大臣談話・大臣記者会見要旨

浅尾大臣閣議後記者会見録 (令和7年2月21日(金)9:05~9:28 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

おはようございます。本日の閣議で、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案が閣議決定されました。
 令和5年度にはクマによる人身被害が過去最多を記録し、その後も人の日常生活圏にクマ等が出没する事例が相次いでおり、予防的で迅速な対応を可能とする必要があります。本法律案では、人の日常生活圏にクマ等が出没し、人の生命・身体への危害を防止する緊急の必要がある場合において、地域住民の安全確保など一定の条件の下、市町村長がクマ等の銃猟をハンターに委託して実施させること、すなわち緊急銃猟ができることとしております。
 併せて、この銃猟を安全かつ円滑に実施するため、市町村長による通行制限や避難指示、都道府県の応援要請、万が一に備えた損失補償などの規定も盛り込んでいます。本法案の成立に全力を尽くし、鳥獣被害の防止に一層取り組んでまいります。
 続きまして、IAEA事務局長との会談について申し上げます。
 昨日20日木曜日、来日中のIAEAグロッシー事務局長と会談しましたので御報告いたします。会談では、19日水曜日に視察いただいた中間貯蔵施設の御感想をいただいたほか、環境省が実施している除去土壌の再生利用やALPS処理水の海洋放出に関する追加的モニタリングなどについて意見交換を行いました。
 グロッシー事務局長からは、県外最終処分に向けた再生利用の取組はIAEAの立場から見ても、正しい方向に進んでいる旨、改めて御発言があったほか、第三者の客観的な評価等が必要であれば、いつでも対応するというお言葉をいただきました。会談を通じて、引き続き両者が連携していくことを確認でき、有意義な議論ができたと感じております。
私からは以上であります。

2.質疑応答

(記者)おはようございます。幹事社フジテレビ、岩田です。よろしくお願いします。
クマの件でお伺いします。北海道砂川市で駆除に当たったハンターが銃猟所持の許可を取り消されるなど、猟友会や知事からも懸念の声が上がっていました。今回閣議決定された改正案で可能となる緊急銃猟においては、責任の所在が不明確になることはないのでしょうか。ないとすれば、どのような方法で責任の所在を明確化するのか、改めて大臣から御説明いただけないでしょうか。お願いします。
(大臣)御指摘のハンターが猟銃所持の許可を取り消された事案は、市の要請を受けたハンターがヒグマに発砲した行為が、鳥獣保護管理法で禁止している建物に向かって行う銃猟であったとして、銃刀法に基づく猟銃の所持許可が取り消されたことを争う事案であります。
 本法案に基づく緊急銃猟は、この鳥獣保護管理法の規定の適用を除外するとともに、市町村の事務として実施することを明確化しておりますので、その事務の一部を委託されたハンターが建物に向かって撃ったとしても法律違反とはならず、ハンター個人の責任は生じない仕組みとなっております。
 
(記者)毎日新聞の山口と申します。おはようございます。
 除染土の再利用についてお尋ねします。福島県内で発生した除染土の再利用について、双葉町の伊澤町長が町内で、再利用を検討していると取材に対して答えたと報じました。現在、環境省は再生利用の用途や利用先を検討していると思いますけれども、現状で手を挙げている自治体がない中で、被災地である双葉の町長が町内利用を検討するという意思を示したことに対する受け止めをまずお願いします。
(大臣)除去土壌の問題について、双葉町の伊澤町長などに御心配をおかけしているということについては申し訳ないというふうに思っております。双葉町内での再生利用については、国として具体的なお話は伺っておりません。再生利用については、関係閣僚会議などにおいて、進め方などについて検討中であります。
(記者)続けて、今後再生利用の利用先をどのように発掘していく考えなのか、特に福島県内、県外、候補地選定の考え方に県内を含んでいるのかというところをお願いします。
(大臣)閣僚会議で再生利用を各省庁が持っております様々な事業の中で活用していくということの呼びかけをしておりまして、その中で適切に再生利用の場所を確保していきたいというふうに考えております。
 最終処分については県外ということでありますが、再生利用については県外でなければならないということではないというふうに認識しています。
(記者)双葉町長は取材の中で、福島原発で作っていた電力が首都圏に供給されていたという歴史や背景を分かってもらわないと、なかなか再生利用先が、受入れ先の協力が進まないというふうに発言しているんですけれども、新宿御苑などの実証事業を目指している中で、浅尾大臣はどうすれば、国民の理解を今後得られていくとお考えでしょう。
(大臣)双葉町長の話は直接聞いてみたいというふうに思っております。
(記者)どうすれば、国民の理解が今後得られていくのかというふうなお考えは。
(大臣)丁寧に再生利用の安全性について説明をしていくことがまず大事だろうというふうに考えておりますし、以前でもこの会見で申し上げたと思いますが、福島県内と福島県外で最終処分の場所についての認識が、県外であるということを知っているという(人の割合)が福島県のほうが大分高いという今の実態を踏まえて、まずは最終処分は県外というのは国の約束だということを国民に理解をしていただいた上で、最終処分の処分量を減容していくためにも、再生して使うことができるものについては使っていく。その安全性を丁寧に説明した上で発掘をしていくということが大事だろうというふうに考えます。
 
