大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年3月22日(金)08:45~08:59 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日、令和6年能登半島地震復旧・復興支援本部が開催されました。会議において、私のほうから、倒壊の恐れがあるなど優先度の高い家屋の解体工事が、これまで5市町で112件実施されており、4月からは100班規模の解体事業者が現地入りし、被災市町にとって緊急度、優先度の高い家屋等を優先して解体し、解体工事の加速化を図ること、被害の著しい6市町の個人設置型の浄化槽に対する国庫補助率のかさ上げ等の地方負担の軽減措置を踏まえ、個人設置型の浄化槽について、被災市町と連携した補助事業を実施するとともに、優先度の高い地域や公的施設等の公共浄化槽の復旧を進めることなどを報告いたしました。
 引き続き、財政支援を行うとともに、環境省職員や自治体職員の現地派遣による技術的支援や人的支援等を行い、被災された方々が一日も早く元の平穏な生活を取り戻すことができるよう、全力を尽くしてまいります。
 また、本日の閣議において、水道整備・管理行政の移管に関する政令を決定しました。 環境省では、4月1日から水道水質基準の策定をはじめ、水道の水質、衛生に関する業務を所掌することとなります。環境省としてこれまで培ってきた専門的な能力を最大限活用し、水道水源から蛇口の水まで一体的にリスク管理をすることで、水道や水環境に対する国民の安全・安心を高めてまいります。
 あわせて、4月1日付で環境省組織規則も改正し、水・大気環境局に水道水質・衛生管理室を新設します。必要な体制を整備し、国土交通省と連携しつつ、水道整備・管理行政をしっかり担ってまいります。以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社の日経新聞の田中です。お願いします。幹事社からは、柏崎刈羽原発について1点お伺いします。昨日、資源エネルギー庁の長官ら幹部が、新潟県知事や地元の首長さんに対して、再稼働を目指す政府方針を現地で説明しました。当該エリアでは原子力災害に関する緊急時対応がまだ取りまとめられていない状況です。元日の能登半島地震を受けて、原子力防災の在り方というのが問われていると思うのですけれども、現在の緊急時対応の取りまとめ進捗状況と、取りまとめ時期が、もし分かれば教えていただきたいのと、もう一点、県と柏崎市、刈羽村が、去年の7月に避難路などの整備を内閣府に要望しました。まだ、これは答えが現地に返っていない状況かと思いますが、今後どのように対応していく方針か、併せて教えてください。
(大臣)柏崎刈羽地域においては、地域原子力防災協議会の枠組みのもと、地域の特徴や実情を踏まえ、自然災害と原子力災害との複合災害も想定して、道路寸断時の避難経路や、家屋倒壊時の防護措置を含めた緊急時対応の取りまとめに向けて、現在取り組んでいるところでございます。
 今般の能登半島地震で得られた教訓も活かし、自治体とも一体となって、緊急時対応の取りまとめにしっかり取り組んでまいりたいと思います。
 取りまとめ時期については、自治体とともに作業を行っている状況でございますので、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思います。
 また、昨年7月に花角知事から道路整備等の要望がございました。原子力災害時における避難の円滑化に資する整備は、地域住民の皆様の安全・安心の観点から重要であると認識してございます。現在、関係省庁と鋭意調整しており、調整ができ次第、回答したいというふうに考えております。
(記者)今の最後の関連で、昨日、エネ庁の長官が、現地で報道陣の取材に対して、できるだけ早いタイミングで回答をしていきたいということを述べたようなのですけれども、そこについてはいかがでしょうか。
(大臣)今、後段で申し上げたように、私もできるだけ早い段階でお答えしたいと思いますけど、まだ鋭意調整していますので、今日、今の段階で、その時期についてコメントは差し控えたいと思います。
 
