大臣談話・大臣記者会見要旨
伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年10月1日(火)10:00~10:27 於:環境省第1会議室)
1.発言要旨
第25回日中韓三カ国環境大臣会合、TEMM25等の結果について御報告いたします。
9月28日土曜日から、29日にかけて、韓国・済州島で第25回日中韓三カ国環境大臣会合、いわゆるTEMM25に参加してまいりました。金琓燮(キム・ワンソップ)韓国環境部長官、黄潤秋(ホアン・ルンチウ)中国生態環境部長と、国際的に大きな課題となっている様々な環境問題について議論し、気候変動、生物多様性、プラスチック汚染、黄砂対策等の協力の推進等を盛り込んだ共同コミュニケを採択しました。あわせて、次期行動計画にプラスチック汚染等を盛り込むことも合意されました。期間中は両国とのバイ会談も行い、今後、環境協力を強化していくことを確認いたしました。環境問題について国際社会で重要な役割を担う3カ国でしっかり協力を進めていく良い契機になったと考えております。
本日、9時からの閣議におきまして、閣僚の辞表を提出いたしました。記者クラブの皆様方には大変お世話になり、厚く御礼申し上げます。
この御縁を今後も繋がせていただければ幸いでございます。本当にありがとうございました。以上でございます。
9月28日土曜日から、29日にかけて、韓国・済州島で第25回日中韓三カ国環境大臣会合、いわゆるTEMM25に参加してまいりました。金琓燮(キム・ワンソップ)韓国環境部長官、黄潤秋(ホアン・ルンチウ)中国生態環境部長と、国際的に大きな課題となっている様々な環境問題について議論し、気候変動、生物多様性、プラスチック汚染、黄砂対策等の協力の推進等を盛り込んだ共同コミュニケを採択しました。あわせて、次期行動計画にプラスチック汚染等を盛り込むことも合意されました。期間中は両国とのバイ会談も行い、今後、環境協力を強化していくことを確認いたしました。環境問題について国際社会で重要な役割を担う3カ国でしっかり協力を進めていく良い契機になったと考えております。
本日、9時からの閣議におきまして、閣僚の辞表を提出いたしました。記者クラブの皆様方には大変お世話になり、厚く御礼申し上げます。
この御縁を今後も繋がせていただければ幸いでございます。本当にありがとうございました。以上でございます。
2.質疑応答
(記者) 幹事社、共同通信の堀口です。よろしくお願いいたします。
先ほど辞表取りまとめの話もありましたけれども、本日石破新政権が誕生する予定です。岸田政権の環境大臣として、この1年余りの任期の振り返りをお願いします。また、差し支えなければやり残したこととか、もう少しできたこととか、そういった視点もあれば、よろしくお願いします。
(大臣) ありがとうございます。
昨年9月の環境大臣就任以来、1年余りに当たって環境政策を前に進められるように力を尽くしてきたと考えております。様々なことがありますが、特に力を入れてきた政策を幾つか申し上げたいと思います。
第1には震災復興でございます。東日本大震災からの復興と能登半島地震への対応、特に能登半島地震については、発災直後から職員の現地派遣など、被災地のお力になれるよう先頭に立って指揮してまいりました。そして現在も豪雨災害に見舞われておりますけれども、一日も早い復旧に向け、環境省として途切れることなく現地支援を行ってまいりたいと思います。
第2に、環境問題の原点である水俣病についてでございます。水俣病関係者の方々のお気持ち、お考えを真摯にお伺いして、必要な予算要求を行うなど、一定程度の施策を前進させることができたと考えております。
第3に、循環経済の実現でございます。循環経済に関する関係閣僚会議を立ち上るなどして、関係省庁連携体制を構築し、第5次循環基本計画を取りまとめました。
第4に、脱炭素社会の構築でございます。脱炭素先行地域を82地域に拡大するなど、特に地域・くらしの観点から、脱炭素社会構築への取組を加速できたと考えております。
第5に、環境外交の推進でございます。昨年12月のCOP28や、本年4月のG7気候・エネルギー・環境大臣会合など、多くの閣僚級会合やバイ会談を通じて、我が国のプレゼンスを高めるとともに、昨年11月には、日中韓三カ国環境大臣会合を自ら主催し、忌憚ない意見を行ったところでございます。9月28、29日には先ほど話しましたように、韓国での第25回日中韓環境大臣会合にも参加してまいりました。
