大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年3月26日(火)09:15~09:27 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日の閣議で、環境省所管の独立行政法人である環境再生保全機構の理事長の人事について了解が得られましたので報告いたします。現理事長の小辻智之氏は、3月31日をもって任期満了となりますが、その後任として4月1日付で、飯塚智氏を任命します。飯塚智氏の略歴については、配布資料を御覧ください。
 次に熱中症対策推進会議の開催についてでございます。熱中症対策について盛り込んだ改正気候変動適応法が、来週4月1日に全面施行を迎えます。昨日、私が議長を務める熱中症対策推進会議を開催しまして、この中で、熱中症対策実行計画に基づく取組状況を確認し、この夏に向けて関係省庁が一体となって、熱中症予防強化キャンペーンを実施していくことを確認しました。熱中症から国民の命と健康を守ることは、政府の重要課題でございます。キャンペーンを通じて、  国民への熱中症予防行動を広く呼びかけていくとともに、4月から新たに始まる熱中症特別警戒情報や指定暑熱避難施設などの制度を着実に運用してまいります。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社の日経新聞の安部です。先日、気象庁が4月から6月の3か月予報というものを公表しました。気温が全国的に高くなる見通しで、本格的な夏を前に熱中症対策を迫られることになると思いますが、改めて環境省として国民に対してどのように熱中症対策を呼びかけていくのか、また気候変動の影響というものも如実に現れていると思いますが、この気候変動についても環境省としてどのように対応していくのか、よろしくお願いします。
(大臣)昨年は1898年の我が国の統計開始以降、最も暑い夏でした。気候変動により世界的にも平均気温が上昇しておりまして、危機感を持っております。気象庁から、今年の夏も例年以上に暑くなるとの予報が発表されており、より一層気を引き締めて取組を推進する必要があると考えております。
 政府においては、昨年4月に改正気候変動適応法が成立したところでございますので、その後、同年5月には熱中症対策実行計画を閣議決定して、法律の全面施行に向けて、指針や手引の作成、自治体への説明会を開催するなど着実に準備を進めてまいりました。
 この4月からは熱中症特別警戒情報や、指定暑熱避難施設などの制度を活用した地域の取組を促進していくとともに、政府が一丸となって、熱中症予防強化キャンペーンを実施し、熱中症から国民の命を守る対策を一層強化してまいります。
 気候変動対策は緩和策と適応策の両輪で行っていく必要があります。緩和策についても、引き続き、我が国の温室効果ガス削減目標の達成に向けた取組を着実に進めるとともに、世界各国に1.5度目標と整合する削減目標の策定、更新に向けた働きかけを行ってまいります。
 
(記者)熊本日日新聞の髙宗です。先週の22日に出た水俣病集団訴訟の熊本地裁判決のことでお尋ねします。判決では水俣病特措法が定める未認定患者救済策の対象外地域出身の20人程について、メチル水銀被害を認めるという内容が盛り込まれています。この内容はあたう限りの救済をすると定めた水俣病特措法の不備を指摘するものではないかという声があるのですが、環境省の受け止めを教えてください。
(大臣)今御指摘のように、3月22日熊本地方裁判所において、ノーモア・ミナマタ熊本訴訟の判決が言い渡され、結論として原告の請求が棄却されたところでございます。ただし、国際的な科学的知見に基づかない理由等により原告を水俣病と認めていること等、判決の中には、国の主張が認められていない部分もあると承知しております。こうした点も含めて、判決の内容については精査してまいりたいと思います。
 水俣病については公害健康被害補償法に基づいて、これまで3,000人が水俣病と認定され、また過去の2度の政治救済で、関係者の皆様が水俣病問題の最終解決を目指して努力された結果、合わせて5万人以上が救済対象となってございます。
 今、御質問の点でございますけれども、原告の方々が、やっぱり様々な病状に苦しめられていることについては、胸の痛む思いでございますし、行政の立場としては現在成立している法律に基づいて、しっかり行政を行うという責務がございます。環境省としては、こういった水俣病問題の歴史と経緯を十分に踏まえつつ、現行の公害健康被害補償法の丁寧な運用、医療・福祉の充実や、地域の再生・融和・振興などにしっかり取り組んでいくことが重要であるというふうに考えております。
(記者)ありがとうございます。原告側は今回の判決を受けて控訴する方針を示しているのですが、上級審で国が考えている主張といいますか、反論といいますか、そういったものを展開していくというお考えでよろしいでしょうか。
(大臣)控訴するどうかは原告側のご判断であり、現時点で予断を持ってコメントすることは差し控えたいと思います。
 
