大臣談話・大臣記者会見要旨

浅尾環境大臣就任会見録 (令和6年10月2日(水)11:00~11:51 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 環境大臣と原子力防災担当大臣を拝命いたしました、浅尾慶一郎でございます。
 総理からは、東日本大震災からの復興・再生の取組の着実な実施、2050年カーボンニュートラル、2030年度削減目標の実現など、地球温暖化対策の推進、国立公園等の観光資源としてのさらなる活用、2040年までの追加的なプラスチック汚染ゼロ、原子力規制委員会のサポートと原子力防災体制の強化、COPをはじめとする気候変動問題に関する国際会議への円滑な対応などの御指示をいただきました。
 環境省のミッションとしては、環境保全を任務とする省として、人の命と環境を守ること、さらに環境、経済、社会を統合的に向上させ、持続可能な未来をつくることであります。総理指示を踏まえ、政府全体の環境政策を牽引してまいります。
 東日本大震災からの復興・再生に向けては、環境再生こそ住民の皆様のなりわいの基礎であります。除染、中間貯蔵、汚染廃棄物処理、除去土壌の再利用や最終処分、ALPS処理水の海域モニタリングなどにしっかりと取り組んでまいります。東京電力福島第一原発事故の教訓も踏まえながら、原子力規制委員会を強力にサポートし、南海トラフ地震や、能登半島地震等の複合災害を考慮した原子力防災体制の充実強化を進めてまいります。能登半島地震については、1日も早い生活再建と創造的復興に向けて取り組んでまいります。
 気候変動問題に対しては、次期削減目標の策定と地球温暖化対策計画の改定に向け、環境省が中心となって取りまとめてまいります。また、GX(グリーントランスフォーメーション)を推進し、地域とくらしの分野を中心として加速してまいります。自然再興の実現に向けて、国立公園をはじめとする我が国の自然環境の保全、利用など、地域経済にも裨益する取組を進めてまいります。循環経済への移行に国家戦略として取り組み、気候変動対策等の環境面の課題解決と合わせて、地方創生や質の高い暮らしの実現、産業競争力強化や経済安全保障にも貢献してまいります。また、水俣病をはじめとする公害健康被害対策を着実に実施するとともに、PFASなどの問題にもしっかりと取り組んでまいります。
 地球環境問題への国際的な枠組みへの対処も重要であります。気候変動枠組条約のCOP29をはじめとする国際交渉の指揮を執ってまいります。
 私の冒頭の発言は以上であります。
 

2.質疑応答

(記者)共同通信の堀口です。よろしくお願いします。
 先ほど大臣の御発言で、総理からの指示の御説明がありましたが、その中でも2050年のカーボンニュートラル、それに先立つ2030年度までの削減目標の実現には、これまでの取組のさらなる加速が必要となりますが、風力や太陽光など、再生可能エネルギーやそのほかのエネルギーとの組合せなど、どのような姿勢で取り組むお考えか、よろしくお願いします。
(大臣)ありがとうございます。2050年のカーボンニュートラルに向けてどのように実現していくのかという質問だというふうに理解しておりますが、2050年のカーボンニュートラル、ネットゼロ、そして2030年度46%削減を実現するためには、今おっしゃられた風力、太陽光も含めて、産業構造、インフラ、国民のライフスタイルといったあらゆる面での変革が必要となってまいります。政府としては引き続き、地球温暖化対策やGX推進計画等に基づいて取組を積極的に進めるとともに、地球温暖化対策計画の見直しやGX実現のための国家戦略であるGX2040ビジョンの策定に向けても、議論を深めてまいります。
 また環境省では、こうした計画の策定に加えて、特に地域、くらしといった需要側の取組を主導してまいります。引き続き、あらゆる対策や政策を総動員しながら、政府一丸となって目標達成に向けて頑張ってまいりたいと思います。
 
