大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年4月19日(金)08:35~08:47 於:衆議院分館4階スペース)

1.発言要旨

 令和6年度の原子力総合防災訓練については、本年度下半期に鹿児島県の川内地域を対象として実施いたします。
 本訓練は国、自治体、原子力事業者などが参加し、それぞれの防災体制や原子力緊急事態における中央と現地との連携体制等を確認するとともに、原子力防災体制に関する住民理解の促進を目的に国と関係機関が連携し、毎年度実施しているものでございます。具体的な訓練内容や日程については、今後関係機関と検討・調整を進めてまいります。
 鹿児島県をはじめとする関係自治体や実働組織も含めた関係省庁と連携して訓練を行い、原子力防災体制のさらなる充実強化を図ってまいります。
以上でございます。
 

 
 

2.質疑応答

(記者)おはようございます、幹事社の毎日新聞の山口です。水俣病の新潟地裁判決についてお伺いします。
 判決では企業への賠償が決定しましたけれども、国への請求は棄却されました。この結果についてと、あと47人中26人が水俣病と認定されたことについて、この2つの受け止めについてお願いします。
(大臣)昨日、新潟地方裁判所において、ノーモア・ミナマタ新潟訴訟の判決が言い渡され、被告国との関係では、原告全員の請求が棄却されました。ただし、国際的な科学的知見に基づかない理由等により原告を水俣病と認めていることと、判決の中には国の主張が認められない部分もあると承知しております。
 水俣病については、公害健康被害補償法に基づいてこれまでに3,000人が水俣病患者と認定され、また過去2度の政治救済では、関係者の皆様が水俣病問題の最終解決を目指して努力された結果、合わせて5万人以上が救済対象となりました。
 環境省としては、こうした水俣病問題の歴史・経緯を十分に踏まえつつ、引き続き、現行の公害健康被害補償法の丁寧な運用、医療・福祉の充実や地域の再生、融和、振興などにしっかり取り組んでいくことが重要であると考えてございます。
 
(記者)共同通信の清と申します。続けて、新潟水俣病についてお尋ねします。
 今回の新潟判決で、特措法から漏れた方を水俣病と認める判断が大阪、熊本と3件続いたことになります。この救済のために新たな枠組みをつくることは検討されますでしょうか。
(大臣)環境省としては公害健康被害補償法や2度の政治救済など、法律に基づいてできる限りの水俣病対策を講じてきたと考えておりますし、引き続き現行の公害健康被害補償法の丁寧な運用等に努めていくということでございます。
(記者)ありがとうございます。
 
(記者)新潟日報の貝瀬と申します。関連して新潟水俣病について、何点かお伺いいたします。
 今ほどのお話にもありましたけれども、国としては公健法に基づいて認定してきたところかと思います。ただ、今回の裁判ですと、またこれまでの大阪、熊本の裁判も含めてですけれども、国の行政認定で棄却された方が患者として認められるというケースが多数に上っています。これまでの公健法に基づく認定が厳しすぎたのではないかという印象を持つのですが、大臣、その点のお考えはいかがでしょうか。
(大臣)判決の内容は精査している途中でございますけれども、判決内容に対するコメントを差し控えるとともに、ちょっと今のお答えと繰り返しになりますけれども、現行の公害健康被害補償法の丁寧な運用、医療福祉の充実や地域再生の融和、振興に務めてまいりたいと思います。
 訴訟を行う方がいらっしゃるということは重く受け止めておりますし、さっきの繰り返しになりますけれども、今までに公害健康被害補償法に基づいて3,000人の方が認定を受けて補償を受けられるとともに、これまで2度の政治救済ということで、超党派の議員立法によって5万人の方が救済の対象となってございます。そういう今までの経緯も踏まえてこれからもしっかり対応してまいりたいというふうに思います。
(記者)今ほどの丁寧な運用ということに関してなんですが、認定の基準ですとか、その運用といったことも、運用のうちに入ってくるかと思うんですけれども、そういった公健法の認定制度の運用の面で何か見直すというお考えはありませんか。
(大臣)今回の判決に関連していることでございますので、直接のコメントは差し控えたいと思いますけども、公害健康被害補償法について、引き続き関係の県、市とも連携して丁寧な運用に努めたいということでございます。
(記者)もう一点、すみません。国の責任についてですが、今回裁判では、国の賠償責任は否定された形になりました。ただ、賠償責任は置いておくとして、大臣としてこの熊本からの水俣病が確認されてから9年後に第二の水俣病が発生してしまったということについては環境行政のトップとしてはどんな思いがありますか。
(大臣)先ほども申し上げましたけども、訴訟を行う方がいらっしゃること、いまだ様々な病状に苦しまれている方、これは大変重く受け止めております。ただ、行政府としては、現行の法律の枠の中で最大限この水俣病の問題、体制を丁寧に、また、しっかりと運用に努めて参りたいという立場でございます。
(記者)最後に、改めてになりますけれども、今も苦しんでいる方もいるということで、今後、水俣病の最終的な解決に向けた国の責任、これについてはどのように考えておられますか。
(大臣)行政府として、国としては、やはり現在ある法律の中で最大限の丁寧な運用をしていくということだと思います。
 
