大臣談話・大臣記者会見要旨

浅尾大臣閣議後記者会見録 (令和6年11月1日(金)10:20~10:28 於:中央合同庁舎5号館1階国会側フロアスペース)

1.発言要旨

 冒頭3点、私のほうから発言をいたします。
 はじめに、昨日10月31日、国連気候変動枠組条約事務局に昨年度の隔年透明報告書、いわゆるBTRを先進国で初めて日本が提出いたしました。
 BTRはパリ協定の枠組みの下、温室効果ガス排出削減の進捗確認のため、先進国及び途上国が共通で提出を求められている重要な報告書であり、今年の年末が第1回目の提出期限となります。
 我が国としては、パリ協定の実効性を高めるため、各国のBTRの提出やその質の向上が重要と考えており、今後COP29では議長国、アゼルバイジャンと連携して、各国のBTRの速やかな提出を呼びかけてまいります。
 また、特に途上国に対して、排出量推計などのキャパシティビルディングを行うことで、途上国による排出削減や進捗報告に貢献してまいります。
 次に能登半島の出張報告についてでありますが、昨日10月31日に石川県を訪問し、輪島市及び珠洲市において、公費解体の現場や災害廃棄物の仮置場など、現地の状況を確認するとともに、石川県庁において馳知事と意見交換をさせていただきました。
 現場は度重なる被災を受け非常に厳しい状況ではありましたが、被災地の方々、被災市町、地元企業、関係団体、そして各地から応援にこられた皆様が一致団結して復旧に懸命に取り組まれている姿に深く感銘を受け、環境省としても、引き続き能登地域の復旧・復興のために力を尽くしていきたいという思いを新たにしました。
 改めて、被災地の皆様、被災地の支援に御協力いただいている全ての皆様に、環境大臣として心から御礼を申し上げます。
 また、馳知事と意見交換を行い、水害に伴う影響に対応すべく、解体班数を1,200班程度に増強し、年内の中間目標達成に向け、着実に取り組んでいくこと、解体工事の円滑かつ迅速な、また安全かつ適正な実施に向け、引き続き連携して対応することなどを改めて確認いたしました。
 この後、本日から2日間福島県に出張し、楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、飯舘村の町村長にお会いするとともに、福島水素エネルギー研究フィールド、中間貯蔵施設、飯館村長泥地区における除去土壌の再生利用実証事業の視察を行います。各町村長との面会では、中間貯蔵施設の整備をはじめとする、環境再生事業への御理解と御協力に対する感謝、そして福島の復興に対し、これに全力を尽くすとお伝えするとともに、各町村で抱えている課題についても意見交換する予定です。
 引き続き、地元の皆様の声をしっかりと受け止めて、福島のさらなる復興に向けた今後の取組に活かしてまいります。
 私からは以上です。
 

2.質疑応答

(記者)日経新聞の大高です。よろしくお願いいたします。
 昨日、GX実行会議で石破総理のほうから、年内に地球温暖化対策計画と、あとエネルギー基本計画などもまとめるように指示がありました。選挙結果を受けて、特にエネルギー基本計画の電源構成の部分は難しくなっていると思うんですが、そうなるとNDCにも表裏一体で影響が出るのかなと推察します。現状認識をお聞かせください。
(大臣)次期NDCの策定及び地球温暖化対策計画の見直しについては、次期エネルギー基本計画の議論と密に連携しつつ、GX2040ビジョンと三位一体で検討を進めてまいります。
 原子力政策を含むエネルギー政策への選挙結果の影響については、環境大臣としてお答えする立場にはなく、エネルギー基本計画の見直しに向けては資源エネルギー庁の審議会において議論が行われているものと承知しています。
 いずれにしても、環境省としては気候変動対策全般を取りまとめる立場から、引き続き経済産業省を始めとする関係省庁と連携しつつ、しっかりと次期NDC及び地球温暖化対策計画を取りまとめていきたいというふうに考えております。
 
(記者)朝日新聞の市野です。
 隔年透明性報告書のことで関連なんですけれど、報告書には気候資金の話もありますので、報告書の中で毎年100億ドル以上は日本は出しているとは思うんですけれども、そもそもこの気候資金の重要性というものをどう思っているのかというのと、かなりトップクラスに出してはいるとは思うんですが、今回議論になる中で、さらに日本が出していくということについてどう考えているのかというのを教えていただきたい。
(大臣)御指摘の資金については、COP29において緩和や適応などの議題に加えて、気候資金に関する新たな目標(新規合同数値目標)について議論が行われる予定となっております。
 気候資金は、全ての国がパリ協定に基づき、気候変動対策を進めていくうえで重要であり、今後の対策を促進していくためにも、COP29における合意が果たす役割は大きいと考えております。
(記者) もう既にかなり出していると思うんですけど、さらに日本が出すということに対してはどのように。
(大臣) 我が国も、当時の岸田総理が、COP26の場で気候変動に適応するための支援を倍増し、約148億ドルの支援を行うことを表明しており、この方針に基づいて取り組んでいきたいというふうに思います。
 
(記者) 共同通信の堀口です。
 環境省が表彰していた太陽光発電事業者について、大阪府警は先日、預託法違反で事業者を逮捕するというような件がありましたが、これについての受け止めと表彰がふさわしかったのかどうかについてお願いします。
(大臣) 御指摘の件につきましては、株式会社チェンジ・ザ・ワールドは令和2年11月に環境省が主催するグッドライフアワードにおいて、実行委員会特別賞を受賞したものであります。同社の取組は分散型の再生可能エネルギーの普及に貢献することが評価され、表彰されたものであります。
 その後、同社の取組を事業として継続できず、破産手続を開始したことを受け、令和5年3月に環境省のホームページから同社に関する記述を削除したということであります。表彰時点では、同社が法令に違反した事実は確認できなかったところでありますけれども、環境省が主催する表彰を受けた事業者がその後、破産したこと、加えて法令違反の疑いで逮捕されたことは大変残念であります。環境省としては、消費者庁からの令和5年3月20日の通知も踏まえ、今後とも事業者に対する表彰などの審査に当たっては、関係省庁とも連携を強化し、各種法令遵守や事業の計画性、採算性等についてしっかりと確認していきたいというふうに考えます。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=W3SbWDm4YdQ
 
(以上)