(記者)福島民友新聞社の辺見と申します、よろしくお願いいたします。
 大臣の冒頭の発言でもございましたけれども、福島の除去土壌の再生利用の進展、これに努めるという趣旨の言及がございましたけれども、これに向けては住民の反発などで、国民の理解醸成が課題になっております。この課題解決に向けて、どう取り組むのか見解をお伺いします。
(大臣)福島の除去土壌の再生ということでございますけれども、御質問の趣旨としては、福島県内と、そして県外で、再生についての理解に差があるということだというふうに理解しておりますけれども、そのことについて、しっかりと環境省としても、まずは県外の最終処分の実現に向けて、最終処分量を低減することが鍵でありますので、再生利用について御質問がありますように、県外の地域においてもしっかりと理解を深められるように努力をしてまいりたいというふうに思っています。
 これまで環境省では、2016年に定めた方針に沿って、減容に関する技術開発や再生利用の実証事業等の取組を着実に進めてきたところであります。今年度はこれまでの取組の成果や、本年9月に公表されたIAEAからの報告書も踏まえ、最終処分、再生利用の基準の策定や、最終処分場の構造、必要な面積等の検討を進めることとしており、引き続きこうした取組を推進してまいります。
 そして今質問があったのは再生利用の必要性、安全性等に関する国民の皆様の御理解というところだと思いますが、これも大変重要だというふうに認識しておりまして、その理解を広げるため様々な取組をしておりますが、特に一般向けの中間貯蔵施設等の現地視察会の実施や、SNS等による情報発信等、様々な取組を進めてきたところでありまして、今後もさらなる理解醸成が必要だというふうに思っていますので、こうした取組を展開してまいります。さらに、再生利用先の創出等に向けて、関係省庁との連携を強化し、こうした取組を進めて、国として責任を持って進めてまいります。
(記者)ありがとうございます。
 関連してもう一点、政府は2020年代の帰還困難区域への希望者全員の帰還という取組を進める方針を掲げられていますけれども、帰還困難区域全域の避難指示解除に向けた決意をお伺いします。
(大臣)帰還困難区域全域の避難指示解除に向けてということでありますけれども、今御指摘ありましたように、環境省は、(東京電力福島第一)原子力発電所の事故に伴う帰還困難区域の除染や家屋解体を担っております。御質問にありましたように、避難指示解除に向けてしっかりと取り組んでいかなければいけないというふうに思っていますが、これまで帰還困難区域内で設定された特定帰還居住区域等において、必要な除染や家屋等解体を着実に進めてきたということであります。こうした取組をしっかりと継続してまいりたいというふうに考えております。
 現在、大熊町、双葉町、浪江町、富岡町の4町において、地元の皆様の御意見を伺いながら、除染等の取組を進めているところであります。2020年代をかけて、故郷に戻りたいという御意向のある住民の方々が帰還できるように、環境省として、地域の方々に寄り添って、避難指示解除に向けて必要な除染等の取組を丁寧に進めてまいります。さらに、将来的には帰還困難区域の全てを避難指示解除するという方針の下、政府全体として全力で取り組んでまいります。
 
(記者)福島民報社の藁谷と申します。よろしくお願いいたします。
 大臣の冒頭でも発言がございましたけども、東京電力福島第一原発からの処理水の海洋放出のモニタリングの話として、今回この風評の抑制のために安全性を確保するという意味では、大変重要な役割だと思います。こういった風評の払拭や抑制に向けた情報発信、これをどういった形で取り組むのか、お考えを教えてください。
(大臣)ALPS処理水の風評対策ということを御質問いただきました。環境省では、昨年の8月、処理水放出開始以降、トリチウムのほか、セシウム等のその他の放射性物質についても幅広く測定しておりますが、これまでの分析結果は、全国の環境レベルと同等であり、人や環境への影響がないことを確認しております。引き続き、客観性や透明性、信頼性の高い海域モニタリングを徹底し、原子力規制委員会、水産庁等の関係機関が実施した結果を含め、国内外に分かりやすく発信することを通して、風評被害対策に貢献してまいりたいと、こういうふうに考えております。
 
