大臣談話・大臣記者会見要旨

浅尾大臣閣議後記者会見録 (令和6年11月29日(金)11:25~11:52 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 最初に、COP29の結果について御報告をいたします。
 今月17日から23日まで、アゼルバイジャンのバクーに滞在し、COP29に出席いたしました。会期は2日間延長され、残念ながら最後まで参加することはできませんでしたが、気候資金について、2035年までに少なくとも年間3,000億ドルの途上国支援目標が決定されました。また、国際的に協力して、温室効果ガス削減等を実施するパリ協定第6条の詳細ルールが決定されました。
 私自身は、ステートメントにおいて、我が国として現行の削減目標及び2050年ネットゼロに向け、着実に排出削減している実績をアピールし、また米国のポデスタ大統領上級補佐官、中国の劉振民(リュウ・ジェンミン)気候変動問題担当特使を含む、20か国を超える閣僚級やグテーレス国連事務総長とも直接会話をし、さらに複数回の閣僚級の交渉や議長との交渉にも参加するなど、COP29での合意に向けて力を尽くしてまいりました。
 今回の成果を踏まえて、引き続き、全ての国に温室効果ガスの着実な削減を呼びかけてまいります。また、我が国としても国内の取組を着実に進めるとともに、JCMなどを通じて世界の排出削減に貢献してまいります。
 続きまして、水道におけるPFOS及びPFOAに関する調査の結果について御報告をいたします。本日、環境省と国土交通省が共同で実施した、水道におけるPFOS及びPFOAに関する調査のうち、水道事業及び水道用水供給事業の結果について取りまとめましたので、公表をいたします。
 調査の結果、暫定目標値を超過した事業は、令和2年度は11事業ありましたが、年々減少し、令和6年度は9月30日時点でゼロ事業でした。なお、暫定目標値を超過したことのあるのは全部で14事業ですが、最新の検査結果では、いずれも暫定目標値を下回っております。今回の調査で、暫定目標値以下であることが確認された給水人口の割合は、我が国の水道の給水人口に対し98.2%でありました。
 今回の結果及び今後取りまとめる専用水道の調査結果については、水道水質に関する目標値の検討に活用いたします。専門家の意見も伺いながら、来年の春を目途に、方向性について取りまとめる予定であります。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(記者)幹事社の日本テレビ、村田と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、COP29についてお伺いしたいと思います。連日、様々な国の閣僚と会談をされた中で、大臣が最も印象に残られたことというのをお聞かせいただければと思います。また、途上国からは支援額に不満の声が上がるなど、世界が一枚岩となって進むのがなかなか難しい側面もあるかと思うんですけれども、今回出席して感じられた具体的な課題、そして今後解決に向けてどう取り組んでいけばいいか、アイデアがあれば教えていただければと思います。
(大臣)最も印象的でありましたのは、先ほど申し上げましたけれども、20か国を超える閣僚級の方と膝を突き合わせて、様々なやり取りをです。米国のポデスタ大統領上級補佐官や、中国の劉振民(リュウ・ジェンミン)気候変動問題担当特使、あるいはグテーレス国連事務総長とお話をしましたし、またイギリスのミリバンド大臣とか、様々な大臣ともお話をさせていただくことができて、手応えを感じました。
 御指摘の気候資金の目標に関して、途上国から不満が上がったことは承知しておりますが、同時に、この様々な会合の中で、今のCOPの枠組みというのは、途上国、先進国という定義がありますが、当時途上国であったけれども、今ではかなり中心国になっている国、あるいは1人当たりのGDPでは日本を超えている国が、いまだに先進国とは定義されていませんが、今回義務ではありませんが、拠出の枠組みの一定の前進があったということも、私としては(気候)資金の拠出の一定の前進があったというのは、大変印象に残っていることであります。
 また、COPの中身については、全ての国のコンセンサスを得て合意をしなければいけないということでありますので、1か国でも反対があると、なかなか実現ができないわけでありますけれども、そういう中で何とか合意が取り付けられたということは大変印象に残っておりますし、我が国の交渉団としてしっかりと交渉へ取り組んできたパリ協定の第6条が取りまとめられたということは、大変よかったのではないかなというふうに思います。
 