(記者)TBSテレビの池田です。宮城県にある産業廃棄物処理会社で、病院などから処理の委託を受けた感染性廃棄物を長年放置していたことが今回の報道で明らかになりました。 また、マニフェストを偽造し、実際は処理をしていないのに処理したとうその報告を排出業者に行っていた事実も明らかになりました。指導・監督を担う宮城県は、長年こうした不正を把握することができませんでした。今回の事案について伊藤大臣の受け止めをお聞かせください。また、指導・監督の役割は各都道府県にあるものの、環境省として各都道府県に同種事案の実態調査を求めたり、指導・監督の徹底を求める通知を出したりするなど対応する考えはありますでしょうか。
(大臣)大きく2問いただいたので、お答えが長くなるかもしれません。報道によれば、御指摘の宮城県の事案について、廃棄物処理法に基づく保管基準や産業廃棄物管理票、いわゆるマニフェストに関する義務に違反する状態ということでございます。廃棄物の適正な処理の実施が確認できず、大変遺憾に思っております。
 本件事案については、宮城県が、昨年10月に、産業廃棄物処理事業者に対して、廃棄物処理業の許可の取消等の行政処分と、適正処理の指導を行ったと承知してございます。医療機関等から排出される感染性廃棄物は、特別管理産業廃棄物に該当し、廃棄物処理法に基づいて排出事業者の責任の下、都道府県等から許可を受けた事業者等において適正に処理される必要がございます。また、排出事業者においても、産業廃棄物の最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われるように、処理施設の確認等の必要な措置を講じることが努力義務とされております。その上で、廃棄物処理法に基づく処理基準や保管基準に適合しない産業廃棄物の保管・処分等が行われ、生活環境の保全上、支障が生じる場合には、都道府県等から原因者に対して措置命令、これを行うことができます。その命令を履行しない場合は、都道府県等が代執行を行うことも可能となってございます。環境省では、これまでも行政処分の指針についてといった通知等を発出して、都道府県等に対し、廃棄物の適正処理を確保するため、積極的かつ厳正に行政処分を実施するように助言を行ってございます。本件についても、廃棄物処理法にのっとった適正な対応が図れるよう、宮城県へのさらなる助言等を行ってまいりたいと、そのように思います。
(記者)今回の事案ではマニフェストを偽造していたことが明らかになっていて、電子マニフェストが浸透しつつありますが、現在の仕組みでは不正を見抜きにくいといった声もあります。不正を防ぐ、また、不正に気づきやすくするための対策が必要だと思いますが、大臣のお考えを教えてください。
(大臣)廃棄物処理法では、産業廃棄物の処理を委託する場合には、マニフェストを交付することがまず義務づけられております。マニフェストを通じて、排出から最終処分に至るまでの処理状況を一貫して管理・把握することができることから、適正処理のために必要不可欠なものであると考えてございます。処理業者が排出事業者に回付したマニフェストは、その写しを5年間保存することも義務づけられているため、都道府県等による立入検査の際に、現地での処理状況と保存されているマニフェストとを比較することなどにより、不適正な処理を見抜くことができると考えております。なお、立入検査においては、マニフェストの違反が発覚した場合には厳格に対応するよう、これまでも都道府県等に通知しており、引き続き適切に助言を行ってまいりたいと思います。
 そして、またマニフェストについてでございますが、特別管理産業廃棄物を年間50トン以上排出する事業場においては、電子マニフェストを義務づけるなど、電子化を進めております。令和6年2月現在、マニフェストの電子化率は81.4%となっております。電子マニフェストは紙によるマニフェストと比較し、偽造しづらく、不適正処理の原因究明の迅速化にも資することから、電子マニフェストのさらなる普及を努めてまいりたいと思います。
 
(記者)NHKの林と申します。冒頭に発言された能登半島地震に関連する災害廃棄物の処理の関連で、特に公費解体の加速を図るということなのですけれども、改めて、現時点での公費解体、特に公費解体に対する何か課題であったり難しさというのを、国のほうではどういうふうに認識していて、それに対してどのような形で対応というのを考えてらっしゃるのでしょうか。
(大臣)課題は幾つかあると思います。早期に復旧するためには、まず解体・撤去を迅速に進める必要があります。公費解体の加速化を図っていくためには、被災市町の申請受付、契約事務等の実施体制の強化を行うことというのはまずあります。地元の解体事業者のみならず、地元以外の解体事業者の現地入りを円滑に進める必要もあります。環境省ではそのために、現在、申請受付、契約事務等を支援する自治体職員を50名規模で派遣してございます。今後は総務省の中長期の応援派遣制度等も活用して、応援自治体職員を順次追加で派遣するとともに、現地の環境省職員等も申請受付、契約事務等に当たる職員のマネジメントの支援をして、公費による解体事務の実施体制の強化を支援してまいりたいと思います。5月以降、500から600班の解体事業者が円滑に現地入りできるように、県や被災市町と連携して、契約事務や工事の調整、宿泊地の確保等、これも支援を行ってまいりたいと、そういうふうに考えています。
(記者)やはり被災地の復興に関しては、環境省、国としても、この建物の公費解体というのはやっぱり不可欠というか、それはもうやっぱり非常に大事という認識ということでしょうか。
(大臣)非常に重要だというふうに考えております。
(記者)やっぱりそれの加速化というか、やっぱり今では、遅い早いではないのかもしれないですけれども、やはりそこを環境省としては一番強化していくということなのでしょうか。
(大臣)解体、そしてまた、もちろん解体に伴って災害廃棄物が出ますから、その処理も含めて、環境省としても所掌の範囲で最大限活躍してもらいたいと思うし、また、県、被災市町との連携、これも強化してもらいたいと、そのように思います。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=PumAA6UDScI
 
(以上)