(記者)テレビ朝日の屋比久と申します。よろしくお願いします。
 冒頭発言にあった、循環経済の移行に国家戦略として取り組むというところに関連して、人工光合成について伺いたいと思うんですけども、大臣はかねてからいろんな場で人工光合成の重要性について言及されていると思います。私が動画を拝見したのは2006年のスイス・サンガレンのシンポジウムで大臣が、私が大臣となった暁には、人工光合成の実現を日本の国家戦略の1つとして掲げ、10年間で3,000億円の予算をもって実現する所存であるということを発言されていますけども、この方針については堅持されていく方針なのか、そこをお願いします。
(大臣)ありがとうございます。人工光合成を御存じない方も多いかもしれませんので、若干補足させていただきます。今、国としては様々、二酸化炭素の排出の削減に向けて取り組んでいるわけでありますけれども、前国会で成立いたしましたCCS(二酸化炭素の貯留事業に関する法律案)(Carbon dioxide Capture and Storage)というのがあります。それに加えて、私自身はかねてから(言っていますが)、光合成は植物が行っておりますが、そもそも地球温暖化の原因は、光合成の結果発生した石炭や石油を燃やして、10億年ぐらいかけて固定化した二酸化炭素を燃やした結果、二酸化炭素濃度が上がってきたということでありまして、今御質問いただきました2006年、スイスのサンガレンで、そのことについて、3,000億ではなくて、私の試算では、多分申し上げたのは、年間10兆円ぐらいかかるというような話だと思いますけれども、そういうものを国家プロジェクトにしていきたいという話はしております。それは政治家としての大きな目標にしてまいりたいというふうに思っています。
 今、政府の中での方針としては、すぐにその技術ができるわけでありませんが、もう少しだけ付言をいたしますと、植物の葉に光が当たると電流が流れて、水を水素分解するわけでありますが、そこからカルビンサイクルが回って、光合成が始まります。例えば植物の葉に当たるときに、似たような触媒に光が当たると、例えば水素をつくるときには、電気で水素分解すると完全なブルーカーボンということになりますけれども、電気を使わずに触媒的なもので水素をつくる。そういったものの最先端の技術も日本の中にあります。ただ、それがすぐに人工光合成につながるというわけではありませんので、ぜひそれを進めていかなければいけないということであります。これは本当に10年、20年かかるものでありますので、様々な施策を含めてやっていきたいというふうに思っていますし、御質問の趣旨については、ぜひともそれを、夢のある日本の国家のプロジェクトとして取り組んでいきたいと考えているということであります。
 
(記者)電気新聞の民と申します。
 通常国会で継続審議となった再エネ海域利用法の改正案なんですけれども、これが、今回、解散となる見通しになって、廃案となる見込みとなりました。面積が世界6位のEEZで、浮体式洋上風力発電の導入拡大を図るのは、カーボンニュートラルの実現の観点からも重要な法案と理解していますが、廃案となった場合、環境省としてどのように対応するのか、大臣のお考えをお聞かせください。
(大臣)御質問の法案は、衆議院において全会一致で可決をしていただきました。残念ながら参議院では、他の法案との関係で審議ができずに継続審議となっているというのが今の状況であります。仮に今回廃案になったとしても、既に衆議院では、全会一致で可決しているものでありますので、今後の審議の進め方についてはもちろん国会で決めていただくということでありますけれども、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、今御指摘ありましたように、我が国はEEZの面積は世界第6位ということでありますので、我が国の排他的経済水域における洋上風力発電の展開を可能にするというのは、大変重要なことだというふうに思っておりますので、国が環境調査を行う規定を盛り込んだ法案の重要性、必要性はいささかも変わりがないというふうに理解をしております。従いまして、風力発電のさらなる導入促進に資するため、環境省としても努力をしてまいりたいというふうに考えています。
 
(記者)毎日新聞の山口と申します。よろしくお願いいたします。
 来年2月が提出期限の温室効果ガスの削減目標、次期NDCについて、現時点でどの程度の水準が頭にあるのでしょうか。それについての考え方をお願いします。
(大臣)次期NDCは、今御指摘ありましたように、来年2月までに国連への提出が求められていることを踏まえて、現在、環境省の中央環境審議会と経済産業省の経済構造審議会の合同会合において、本年6月から、その策定に向けた議論を進めているところであります。今後、合同会合での議論や、IPCCによる科学的知見、排出削減の実績等を踏まえつつ、関係省庁とも連携しながら、環境省が中心となって政府としての案を取りまとめてまいりたいと思っております。
(記者)ありがとうございます。
 もう一点、福島県内の除染で出た土の県外の最終処分について、現在、30年以内の搬出という約束があるわけですけれども、この約束についてどのように向き合っていくお考えでしょうか。
(大臣)福島県内の除染された土壌の(県外搬出の)約束の実現は、これは法律で規定されていることでありますので、しっかりとその実現に向けて推進してまいります。
 