(記者)日経新聞の大高です。よろしくお願いします。
 今の除染土の話に関連してなんですけれども、昨日グロッシー事務局長がおいでになられて、国際機関のトップから安全性について客観的な見解を得るということは、国内外の理解醸成につながるのかなと思うんですけれども、今の質問に関連して、グロッシー事務局長の御見解を今後の国内の理解醸成につなげていきたいだとか、何か打開策につながるような期待感がありましたら、教えてください。
(大臣)これまでも環境省はIAEAの助言を踏まえて、再生利用、最終処分の基準や県外最終処分に向けた2025年度以降の取組の進め方を検討していることを、グロッシー事務局長に対して、昨日の会談の中でも説明してまいりました。
 今の御指摘でありますけれども、グロッシー事務局長からも、今後の取組の安全性について、IAEAとしてもしっかりと確認していくとのお言葉をいただいておりまして、安全性といったことについては、情報発信の重要性についても認識を共にしたところであります。
2045年3月までの県外最終処分の実現に向けて、引き続きIAEAとも連携しながら取組を進めていきたいと思いますし、御質問に対する答えで言えば、適切な情報発信が重要だというふうに考えています。
(記者)別件でもう1件お尋ねしたいんですが、NDCについて、提出期限が2月10日を過ぎてもあまり国際的に提出状況が芳しくないということで、日本は国際的には早めに提出をされたと思うんですけど、こうした状況を踏まえて、改めて温暖化対策で日本がリーダーシップを取っていきたいだとか、何か御所見があれば教えてください。
(大臣)日本は2050年ネット・ゼロに向けて、これまで着実にその歩みを進めてきましたし、今後も2035年60%、2040年73%といった目標に向けて、着実に歩みを進めることで、国際的にもしっかりとリーダーシップを取っていきたいというふうに考えています。
 
(記者)朝日新聞の杉浦です。
双葉町の除去土壌再生利用について、先ほど毎日さんの質問の中で、国として具体的な話を聞いていないということだったんですけれど、どういった話を把握されていて、町長の話を直接聞いてみたいということでしたけど、いつ頃どういう形で会談を考えられているんでしょうか。
(大臣)先ほど申し上げましたように、町長から、具体的な内容をお聞きしてみたいというふうに私自身も思っておりますけれども、本日の報道で私自身も知ったことでありますので、いつ頃ということが、特にすぐに決まっているわけではありません。
 
(記者)読売新聞の児玉です。
先ほど、冒頭の発言であったクマの関連に戻るんですけれども、改めて大臣から今回の改正法案の提出の意義、狙いを伺えますでしょうか。
(大臣)これまで人がいないところであっても、建物に向かって銃猟するということができなかった中で、一方でクマによる人身の被害も相当増えておりますし、私自身も昨年、秋田県に出張いたしまして、出動したハンターが、壁があったので、銃は持っていたけれども、そのときには発砲ができずに、結果としてクマに押し倒されて、中指と薬指の先を欠損した方のお話も伺って、法改正の必要性についてよく認識をしておりますので、繰り返しになりますけれども、ハンターは免責され、そして人に被害がないという中で、クマが出てきた場合等に適切に被害を防げるような態勢を作れるということは大変意義のある法改正だというふうに考えます。
 
(記者)秋田魁新報の菊地と申します。
続けて、銃猟のことでお伺いします。法律の成立とともに、クマが多い自治体では、どういった場合に発砲ができるかというガイドラインの策定というのも、環境省のほうに期待していることかなと思います。その辺りに対する大臣のお考えをお伺いできればなと思います。
(大臣)今考えておりますことの幾つかということになるかもしれませんが、まず、クマの銃猟の担い手についても大変重要なことだろうというふうに思いますので、短期的には猟友会や農林水産省が所管している鳥獣被害対策実施隊に参加している方々の協力を得ながら対応していくのが現実的と考えております。
 ガイドラインに重なるところがあるかもしれませんが、人材確保が困難な自治体には、環境省が新たに作成するクマ人材データバンクにより人材のマッチングを行うことも可能とするように考えています。中長期的には、地域の状況に応じて、市街地等におけるクマの対策に関する高度な技術を持った市町村職員のハンターや認定鳥獣捕獲等事業者など、民間事業者ハンターの育成が必要だと考えております。環境省においては大学等と連携し、鳥獣保護管理に関する統一的な専門カリキュラムによる若手人材の育成サポートに取り組んでいるところであります。このほか、自治体の人材確保育成に係る取組について、環境省の交付金により支援をしていきたいというふうに考えておりますし、銃猟についても具体的に分かりやすいガイドラインを作っていく予定であります。
 
