大臣談話・大臣記者会見要旨

浅尾大臣閣議後記者会見録 (令和6年11月8日(金)11:00~11:15 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 初めに私のほうから2点発言をさせていただきます。
 「新しい地方経済・生活環境創生本部」が、本日、官邸において第1回の会合として開催されまして、出席してまいりました。
 私からは今後の地方創生に向けて、地方が有する様々な資源のポテンシャルを活用し、ステークホルダーの参画と連携を通じて、地域課題の解決に取り組んでいく旨の発言をいたしました。
 具体的には、我が国には再生可能エネルギー、国立公園、循環資源など、地域の特性に応じた様々な資源があります。これらを活用し、地域脱炭素の推進、自然保護と利用の好循環、循環経済への移行などを通じて付加価値創出型の新しい地方経済の創生を進めてまいります。
 本部において、年末に基本的な考え方を取りまとめることとされており、環境省としても関係省庁と連携し、新しい地方創生、すなわち「地方創生2.0」に貢献してまいります。
 続きまして、第43回全国豊かな海づくり大会への出席についてでありますが、来る11月10日日曜日、大分県大分市及び別府市において開催される「第43回全国豊かな海づくり大会」に出席いたします。
 全国豊かな海づくり大会は、天皇・皇后両陛下の御臨席を賜り、毎年開催されるもので、水産資源の保護・管理と海や湖沼・河川の環境保全の大切さを広く国民に発信するものであります。本イベントにおいては、生物多様性の保全に功績のあった団体への環境大臣表彰などを通じて自然環境の大切さを発信することの一助となればと考えております。
 私からは以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社、日経新聞の大高です。よろしくお願いします。本日2問質問させていただきます。
 まず一点目についてですが、米大統領選挙をトランプ氏が勝利を果たしました。トランプ氏はパリ協定からの離脱などの意向も示しておりまして、2050年カーボンニュートラルに向かう世界的な気運への影響をどのように御覧になるでしょうか。また日米関係は非常に大事だと思いますが、そのような対応を取る方針の米国に対して、気候政策の観点ではどのように臨んでいかれるお考えでしょうか。
(大臣)アメリカ合衆国における次期政権発足後の政策による影響については、よく状況を注視していく必要があり、現時点で予断をもってコメントすることは差し控えたいと思います。その上で一般論として申し上げると、脱炭素の取組に関しては、年限付のカーボンニュートラル目標を掲げる国は140か国以上に及び、地方政府、経済界、NGOなど、様々なステークホルダーにも広く浸透しているなど、現在の世界的な潮流になっていると考えております。この地方政府というのは日本のみならず、米国の地方政府も含めて各国の地方政府ということでありますけども、それが世界的な潮流になっていると考えております。
 そうした中で我が国としては、2030年度温室効果ガス排出量46%削減、さらには、その先の2050年カーボンニュートラルに向けて引き続き気候変動対策に力を尽くしてまいりたいと考えております。
(記者)ありがとうございます。2点目ですけれども、昨日福島第1原発でデブリの取り出しが完了しました。政府は2051年までに廃炉という目標を掲げていると思いますが、具体的にどのような形で廃炉にするのかは明らかになっていません。
 所管官庁は経産省になると思いますが、もし、デブリの取り出しに対する受け止めがあればお願いしたいのと、復興を担う環境省として、福島の復興をどのように進めていきたいとお考えか、改めてお聞かせください。
(大臣)御指摘のとおり、廃炉そのものの所管は経済産業省ということであります。その上で、一般論として申し上げれば、東京電力福島第1原子力発電所の廃炉については中長期のロードマップに基づいて、30年から40年後の廃止措置終了を目標に必要な対応を着実に進めていくものだというふうに認識をしております。
 福島の復興に向けて、廃炉の所管は経済産業省でありますけども、環境省で行っている除染や県外最終処分に向けた取組をはじめとして環境再生を着実に進めることが、大変重要だというふうに考えております。引き続き関係省庁や自治体の皆さんとも密に連携しながら福島の復興に向けて全力で取り組んでまいります。
 
(記者)朝日新聞の市野です。よろしくお願いします。先ほども気候変動の話があったと思います。11日からCOP29がアゼルバイジャンであるということで、米国には直接的には注視をしたいというお話だったと思うんですけども、非常にその現政権がレームダック化する中で、非常に厳しい交渉も予想されるのかなという中で日本としてはこの難しい状況でどう対応されたいのか。また大臣として、国会の都合がつけば行かれるということだと思うんですけども、果たしたいことというのは何なのか。その点について教えてください。
(大臣)先ほども申し上げましたけれども、世界140か国以上がカーボンニュートラルの目標を掲げている中で、このことについては多くの関係当事者が深刻な課題として受け止めておりますので、日本としてもCOP29の中において、しっかりと目指すべき野心的な目標達成に向けて尽力してまいりたいと感じております。
 