(記者)エネルギーと環境の大村といいます。よろしくお願いします。
 今、党内では、環境省とエネルギー庁を一体にしてという、そういう話がございますが、これに関して大臣はどのような認識を持たれているか、それを1つ教えてください。
 それともう1つですが、原発と石炭火力に対する認識もお願いいたします。
(大臣)まず、党の一部で、いわゆる環境エネルギー省を主張している方がいることは承知をしておりますが、環境大臣としては、所管である環境行政に関係省庁と連携し、取り組んでいこうというふうに考えているということであります。
 2つ目の原子力発電と石炭火力との関係という御質問ですが、原子力発電については、当然のことでありますけども、安全性の確保を大前提としつつ、地元理解を得た上で再稼働していくというのが政府の方針であります。環境省としては、原子力規制委員会の独立性を尊重するとともに、引き続き予算面や体制面で必要なサポートを行ってまいります。一方で、石炭火力については、高効率なものというのはありますけれども、これも順次置き換えていくといった、大きな政府の方針があるということだと思います。
(記者)基本的に両方とも推進していくということの認識でよろしいんでしょうか。
(大臣)原子力発電については、今申し上げたとおりでありますし、石炭については今申し上げたように、推進という趣旨がどういうことかというのがありますけれども、電力の安定供給というのが大前提としてあった上で、2030年に向けては、非効率の石炭火力のフェードアウトということは着実に進めていかなければいけないというふうに思っていますし、2050年に向けては水素、アンモニアやCCUS、Uは人工光合成に関わりますけれども、脱炭素型の火力発電所に置き換えていくということになります。
 
(記者)新潟日報社の齋藤と申します。
 原子力防災の関係で、東京電力柏崎刈羽原発への対応についてお伺いさせていただきます。岸田内閣では再稼働に向けて、地元同意を得るために避難道路の整備だとか、シェルターの整備など、地元からの要望について、国の予算で進めていくという方針を示されました。こうした方針を引き続き堅持されていくのかどうか、内閣府としての御対応をお聞かせください。
(大臣)柏崎刈羽地域の原子力防災に対する御質問をいただきました。柏崎刈羽地域においては、現在、地域原子力防災協議会の枠組みの下、緊急時対応の取りまとめに向けて、御指摘のとおり作業を進めているところであります。取りまとめに当たっては、豪雪地帯であることなど、地域の特徴や課題を踏まえて取り組むことが重要だというふうに認識しております。地域の実情を熟知する関係自治体や関係省庁とも連携しながら、原子力防災体制の充実強化に着実に取り組んでいきたいというふうに考えています。
 
