大臣談話・大臣記者会見要旨
浅尾大臣閣議後記者会見録 (令和7年2月25日(火)9:10~9:29 於:環境省第1会議室)
1.発言要旨
おはようございます。本日の閣議において、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律、いわゆるGX推進法、及び資源の有効な利用の促進に関する法律、いわゆる資源有効利用促進法の一部を改正する法案を閣議決定しました。
GX推進法の改正法案については、脱炭素成長型の経済構造への円滑な移行を推進するため、排出量取引制度の法定化、化石燃料賦課金の徴収に必要な技術的措置等を講じるものであります。環境省としては、温室効果ガスの算定・報告・検証等に関するこれまでの知見を活かしつつ、経済産業省と連携して、2026年度から本格稼働する排出量取引制度の信頼性や透明性向上に努めてまいります。
また、資源有効利用促進法の改正法案は、再生材利用の拡大、環境配慮設計の促進、小型バッテリー等の製造事業者による自主回収・再資源化等のための制度的措置を講じるものです。環境省としては、改正法案が成立したあかつきには、関係省庁と連携して、本改正法案に基づく制度の着実な運用を図り、昨年成立した再資源化事業等高度化法に基づく制度とあいまって、循環経済への移行を加速してまいります。
私からは以上です。
GX推進法の改正法案については、脱炭素成長型の経済構造への円滑な移行を推進するため、排出量取引制度の法定化、化石燃料賦課金の徴収に必要な技術的措置等を講じるものであります。環境省としては、温室効果ガスの算定・報告・検証等に関するこれまでの知見を活かしつつ、経済産業省と連携して、2026年度から本格稼働する排出量取引制度の信頼性や透明性向上に努めてまいります。
また、資源有効利用促進法の改正法案は、再生材利用の拡大、環境配慮設計の促進、小型バッテリー等の製造事業者による自主回収・再資源化等のための制度的措置を講じるものです。環境省としては、改正法案が成立したあかつきには、関係省庁と連携して、本改正法案に基づく制度の着実な運用を図り、昨年成立した再資源化事業等高度化法に基づく制度とあいまって、循環経済への移行を加速してまいります。
私からは以上です。
2.質疑応答
(記者)おはようございます。フジテレビ、岩田です。よろしくお願いします。
今回の改正案が成立した場合の、GX推進法についてなんですけれども、本格導入に向けてさらに動き出すこととなる排出量取引制度や、2028年度に導入される化石燃料賦課金はNDCの達成にどのくらい貢献するものとお考えでしょうか。その理由と根拠も併せて教えてください。
また、実質賃金が物価に追いついていない中ですが、化石燃料賦課金が電力・ガス会社等に課せられた場合、国民からはさらなる負荷になりそうだとの懸念の声も上がりそうですが、その辺りのバランスはどのようにお考えでしょうか。お願いします。
(大臣)まず、最初の御質問でありますけれども、今回導入する排出量取引制度や化石燃料賦課金は、脱炭素と経済成長の同時実現を目指すものであり、炭素排出への価格付けを通じて、排出量の多い事業者や化石燃料の幅広いユーザーの行動変容を促すことにより、我が国のNDC実現に寄与するものであります。こうした制度自体による削減効果は、今後の詳細な制度設計の内容によるため、一概にお答えするのは難しいところがありますけれども、導入後には、対象事業者の排出削減の進展の状況や、他のGX政策等との関係について常時確認し、不断の見直しを実施していくこととしております。
環境省としては、気候変動対策全般を取りまとめる立場から、地球温暖化対策の進捗点検、フォローアップを行うこととしており、引き続き経済産業省をはじめ、関係省庁と連携して、NDC達成に向けて取り組んでいきたいというふうに考えています。
また、化石燃料賦課金が、国民からさらなる負荷になりそうだという懸念の声が上がりそうだということでありましたけれども、化石燃料の輸入事業者等に対して、課される化石燃料賦課金は2年前に成立したGX推進法に基づき、2028年度より導入することとなっています。カーボンプライシングは、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく範囲(内)で、全体として負担が増えないよう、段階的に導入していくこととされており、導入当初において、カーボンプライシングの負担が過大なものとならないように設計してまいります。