第6に、自然関連でございます。鳥獣保護管理法改正の検討も含め、クマ類の市街地への出没に対する対策の強化を取り組んだところでございます。また、自然共生サイトの認定を法制化する生物多様性増進活動促進法の成立など、ネイチャーポジティブに向けた潮流を作ることができたと考えております。
これらの横串を刺すものとして、第6次環境基本計画の策定をいたしました。私が就任当初から申し上げている、同心円の考え方もこれには盛り込まれております。環境政策の次なるステップへの推進力となることを祈っております。
大臣の1年間でやれることというのは限られておりますけれども、私としては任期の限り全力を挙げたところでございます。行政は継続するものでありますし、また、さらにイノベーションも必要でありますので、次の大臣にしっかり引き継いでまいりたいと思います。
(記者) 読売新聞の田中と申します。先ほども挙げられた水俣の関係で追加でお聞きしたいのですけれども、申し上げるまでもないのですが、マイクの音量を下げるという問題がありまして、再懇談にも行かれました。今後、大臣を退かれた後も、水俣の問題にどのような形で関わりたいのかというのが1点と、もし後任の大臣にこの水俣に関して何か伝えたいことがあれば併せて教えていただければと思います。
(大臣) 今後は一議員として、水俣病にしっかりと向き合って、私の力の限り前進のために努力したいと思っております。そして後任の環境大臣には、明日引継ぎ式が行われると思いますけれども、ペーパー(引き継ぎ書)のほかに口頭で私が伝えられる限りのことをお伝えして、水俣病に関する環境政策が前進できるようにしっかりお伝えしたいと思っております。
(記者) 新潟日報の貝瀬です。よろしくお願いします。
水俣病の関係で続けてお尋ねいたします。任期中、一定程度の前進はできたという評価でしたけれども、これまで懇談の中で、大臣の任期中にできるだけの解決を図っていくと、救済されていない方もいる中で、解決を全力で図っていくというお考えでしたけれども、その意味ではやり残したこともあるのではないかというふうに思うのですけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。
(大臣) 行政というのは現行法制と、得られた予算の中で執行するということが必要であります。そういう意味では、私の任期中にできることは、まず、今後の必要な予算を増やすということで、その部分は私の主張も含めて、概算要求に盛り込んだところでございます。68年間、必ずしも全面的にはなかなか解決できない、非常に歴史的経緯がある複雑で、関係者も多い課題でございます。ですから1年間で、100%解決するというのは困難でもありますけども、私の任期中にやれるだけのことはやったと。また今後の環境大臣にそれを引き継いでまいりたいと、そういうふうに考えております。
(記者) 残された課題というのは、例えば何だというふうにお考えですか。
(大臣) 課題を短い時間で整理するのは、容易ではありませんけれども、水俣病の問題というのは、まずは水俣病で苦しまれている方をどうしたら救えるかということ、それから水俣病に関係する人には、いろいろな方や団体もあります。そういった皆様の御意見は一様ではありません。ですから、一様ではない意見をどういうふうに調整して、お聞きして、前に進むかという問題もあります。
もう一つは、水俣病を一つの起因として、地域社会に生じてしまった亀裂というものがあると思うのですね。これは必ずしも環境省の力だけで解決できる問題ではありませんけれども、環境省の力で解決できる部分については前進させていきたいと、そういうふうに考えております。
(記者) そうしますと、今回マイク切りの事件でもありましたけれども、関係者の声を丁寧に聞いていく姿勢みたいなのは、後任の方にも引き継いでいきたいところでしょうか。
(大臣)それは引き継いでいきたいと考えております。
(記者)日刊工業新聞、松木です。
1年間の大臣、お疲れ様でした。振り返っていただきたいのですが、この1年間大臣をやってみて、環境問題への捉え方、今年も猛暑が続いていたりだとか各地で、能登とかで自然災害もありましたけれども、改めて環境問題をどのように1年で捉え方が変わったかというのと、大臣を辞められた後、環境問題にどのように関わっていきたいかというところがありましたら、お聞かせください。