(記者)化学工業日報の濱田と申します。
 これまでの政治家のキャリアで一番印象に残っていることというか、あるいは自信のある政策というか、そういった自己評価を何かいただけると。
(大臣)ありがとうございます。これまで様々なことに政策面で取り組んでまいりましたけれども、基本は、私は事実をまず認識をし、その上で、目指すべき世界はどういう世界なのかということから政策をつくり、その中で実現できるものについては実現をしてきたというふうに自負をしております。
 そういう意味では、先ほど来、質問のありました人工光合成は、そもそも何を考えたかというと、二酸化炭素の排出量を削減していくということがありますけれども、出た二酸化炭素をむしろ資源として活用しているのが植物ではないかと。太陽エネルギーをためる材料として、二酸化炭素と水を使ってブドウ糖をつくるというのが、植物がやっていることですけども、それをやると、最終的には二酸化炭素を活用できるようになるのではないか。それはまだ実現していませんけども、そういう発想であります。
 また、例えば、一時期、年金の問題が話題になったことがあります。年金については、未納の話がありましたけど、実際には、これは環境行政とは関係ありませんが、未加入というところが大きな問題でありまして、これは今日お越しの皆様方も御存じだと思いますけれども、厚生年金は、全ての法人(株式会社、有限会社、社会福祉法人など)は、役員も含めて常勤の人は加入しなければいけないということになっておりますが、実は、厚生年金を集める日本年金機構(旧社会保険庁)にどこに法人があるかというデータがなかったのですけれども、国税庁はそういうデータを持っているということで、国税庁が持っているデータを最終的には日本年金機構が使えるようにしたらどうかということを平成26年の予算委員会で指摘をし、国税庁が持っているデータを使えるようにしますということを当時の麻生太郎財務大臣が言明をし、翌年から日本年金機構にそのデータが渡った結果、平成27年と令和4年で比較すると、単年度で厚生年金の保険料で7兆5,000億円、反射的に出ます協会けんぽの健康保険の保険料2兆5,000億円。ですから単年度で10兆円の保険料収入が増えたということであります。今申し上げましたように、それは政策の上の実績として自負ができるところだと思っていますけれども、事実を調べて、何がどうしたらどうできるかというのが政治家として取り組んできたこということということです。
(記者)あと、人工光合成について1点だけ。唐突な気がするのですが、人工光合成との出会いのきっかけは何かあったのですか。専門家に出会ったとか。
(大臣)ありません。専門家に出会ったわけではないのですが、自身で考えた後、いろんな専門家には聞いています。それは、どういう発想かというと、当時、最初にそれを提唱した頃は、今よりは少し地球温暖化ということに対して、まだ認識が薄かったわけでありますけど、ただ二酸化炭素の排出を削減しようという機運は盛り上がってきていた。一方で、経済成長とエネルギーというのは切っても切れないところでありますので、経済成長を、例えば途上国がしていくにあたっては、当然、化石燃料に頼れば(二酸化炭素の)排出が増えていく。そういう中で本当に削減していくというのができるのかなと。逆にコロンブスの卵ではありませんが、出てしまった二酸化炭素を唯一吸収しているのが植物だと。植物がやっているということは、人類は知っていますけれども、まだそれを人工的にできるようになってない。ただし、植物がやっていることよりもさらに効率よく太陽エネルギーで二酸化炭素を違うものに変えるようにできれば、非常に役に立つんのではないかなと。ですから、最終目標が削減ということにつながるということではないかということです。
(記者)きっかけは、本や雑誌で読んだとかではなく。
(大臣)ではないです。私がさっき申し上げたように、事実として二酸化炭素が増えている。じゃあ、どうやって減らしたらいいかと考えて、こういうことはできないだろうかということから思いついて、いろいろな専門家に話を聞きにいったということです。
 
(記者)時事通信の大利と申します。
 大臣は今回、初入閣ということですが、環境大臣のポストの打診を受けたときの率直な感想を教えていただきたいというのと、あと、政治と金の問題もあって国民から厳しい視線が注がれていると思うんですが、石破内閣の一員としてどう取り組んでいきたいのか、意気込み、抱負があれば教えてください。
(大臣)環境大臣の提示を受けたときは大変ありがたいというふうに思いました。今、日本もそうでありますけれども、世界的にも地球環境の問題が多くの国民、それぞれの国の国民が関心を持って見ている、そういった中で、その行政に取り組めるということは大変ありがたいことだと思いますし、先ほど来、お話を申し上げておりますけど、私自身は大分前から人工光合成というのが、ある種、夢のあるプロジェクトだというふうに思っていますので、そういう意味で大変ありがたいなというふうに思います。
 後段の政治と金の問題については、当然のことですけれども、これは一言で言うと、政治というのは、何か目に見えるものをつくっているわけではありません。もちろん1人でつくるわけではありませんけれども、だから逆に言うと、言葉ということも大事になってくると思いますし、それを実際に行っていくということが大事だろうというふうに思います。
 1つだけ申し上げれば、私自身がかつてみんなの党というところの代表を務めておりましたけれども、その政党を解党するときに、みんなの党の中にありましたお金、その大部分のお金の由来は様々なところから来ていますけれども、政党交付金であったので、使っていないお金については国庫に、最終的には計算をすると14億円ほど返したということがありまして、多くの人からは、そんなばかなことをしないでうまく使ったらいいのではないかという話がありましたけれども、やはり政治とお金というのはしっかりと説明をしていくことが大事だというふうに思っています。
 
