大臣談話・大臣記者会見要旨

浅尾大臣閣議後記者会見録(令和6年12月24日(火)12:45~13:04 於:環境省第一会議室)

1.発言要旨

私から2点、冒頭に発言をさせていただきます。
 まず、官邸において、先ほど第2回の「新しい地方経済・生活環境創生本部」が開催され、出席してまいりました。私からは、付加価値創出型の新しい地方経済の創生に向けた環境省の取組として、地域の再生可能エネルギーの活用、地域の自然資源の活用、そして地方の特性を生かした資源循環についてお伝えをいたしました。
 また、本会議では地方創生2.0の基本的な考え方が取りまとめられました。来年夏には基本構想を取りまとめることとしており、環境省としても地方の御意見を伺いながら、好事例の普遍化に向け、地方創生の動きと連動して取り組んでまいります。
 もう一点目は、本日の閣議において、水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令を決定いたしました。本政令は、水銀に関する水俣条約締約国会議での決定を受け、水銀が含まれている一般照明用の蛍光灯や電池などを特定水銀使用製品に追加し、早いものでは令和7年末から段階的にその製造を禁止するものです。これにより、家庭やオフィスなどで使われている全ての一般照明用蛍光灯の製造が禁止されることとなります。蛍光灯からLEDへ交換することは、水銀管理の観点からも、脱炭素への貢献の観点からも、意義のあることであると考えています。国民、事業者の皆様には、計画的なLED照明への交換をお願いいたします。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)毎日新聞の山口です。よろしくお願いします。
 温対計画の議論についてお尋ねします。本日午前中の委員会で、温室効果ガス削減の35年目標で、13年度比60%減という政府案を含む温対計画について、パブコメ案を大筋で取りまとめられたかと思います。
 それで、政府案に賛同する声があった一方で、最終盤まで政府案よりも深掘りする案や、あるいは目標値に幅を持たせるべきだという意見が出続けた結果、必ずしも見解が一致してまとまったとは言い難い状況だったとは思います。
 そのような形でまとまったことへの受け止めと、政府として今後どのような姿勢で計画づくりについて進めていくのか、その2点をお願いします。
(大臣)先週の2回の会合を含め、長時間にわたり関係者の皆様方には活発な御議論を行っていただいた結果、世界全体での1.5度目標実現に向け、野心的な目標経路を設定することの必要性、脱炭素と経済成長の同時達成を目指す必要性、そして将来の世代や、社会への影響を考慮することの必要性など、多くの共通認識が得られたと聞いております。
 そして、2030年の46%削減、2050年ネット・ゼロを目指す経路については、それぞれの主張について理解が深まった一方で、引き続き複数の経路が議論されましたけれども、最終的には、事務局提案の直線経路でプロセスを進めることについて異論はなかったと聞いております。
 この結果を踏まえ、年内に政府としての案をしっかりと取りまとめてまいりたいと考えています。
 この合同会合の結果の詳細については、後ほど記者説明会を開催するため、その際に事務方へお尋ねいただきたいというふうに思います。
 
