大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年4月12日(金)08:35~08:44 於:衆議院分館2階ホール)

1.発言要旨

 本日、国連気候変動枠組条約事務局に、我が国の2022年度温室効果ガス排出・吸収量、いわゆるインベントリを提出いたします。
2022年度の我が国の温室効果ガスの排出・吸収量は約10億8,500万トンとなりました。これは削減目標の基準年である2013年度以降で過去最低値であり、2050年ネットゼロへ向けた順調な減少傾向、いわゆるオントラックを継続しております。
 具体的には、コロナ禍からの経済回復により輸送量が増加し、運輸部門の排出量が増加しましたが、産業部門、業務・その他の部門、家庭部門における節電や省エネ努力等の効果が大きく、全体としてのエネルギー消費量が減少したことが主な原因と考えられます。
 また、今回の国連への報告では、ブルーカーボン生態系の1つである海草、海藻の藻場による吸収量約35万トンを世界で初めて報告いたします。
引き続き、2050年ネットゼロの実現に向け、全力で取り組んでまいります。
 以上です。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社の毎日新聞の山口です。よろしくお願いします。
 今、発表のありました22年度の温室効果ガスの排出量についてお伺いします。
 排出と吸収量が前年度より2.3%減という、過去最低値となったということなんですけれども、削減状況について現状の立ち位置等をどのように評価されていますでしょうか。また、森林による吸収量が減少傾向にある中で、削減と吸収の両面で今後どのような方策で進めていくでしょうか。
(大臣)過去最低値を記録し、オントラックを継続できたという結果については、国民の皆様1人1人の節電、省エネ等の努力が同心円として広がりを持ち、家庭部門、業務部門、産業部門など、それぞれの部門におけるエネルギー消費量の減少につながったものと考えております。ただし、我が国の2030年度目標や2050年ネットゼロに向けては、なかなか大変で決して容易なものではございません。今後の削減の進捗についても、予断を許さない状況であることから、引き続き政府一丸となって対策、施策を全力で推進してまいります。
 まずは徹底した排出削減の観点から、環境省としては地域と共生する再エネの導入、デコ活を通じた国民のライフスタイルの転換など、具体的な施策を実施してまいります。また、吸収源対策についても森林に加えて、今回報告に入れましたがブルーカーボン等の取組にも力を入れてまいりたいと、そういうふうに考えております。
 
(記者)日経新聞の大高と申します。よろしくお願いします。
 今回、電源構成のところでちょっとお伺いしたいんですけれども、いわゆる再エネと原子力が全体に占める割合というのはそんなに変わらず、排出量の削減には寄与しなかったということだと思うんですけれども、これに対する大臣の受け止めと、改めて非火力発電を進める必要性についてどうお考えか、お願いします。
(大臣)電源構成に占める再エネの比率は、2022年度には約22%となり、導入が進んでおりますけれども、引き続き最大限の導入拡大ということが重要だと考えております。環境省としては、地域脱炭素推進交付金等を通じて、地域主導の再エネの取組もしっかり後押ししてまいりたいと思います。
 また、都道府県が広域的に再エネ促進区域を設定できるようにすること等を含む、地球温暖化対策推進法の改正案を今国会に提出しており、地域共生型再エネの導入を加速してまいりたいと思います。さらに、公共施設での太陽光発電の率先導入や、初期費用ゼロでの自家消費型太陽光発電・蓄電池の導入等を進めてまいりたいと思います。
(記者)すみません。もう1点、お伺いいたします。
 運輸部門の排出量が増加に転じたということについて、所掌の範囲外かもしれないんですけれども、例えば日本でのEVの普及の遅れだとか、いろんな要因が考えられますが、大臣の御所見というのはいかがでしょうか。
(大臣)前段御紹介申し上げたように、EVが増えたわけでございますけれども、環境省としては商用車、特にトラック、バスなどのEVに対して助成も行っておりますし、運輸部門においても二酸化炭素の排出が減るように環境省としても力を入れてまいりたいと考えます。
 
(記者)共同通信の矢野です。よろしくお願いします。
 話題が変わりまして、PFASをめぐってEPA、米国の環境保護庁が飲み水の濃度基準を最終決定して、1リットル当たり4ナノグラムと世界的に厳しい水準を示しました。日本でも暫定基準の見直しを進めていくと思うのですが、所管する大臣として受け止めをお願いいたします。
(大臣)今、御指摘がありましたように、今回、米国環境保護庁が飲料水中のPFASに関する規制値を公表したことは承知しております。他方、我が国では食品安全委員会において、PFOS、PFOAの耐容一日摂取量、すなわち一生涯にわたってヒトが食品から摂取し続けても、健康に影響が出ないと推定される量などについて、今回の米国環境保護庁の規制値の根拠となる知見を含む、最新の知見に基づき、総合的な検討が行われております。また、パブリックコメントが本年2月7日から1か月間、実施されているものと承知しております。
 水道、水質に関する目標値については今後、この食品安全委員会の評価結果なども踏まえ、専門家の意見も伺いながら検討を進めていくことにしておりますが、今回公表された米国の基準については諸外国の、また国際機関における動きの1つで参考にする予定でございます。
 
(記者)NHKの林と申します。
 冒頭の温室効果ガスの削減について、今後の施策として再エネの拡大だとか、デコ活の言及をされたと思うのですけれども、そういったものを進める上で現状抱えている課題など、大臣として何か認識があるのかというのと、それを克服するために、そういった動きを広げるために、どういったことが必要というふうにお考えでしょうか。
(大臣)課題は複数あると思いますけれども、日本という国の置かれた地理的条件、あるいは資源の大部分を、特にエネルギー使用の大部分を海外から輸入している状況がございますので、そういったことを総合的に勘案しながら日本のもっている環境技術、また省エネ技術、それからまた、私が常々言っておりますように、国民の皆様の1人1人の意識変容、こういったことを総合的に使って、ぜひ設定目標を達成し、そしてまた地球温暖化の防止に対して、何としても先導的な役割を果たしたいというふうに考えております。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=V9qitdTEWxc
(以上)