(記者)南日本新聞の山下と申します。よろしくお願いいたします。
 水俣病問題についてお伺いいたします。5月にマイク切りの問題等もありましたけれども、水俣病問題に対してどのような御認識でいらっしゃるのかということと、解決に向けてどのようなことを取り組んでいかれるのか、よろしくお願いします。
(大臣)まず、5月の件につきましては、大変不適切な対応だったというふうに考えています。そして、そのことを踏まえて、御案内のとおり、伊藤前大臣が7月に関係団体と改めて懇談の場を設け、十分な時間を確保してじっくりとお話を伺って、その内容を踏まえた概算要求も取りまとめられたと承知しております。
 改めて申し上げますけれども、環境省の職員一人一人が公害の歴史と経緯を踏まえて、つらい状況にある方々にできるだけ寄り添って対応していくということは、私としてもしっかりと指示をしていきたいというふうに思います。
 その上で、水俣病についてどういうふうに取り組むかということでありますけれども、水俣病というのは、環境が破壊され、大変多くの方が健康被害に苦しまれてきた、そもそもは、国の環境行政の原点であるというふうに認識しております。環境省としては、地域の方々が安心して暮らせる社会を実現するため、公害健康被害補償法の丁寧な運用、あるいは地域、医療、福祉の充実や地域の再生、融和、振興に取り組んでいきたいというふうに思っておりますし、そういう中で、しっかりと水俣病対策に取り組んでまいります。
 
(記者)神奈川新聞の有吉と申します。
 大臣は神奈川選出で、自民党県連の会長は小泉さんで環境大臣の先輩にあたりますが、小泉さんから何か助言なりがあったかということと、あと小泉さんのどういったところに学んで大臣職を務められるか、その辺を教えていただきたいのと。
 もう1つ、以前、後援会長をされていた日本船主協会会長の轉法輪さんが亡くなって20年ぐらいになりますけど、明日が命日なんですよね。それで大臣は今でこそ自民党にいますけれども、野党暮らしとか、浪人時代とかもあって、そういったときに轉法輪さんのように党派を超えて大臣を支えてきた方々がいるわけで、そういった方々に対して何か抱負なりがあれば、教えていただきたい。
(大臣)残念ながら、小泉選対委員長(元大臣)とは、昨日、組閣本部に呼び込まれたときに、その一員として小泉元大臣がいらっしゃいましたけども、その場で話をすることはできていないので、先輩にまだどういうふうにしていったらいいかということは聞けていません。(小泉元大臣は)大臣が終わった後でありますけれども、例えば福島県でのALPS処理水について、私もその場に行きましたけど、(地元の)サーファーと一緒に、サーフィン大会にサーファーとして参加をしたということも承知しています。(私は)今はやっていませんが、日本スタンドアップパドル協会、SUPというのがありますが、その会長をしていたこともあるので、今度は福島県の水面でSUPをして、小泉元大臣に学んでいきたいというふうに、御質問いただいて思いました。
 併せて、大変ありがたい御質問で、大変多くの方にこれまで支えていただきました。御存じない方が多いと思いますけど、轉法輪さんという方は、船主協会の会長でもありますが、当時の政府の諮問会議の座長であった。その座長の方が野党のまだ国会議員ではない候補者の後援会長を引き受けた。それだけ心意気を持った方に支えていただいたということでありまして、普通に考えると、いろいろなお立場がある方であればあるほど、そこまで積極的にはコミットしていただけない中で、コミットしていただいたということに対して、心から感謝を申し上げたいというふうに思っています。
 
(記者)共同通信、矢野です。よろしくお願いします。
 岸田政権は原発を最大限活用する路線で、政府方針については先ほど大臣に御説明いただいたとおりだと思いますが、例えば2014年頃まで遡りますと、大臣は建造から40年超の運転であったり、新設や増設については慎重な御意見をされていたというふうに記憶しております。随分前のことなので、最新の大臣の原発の最大限活用に対するお考えであったり、変化された部分も含めてもしあればお伺いできればと思います。よろしくお願いします。
(大臣)当時も同じことを言っていたと思いますけれども、安全性が担保されているものについて、地元の理解を得た上で再稼働していくというのが方針だということでありますので、当時言っていたことと変わらないと思います。強いて言えば、廃炉基準が若干その後に変わったということというふうに思っていますが、安全性が担保されているものについては、期間が延びていくということになっていくのではないかというふうに考えております。
 環境省としては、原子力規制委員会という独立性を持った組織がありますので、その活動を予算面や体制面でサポートしていくというのが環境省の役割でありますので、決してどちらかでどんどん進めるということではないということです。安全性という観点で規制委員会が認めたものということについて、政府が再稼働を地元自治体と協議しながら決めていくというのが今のこと(方針)でありますので、そこについて齟齬があるわけではないというふうに思います。
 