(記者)朝日新聞の市野です。
 2つあります。1つは、先ほどの温室効果ガスの削減目標なんですけれども、今回会議では取りまとめて、大臣自身も、これにプラスして高みへの挑戦という以前もあった表現については、それも含めて考えるということを以前お話しされていたと思います。今後、パブコメを経て、案を取りまとめる中で、こういった幅を持たせた表現というものをどのように考えているか、お聞かせください。
(大臣)先ほど、今日の会議については、詳細は後ほどの記者説明会でお尋ねいただきたいということを申し上げさせていただきました。
 私としては、大切なことはいろんな考え方がある中で、さっき申し上げました共通認識が得られて、最終的に事務局提案の直線経路でのプロセスを進めることについて異論はなかったということでありますので、この結果を踏まえて、しっかりと政府案を取りまとめていきたいというふうに考えています。
(記者)今もその高みへの挑戦ということは、検討の中に含まれているという認識でいいのか、そこの点についてはいかがでしょうか。
(大臣)今申し上げましたように、高みへ挑戦するのと、上に凸といういろんな議論がある中で、最終的にこの線で行きましょうということについて異論はなかったということになりますので、そのことを踏まえて、政府として年内にしっかりと案をまとめたいということです。
(記者)分かりました。
 もう1つ、PFASについてです。今朝でも専門家会議があって、いわゆる水道法上の水道基準というものに引き上げる方針というものを示され、そこにも異論はなかったかと思います。そうなると、今後、検査の体制などの整備も大事になるかと思うんですが、今後の見通しということと、あともう1つ、それに関連して、専用水道の中で自衛隊基地でいうと5か所高濃度に検出されたかと思います。この点についても受け止めをお願いいたします。
(大臣)今の御質問は、今日、水質基準逐次改正検討会及びPFOS・PFOAに係る水質の目標値等の専門家会議の合同会議を開催しましたということでありまして、本合同会議では、内閣府食品安全委員会で示したPFOS等の耐容一日摂取量や、水道における全国調査の結果等を踏まえ、水道水中のPFOS及びPFOAの暫定目標値の水質基準への引上げを含め、専門家に御議論いただいたということでありまして、今お話がありました専用水道については、その際に暫定基準値を、国が直接管理しているものについては、公表しているというふうに承知をしております。
(記者)今回その引上げの方針というのも了承されているかと思います。それに対して、今後の取組というのと、自衛隊の基地というところが高濃度に出ているということで、今後どう対応していくのかという点。
(大臣)まず、この方針を踏まえて、来春をめどに方向性を取りまとめていきたいというふうに思っております。方針というのは、議論していただいたことを踏まえて来春をめどに方向性を取りまとめていきたいというふうに思っています。
 また、国管理の専用水道については、取水先等々を変えていくという形でしっかりと対応していかないといけないというふうに考えています。
 
(記者)日経新聞の大高と申します。
 NDCについて2点お伺いしたいんですけれども、アメリカが新しい温暖化ガスの目標を発表されて、他国のことについて言及し難いと思うんですけど、もし受け止めがあれば1点お願いしたいのと、あと今日の会合の中でも、目標を出して実現することが大事なんだという意見がありました。
 日本として、このNDCを策定するに当たって大事にしたいことをもう一度お伺いしたいんですが、野心的であることと、かつ難しい目標ではあると思うんですが、達成することがどちらも大事だとか、もう一度策定に当たって大事にしたいことを教えていただけますか。
(大臣)まず、前段の米国のNDCについては、他国のNDCに対する評価は差し控えさせていただきたいというふうに思います。
 後段の、目標の中で私自身が一番大切なことは2050年にネット・ゼロを達成するということというふうに認識をしております。その上で、先ほども申し上げさせていただきましたけれども、様々な意見がある中で、脱炭素と経済成長の同時達成を目指す必要性と将来世代や社会への影響を考慮することの必要性ということをしっかりとやっていかなければいけない。ですから、2050年に1.5度目標を実現していくということが一番の目標でありまして、そのためには、2050年に確実にネット・ゼロにしていくということ、そして、今、申し上げましたように脱炭素と経済成長の同時達成を目指す必要性であり、着実にこれまで日本が描いてきた経路の中では、幸い、実現できておりますので、これからも2030年、2035年と2040年はこれから決めることになりますけれども、しっかりと決めたことを実現できていく、決めたことが実現されるということによって、他国のNDCの評価については差し控えると申し上げましたが、逆に他国から評価をされるというふうに私自身は思っておりますので、しっかりと決めたことを実現していくということが大事だというふうに思います。

(記者)NHK、岡崎です。
 先ほど来、出ているPFASのことについて、来春をめどに方向性を取りまとめるということではありましたけども、今回の調査結果を受けて、課題として見えてきたのは、やはりまだまだ調査をしていない事業体があるというところ、そこで、費用などを、今後基準を引き上げた後も検査費用など課題になってくる面はあると思いますが、今後の方向性を取りまとめる上で、どういったところを、きちんと検査を実施していけるようにしたいだとか、どういったところを大事にして方向性を取りまとめたいかということを改めて伺ってもよろしいですか。
(大臣)御指摘の検査費用については、何回か申し上げておるかもしれませんけれども、外部に委託した場合には数万円程度ということになっておりますので、そこは御理解をいただきたいというふうに思っております。大切なことは、皆様に安心をしていただくということが一番大切だというふうに思っていますので、そのことを一番念頭に置いて対応していきたいというふうに考えています。
 