(大臣)私は、環境問題というのは非常に幅が広く、根源的な問題だろうと思っております。
先ほども申し上げたように、クマ対策もあります。今、お話のありました水俣病の問題もある。そして今、環境省が中心的に課題と考えている気候変動の問題、生物多様性の損失の問題、汚染の問題があります。
これら全ての問題は、相互に関係がある問題だと思います。さらに言えば地球社会の在り方、あるいは日本の社会の在り方、私が常々申し上げていますように最終的には、哲学の問題に帰結するんだろうと考えております。
一人一人の人間がどのように物を考えるのか、地域社会が何を重点に運営していくのか、国の在り方としてどういう価値観で進んでいくのか。また、地球環境は1つでありますので、この地球社会全体が、どういう考え方で、できればコンセンサスを得て、進んでいくか、そういうことに全部つながっていると思います。
ですから、政治をやっていて、1人の人間として生きていて、環境問題に関わらないということは、ないと私は思います。そして、関わり方も人によって、また、政策分野によって異なるものがあると思います。
ただ、根源的にはどうやったらこの地球上に生きている人類が、さらに言えば、地球上に生息する生態系が持続可能な形で22世紀を迎えることができるような仕組みや考え方を進めていくかということに帰結すると私は思っています。
そういう意味において、あらゆる意味で環境問題に私もこれから積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
(記者)お疲れ様でした。エネルギージャーナルの清水です。
1つは、いろいろ出ている水俣病対策で、やっぱり、大臣はさっき、68年間未解決の問題だとおっしゃったけど、抜本的にね、これはどう解決するのかという道筋をやっぱり残すことが非常に大事だったと思うんですが、その道筋を、ほかのいろんな案件でも50年以上たってようやく解決のめどが出てきたとか幾つかありますけれども、やっぱり、構造的にどういう形でやれば、水俣病の解決の方向が出るのかというのが、やっぱり出てなかったというのは非常に残念だし、そのことについてどう思われるか。
それから、これは卑近な問題ですが、マイク切り事件のときに、それを大臣に報告した環境省職員を全く叱らなかったというか、叱責しなかったという、そういう報道があるんですけれども、その心はどういう心だったのかなと、まずこの2点。
(大臣)何が構造的解決かという定義は異なると思います。究極的には、この社会の在り方を変えるということが多分、構造的解決だと思います。このことが起きた、68年前以降のことを考えれば、日本が経済発展中心、あるいは産業振興中心ということが価値観の上のほうにあったということが基本的なものだと私は思っています。
それは、私の任期1年間で急に変えれるものではないというふうに考えています。先ほど申し上げたように行政府の長でございますから、現行法制の中で、できる限りのことをするということしかないと私は思っています。
後段の御質問ですけれども、その担当の職員は、もちろん私は厳重注意をしました。
(記者)分かりました。
2つ目の質問ですけれども、環境省の、要するに経済対策との調整といいますかね、経済成長を前提にした環境政策、気候変動対策であったと思うんですけども、これまでの対応はですね。やはり、経済成長を前提にしない環境対策というのを、例えば、自然保護とか生態系とか、そういうことを見れば、あると思うんですがね。
同心円の対策というような共通認識とおっしゃっていましたけども、あまりにもGXとかそういうことで、環境政策がそれのために実施してきたという感があるんですけれども、そのことについてどう思われますか。
(大臣)環境政策の歴史を振り返ってみますと、かつては、経済成長、あるいは経済政策、産業政策と環境政策は対峙するものであったという考え方がありました。しかし、今は、必ずしもそういう考え方にはなっておりません。先ほど私も申し上げましたけれども、やはり、一定程度の経済成長あるいは経済というものと環境政策は、両立するものだと思いますし、むしろ新しい環境産業やその環境に配慮した形の社会構造をつくっていくということは、経済においてもいいものがある。そういうことも含めて、循環経済ということを言っているわけでございます。