(記者)日刊工業新聞の松木といいます。大臣就任おめでとうございます。
 人工光合成に関連しての質問なんですけれども、既に経済産業省が10年ぐらい研究プロジェクトをやっていて、酸化チタンですとか光触媒とか、触媒の技術とかで日本が先行していて、人工光合成の分野でも日本が世界の研究をリードしているというふうに認識しています。それで、リチウムイオンバッテリーですとかペロブスカイト、浮体式の洋上風力の発電ですとか、日本が開発で先行したにもかかわらず、ビジネスで海外のほうに遅れを取っている事例がたくさんあるかと思います。今後、脱炭素のビジネスにおいて日本が世界で勝っていくためには、経産省の所管かもしれないですが、大臣のお考えがあれば教えてください。
(大臣)脱炭素というのは、少し前は外部不経済の世界だったわけでありますが、今は世界的にこれをやっていかないと地球そのものが危うくなってきているというのが多くの国際的な共通認識という中で、そこをしっかりと進めていくということは、まさに需要があるということですから、経済性がある。新しい技術がそこから生まれてくるということでありますので、今、御指摘の経済産業省ともしっかりと連携を取りながらそれを進めていく。社会的なニーズがあるというところには、まさにビジネスとしてのニーズもあるというふうに私は認識しております。
 
(記者)西日本新聞の村田と申します。よろしくお願いします。
 先ほど言及された水俣病問題について重ねてお伺いします。今年5月の被害者団体との懇談におけるマイク問題を受けて、環境省としてタスクフォースを発足させて、今進行中だと思うのですが、今後浅尾大臣の下でもタスクフォースを継続されるのかどうか。また、どんな役割を担っていきたいかということに加えて、昨日付で被害者団体が申入れ書というのを環境省に送られていると思うのですが、その中で就任後、伊藤前大臣のように被害地域を訪れられて被害者団体と懇談を行ってほしいという申入れが出ていると思うのですが、そこについての考え方を教えてください。
(大臣)水俣病タスクフォースについての御質問がありました。水俣病タスクフォースについては、御指摘の関係団体との改めての懇談の場で、損なわれた関係団体、現地との関係性を修復するという目的で設置したものであります。こうした関係の維持は重要なものと考えており、大臣や副大臣等が顧問を務めることを含め、体制に変更はありません。関係団体の皆様と実務的な意見交換を重ねることによって、信頼関係を育みながら前進していくという考えであり、タスクフォースは、引き続きこの実務的な意見交換の準備運営を担うということになってまいります。
 次に、水俣病対策を前進するために関係者の御意見を十分にお伺いし、課題について丁寧に意見交換を行うことを通じて、今後の政策に活かしていくということが重要だということは、申すまでもありません。まずは事務方による、今申し上げた継続的な意見交換を通じて信頼関係を育みながら前進してまいりたいというふうに考えています。
 
(記者)環境新聞の小峰です。
 浅尾さんは経済だけでなく、外交・安保の論客だと承っております。環境省は、やはりCOPだけが外交じゃなくて、幅広い意味で外交がありますし、それから安全保障にも環境分野は非常に貢献するというふうに思っています。
 最初に先鞭をつけたのは、やはり神奈川県の小泉進次郎さんがつけまして、自衛隊との連携を非常に強化しました、環境省の。日本最東端の鳥島の海上自衛隊の基地、そして海上保安庁の基地に再エネを置いて燃料が途絶えても戦えるような形にしておりますし、その後の大臣も、山口壯、西村明宏、伊藤信太郎も、インド太平洋地域でJCM(2国間クレジット制度)をてこに、例えばインド太平洋ではパラオ共和国、日本、親日国、親台湾国に、再生エネルギーをやって、地球温暖化に貢献するとともに、安全保障、対中進出を防ごうということをやっております。
 また、ウクライナ支援に関してはこのJCMを使って、モルドバ、アゼルバイジャン、バルト諸国等、ウクライナを取り囲むようにJCMで協力しております。恐らく浅尾さんのことですから、環境安全保障という新たな概念を打ち出すのではないかと期待しているのですが、何かお考えをお聞かせください。
(大臣)ありがとうございます。環境は世界各国が共通の認識を持っているところと、その国の中によっては様々、分かれるところもあると思いますけれども、まさに地球環境そのものが壊れてしまったのでは、安全保障に齟齬を来すということだと思いますので、しっかりと環境の観点で御指摘のことについて、取り組んでいきたいというふうに考えております。
 