(記者)読売新聞の児玉です。
 一部報道で、先日、クマに関する鳥獣保護法の改正案の内容が出ておりました。内容的には、報道だと、自治体の判断でハンターの発砲を容認するといった内容のようなんですけれども、そういった内容の事実関係、事実なのかという確認が1点。それから、それに対する大臣の受け止め、それから、鳥獣保護管理法について、提出のめどとして、通常国会等も出ていますけれども、こちらについて、めどや意気込み等がありましたら教えてください。
(大臣)その報道については承知をしております。ただ、法案の内容については、現在検討中であり、具体的な説明は控えますが、クマの人的被害多発を受けて、従来よりも予防的かつ迅速に対応する仕組みを検討しているということはかねてから申し上げているとおりで、まさにハンターが安心して活動できる環境を整えていきたいということであります。そして、法案の提出時期や施行時期についても予断をもってお答えすることは差し控えますが、何度も申し上げていますけれども、できるだけ早期に国会に法案を提出できるように進めていきたいというふうに思っています。
 
(記者)エネルギージャーナルの清水です。
温対計画の見直し案も固まったようですが、これを受けて制度的な対応、あるいは環境省としての強力に対応することについて、来年になると、通常国会も間もなくですけれども、そういう制度的なもので想定されているものというのは、どういうものがあるのかお話しいただけますか。
(大臣)法案ということでしたらば、特にはありません。
(記者)2点目なんですが、大臣の温対計画あるいはエネルギー基本計画なんかへの対応というか認識を伺っていると、必ず出てくるのは、経済成長と脱炭素化の同時実現ということなんですけれども、これ、ちょっとよく考えてみると、1つは脱炭素、環境省が施策をこのために進めるという場合に、やっぱり環境省設置法に基づいて当然やるべきであって、環境省設置法には経済成長のために環境保全なんていうことは一言も書いていない、目的として。そこがどうも相当ずれているんじゃないか。GXに影響され過ぎているんじゃないかというふうな感じがします。まずその点を1つ、大臣の御認識を伺いたい。
(大臣)私自身は、環境を良くしていくことは経済成長にもつながるというふうに思っていますので、そのことは申し上げておきたいというふうに思います。当然のことですけれども、環境省設置法にのっとって政策を進めていきたいということであります。
(記者)
 経済成長が駄目だった場合、あるいは成就しなかった場合、だって、現実にもうこの5年、10年というのは1、2%台、成長が。これはもう事実として出ているわけですよね。ということは、経済成長がなかったら脱炭素化のスピードなり脱炭素化施策も相当トーンダウンして、何ていうか、今回の温対計画にしても緩和する、施策の見直しをする、そういうことになるんですか。仮の質問で、大臣に対して恐縮ですが、どうですか。
(大臣)繰り返しになりますけれども、経済成長も脱炭素も両立し得るというふうに思いますし、逆に何回か申し上げていると思いますが、少なくとも、日本の国民の皆様、そして世界の国民の皆様が脱炭素ということに対して大きなwantsというか、そういうものはあります。そのwantsを満たすニーズとしての技術、そしてそれが経済成長に至る経路というのはまだ社会的には実装されておりませんが、1つだけ付け加えて言わせていただければ、今回の補正予算の中で、これは脱炭素にも役に立ちます、人工光合成について、補正予算の中に少しだけでありますけれども入れさせていただいた。そういった新たな技術が本当に社会的に実装されるようになってくると、まさに今までなかったものが生まれることですから、経済成長にもつながりますし、脱炭素にもつながるという思いで仕事をしております。
 
会見動画は以下にございます。
https://youtu.be/s80FRnzZoa4?si=blEog34V-9e5GmyE
(以上)