後段の質問をもう1度お聞かせ願えますか。
(記者)要するにGXの政府の方針に沿って環境政策が、例えば、気候変動対策にしてもですね、気候変動対策の目標の達成がありきじゃなくて、言わば経済成長に資するための
対策ということになっている面があると思うんですけども。
(大臣)私は、必ずしもそう思わないので、GXであり、DXであり、環境政策と対峙するものというよりは、新しい時代の環境政策を推進するための1つの方法論であると。また、それをコーディネートすることによって環境を守り、かつ、ある程度の経済状況あるいは経済成長というものをもたらし、今のテクノロジー、特にデジタルを使って人間が豊かに、あるいは便利に暮らせる社会がつくれると思っています。その知恵が今求められているのだろうと思います。
今までのように縦割りで、経済成長ということと環境政策が対峙するものという考え方ではないと私は考えております。
また、そのためには、やはり、省庁横断で環境政策、あるいは経済政策を進めていくということが私は必要だと思います。
(記者)共同通信、矢野です。よろしくお願いします。
先ほど成果をいろいろと挙げてくださったんですが、PFASについてお伺いします。全国水道調査に乗り出した一方、対応の手引きの更新をめぐっては8月1日の会議以降、まだ2か月たっても公表されていなくてですね、非常に省内で議論が続いていて、対応の難しさが浮き彫りになっていると思うんですが、この1年間対応されてみて、どの辺りが難しいかとか、御感想を伺えればと思います。
(大臣)幾つか難しい点がありますけれども、PFAS、とりわけPFOS、PFOAというのは、あらゆる場所に使われているんですね。輸入や、製造は禁止しているわけでございますけども、今使われていて、あちこちにあるものを使ってはいけないということは、なかなか現実的には難しいだろうと思います。ですから、発生源の特定を含め、ほかの、こういった問題に比べて難しい面があります。
もう1つは、まだPFOS、PFOAが人間の健康にどのような影響があるのか、ないのか、どこまでだったら許容できるのかということが医学的に解明されておりませんので、そういう研究などを推進する上において、環境省も貢献しておりますけども、難しいんだろうと思います。
(記者)もう1点お願いします。水俣病関係なのですが、先ほど、力の限り今後も努力をされていくとおっしゃって、マイクの問題があって、でも結果的には、これまでの環境省の中でも長時間、水俣病患者の方と対話をした環境大臣だったというふうには思うんですが、一議員としてこれからやっていくとおっしゃった中で、具体的に御自身の今回の御経験というのをどのように活かしていくかという辺り、もう少し具体的に伺えればと思います。
(大臣)今日、退任するわけでございますけれども、まずは次の環境大臣にしっかり私が経験したこと、私の思い、計6日間(現地に)入ったと思うのですけれども、その間にいろいろお聞きした、いろんな方の、必ずしも同じでない意見についてもお伝えしたいと思いますし、そういった中において行政が前進できるようにしていきたいと思います。
他方、国会議員でございますので、この水俣病の問題を前進させるために必要な発言なり、行動を取っていきたいと、このように思います。
(記載)毎日新聞の山口です。よろしくお願いします。
先ほどの振り返りの中で、一番最初に復興というふうに挙げておりましたけれども、東日本大震災の復興で、福島の最終処分についてお聞きしたいと思います。来年度以降のロードマップの更新時期に現在あるかと思うんですが、まだまだ道半ばで、今後の工程も全く見通せていない状況かと思います。
この問題は行政だけじゃなく政治家がリーダーシップを発揮しないといけないという側面が強い問題かと思うのですが、環境大臣の経験者として、今後どのように福島の問題に関わっていくのか、あるいは、後任に託したい思いというのをお聞かせいただけないでしょうか。
(大臣)東日本大震災はそれぞれの地域が被害を受けましたけど、その中でも福島は、放射能の問題でいまだに困難な状況にあると思います。
そして、環境省の関わるところにおいては、2つありまして、1つは中間貯蔵を政府が約束したとおり、県外に出すということをしなければならない。その上においては、今年、基準を策定するということを述べておりますので、それをしっかりやっていくということと、それに応じていろいろな実証事業なり、必要な措置を取っていくということがあると思います。