(記者)エネルギージャーナル社の清水といいます。専門誌です。
 COの光合成の技術開発も重要でしょうけれども、現在は、やっぱりどうやってCOを削減するかが緊急の内外の大きな課題です。日本政府が言わば2030年の46%削減とか、今後のCOP29で決まるさらなる削減強化ということになると、大臣がおっしゃった経済との一体性というのも極めて危なくなってくる。要するに伺いたい点の第1点は、CO削減できなかったら、我が国、あるいは国際社会も含めて、経済活動の制限といいますか、経済活動そのものを見直すという考え方があるでしょうか。これは政治家として伺いたいんですが。弱小官庁と言われる環境省はなかなかそこまでの政治的な対応というのは困難だと思いますが、そこも含めてお願いします。
 それから2つ目、石破首相は、防災省あるいは防災庁の設置を提示しているようですけれども、環境省もこれに非常に深く、気候変動問題、被害などでは関わると思いますが、これについての御認識はいかがですか。
 以上です。
(大臣)GXについて、環境省は気候変動対策全般を取りまとめるとともに、資源循環を推進する立場から、GXの実現に向けて全力を挙げて主体的に取り組んでいくという考えでありますけれども、御案内のとおり、GX2040においては、GX2040ビジョンの策定と密接に関連する地球温暖化対策計画の見直し、検討を進めるということであります。特に地域、くらしといった需要側の取組は環境省が積極的に取り組んでいくところだと思いますし、資源循環分野の取組も主導してまいります。今御指摘があったことについては、環境省と経済産業省をはじめ関係省庁と緊密に連携しながら、GXの実現に向けて取り組んでいかなければいけないということは申すまでもないことであります。
 2つ目の御質問の石破総理の掲げる防災庁構想についてということでありますけれども、総裁選の主要政策の一つとして防災庁構想を掲げていたことは承知しております。そして、今ありますように能登半島地震の経験とか、将来予見されている南海トラフ地震等といった大規模災害と原子力災害との複合災害への対応を考えると、原子力防災においても自然防災部局との連携強化が重要でありますが、いずれにしても、今後、政府における議論をしっかりと踏まえて対応していきたいというふうに考えています。
(記者)1点目について。GXの方針を伺ったわけではなくて、環境政策としてCOの削減のためには、COの国際的な目標達成のためには、経済活動、あるいはもちろん生活分野もあるのでしょうけれども、やっぱり抑制をしなきゃいかんというような選択肢も考えることはあるのでしょうか。その辺、どういう認識ですか。
(大臣)それは様々なことを当然やっていかなければいけないということでありますし、今、目標を掲げて削減をしていくということであります。環境行政と経済が対立しているような趣旨での御質問だと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、まさに環境にプラスになることをやっていくことは、経済面でもプラスになっていくというふうに理解していますので、これを両立して実現していくというのが環境省として、あるいは私としての考え方であります。
 
(記者)就任おめでとうございます。NHK、岡崎です。
 PFASについて冒頭でも発言がありましたけれども、国民からの関心はとても高いと思いますが、どのように取り組んでいかれるかお聞かせください。
(大臣)PFASについての御質問ありがとうございます。PFASは、有機フッ素化後物の総称でありますけれども、このうちの一部の物質であるPFOS、PFOA等については有害性が指摘されていると承知しております。我が国では、国際条約を踏まえて、国内法に基づいて、製造、輸入等が原則禁止されているなど、環境省をはじめとして各省庁が必要な対応を行ってきたというふうに考えているところであります。
 

会見動画は以下にございます。
https://youtu.be/nkl251GE9Yk?si=OLUK2KcBCTq9297q
 
(以上)