(記者)共同通信、矢野です。よろしくお願いします。PFASについてお伺いします。
 今回大臣がおっしゃったように、暫定目標値は超えなかった一方で、2024年度だと46都道府県で、332自治体の水道事業でPFASが検出されています。愛知、長崎、北海道の水道事業では、47から49ナノグラムと、国の暫定目標値に迫る数字が検出されるところもあると思うのですが、今回の結果を踏まえて、果たしてこれで安全と言えるかどうか、安心していいのかどうかという、今後の課題を含めて大臣の見解を伺えればと思います。お願いします。
(大臣)先ほど申し上げましたように、今お話があったこととも重なるかもしれませんが、暫定目標値を超過している事業はないというのが事実でありまして、対策が着実に進捗しているということだと思います。これは各水道事業者において適切に対応していただいた結果と認識しております。
(記者)今後の課題みたいなところって何か、今回の結果を踏まえてあったりされますでしょうか。
(大臣)課題ということで言えば、98.2%をカバーしているということでありますけれども、残り1.8%について、しっかりとやっていかないといけないというふうには思いますが、これは現在、努力義務ということでありますので、そういったことも踏まえながら、水道事業を所管している国土交通省と連携して、実施を呼びかけていきたいというふうに考えています。
(記者)今まさに大臣がおっしゃった点でお伺いしたくて、今回、水道法上の測定義務ではないということを理由に、(20)20年以降一度も検査をしていないという水道事業が一定数確認されたんですが、この基準の引上げの必要性について大臣はどうお考えでしょうか。
(大臣)現状の体制について言えば、努力義務ということになっております。したがいまして、我々としても引き続き水道事業を所管する国土交通省と連携して、ぜひ努力義務をできる限り果たしていただいて、できるだけ残りの1.8%の方にもそういう働きかけをしていきたいというふうに考えています。
 
(記者)毎日新聞の山口です。NDCについてお聞きしたいと思います。
 今週月曜日の温対計画の審議の中で、以前の会合に欠席した委員が事前に提出していた意見書を、事務方からこの内容は読み上げられないといった趣旨の説明を受けて、実際に読み上げられなかったという事案があったと、委員から明かされました。委員を募る際に忌憚のない意見を聞くという建前で募っているかと思うんですけれども、そうした意見を止めるようなやり取りが事務方からなされたことについて、もし事案を把握しておりましたら、大臣はどのように受け止めているのかということをお願いします。
(大臣)御指摘の件に関して事務方に確認したところ、先月、委員御本人から前回会合に出席できないため、意見書を提出したい旨の申出があったということは事実であります。ただし、当日の議題がそこと必ずしも合致していないので、今回11月25日の会合への御発言の延期をお願いしたものであって、決して発言を妨げる意図ではなかったというふうに聞いております。いずれにしても、引き続き委員各位の御意見を丁寧に聞きながら、年内の温対計画の取りまとめに向けて議論を深めていきたいというふうに考えております。
(記者)ありがとうございます。
 もう1点、その日に示されました素案についてなんですけれども、13年度比60%削減というものが示されたかと思うのですが、すでにですね、この1週間の間に研究者の間から、その数値がCOPが目指している水準やIPCCが1.5度目標に整合する内容に対して、その水準が不十分という声が既に上がっておりますけれども、その数値の妥当性についてはどのようにお考えでしょうか。
(大臣)次期NDCについては、世界全体での1.5度目標の実現に向けて野心的な目標を掲げ、可能な限り削減を進めるということとしております。同時に政府としては、GXを通じて脱炭素とエネルギーの安定供給、経済成長を同時実現することは極めて重要というふうに考えており、次期NDCはこれらのバランスを踏まえた野心的な数字とする必要があります。IPCCが指摘する世界全体の残余カーボンバジェットが少なくなっており、また1.5度目標の実現が危うい状況であるというのは、そのとおりでありますので、世界全体で取組をしていかなければいけないというふうに思っておりますが、我が国としてはIPCCの第6次評価報告書が提示する幅の中で削減目標を定め、しっかりと役割を果たしていくというふうに考えています。
(記者)IPCCが示している報告書の幅の中に収まっているというような理解でしょうか。
(大臣)はい。
(記者)ありがとうございました。妥当性については、幅の中に収まっているという認識でしょうか。
(大臣)はい、そういうことです。先ほど申し上げましたようにバランスを取りながら、幅の中に収まっているということです。
 