成長志向型のカーボンプライシングが、2050年ネット・ゼロと経済成長を共に実現する制度となるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えています。
(記者)朝日新聞の杉浦です。
昨日、福島県で双葉町の伊澤町長と会談をされたかと思うんですけど、その際にお話を聞かれて、国としてもしっかりやっていくということでお答えをいただきましたが、これは具体的にどういったことをされていくという意味でおっしゃったんでしょうか。
(大臣)福島県の伊澤町長は、いわゆる県外の最終処分も含めた、あるいは復興再生を含めた様々な国の取組がなかなか進んでいかないということに対して、中間貯蔵施設の立地自治体として、その理解が進んでいないことに対して危機感を持っておられるということで、全国的な理解醸成をより一層進めてほしいという、伊澤町長のお考えを伺いました。私からは、理解醸成を含む県外最終処分に向けた取組について責任を持って進めていくという話をさせていただきました。
(記者)別件で。
今日から生物多様性のCOPが始まりますけれど、中断前に難航していた資源動員を含め、日本として重視する議題を教えてください。
(大臣)御指摘のとおり、本日から生物多様性COP16の再開会合が始まりますけれども、この会合においては、主としてレビューメカニズム、資源動員について議論されるものであります。
我が国としては、昆明・モントリオール生物多様性枠組の達成に向けて、生物多様性の状態と各国の取組の進捗を共通の指標でモニタリングし、レビューを行う仕組みを確立することを重視しております。資源動員については、議長国のコロンビアが中心となり、合意形成に向けた努力が続け続けられておりますけれども、依然、先進国と途上国の意見の乖離が大きい状況であります。
我が国としても同志国の日本やカナダ、オーストリア、ニュージーランド等とも連携しながら、交渉に参加する締約国が共通の着地点を見いだすことができるよう、引き続き議論に参加、貢献してまいりたいというふうに考えています。
(記者)おはようございます。日刊工業新聞、松木です。
地中熱の空調への活用について質問させてください。地中熱を冷暖房に使うと空調のエネルギーを半減できたりだとか、データセンターの省エネにも大きな効果があると思います。しかし日本においては、欧米や中国に比べて地中熱の活用が遅れています。
環境省はこの木曜日、27日に地中熱の懇談会を開きますが、普及に向けて、今何が課題になっているのか、また今後の普及策について、お考えがあれば教えてください。
(大臣)地中熱についての御質問ありがとうございます。脱炭素社会実現のためには、再生可能エネルギーの最大限の利用が不可欠でありまして、太陽光や風力といった発電のみならず、地中熱を始めとする再生可能エネルギー熱の活用を推進していく必要があります。
地中熱は、年間を通じて15度程度と安定している地下の熱を有効活用するものでありまして、地面があれば日本中どこでも使える、有望な再生可能エネルギー熱であり、導入加速化が期待されております。一方で初期コストが比較的高いといったことが課題でありまして、環境省では設備の導入補助等を行っております。
またコストに加えて、認知度が低いという課題もあります。このため、今年度から地中熱に関する懇談会を開催し、事例発表や現地視察を行っております。次回、第2回は今週27日に開催を予定しております。
環境省としては、引き続き、関係省庁とも連携し、地中熱の普及拡大に努めてまいりたいと考えております。
(記者)NHKの岡崎です。先ほどの双葉町長との会談の件なんですけれども、大臣との会談の中では、双葉町長から町内での受入れについてのお話はあったんでしょうか。
(大臣)そういった話はありません。
(記者)発言の背景というか、心配しているということについて。
(大臣)理解醸成が遅れていて、それに対する危機感を持っているということでありました。
(記者)そういう危機感を背景にして、大臣との会談では直接なかったと思うんですけれども、自分の町での受入れも含めて検討していかなければいけないという発言が立地自治体から出ることについて、その危機感を強めているということについて、大臣のお考えをもう一度改めて教えてください。
(大臣)先ほども申し上げましたけれども、県外最終処分というのは、国の約束であります。最終処分の構造ないしは容積を決めていくに当たっても、再生利用ができるものについて、それ(利用)を進めていくことも大変重要なことでありまして、そうしたことについて理解の醸成を国の責務とし、行っていく。閣僚会議も設置をいたしておりますので、できるだけ、双葉町長も安心できるような形で進めていきたいというふうに考えております。
