大臣談話・大臣記者会見要旨

浅尾環境大臣COP29期間中ぶら下がり会見録 (令和6年11月23日(土)18:00~18:10(現地時間)於:COP29会場)

1.発言要旨

まだ会議が継続しておりますけれど、もうしばらくいたしますと帰国の途に就くため、COPの会場を後にすることになります。まだ全ての文書が採択されていない中で、会場を去るのは大変残念でありますが、今回のCOPで世界の気候変動対策を前進させるという私の意思は日本政府団の交渉官に伝えており、後を任せたいと考えております。
私自身、かなり多くのバイやマルチで、多くの閣僚級と直接話をし、膝詰めで議論をし、本音で語り合うことができました。各国の様々な意見がぶつかり合う中、全ての国が合意をするのは、なかなか大変なことであります。そのことを痛感いたしました。一方で、気候資金やCO2削減対策の強化などの合意に向けた、一定の前進をさせると同時に、日本の存在感をしっかり示すこともできたと実感している。
期間中に、印象に残ったことを3つほど申し上げたい。
一つ目は、初日、議長国のアゼルバイジャンと共催した「透明性閣僚イベント」で、日本が先進国で初めて隔年透明性報告書(BTR)を提出したことが高く評価され、BTRチャンピオンという賞を受賞いたしました。また、温室効果技術衛星(GOSAT)の活用を含め、世界の(温室効果ガス排出削減の)透明性向上に貢献していくことを表明することができたことも大変有り難いというふうに思っております。
次に、閣僚級セッションでナショナルステートメントを読み上げることができました。現行のNDCの達成及び2050年ネットゼロに向けて、着実に温室効果ガスを削減している我が国の実績をアピールし、「NDC実施と透明性向上に向けた共同行動」を発表いたしました。
そして、三つ目に印象的だったのは、閣僚同士のやり取りということで、米国のポデスタ大統領上級補佐官や中国の劉振民気候変動問題担当特使を含む多くの国の閣僚や、グテーレス国連事務総長とも直接話をし、気候変動対策の前進や、今次COPでの合意に向けた協力を確認することができました。こうした方々と対談する中で実感したのが、世界は、日本の気候変動対策の着実な実績や多様な技術についてよく理解をしており、また、日本に対する期待は引き続き極めて大きいということを改めて実感しました。このような国際交渉の場で、日本の閣僚として先頭に立って、交渉を引っ張ることができたことに手応えを感じております。国際社会における日本の役割を果たして、世界の気候変動において、日本が更に貢献していくよう、引き続き頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。

2.質疑応答

(記者)共同通信の矢野です。よろしくお願いします。先ほどの閣僚会合で、途上国側の反発もあって、中断したと思いますが、現状の受け止めと日本として、新たに主張した部分などありましたら教えてください。
(大臣)現在、交渉中でありますけれど、なかなか多くの国が様々な希望・要望があるなかで、ギリギリになって文書も出てきたという中で、今、中断をしているということです。我が国としては様々なことを発表してまいりましたけれど、セッションの中で、次期NCQGに対して、3,000億ドルという数字を先ほどの閣僚級会合の文書の中で、出てまいりましたけれど、3,000億ドルの数字を出すにあたって、自主的に行われております現状のパリ協定の中では、先進国として扱われていない国が拠出する資金についても、それをエンカレッジするということで、さらに出してもらえるような形の文言も文書の中で入っておりますし、あるいは透明性を高めるといったことについても私からも発言させていただきました。
 
(記者)昨日、グテーレス氏と会ったと思いますが、なにか気候資金に関して、要望・意見などあったのでしょうか。
(大臣)グテーレスさんからも色々な要望がありました。それに対し、こちらからも様々な考え方も伝えさせていただきました。
 
(記者)中身については。
(大臣)様々な交渉をしたということであります。
 
(記者)読売新聞の田中です。COPと外れるのですけれども、他社報道で次期35年の削減目標の数字が出ていますけれど、現時点で固まっているものはあるのかどうか教えてください。
(大臣)現時点で、固まったものというのはありません。合同審議会で議論を行っている最中でありまして、科学的知見や我が国の削減実績等を踏まえ、年内に案を取りまとめるよう、さらに検討を深めていきたいというふうに考えております。
 
(記者)朝日新聞の市野です。交渉をすごくこれまで引っ張ってきたと思いますが、会議が伸びてくると、後の予定がすでに決まっていて、途中で帰らないといけない、それが残念だとおっしゃっていましたけれど、余裕をもつであるというか、途中で去るという、ここまで存在感を出してきたのに、最後までいれないということに対して、大臣の考えがあれば教えてください。
(大臣)まだ少し時間がありますので、そこに期待していきたいというふうに思っておりますし、他の国の閣僚は閣議があったりなどで、この場を去っているとうことで、当初は昨日終わるはずであった、一方で国際会議の中でこれだけ多くの国が参加して、御案内のとおり、COPの決定は一か国でも反対があると、決定ができない、ということは全カ国が賛成できる内容でないと決定にならないということでありますので、大変残念ではありますけれど、いたしかたないものなのかと思います。
 
(記者)毎日新聞の山口です。気候資金に関して、最終的にどのようなラインまで保ってほしいか、日本政府としての主張として入れたいということは。
(大臣)2035年までに年間3,000億ドルという数字を先ほどの会議でも、我々もその数字で結構だということで、そのような文言が入った文書が配られています。
 
(記者)それ以上は。
(大臣)現在が1,000億ドルですから、それが3倍になるということでありますので、現状はパリ協定ができた時に、先進国が拠出するというふうに言われており、その拠出のグループが先進国に限られている、一方で、事実関係でいえば、例えば中国はかなり多くの金額を出していますけれど、そのグループには入っていない中で、1,000億が同じベースから3,000億ドルになるというのは、かなりの踏み込んだ数字であることを申し上げておきたい。
(以上)