大臣談話・大臣記者会見要旨

浅尾大臣閣議後記者会見録 (令和7年1月17日(金)10:45~10:59 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

おはようございます。冒頭4件、私のほうから発言をいたします。
 最初に、本日の閣議で環境省関係法令が2つ決定されましたので、それぞれ報告いたします。
 1点目は、地球温暖化対策推進法施行令の一部改正についてです。この改正は、昨年成立した改正温対法に基づいて、JCMの実施体制の強化に関する詳細を定めるものであります。具体的には、クレジットを管理する登録簿の記録事項や企業などが口座を開設する際に徴収する手数料の額等を定めるものです。あわせて、温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度における算定方法に関して、合成メタンなどのカーボンリサイクル燃料を利用する場合のルールなどについても定めております。これらについて、JCMを通じた世界での温室効果ガス排出削減にさらに貢献していくとともに、事業者の排出削減対策の促進につなげていきたいと考えています。
 2点目は、今申し上げました、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令でありまして、この政令は、国内の生息環境の悪化や鑑賞あるいは販売目的による捕獲等により絶滅が危惧されている10種について、国内希少野生動植物種への追加指定を行うものであります。
 指定により、捕獲又は採取、譲渡し等に規制がかかることから、これらの種の絶滅のおそれを低減させることが期待できます。
 引き続き、ネイチャーポジティブの実現に向けて、今回のような絶滅危惧種に対する法規制を含め、生物多様性の保全の取組を進めてまいります。
 次は、第1回リユース促進に向けた懇談会について報告をいたします。循環経済への移行に向けて、様々な製品のリユース推進の機運を高めることを目的として、1月15日に第1回のリユース促進に向けた懇談会を開催しましたので、御報告いたします。
 今回は、神奈川県座間市の佐藤市長、日本リユース業協会の石原代表理事、早稲田大学の小野田教授、リユース経済新聞の瀬川編集長より、最新の動向や今後の展望などについてプレゼンをいただき、意見交換をいたしました。
 皆様からは、リユースを広めるプロモーション、市民の意識や行動の変化の重要性、新たなビジネスモデルの構築、デジタル技術の活用等について様々な御意見をいただきました。懇談会でいただいた御意見は、昨年11月に設置した使用済製品のリユースの促進に係る検討会にインプットし、更なる検討に活かしていただきます。
 また、検討会において、リユース促進に向けたロードマップについて御議論いただくこととしております。ロードマップの方向性については、懇談会でいただいた御意見も踏まえつつ、今夏までに取りまとめる予定です。
 こうした検討成果を足がかりに、幅広い世代の方々にリユースの重要性が一層浸透して、リユースが生活の一部になり、持続可能な社会の実現に向けて大きく進むよう、今後も関係者との対話を進めてまいります。
 最後、本日この後、脱炭素先行地域の選定自治体である千葉県匝瑳市及び千葉市に出張いたします。匝瑳市では、営農型太陽光発電を視察するとともに、宮内市長や現場で取り組まれている方々から、地方創生にも資する脱炭素の取組についてお伺いをする予定であります。また、千葉市では、ZEB Ready認証を取得した千葉市役所庁舎を訪問し、神谷市長からレジリエンス強化に関する取組についてお伺いをする予定であります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)読売新聞の田中です。よろしくお願いいたします。
 ちょっと古い話なんですけれども、昨年11月にPFASを含む泡消火剤の在庫状況の調査結果が発表されましたけれども、自衛隊とか消防署などの公共の施設では順調に置き替えが進んでいるようなんですが、民間事業者さんにとってはちょっと負担が大きいということで、まだ進んでいないようなんですけど、ここは何かもし支援メニューとか、促進のために考えていらっしゃることがあれば、教えてください。
(大臣)昨年11月に公表しましたPFOS等含有泡消火薬剤の在庫量調査においては、消防機関、空港、自衛隊関連施設のように大規模かつ使用頻度が比較的高い施設については、大幅に代替・処分が進んでいることが明らかとなりました。今後は、駐車場等の小規模な民間施設の取組を加速していく必要があると認識しております。このため、環境省では、来年度予算案において、駐車場におけるPFOS等含有泡消火薬剤の在庫量を把握し、適正管理と代替促進を強化する事業に必要な額を計上したところであります。
 引き続き、PFOS等含有泡消火薬剤の代替・処分を促進し、PFOS等による環境汚染の防止を図ってまいります。
 