(記者)日刊工業新聞の松木です。先週の話にはなってしまうんですけれども、環境省が自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に50万ドルの拠出を決めました。現在も日本企業130社以上が早期の開示を明言しており、世界でももっとも多いですけど、今回の拠出というのが日本企業の世界的な評価につながるのかどうか。もしくはその国際的なビジネスでの競争につながっていくのかどうか。拠出の狙いを教えてください。
(大臣)御指摘のとおりCOP16において、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に対して、直接支援、間接支援の合算で2年間で約50万ドル相当の拠出することを発表したところであります。
 このネイチャーポジティブ経済の実現には、企業が自然関連財務情報を開示して、金融機関等からの評価を通じて積極的に取り組んでいる企業に資金が流れていく仕組みの構築が重要であります。この金融機関等というのは、当然市場ということも含まれると思いますけれども、そういった仕組みを構築することが大事だというふうに思います。
 今般の拠出を通じて、TNFDが実施している取組への日本企業の一層の参画、普及・啓発を進めていきたいというふうに考えています。
 また、企業による自然関連財務情報の開示を推進するとともに、国際標準化も進め開示に積極的に取り組む企業の取組を支援していきたい。これは結果として、先ほど申し上げました資金が流れることにつながれば、企業にも役に立つと思います。
 
(記者)朝日新聞の市野です。先ほどのところで同じ質問なんですけど、大臣御自身も国際会議への、大臣の職として出ていくということも今回、初の機会になると思うのですが、大臣御自身、バイ会談なども多分、期間中にあると思うんですけれども、御本人として何かやりたいこと、意気込みみたいなことがあれば教えていただけますか。
(大臣)大前提として、国会の同意が、当然必要になってまいりますけど、許しを得た上で参加するという前提でお話をさせていただきたいというふうに思いますが、このCOP29においては、これまで着実に日本は、2030年(度までに)46%(削減という目標)に向けて、温室効果ガスの削減に取り組んできたところでありますけれども、さらにこの中で、各国の中でも透明性を高めていくということも大変重要だというふうに思っていますので、そういうことを、日本のみならず各国にも求めていきたいというふうに考えております。
 先ほど来、お話がありますけれども、アメリカの大統領選挙については、結果が出ているわけでありますけれども、一方で、今年の夏も日本においても大変暑かったといったがあります。世界的にそういうことだと思いますから、気候変動に対する関心というのは、世界的に高まっているというふうに思いますので、そういう中で所期の目的である、いろんな形の交渉がまとまっていくように全力で交渉に取り組んでいきたいというふうに考えています。
 
(記者)環境新聞の小峰です。
 単純な質問をさせていただきます。COP29または、それまでに、パリ協定から日本国は脱退しないという宣言は、なぜしないのですか。トランプ氏のパリ協定からの脱退は、ほぼ確実視されていますけれども、これを阻止するためにも、日本は、なぜいち早くしないのですか。今日の会見で、私は浅尾さんから、その言葉が出るかなと思っていたのですけど、出なかったのはどういう背景があるのでしょうか。
(大臣)小峰さんの御質問、大変ありがとうございます。脱退しないというのは、そもそも脱退するつもりはないので、あえてそのことを申し上げていないということであります。
 
(記者)日刊工業新聞の松木です。もう一度すみません。アメリカの脱退するかもしれないの話に絡んで、もしアメリカが脱退した場合に、今度、中国が気候変動政策のほうの手を緩めてくるのじゃないかなと思っています。
 その辺で、中国に対しては、このCOP29の会場でどのように臨んでいくのか。特に、2060年よりも、もっと手前の2050年とかのカーボンニュートラルの達成ですとか、CO2以外のGHGも含めた目標設定ですとかというのを実際に働きかけていくのかどうか教えてください。
(大臣)まず、先ほども申し上げましたけれども、アメリカについては、まだ予断をもって分からないと。トランプ氏の発言は承知しておりますが。同時に、先ほど申し上げましたけれども、アメリカの州のレベルでは、トランプ政権ないしはトランプ氏が言っていることとは違う、いろんな取組もなされているということを承知しているということだけ付言させていただきたいと思います。
 御質問の中国がどういうふうになっていくかということでありますけれども、我が国としては、全ての国、取りわけ主要な排出国、主要な排出国には当然中国も含まれますけれども、次期NDCにおいて、パリ協定1.5℃目標と整合的な温室効果ガスの総量削減目標を設定するように働きかけを行っていきたいというふうに思いますし、先ほど申し上げましたように、中国の中においても、環境に対するいろんな気候変動に対しての認識があるというふうに承知をしておりますので、そういった積極的な働きかけを行っていきたいというふうに考えています。
 
(記者)エネルギージャーナルの清水です。
 COP29に絡んで、さっきの小峰さんの質問にも関連するのですが、日本はどうするか、中国をやっぱり引き込むためには、日本もそれなりの努力をさらにするという姿勢を示すことは重要だと思うのですけれども、2030年の46%削減、それにもう1つ高みを目指すという言い方があると思うのですが、その高みを目指すというのは、言わば先進各国のさらなる削減、上積みということで対応していくというお考えがあるのでしょうか、どうか、その辺を伺いたい。
(大臣)2030年度の46%削減に加えて、高みを目指すということであれば、さらに50%高みに向けた挑戦というのは、当然のことですけど、継続して我が国の目標として堅持をしていきたいと。そのためには、あらゆる施策を総動員していかなければいけないというふうに認識をしております。
 これまでの日本の実際の取組を見れば、2030年度の46%削減に向けては着実にいっておりますので、これをできるだけ、さらに高みを目指していくということでもって、他の国にも働きかけをしていくというふうに考えています。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=7Wy9fnll-EM
 
(以上)