(記者)朝日新聞の市野です。
 関連で、先ほども毎日新聞さんから御質問があったNDCの会議での件なんですけども、妨げる意図はなかったという御発言なんですが、そもそも、委員が出席していれば発言された内容でもあるし、過去に欠席されたときには意見書を出していたということなんですけども、タイミングをそもそも事務局が管理することも含めて、自由な意見というものを妨げているのではないかというふうに感じるのですが、この点について大臣はどのように問題意識を持っているのか、教えていただけますか。
(大臣)先ほど申し上げましたように、事務方に確認したところ、前回の会合の議題と、出された意見というのが必ずしも合致をしていないということでありましたので、今回の11月25日の会合に発言の延期をお願いしたものということで、発言を妨げる意図ではないというふうに考えております。
(記者)合致しているか、していないかも含めて、あの委員が出席していればそれは判断されたと思うのですが、それを事務局が管理してしまうということが適切だったかどうかということの認識についてはいかがでしょうか。
(大臣)今申し上げましたように、削減目標に関する議論を行うのは、11月25日の会合ということでありましたので、そこで発言をお願いしたということであります。
(記者)今回そういった意見が月曜日に出されて、妨げる意図はなかったということですけども、そのタイミングを委員がしたいときにすることができなかったという形で、適切な議論ができるのかどうかということに対しても疑義を呈されていたと思います、月曜日の時点では。改善の余地であったりとか、この会議について今後どう対応していくのか、何かお考えがあれば教えてください。
(大臣)今申し上げましたように、今回、11月25日が削減目標に関する議論を行うと。10月31日は違う議題ということでありましたので、そこで御本人がいない中で意見書だけを読み上げるよりは、11月25日の今回の会合で発言していただいたほうが適切だったということだというふうに認識をしております。
 いずれにしても、先ほども申し上げましたように、委員各位の意見を聞きながらしっかりとやっていきたいというふうに考えています。
 
(記者)日刊工業新聞、松木です。
 今の質問に続けてなんですけども、25日のその審議会で、今の委員の方が審議会の進め方についても意見を言っていたかと思います。順番に3分でコメントを言うだけで終わって、それで正しい政策が作れるのかという意見だったと思います。また、ほかの委員からも、国民にどうメッセージを伝えるのか。非常に雑な議論をしているという意見がありました。
 今回、事務方のほうからは合意形成の場ではないという回答だったと思います。今回、60%削減を軸にする案というのがまだ了承されてないと、理解を僕はしていますけれども、実際、大臣としては、この審議会の進め方についてどういうふうに考えていらっしゃるか教えてください。
(大臣)審議会の中でも、時間の限りはありますけれども、幅広く丁寧に意見を伺いながら議論を進めていきたいというふうに考えております。
(記者)逆に、短時間だけ発言する、順番に行うとなると、比べていいのかどうか分からないんですけども、水俣病の懇談会で時間を区切って発言していくというのに似ているような感じがして、改善が必要じゃないかなというふうに感じました。
(大臣)繰り返しになりますけれども、丁寧に意見を聞いていくということの一方で、それぞれの審議会の時間にも限りがあるので、その中でバランスを取っていきたいと思います。
 
(記者)共同通信の清と申します。
 政務のほうの質問で失礼します。政治資金収支報告書への不記載についてです。
 浅尾大臣の資金管理団体から、自民党神奈川県参議院選挙第5支部に対して支出した寄附金354万円余りを政治資金収支報告書に記載していなかったことが明らかになりました。浅尾大臣の国会議員関係政治団体の5つの間で資金移動が繰り返され、その一部に不記載が生じた形です。専門家は団体間の複雑で多額の資金移動は、疑念を招くと指摘しています。こうした資金移動の理由、こうした処理に対して適切との認識か、お願いします。
(大臣)一部、私の資金管理団体に寄附として記載されていなくて、自民党側で寄附として記載されているものがあるのは事実であります。
 この理由は、寄附として本来記載すべきところを、別の費目で記載をしたということでありますので、別の費目で記載してしまったものの事務処理上の誤りでありますので、収支報告書を速やかに訂正したいというふうに考えております。
 
(記者)読売新聞の児玉と申します。熊の関連で質問をさせてください。
 大臣は先日、秋田県のほうに視察に行かれたかと思うんですけれども、まさにその日に秋田県横手市のほうで、福祉施設の倉庫に熊が立て籠もるという事案が発生しました。
 上半期の出没数が全国で過去最多を更新しているという現状もある中で、また改めてこういった事案が発生し、不安も多分、国民の中には多少広がっているところもあるんだろうかなと思われます。大臣、こういったことについての受け止めを改めて伺えますでしょうか。
(大臣)先日、秋田県に洋上風力、そして熊の市街地への出没等の対応について、学ぶために視察を行ってきました。
 熊については、今お話がありましたように、様々な市街地に出没するということで、その中で関係者の皆様がいろいろな制度の整備、その必要性を求めておられていることも改めて認識をいたしました。
 したがいまして、できるだけ早い機会に、熊に対する対応というものをしっかりと法制度も含めて準備をしていきたいと、こういうふうに考えています。
(記者)ありがとうございます。
 関連で、今おっしゃった法整備の関係で、鳥獣保護法の改正が控えているかと思います。準備もされているかと思いますけれども、一部報道で、(20)25年の通常国会に法案を提出するという報道がありましたが、こちらについて大臣の現時点での所感を伺えればと思います。
(大臣)今申し上げましたように、できるだけ早く対応していきたいというふうに考えておりますが、国会との関係がありますので、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えたいというふうに考えております。
 