もう1つは、ALPS処理水の問題で、これは環境省が議長になって、モニタリングをしっかり行っておりますので、このモニタリングの客観性、透明性の国際性というものをしっかり内外に発信していくということだろうと思います。
(記者)後任の大臣に特に大切にしてほしい思い等、何かございますでしょうか。
(大臣)今言ったことに関連して申し上げれば、やはり国がしっかり約束を守るように、もうそんなに年限がありませんので、中間貯蔵の問題が解決できるように動いてほしいということと、ALPS処理水の問題については、国内的には非常に皆さんから御理解いただいておりますけども、国外的には、まだ一部の国の(御意見)もありますが、方向も良くなってきておりますので、日中の政府の共同認識どおりに早く解決に進むように環境省としても動いてほしいということは伝えたいと思います。
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=8gIxpxhMoOk&list=PL9Gx55DGS7x7KxcngqArvF_NxEuXney24&index=1
先ほど辞表取りまとめの話もありましたけれども、本日石破新政権が誕生する予定です。岸田政権の環境大臣として、この1年余りの任期の振り返りをお願いします。また、差し支えなければやり残したこととか、もう少しできたこととか、そういった視点もあれば、よろしくお願いします。
(大臣) ありがとうございます。
昨年9月の環境大臣就任以来、1年余りに当たって環境政策を前に進められるように力を尽くしてきたと考えております。様々なことがありますが、特に力を入れてきた政策を幾つか申し上げたいと思います。
第1には震災復興でございます。東日本大震災からの復興と能登半島地震への対応、特に能登半島地震については、発災直後から職員の現地派遣など、被災地のお力になれるよう先頭に立って指揮してまいりました。そして現在も豪雨災害に見舞われておりますけれども、一日も早い復旧に向け、環境省として途切れることなく現地支援を行ってまいりたいと思います。
第2に、環境問題の原点である水俣病についてでございます。水俣病関係者の方々のお気持ち、お考えを真摯にお伺いして、必要な予算要求を行うなど、一定程度の施策を前進させることができたと考えております。
第3に、循環経済の実現でございます。循環経済に関する関係閣僚会議を立ち上るなどして、関係省庁連携体制を構築し、第5次循環基本計画を取りまとめました。
第4に、脱炭素社会の構築でございます。脱炭素先行地域を82地域に拡大するなど、特に地域・くらしの観点から、脱炭素社会構築への取組を加速できたと考えております。
第5に、環境外交の推進でございます。昨年12月のCOP28や、本年4月のG7気候・エネルギー・環境大臣会合など、多くの閣僚級会合やバイ会談を通じて、我が国のプレゼンスを高めるとともに、昨年11月には、日中韓三カ国環境大臣会合を自ら主催し、忌憚ない意見を行ったところでございます。9月28、29日には先ほど話しましたように、韓国での第25回日中韓環境大臣会合にも参加してまいりました。
第6に、自然関連でございます。鳥獣保護管理法改正の検討も含め、クマ類の市街地への出没に対する対策の強化を取り組んだところでございます。また、自然共生サイトの認定を法制化する生物多様性増進活動促進法の成立など、ネイチャーポジティブに向けた潮流を作ることができたと考えております。
これらの横串を刺すものとして、第6次環境基本計画の策定をいたしました。私が就任当初から申し上げている、同心円の考え方もこれには盛り込まれております。環境政策の次なるステップへの推進力となることを祈っております。
大臣の1年間でやれることというのは限られておりますけれども、私としては任期の限り全力を挙げたところでございます。行政は継続するものでありますし、また、さらにイノベーションも必要でありますので、次の大臣にしっかり引き継いでまいりたいと思います。
(記者) 読売新聞の田中と申します。先ほども挙げられた水俣の関係で追加でお聞きしたいのですけれども、申し上げるまでもないのですが、マイクの音量を下げるという問題がありまして、再懇談にも行かれました。今後、大臣を退かれた後も、水俣の問題にどのような形で関わりたいのかというのが1点と、もし後任の大臣にこの水俣に関して何か伝えたいことがあれば併せて教えていただければと思います。