(記者)もう一点だけ。お答え難しいかもしれないんですけれども、再生利用を、今の立地自治体の双葉町内とかで進めることについては可能性があるとお考えでしょうか。
(大臣)制度面だけの話で言えば、再生利用については県外、県内問わず、これは法的な問題はないというふうに理解をしております。ただ、大変量が多いものでありますから、できるだけ全国で再生利用ができるようにしていかないと最終処分の量が減容されないという課題があるということです。
(記者)テレビ朝日の屋比久と申します。今の関連した質問になりますけれども、除去土壌は国民的な理解の醸成が非常に重要ということだと思いますけれども、昨日まだ具体的な話としては出ていないということですけど、もし仮に福島県内での再生利用というものがもし行われたとすると、福島県外での最終処分に向けて、国民的な理解の醸成というものが進んでいくというふうに大臣としてはお考えでしょうか。
(大臣)最終処分については県外というのは法律で決まっていますので、これは理解の有無を超えてやらなければいけないことだろうというふうに思います。それに加えて、県外で再生利用をしていくということについては、先ほど申し上げましたように、閣僚会議の設置をして今進めているところでありますけれども、同時に、昨日の会議でも、双葉町長ではなくて、福島県の市長会の会長も言っておられましたけれども、放射線に関する認識も高めていかなければいけないのではないかなと。再生利用を想定しているものについては、その上に覆土をしますけれども、覆土をしない状況で、そこで1年間仕事をしても、浴びる放射線の量は1ミリシーベルトということで、発がん性等々とは全く関係がないものであり、その上にさらに覆土しますから、ほとんど全く問題がない形にして再生利用しますけれども、そういったことの理解をしていかないと、正しく放射線を恐れるということにつながらないのではないかなというふうに考えておりまして、伊澤町長もそういった理解をしっかりと全国の方にしていただきたいという趣旨で話をされたというふうに私は思います。伊澤町長のほうから放射線の話は出ていませんけれども、そういうふうに理解しています。
(記者)毎日新聞の山口です。今の件に関連してなんですが、今後、再生利用の場所を募る際に、再生利用を受け入れる自治体に対するインセンティブの必要性を現時点でどのように考えているのか、また、インセンティブが必要だというふうに考えている場合は、現状ではどのようなものが想定されるのでしょうか。
(大臣)当然、再生利用をしていただくに当たって、除去土壌ないしは覆土というものをそこに運ぶ費用は当然国費で持つということになってくるというふうに思いますし、その他のことについては、特段、何か決まっていることがあるというわけではありません。
(記者)運ぶ費用以外にも、今後何かしら受け入れるということによって、自治体がメリットを受けられるメニューは必要だとお考えでしょうか。
(大臣)メリットというよりかは、正確に申し上げますと、国民の皆様に、これは安全なものなんだと理解をしていただければ、あとはその土壌を使うほうがコスト的に安いのか、そうでないのかということになるんだろうと思います。
(記者)時事通信の吉田です。よろしくお願いします。除去土壌の理解醸成について先ほど、放射線の濃度のお話もあったと思うんですけれども、理解醸成を進める上で環境省として今後決定する基準を活用して、丁寧に説明していきたいということをおっしゃっていると思うんですけれども、そうした具体的な数字を示すことで理解が深まるとお考えでしょうか。
(大臣)1キロ当たり8,000ベクレル以下の除去土壌について再生利用をしていくということで考えているところでありますけれども、8,000ベクレルという数字は、1年間で1ミリシーベルトの放射線を浴びるということにつながるということでありますが、1ミリシーベルトというのはどういうものなのかということについて、しっかりと国民の皆様に理解をしていただく必要性があるのではないかなと。
先ほど申し上げましたけれども、例えば発がん性との関係で言うと、100ミリシーベルトを超えると、野菜不足でがんになるのと同程度の発がん性というふうに言われておりまして、1ミリシーベルトでは、がんとの関係で言えば優位性はないということが示されておりますけれども、そういった科学的事実を伝えていくことの必要性というのはあると考えております。