(記者)毎日新聞の岡田と申します。
 除染土の双葉町の再生利用を検討する意向について、先ほど大臣の御発言で御心配をおかけしていることは申し訳ないとおっしゃいましたけど、これは何に対して申し訳ないということなんでしょうか。
(大臣)私は、報道を見た感じで言うと、伊澤町長が、なかなか再生利用が進んでいないということで御心配されているんじゃないかなということに対して申し訳ないということを申し上げたわけです。
(記者)埼玉の所沢とかで実証試験がなかなか進んでいないということですか。
(大臣)具体的にどこが進んでいないということよりも、2045年の県外最終処分にしても、その前に再生利用できるものを、かなりいろんなところで使っていただかないと、処分量の減量になりませんので、そういうことについて、まだ確定的なところが出ていないということに対して御心配をおかけしてるのではないかということで申し訳ないということです。
(記者)あと、この再利用がなかなか首都圏で理解が得られていないということについては、やっぱり安全性の説明とか、これまでの経緯、首都圏がその電力の需給を受けてきたという、その経緯の説明が足りないんじゃないかという指摘もあったんですけど、この点についてはどうですか。
(大臣)先ほど申し上げましたけれども、福島県内と県外で最終処分場がどこにあるかということが、県外だということの認識が、福島県内(の方)とそれ以外ではかなり異なっておりますので、これは法律で決まっている事項でありますから、そういった認識も広く共通にしていただかないといけないというふうに考えています。
 
(記者)NHK、岡崎です。
 クマの話に戻るんですけども、先ほど大臣がおっしゃった中長期的に人材を確保していくということはとても大事だと思うんですけれども、一方で、市町村にとっては、やはり目の前の銃猟、どういう条件でやったらいいかというところが取り急ぎどうしたらいいか困るところだと思うけれども、そこのところをどう支援していくか、改めて教えていただいてもいいでしょうか。
(大臣)まずは銃猟の免許を持っておられる方に、市町村の職員とともに出動していただいてという中で、人がいないところで発砲ができるような法改正予定していますが、具体的なガイドラインを作って、それをしっかりと市町村の職員の方にも認識をしてもらうということが大事だというふうに考えています。
 
(記者)共同通信の堀口です。
 話が変わって、北陸電力の富山新港火力発電所の石炭火力の建て替え計画について伺います。同社は2010年代の初頭、古い石炭火力1基を18年頃に廃止し、代わりにLNG火力1基を新設するという建て替え事業を行うことを明らかにし、建て替えに沿ったアセス手続きを行いました。これに対して環境省は14年に大臣意見を出しています。新設のLNG火力を予定どおり18年に運転開始しましたが、一方、廃止するとしていた石炭火力について、同社は17年になって、18年度廃止予定だったが6年延ばし、24年度まで延期すると表明しました。間もなく24年度末を迎えますが、この石炭火力1基について、環境省には、北陸電側から廃止したといった連絡などは入っていますか。
(大臣)北陸電力が富山新港火力発電所の石炭火力の廃止を公表したという事実はないと認識しています。
(記者)同社が2017年に廃止延期を表明した際、環境省は当時の中川雅治環境大臣が会見で、「極めて遺憾で非常に残念だ」と厳しい言葉で批判していますが、改めてこの件についての環境省の認識について伺います。
(大臣)中川大臣としては、当時そのような認識でお話をされたと理解しています。一般論として、約束は守るべきものだと考えています。
 
(記者)環境新聞の小峰です。
 冒頭の鳥獣保護法の改正に絡んだ話なんですけれども、捕獲し、そして殺処分した後のことなんですけれども、個人の見解でも結構ですが、浅尾大臣は殺処分の直前まで命があった生き物の取扱いについて、どうしたらいいとお考えですか。
(大臣)できる限り、食べられるのであれば食べられるようにしていくことが大事かなというふうに思います。私も地元で、罠でイノシシを捕る、わな猟の会という人たちと仲良くしておりまして、これは法律の規定があって、自家消費しかできない。要するに、頒布するためには適切な解体施設でないと販売はできないんですが、自家消費は認められているものを分けて、イノシシですから猪鍋をいただいたことがありますが、確かに大変おいしいわけでありまして、できる限り、いただけるものについてはいただけるような体制というのを作っていければというふうに思いますし、今申し上げましたように自家消費だけではなく、頒布ができるよう、いろんな形で制度を整えることができれば、大変ありがたいのではないかなというふうに考えます。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=9JciCZAU7nQ
(以上)