(記者)NHKの林と申します。
 水俣病の関係なんですけれども、先般、訴訟があって、また同様の訴訟が東京なども含めて続いている、かつ控訴審も続いていると思うんですけれども、これは行政の判断として、やはり一連の訴訟の終結というか、判決が確定したのを待ってから施策を進めるというのが一般的なやり方なんでしょうか。それとも、高齢の被害者の方も訴えている方がいると思うんですけれども、そういう判決の確定を待たずとも、そういうような判断が積み重なったら新たな救済策であったりとか、制度の運用の仕方を変えるという、そういう考えの余地はあるんでしょうか。
(大臣)現時点で今回の訴訟に関してコメントは差し控えたいと思いますけれども、行政府の長としての立場から言えば、やはり現行の法律、それに基づいて丁寧に運用をするということに尽きると思います。法の不備ということであれば、これはもともと議員立法でございますので、立法府において御検討いただくということが必要であるというふうに思います。
 
(記者)朝日新聞の市野です。
 話が変わって、原子力総合防災訓練なんですけど、今回、数ある原発立地自治体の中で川内地域を選ばれた理由、その訓練の狙いについて、改めて確認させてください。
(大臣)まず、この川内地域でございますけれども、東京電力福島第一原子力発電所の事故の後から一連のこととして、原子力総合防災訓練として、平成25年度に実施してからもう10年がたってございます。この原子力総合防災訓練を通じて川内地域の緊急時の対応、この確認を行って、さらなる実効性向上を図っていくために、今年度は同地域において実施することにしたものでございます。
 それで、お考えの、なぜ川内かということでございますけれども、この原子力総合防災訓練は、緊急時対応が策定されている、また、策定されていませんが、総合的な訓練が可能な地域防災計画等が策定された地域において実施することとしております。そういう観点から、各地域の地域防災計画等の状況や、訓練を前回実施してからの経過年数、こういうことを踏まえて、今般は川内地域を選定したということでございます。
 
(記者)鹿児島の南日本新聞の吉松です。
 今の原子力総合防災訓練の話ですけど、これから中身が自治体などと協議をされるということですが、何か特徴的な内容ですとか、目指されているものとか、何か具体的なものがあれば教えてください。
(大臣)現時点では、先ほど申し上げたように、まだ具体的な内容の詰めは行われていません。これから関係省庁、自治体と協力してやっていくことでございますけど、ただ、御質問は、多分、能登半島地震の関係等もあると思います。御案内のように能登半島地震において道路の寸断による孤立集落の発生、建物がたくさん倒壊したと、こういうことがありました。原子力防災では、これまでも複合災害を想定した措置を常に講じております。ですから、訓練においても複合災害を想定した訓練を実施してまいりました。今回の訓練では、能登半島地震で見られたような避難経路で多数の損傷が見られると。こういう状況における対応を中心に大規模な複合災害時の対応能力の向上に資する内容というのを検討してまいりたいと、具体的にはこれからですけど。と、考えております。
 
会見動画は以下にございます。
https://youtu.be/nmATjRwyIk0?si=qpFX0eOsH02hfBWo
 
 
(以上)