(記者)読売新聞の天沢です。同じく除染土壌の関係で、除染土壌の最終処分に向けては理解醸成も含めてだと思うんですが、そもそも国の責任で進めていくものであって、環境省としては、中間貯蔵施設について受け入れた地元の負担というものに配慮しながら進めるという姿勢を見せていたと思うんですが、その中で、再生利用をどこでやるかと考えたときに、立地自治体以外ではなくて、まず立地自治体が発言しなければいけない状況になったのかなと、今回のことは。これについては、大臣としてはどう受け止めているんでしょうか。
(大臣)先ほども申し上げましたけれども、中間貯蔵施設を受け入れていただいた自治体の1つである(双葉町の)伊澤町長が、県外最終処分や再生利用の取組が、もう少し理解が進まなければいけないという思いを持っておられるということについては、大変深く受け止めておりますし、国としてもそういった理解を進めていくことにつなげていかないと、中間貯蔵施設を受け入れていただいた伊澤町長に対して大変申し訳ないという思いであります。
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=BdHI42e21Lc
今回の改正案が成立した場合の、GX推進法についてなんですけれども、本格導入に向けてさらに動き出すこととなる排出量取引制度や、2028年度に導入される化石燃料賦課金はNDCの達成にどのくらい貢献するものとお考えでしょうか。その理由と根拠も併せて教えてください。
また、実質賃金が物価に追いついていない中ですが、化石燃料賦課金が電力・ガス会社等に課せられた場合、国民からはさらなる負荷になりそうだとの懸念の声も上がりそうですが、その辺りのバランスはどのようにお考えでしょうか。お願いします。
(大臣)まず、最初の御質問でありますけれども、今回導入する排出量取引制度や化石燃料賦課金は、脱炭素と経済成長の同時実現を目指すものであり、炭素排出への価格付けを通じて、排出量の多い事業者や化石燃料の幅広いユーザーの行動変容を促すことにより、我が国のNDC実現に寄与するものであります。こうした制度自体による削減効果は、今後の詳細な制度設計の内容によるため、一概にお答えするのは難しいところがありますけれども、導入後には、対象事業者の排出削減の進展の状況や、他のGX政策等との関係について常時確認し、不断の見直しを実施していくこととしております。
環境省としては、気候変動対策全般を取りまとめる立場から、地球温暖化対策の進捗点検、フォローアップを行うこととしており、引き続き経済産業省をはじめ、関係省庁と連携して、NDC達成に向けて取り組んでいきたいというふうに考えています。
また、化石燃料賦課金が、国民からさらなる負荷になりそうだという懸念の声が上がりそうだということでありましたけれども、化石燃料の輸入事業者等に対して、課される化石燃料賦課金は2年前に成立したGX推進法に基づき、2028年度より導入することとなっています。カーボンプライシングは、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく範囲(内)で、全体として負担が増えないよう、段階的に導入していくこととされており、導入当初において、カーボンプライシングの負担が過大なものとならないように設計してまいります。
成長志向型のカーボンプライシングが、2050年ネット・ゼロと経済成長を共に実現する制度となるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えています。
(記者)朝日新聞の杉浦です。
昨日、福島県で双葉町の伊澤町長と会談をされたかと思うんですけど、その際にお話を聞かれて、国としてもしっかりやっていくということでお答えをいただきましたが、これは具体的にどういったことをされていくという意味でおっしゃったんでしょうか。
(大臣)福島県の伊澤町長は、いわゆる県外の最終処分も含めた、あるいは復興再生を含めた様々な国の取組がなかなか進んでいかないということに対して、中間貯蔵施設の立地自治体として、その理解が進んでいないことに対して危機感を持っておられるということで、全国的な理解醸成をより一層進めてほしいという、伊澤町長のお考えを伺いました。私からは、理解醸成を含む県外最終処分に向けた取組について責任を持って進めていくという話をさせていただきました。
(記者)別件で。
今日から生物多様性のCOPが始まりますけれど、中断前に難航していた資源動員を含め、日本として重視する議題を教えてください。