(記者)よろしくお願いします。東京新聞の松島です。
 冒頭で発言があったPFASに関してです。手引きのほうに関してお伺いしたいと思います。
 本日、自治体向けにPFOS及びPFOAに関する対応の手引きというものが発出されました。その中では、健康影響に関して、血液検査自体には触れているんですが、その血液検査自体の是非にも触れず、汚染源の特定手法について、具体的な手法も示していない形の手引きとなっております。
 こういった点があるという認識のもとでお話を伺いますけれども、大臣として、この手引きの課題点については、どのように現状を受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(大臣)今御指摘のありました、例えば汚染源の特定についてということでありますけれども、従来からPFOS、PFOAの排出源の特定のための調査について、必要に応じて実施する旨を記載しております。一方で、過去に様々な形で環境中に排出されたものが残存していることから、これまで排出源を特定できたという事例は少ないというふうに承知しております。
 したがって、環境省としては、引き続き、地方自治体における取組についての技術的な助言を実施しつつ、技術的情報の収集も進めていきたいというふうに考えております。
(記者)これは手引きというタイトルで自治体に対して出されている一方で、汚染源の特定という観点で言うと、手法、いわゆる手引きという内容ではないのではという指摘もあると思うんですが、その点に関して、完全に手法に関しても自治体任せになってしまう、自治体としては、汚染源特定に至るまで何を参考にすればいいのか全く分からない手引きになってしまうと思うんですが、その課題についてはどう思っているか。また、今後それをどのように解消していくのかという点に関してお伺いできますか。
(大臣)手引きは、専門家の意見を聞いてまとめたものというふうに認識をしておりますし、その専門家の科学的知見も踏まえて、必要に応じて改めていくところがあれば改めていくということになると思います。
(記者)血液検査のほうに関しても伺いますけれども、現状、自治体としてというのは吉備中央町で今やられていると思うんですけども、国として公費で血液検査を行う、これは疫学調査もそうですし、単なる暴露調査という点においてもそうなんですが、この点に関しては、国としての現状の方針、大臣の所感としてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
(大臣)血中濃度と健康影響の関係性の研究を推進することが重要であり、まずはそうした考えのもとで、国内外の知見の収集を推進するとともに、関連する調査研究を推進していきたいというふうに考えております。
 したがって、現時点で、血中濃度と健康影響の関係性というのが、はっきりとしたことがまだ分かっていないという状況だということを申し上げさせていただきます。
 
(記者)エネルギージャーナルの清水です。2点あります。
 1つは、冒頭に触れられたCOP29に関連してなんですが、2040年目標をどうするかというのは、経済成長云々じゃなくて、環境省としてどういう削減のレベルがいいのかというのを国民にきちっと出すべきだと思います。それは、経済成長云々ということもあるけれども、しかし、環境を所管しているのは環境省なんですから、浅尾大臣は、そういうことをきっちり国民の前に発信していく必要があると思います。それをどうお考えかということ。
 IPCCだと、恐らく2035年で60%削減が必要ということだったと思うので、今議論している2040年NDCとは、その性格云々も随分違うと思うので、そこはやっぱり、オントラックということは十分、大臣の御努力は分かっていますけれども、しかし、それはまた改めて政府として議論するんじゃないかと思っているんですけど、どうですか。
(大臣)ありがとうございます。環境省としてしっかりと、できる限り野心的な目標を定めていきたいというふうに考えております。
 また、経済の話を除いてということもありましたけれども、しっかりと今御指摘がありましたように、オントラックで最終的に2050年のネットゼロに向けて実現できる、そうしたものを出していきたいというふうに考えております。
(記者)もう1問だけ。
 中国とのバイ会談をされて御苦労されたということを。随分他の国ともやって。そこで伺いたいのですが、中国をどうやってオントラックに引き込んでいくか。隣国の日本が、経済協力も、環境協力も随分やった日本が、きっちりその手を差し伸べるというのか、何て言うのか分からないけども、そこはやり取りがあったと思うんですけど、その辺、どうだったんですか。
(大臣)中国との会談の詳細は控えさせていただきますけれども、中国も既に1,770億元の資金をサウストゥサウスで供給しているということですので、そのことについては、むしろしっかりと国連への報告等もしていただきたいという旨は申し上げさせていただきました。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=a1_fjLvRmS0
(以上)