(記者)西日本新聞の岡部と申します。今の水俣病訴訟の関連で、今の大臣のご発言について確認なのですけれども、特措法の妥当性に関連してなのですけれども、今の大臣のお話の中でいきますと、その特措法の妥当性ですとか、新たな救済策の検討をされるお考えはないというご理解でよろしいでしょうか。
(大臣)この特措法、超党派の議員立法でございます。行政の立場としては、あくまで現行の法律に基づいて、しっかり丁寧な運用をしていきたいというふうに考えております。
(記者)その理由についてもお聞かせいただけますでしょうか。見直しが必要ないというふうにお考えである理由をお聞かせいただけますか。
(大臣)繰り返しになりますけれども、行政府でございますので、立法行為、これは国会が行っております。しかもこれは議員立法でございますので、それは国会でその特措法が妥当かどうか御協議なされるものだと考えております。
(記者)分かりました。あと1点、追加なのですけれども、特措法でも実施するというふうにされておりました健康調査の実施に向けた進捗状況について、教えていただけますでしょうか。また、いつ頃、実施できる見通しかも、併せてお聞かせいただけますと幸いです。
(大臣)健康調査についてでございますけれども、この健康調査については、専門的知見の充実、整理のために、今年度に研究班を立ち上げてございます。こうした専門家の結論を十分に踏まえながら、健康調査の実施に向けて、できるだけ早く検討を進めて参りたいと思います。
 
(記者)テレビ朝日の中尾と申します。おはようございます。私からも水俣病熊本地裁判決について伺いたいのですけれども、一部の原告の方について、やはり水俣病であろうという認定がなされたと、そういう判決であったと承知をしておるのですけれども、結果的に、確定するかはともかく、そういった判決が出て、ただ救済対象ではないという判決になってしまったと理解しているのですけれども、それを踏まえて考えると、これまでの環境省の施策というのは、例えばそういった方を救済するに足るものであったのか。過去の水俣病の患者の把握とか、それから救済という点で、特に把握という点で、環境省のこれまでの進め方というのはどのようなものであったかと、今回の判決を受けて振り返られますか。
(大臣)今までこの水俣病に関しては、歴史の中でいろいろな法律もつくられ、また多くの方を救済するための努力もされてきたと思います。大きく言えば、公害健康被害補償法、これによって水俣病患者として認定されたということと、それから政治救済ということを含めて、5万人の方が被害者として救済対象になったということがあると思います。
 ですから、そういう各段階の法律に応じて、環境省としてはできる限りのことをしてきたというふうに、私は認識しております。
(記者)分かりました。ただ、できる限りのことをしてきた中で、最終的に判決がどうなるかは別にして、25名ですか、この方は水俣病ではないかと。ただ、請求期間に当たらないという判断で、これまで十分に政策を進めてきても、そういった方が出てしまっているという判決になったことについては、どのように受け止めていますか。
(大臣)行政の立場と司法の立場と違うと思いますけれども、司法は司法において法と証拠に基づき、ご判断なさったものだと思いますし、行政は法律に基づいて、法律の範囲内で、できる限りのことをしてきたというふうに私は理解しております。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=EkxAf5aGyN0
 
(以上)