(大臣)御指摘のとおり、本日から生物多様性COP16の再開会合が始まりますけれども、この会合においては、主としてレビューメカニズム、資源動員について議論されるものであります。
我が国としては、昆明・モントリオール生物多様性枠組の達成に向けて、生物多様性の状態と各国の取組の進捗を共通の指標でモニタリングし、レビューを行う仕組みを確立することを重視しております。資源動員については、議長国のコロンビアが中心となり、合意形成に向けた努力が続け続けられておりますけれども、依然、先進国と途上国の意見の乖離が大きい状況であります。
我が国としても同志国の日本やカナダ、オーストリア、ニュージーランド等とも連携しながら、交渉に参加する締約国が共通の着地点を見いだすことができるよう、引き続き議論に参加、貢献してまいりたいというふうに考えています。
(記者)おはようございます。日刊工業新聞、松木です。
地中熱の空調への活用について質問させてください。地中熱を冷暖房に使うと空調のエネルギーを半減できたりだとか、データセンターの省エネにも大きな効果があると思います。しかし日本においては、欧米や中国に比べて地中熱の活用が遅れています。
環境省はこの木曜日、27日に地中熱の懇談会を開きますが、普及に向けて、今何が課題になっているのか、また今後の普及策について、お考えがあれば教えてください。
(大臣)地中熱についての御質問ありがとうございます。脱炭素社会実現のためには、再生可能エネルギーの最大限の利用が不可欠でありまして、太陽光や風力といった発電のみならず、地中熱を始めとする再生可能エネルギー熱の活用を推進していく必要があります。
地中熱は、年間を通じて15度程度と安定している地下の熱を有効活用するものでありまして、地面があれば日本中どこでも使える、有望な再生可能エネルギー熱であり、導入加速化が期待されております。一方で初期コストが比較的高いといったことが課題でありまして、環境省では設備の導入補助等を行っております。
またコストに加えて、認知度が低いという課題もあります。このため、今年度から地中熱に関する懇談会を開催し、事例発表や現地視察を行っております。次回、第2回は今週27日に開催を予定しております。
環境省としては、引き続き、関係省庁とも連携し、地中熱の普及拡大に努めてまいりたいと考えております。
(記者)NHKの岡崎です。先ほどの双葉町長との会談の件なんですけれども、大臣との会談の中では、双葉町長から町内での受入れについてのお話はあったんでしょうか。
(大臣)そういった話はありません。
(記者)発言の背景というか、心配しているということについて。
(大臣)理解醸成が遅れていて、それに対する危機感を持っているということでありました。
(記者)そういう危機感を背景にして、大臣との会談では直接なかったと思うんですけれども、自分の町での受入れも含めて検討していかなければいけないという発言が立地自治体から出ることについて、その危機感を強めているということについて、大臣のお考えをもう一度改めて教えてください。
(大臣)先ほども申し上げましたけれども、県外最終処分というのは、国の約束であります。最終処分の構造ないしは容積を決めていくに当たっても、再生利用ができるものについて、それ(利用)を進めていくことも大変重要なことでありまして、そうしたことについて理解の醸成を国の責務とし、行っていく。閣僚会議も設置をいたしておりますので、できるだけ、双葉町長も安心できるような形で進めていきたいというふうに考えております。
(記者)もう一点だけ。お答え難しいかもしれないんですけれども、再生利用を、今の立地自治体の双葉町内とかで進めることについては可能性があるとお考えでしょうか。
(大臣)制度面だけの話で言えば、再生利用については県外、県内問わず、これは法的な問題はないというふうに理解をしております。ただ、大変量が多いものでありますから、できるだけ全国で再生利用ができるようにしていかないと最終処分の量が減容されないという課題があるということです。
(記者)テレビ朝日の屋比久と申します。今の関連した質問になりますけれども、除去土壌は国民的な理解の醸成が非常に重要ということだと思いますけれども、昨日まだ具体的な話としては出ていないということですけど、もし仮に福島県内での再生利用というものがもし行われたとすると、福島県外での最終処分に向けて、国民的な理解の醸成というものが進んでいくというふうに大臣としてはお考えでしょうか。