(大臣) 今後は一議員として、水俣病にしっかりと向き合って、私の力の限り前進のために努力したいと思っております。そして後任の環境大臣には、明日引継ぎ式が行われると思いますけれども、ペーパー(引き継ぎ書)のほかに口頭で私が伝えられる限りのことをお伝えして、水俣病に関する環境政策が前進できるようにしっかりお伝えしたいと思っております。
(記者) 新潟日報の貝瀬です。よろしくお願いします。
水俣病の関係で続けてお尋ねいたします。任期中、一定程度の前進はできたという評価でしたけれども、これまで懇談の中で、大臣の任期中にできるだけの解決を図っていくと、救済されていない方もいる中で、解決を全力で図っていくというお考えでしたけれども、その意味ではやり残したこともあるのではないかというふうに思うのですけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。
(大臣) 行政というのは現行法制と、得られた予算の中で執行するということが必要であります。そういう意味では、私の任期中にできることは、まず、今後の必要な予算を増やすということで、その部分は私の主張も含めて、概算要求に盛り込んだところでございます。68年間、必ずしも全面的にはなかなか解決できない、非常に歴史的経緯がある複雑で、関係者も多い課題でございます。ですから1年間で、100%解決するというのは困難でもありますけども、私の任期中にやれるだけのことはやったと。また今後の環境大臣にそれを引き継いでまいりたいと、そういうふうに考えております。
(記者) 残された課題というのは、例えば何だというふうにお考えですか。
(大臣) 課題を短い時間で整理するのは、容易ではありませんけれども、水俣病の問題というのは、まずは水俣病で苦しまれている方をどうしたら救えるかということ、それから水俣病に関係する人には、いろいろな方や団体もあります。そういった皆様の御意見は一様ではありません。ですから、一様ではない意見をどういうふうに調整して、お聞きして、前に進むかという問題もあります。
もう一つは、水俣病を一つの起因として、地域社会に生じてしまった亀裂というものがあると思うのですね。これは必ずしも環境省の力だけで解決できる問題ではありませんけれども、環境省の力で解決できる部分については前進させていきたいと、そういうふうに考えております。
(記者) そうしますと、今回マイク切りの事件でもありましたけれども、関係者の声を丁寧に聞いていく姿勢みたいなのは、後任の方にも引き継いでいきたいところでしょうか。
(大臣)それは引き継いでいきたいと考えております。
(記者)日刊工業新聞、松木です。
1年間の大臣、お疲れ様でした。振り返っていただきたいのですが、この1年間大臣をやってみて、環境問題への捉え方、今年も猛暑が続いていたりだとか各地で、能登とかで自然災害もありましたけれども、改めて環境問題をどのように1年で捉え方が変わったかというのと、大臣を辞められた後、環境問題にどのように関わっていきたいかというところがありましたら、お聞かせください。
(大臣)私は、環境問題というのは非常に幅が広く、根源的な問題だろうと思っております。
先ほども申し上げたように、クマ対策もあります。今、お話のありました水俣病の問題もある。そして今、環境省が中心的に課題と考えている気候変動の問題、生物多様性の損失の問題、汚染の問題があります。
これら全ての問題は、相互に関係がある問題だと思います。さらに言えば地球社会の在り方、あるいは日本の社会の在り方、私が常々申し上げていますように最終的には、哲学の問題に帰結するんだろうと考えております。
一人一人の人間がどのように物を考えるのか、地域社会が何を重点に運営していくのか、国の在り方としてどういう価値観で進んでいくのか。また、地球環境は1つでありますので、この地球社会全体が、どういう考え方で、できればコンセンサスを得て、進んでいくか、そういうことに全部つながっていると思います。
ですから、政治をやっていて、1人の人間として生きていて、環境問題に関わらないということは、ないと私は思います。そして、関わり方も人によって、また、政策分野によって異なるものがあると思います。