(記者)毎日新聞の山口と申します。
 営農型太陽光発電についてお尋ねします。本日午後に視察に行かれるということなんですけれども、営農型太陽光発電は脱炭素を進める上で、アイデアとしてやったほうがいいというのは様々な識者の方から指摘されているところかと思うんですけど、実態としてはあまり進んでいないというのが実態かと思います。
 そこで、進んでいない要因というのが、どういう理由で進んでいないのかというふうに環境省として分析しているのか。また、環境省として推進する必要があるというふうに、もし考えなのであれば、進めるためにどのような後押しの施策をしていくのか、その2点をお願いします。
(大臣)営農型太陽光発電は、もちろん環境省としても推進していきたいと考えておりますが、再エネの最大限の導入に貢献するだけでなく、売電収入等も通じた農業経営基盤の安定化や、荒廃農地の再生など、農業振興にも資する有用な取組であると認識しております。
 本日は、匝瑳市における営農型太陽光発電の取組状況について伺っていきたいというふうに思っておりますが、今申し上げましたように、売電収入によって営農者の収益向上にもつなげていくことができるものだろうというふうに理解をしております。
 営農型太陽光発電に係る各制度の運用については、農林水産省等により適切な対応が図られているところでありまして、環境省としても、今後も農林水産省など関係省庁と連携しながら、適切な営農を前提として地域共生・地域裨益型の再生可能エネルギーとして推進していきたいと考えます。
(記者)ありがとうございます。なかなか進んでいないという背景については、何がそれを阻んでいるというふうに大臣としてはお考えでしょうか。
(大臣)いろんな理由があるかもしれませんが、しっかりと太陽光が当たって農作物を作っていただくことがもちろん一番大事でありまして、その中で、農作物が作れる範囲の中で、パネルを入れていくというところも一つの課題としてはあるのかなと。
 繰り返しになりますけれども、農業で農作物を作っていただくということの中で副次的な収入としてやっていただくという理解を推進しながら進められるところは進めていきたいというふうに考えています。
 
(記者)日刊工業新聞の松木です。
 先ほど、リユースの懇談会で有識者の方からお話を伺ったということでしたけれども、これまでの政府は、リサイクルのほうを法規制によって推進してきたかと思います。
 リユースについては民間で、ビジネスベースで市場が立ち上がっているかと思いますけれども、今後も政府としてどのような支援ができるのかどうか、考えていることがありましたら教えてください。
(大臣)まず実態の把握、そして、その中で自治体等も絡めてリユースをやっていただいているところで、横展開を進めていければというふうに思います。
 
(記者)エネルギージャーナルの清水です。1点目は毎日新聞の人(の質問)に関連する営農型なんですが、匝瑳市にお出かけになって、御苦労様です。ただ、匝瑳市というのは、営農型でモデル的なところで、非常に良くいっているところなんですよ。だから、むしろうまくいっていないところに環境行政として目をかけてほしい。
 ということで、具体的に私どももフォローしていると、営農型ソーラーシェアリングは2~3年塩漬けになっていて全然進まないというところが相当数ある。だから、まずそういう実態を、農水省がやるのか、ぜひ調べてほしいということが一つ。
 それと、最大のガンは農地規制ですよ。あるいは森林規制。これが過度にというか、過剰にありすぎるということで進んでいない。これは全国的な問題ですので、ぜひ、大臣がリーダーシップを発揮して、地域脱炭素でも大きな柱になっているわけですから、どうですか、御認識を伺わせてください。
(大臣)今お話にありました匝瑳市は、かなり先進的なところだということですが、そういう中でも、他のところに応用できるような、見つかった課題があれば、それもしっかりと聞いてきたいというふうに思っていますし、御指摘いただいたように様々な課題があるから進んでいないということも事実だろうと思いますけど、そこはしっかりと農水省とも連携しながら課題解決に取り組んでいきたいというふうに思っています。
(記者)冒頭におっしゃった温対法の改正に関連して、これは大臣としてのお考えを伺うだけでいいのですけれども、これでいくと、環境省は届け出だけ、企業からの。CO2の削減については経団連の自主行動計画とか、そういうのに委ねられてしまって、あと、経産省が排出量取引を28年度からやるという、そういうスケジュールになっていますけど、環境省は主要削減について、どういうフォローアップをされるのか、あるいは、規制というといろいろとあるんでしょうけど、削減を具体的に30年度まで進める手立てがないんじゃないですか。どうですか。
(大臣)冒頭に申し上げた温対法施行令の改正については、JCMの実施体制の強化に関して詳細を定めたものでありまして、したがいまして、JCMプロジェクトのさらなる拡大加速に努めて、世界の脱炭素に貢献していきたいというものであります。
 国内も含めた今の話も含めて、しっかりと受けとめていきたいと思います。
 
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=jvgjAhSga5M
 
(以上)