(大臣)最終処分については県外というのは法律で決まっていますので、これは理解の有無を超えてやらなければいけないことだろうというふうに思います。それに加えて、県外で再生利用をしていくということについては、先ほど申し上げましたように、閣僚会議の設置をして今進めているところでありますけれども、同時に、昨日の会議でも、双葉町長ではなくて、福島県の市長会の会長も言っておられましたけれども、放射線に関する認識も高めていかなければいけないのではないかなと。再生利用を想定しているものについては、その上に覆土をしますけれども、覆土をしない状況で、そこで1年間仕事をしても、浴びる放射線の量は1ミリシーベルトということで、発がん性等々とは全く関係がないものであり、その上にさらに覆土しますから、ほとんど全く問題がない形にして再生利用しますけれども、そういったことの理解をしていかないと、正しく放射線を恐れるということにつながらないのではないかなというふうに考えておりまして、伊澤町長もそういった理解をしっかりと全国の方にしていただきたいという趣旨で話をされたというふうに私は思います。伊澤町長のほうから放射線の話は出ていませんけれども、そういうふうに理解しています。
(記者)毎日新聞の山口です。今の件に関連してなんですが、今後、再生利用の場所を募る際に、再生利用を受け入れる自治体に対するインセンティブの必要性を現時点でどのように考えているのか、また、インセンティブが必要だというふうに考えている場合は、現状ではどのようなものが想定されるのでしょうか。
(大臣)当然、再生利用をしていただくに当たって、除去土壌ないしは覆土というものをそこに運ぶ費用は当然国費で持つということになってくるというふうに思いますし、その他のことについては、特段、何か決まっていることがあるというわけではありません。
(記者)運ぶ費用以外にも、今後何かしら受け入れるということによって、自治体がメリットを受けられるメニューは必要だとお考えでしょうか。
(大臣)メリットというよりかは、正確に申し上げますと、国民の皆様に、これは安全なものなんだと理解をしていただければ、あとはその土壌を使うほうがコスト的に安いのか、そうでないのかということになるんだろうと思います。
(記者)時事通信の吉田です。よろしくお願いします。除去土壌の理解醸成について先ほど、放射線の濃度のお話もあったと思うんですけれども、理解醸成を進める上で環境省として今後決定する基準を活用して、丁寧に説明していきたいということをおっしゃっていると思うんですけれども、そうした具体的な数字を示すことで理解が深まるとお考えでしょうか。
(大臣)1キロ当たり8,000ベクレル以下の除去土壌について再生利用をしていくということで考えているところでありますけれども、8,000ベクレルという数字は、1年間で1ミリシーベルトの放射線を浴びるということにつながるということでありますが、1ミリシーベルトというのはどういうものなのかということについて、しっかりと国民の皆様に理解をしていただく必要性があるのではないかなと。
先ほど申し上げましたけれども、例えば発がん性との関係で言うと、100ミリシーベルトを超えると、野菜不足でがんになるのと同程度の発がん性というふうに言われておりまして、1ミリシーベルトでは、がんとの関係で言えば優位性はないということが示されておりますけれども、そういった科学的事実を伝えていくことの必要性というのはあると考えております。
(記者)読売新聞の天沢です。同じく除染土壌の関係で、除染土壌の最終処分に向けては理解醸成も含めてだと思うんですが、そもそも国の責任で進めていくものであって、環境省としては、中間貯蔵施設について受け入れた地元の負担というものに配慮しながら進めるという姿勢を見せていたと思うんですが、その中で、再生利用をどこでやるかと考えたときに、立地自治体以外ではなくて、まず立地自治体が発言しなければいけない状況になったのかなと、今回のことは。これについては、大臣としてはどう受け止めているんでしょうか。
(大臣)先ほども申し上げましたけれども、中間貯蔵施設を受け入れていただいた自治体の1つである(双葉町の)伊澤町長が、県外最終処分や再生利用の取組が、もう少し理解が進まなければいけないという思いを持っておられるということについては、大変深く受け止めておりますし、国としてもそういった理解を進めていくことにつなげていかないと、中間貯蔵施設を受け入れていただいた伊澤町長に対して大変申し訳ないという思いであります。
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=BdHI42e21Lc
(以上)