ただ、根源的にはどうやったらこの地球上に生きている人類が、さらに言えば、地球上に生息する生態系が持続可能な形で22世紀を迎えることができるような仕組みや考え方を進めていくかということに帰結すると私は思っています。
そういう意味において、あらゆる意味で環境問題に私もこれから積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
(記者)お疲れ様でした。エネルギージャーナルの清水です。
1つは、いろいろ出ている水俣病対策で、やっぱり、大臣はさっき、68年間未解決の問題だとおっしゃったけど、抜本的にね、これはどう解決するのかという道筋をやっぱり残すことが非常に大事だったと思うんですが、その道筋を、ほかのいろんな案件でも50年以上たってようやく解決のめどが出てきたとか幾つかありますけれども、やっぱり、構造的にどういう形でやれば、水俣病の解決の方向が出るのかというのが、やっぱり出てなかったというのは非常に残念だし、そのことについてどう思われるか。
それから、これは卑近な問題ですが、マイク切り事件のときに、それを大臣に報告した環境省職員を全く叱らなかったというか、叱責しなかったという、そういう報道があるんですけれども、その心はどういう心だったのかなと、まずこの2点。
(大臣)何が構造的解決かという定義は異なると思います。究極的には、この社会の在り方を変えるということが多分、構造的解決だと思います。このことが起きた、68年前以降のことを考えれば、日本が経済発展中心、あるいは産業振興中心ということが価値観の上のほうにあったということが基本的なものだと私は思っています。
それは、私の任期1年間で急に変えれるものではないというふうに考えています。先ほど申し上げたように行政府の長でございますから、現行法制の中で、できる限りのことをするということしかないと私は思っています。
後段の御質問ですけれども、その担当の職員は、もちろん私は厳重注意をしました。
(記者)分かりました。
2つ目の質問ですけれども、環境省の、要するに経済対策との調整といいますかね、経済成長を前提にした環境政策、気候変動対策であったと思うんですけども、これまでの対応はですね。やはり、経済成長を前提にしない環境対策というのを、例えば、自然保護とか生態系とか、そういうことを見れば、あると思うんですがね。
同心円の対策というような共通認識とおっしゃっていましたけども、あまりにもGXとかそういうことで、環境政策がそれのために実施してきたという感があるんですけれども、そのことについてどう思われますか。
(大臣)環境政策の歴史を振り返ってみますと、かつては、経済成長、あるいは経済政策、産業政策と環境政策は対峙するものであったという考え方がありました。しかし、今は、必ずしもそういう考え方にはなっておりません。先ほど私も申し上げましたけれども、やはり、一定程度の経済成長あるいは経済というものと環境政策は、両立するものだと思いますし、むしろ新しい環境産業やその環境に配慮した形の社会構造をつくっていくということは、経済においてもいいものがある。そういうことも含めて、循環経済ということを言っているわけでございます。
後段の質問をもう1度お聞かせ願えますか。
(記者)要するにGXの政府の方針に沿って環境政策が、例えば、気候変動対策にしてもですね、気候変動対策の目標の達成がありきじゃなくて、言わば経済成長に資するための
対策ということになっている面があると思うんですけども。
(大臣)私は、必ずしもそう思わないので、GXであり、DXであり、環境政策と対峙するものというよりは、新しい時代の環境政策を推進するための1つの方法論であると。また、それをコーディネートすることによって環境を守り、かつ、ある程度の経済状況あるいは経済成長というものをもたらし、今のテクノロジー、特にデジタルを使って人間が豊かに、あるいは便利に暮らせる社会がつくれると思っています。その知恵が今求められているのだろうと思います。
今までのように縦割りで、経済成長ということと環境政策が対峙するものという考え方ではないと私は考えております。
また、そのためには、やはり、省庁横断で環境政策、あるいは経済政策を進めていくということが私は必要だと思います。
(記者)共同通信、矢野です。よろしくお願いします。
