は受け取っていないからというような回答も一部にあったように見受けられました。それについて、なかなか、安心とか安全以外の理由で拒んでいるようなところもあるのが見えてきたんですけれども、そちらに対しては、どのように今後アプローチをされていくお考えでしょうか。
(大臣)県外で最終処分をするということは、国としての法的な責務になりまして、最終処分をするに当たっても、再生利用ができるものをしっかりと再生利用することによって、最終処分をする量も減らしていくことができるということですので、確かに、東京電力の福島第一発電所からの電気は、直接的には到達していないところもあると思いますが、もちろんヘルツが違うということもありますけれども、全体的には電力系統がつながっているということを考えますと、間接的な観点では、電力のメリットも一定程度はあったのではないかと思います。
 そのことはそのこととして、今申し上げましたように、全国の皆様に理解を醸成していただくことが、福島の復興にもつながっていくと思いますし、例えば先般、そういう思いから発言をされた(福島県双葉町の)伊澤町長も、特段、電力が直接いってるところとそうでないところを分けた発言をしたものではないと私自身は思いますので、全国の方が、福島の復興に向けて連帯をしていただくという意味では、全国の方、特に首長には理解をしていただきたいと思っています。
 
(記者)共同通信の堀口です。
 今ちょっと御発言のあった、自治体、首長にコミュニケーション含めて働きかけをしていきたいということは、これは何か、新年度か何かにやる御予定なんですか。
(大臣)具体的に何か決まっていることがあるわけではありませんけれども、累次にわたって、この理解醸成が大事だということは申し上げてきたことでありますし、再生利用される土壌を受け入れるに当たっては、受け入れる自治体の中で具体的な理解醸成が進まないと、安全ではあるけれども、安心だと思っていただけないということがあるのではないかということで、申し上げさせていただきました。
(記者)何か、そのコミュニケーションの手法を省内で検討するということでよろしいでしょうか。
(大臣)現時点で具体的に何かするということ、手法が決まっているわけではありません。しかし、その必要性はあると思っています。
 
会見動画は以下にございます。
https://youtu.be/4iZmsFVyKMg?si=lgb8qwbL3Lu7W-8A
(以上)