先ほど成果をいろいろと挙げてくださったんですが、PFASについてお伺いします。全国水道調査に乗り出した一方、対応の手引きの更新をめぐっては8月1日の会議以降、まだ2か月たっても公表されていなくてですね、非常に省内で議論が続いていて、対応の難しさが浮き彫りになっていると思うんですが、この1年間対応されてみて、どの辺りが難しいかとか、御感想を伺えればと思います。
(大臣)幾つか難しい点がありますけれども、PFAS、とりわけPFOS、PFOAというのは、あらゆる場所に使われているんですね。輸入や、製造は禁止しているわけでございますけども、今使われていて、あちこちにあるものを使ってはいけないということは、なかなか現実的には難しいだろうと思います。ですから、発生源の特定を含め、ほかの、こういった問題に比べて難しい面があります。
もう1つは、まだPFOS、PFOAが人間の健康にどのような影響があるのか、ないのか、どこまでだったら許容できるのかということが医学的に解明されておりませんので、そういう研究などを推進する上において、環境省も貢献しておりますけども、難しいんだろうと思います。
(記者)もう1点お願いします。水俣病関係なのですが、先ほど、力の限り今後も努力をされていくとおっしゃって、マイクの問題があって、でも結果的には、これまでの環境省の中でも長時間、水俣病患者の方と対話をした環境大臣だったというふうには思うんですが、一議員としてこれからやっていくとおっしゃった中で、具体的に御自身の今回の御経験というのをどのように活かしていくかという辺り、もう少し具体的に伺えればと思います。
(大臣)今日、退任するわけでございますけれども、まずは次の環境大臣にしっかり私が経験したこと、私の思い、計6日間(現地に)入ったと思うのですけれども、その間にいろいろお聞きした、いろんな方の、必ずしも同じでない意見についてもお伝えしたいと思いますし、そういった中において行政が前進できるようにしていきたいと思います。
他方、国会議員でございますので、この水俣病の問題を前進させるために必要な発言なり、行動を取っていきたいと、このように思います。
(記載)毎日新聞の山口です。よろしくお願いします。
先ほどの振り返りの中で、一番最初に復興というふうに挙げておりましたけれども、東日本大震災の復興で、福島の最終処分についてお聞きしたいと思います。来年度以降のロードマップの更新時期に現在あるかと思うんですが、まだまだ道半ばで、今後の工程も全く見通せていない状況かと思います。
この問題は行政だけじゃなく政治家がリーダーシップを発揮しないといけないという側面が強い問題かと思うのですが、環境大臣の経験者として、今後どのように福島の問題に関わっていくのか、あるいは、後任に託したい思いというのをお聞かせいただけないでしょうか。
(大臣)東日本大震災はそれぞれの地域が被害を受けましたけど、その中でも福島は、放射能の問題でいまだに困難な状況にあると思います。
そして、環境省の関わるところにおいては、2つありまして、1つは中間貯蔵を政府が約束したとおり、県外に出すということをしなければならない。その上においては、今年、基準を策定するということを述べておりますので、それをしっかりやっていくということと、それに応じていろいろな実証事業なり、必要な措置を取っていくということがあると思います。
もう1つは、ALPS処理水の問題で、これは環境省が議長になって、モニタリングをしっかり行っておりますので、このモニタリングの客観性、透明性の国際性というものをしっかり内外に発信していくということだろうと思います。
(記者)後任の大臣に特に大切にしてほしい思い等、何かございますでしょうか。
(大臣)今言ったことに関連して申し上げれば、やはり国がしっかり約束を守るように、もうそんなに年限がありませんので、中間貯蔵の問題が解決できるように動いてほしいということと、ALPS処理水の問題については、国内的には非常に皆さんから御理解いただいておりますけども、国外的には、まだ一部の国の(御意見)もありますが、方向も良くなってきておりますので、日中の政府の共同認識どおりに早く解決に進むように環境省としても動いてほしいということは伝えたいと思います。
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=8gIxpxhMoOk&list=PL9Gx55DGS7x7KxcngqArvF_NxEuXney24&index=1
(以上)