大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年1月26日(金)10:35~11:03 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 まず、令和6年能登半島地震における環境省の対応について、1月23日火曜日の会見以降の取組の進捗状況をご報告いたします。
 昨日、「被災者の生活と生業支援のためのパッケージ」が取りまとめられました。環境省の担当部分としましては、倒壊家屋の解体・撤去支援や災害廃棄物処理に係る財政支援などが盛り込まれました。そして、これを受け、本日、閣議におきまして、令和6年能登半島地震に係る予備費の使用について決定いたしました。環境省関係では、予備費から、災害廃棄物処理事業に202億円を、廃棄物処理施設復旧事業に4億円を使用することとなっております。
 環境省では、支援パッケージに基づき、市町村が公費で実施する、全壊・半壊家屋の解体・撤去を財政支援の対象として、被災者の自己負担なく解体等が行えるように支援してまいります。現場で課題となっている空き家の解体・撤去については、関係省庁と連携して、改正民法の新制度である所有者不明建物管理制度等も積極的に活用して、被災自治体を支援してまいります。
 さらに、被災自治体が財源の不安なく安心して復旧・復興に取り組むことができるように、災害廃棄物の処理や、被災により稼働を停止した廃棄物処理施設の復旧に対して、特定非常災害の指定を踏まえた特例的な財政支援を行ってまいります。
財政面以外でも引き続き、廃棄物処理対応の経験を有する自治体職員等を派遣し、実務的な助言を行うなど、人的な支援を行ってまいります。災害廃棄物の円滑な処理に向けた広域処理の実施については、石川県とよく連携して、環境省が積極的に調整などを行ってまいります。また、ペット連れの被災者が安心して避難できる体制整備等を鋭意進めてまいります。
  次に、被災地での災害廃棄物対策に関する主な進捗状況を御報告いたします。生活ゴミの処理については、被災により稼働を停止していた石川県内の4つのゴミ焼却施設のうち、七尾市、羽咋市の施設に加え、輪島・穴水クリーンセンターが22日月曜日に復旧いたしました。これにより、現在3つの施設が稼働し、日々発生する生活ゴミの地域内での処理体制が強化されております。
 避難所などのし尿の処理や、被災家屋からの片づけゴミの仮置場への搬入、家屋解体に向けた準備も順次進められてきており、引き続き、石川県とも連携し、災害廃棄物処理の現地支援に全力で取り組んでまいります。
 また、明日27日土曜日、私は被災地を訪問いたします。七尾市の避難所、ゴミ処理施設、し尿処理施設、羽咋市の仮置場などの現場の状況を確認するとともに、石川県庁で馳知事と面会し、今後必要な支援等について意見交換を行う予定でございます。冒頭発言は以上でございます。

 
 

2.質疑応答

(記者)おはようございます。幹事社の共同通信社の堀口です。よろしくお願いします。 2点お伺いします。1点目は、能登半島地震に関連したものです。大臣から先ほど説明がありましたとおり、政府は昨日25日、能登半島地震の被災者支援の政策パッケージを取りまとめました。明日には被災地を御視察される御予定ですが、改めて環境省としての取組姿勢、重点を置くものについて、大臣の思いをお願いします。2点目は通常国会です。本日は通常国会の召集日です。課題は山積していますが、中でも大きな能登半島地震、政治と金について、大臣の所信をお願いします。また、通常国会への環境省関連の提出法案について御説明をお願いします。
(大臣)能登半島地震から間もなく1か月でございます。被災地ではまだ大変厳しい状況の中で、多くの方が避難生活を余儀なくされております。今回の支援パッケージは、被災された方々が一日も早く元の平穏な生活を取り戻すことができるよう、政府として緊急に取り組むべき施策をまとめたものでございます。環境省では、この支援パッケージに基づき、倒壊家屋の解体・撤去支援や災害廃棄物の処理の円滑化を強力に進めてまいります。
 具体的に申し上げますと、まず被災者の自己負担がかからない形で、全壊・半壊家屋の解体・撤去、そのための財政支援を行ってまいります。廃棄物処理施設の復旧に係る財政支援も行ってまいります。そして、所有者不明の空き家の解体・撤去に関する改正民法の新制度等を活用した支援を行ってまいります。そしてまた、自治体職員等の派遣による人的支援も行ってまいります。広域処理も含めた災害廃棄物の処理に係る支援も行ってまいります。また、ペット連れの被災者が安心して避難できる体制の整備なども全力で進めてまいりたいと思います。
 次に、今回の出張の狙いでございますけれども、被災地の復旧・復興を進めるためには、被災した、し尿処理施設やゴミ処理施設を早期に復旧し、し尿、生活ゴミの円滑処理を進めるとともに、今後大量に生じる災害廃棄物の処理を迅速に行う必要があると考えております。こうした観点から、環境省が果たす役割は非常に大きいものと認識しております。 このため、私が石川県を訪問し、現地の状況を私自身の目で確認するとともに、馳知事をはじめとする被災地の声を直接お伺いすることで、現地のニーズをきめ細やかに把握して、今後の被災地支援に活かしてまいりたいというふうに考えてございます。
 それから、今回の通常国会に関する御質問でございますけれども、まず、本日から通常国会は開会しますが、令和6年能登半島地震の被災者の支援、被災地の復旧・復興を成し遂げていくためにも、まず、令和6年度予算の成立に力を尽くしたいと思います。
 また、政治に対する国民の信頼を回復していくために、政治資金の問題について、国会において丁寧に説明していくことが重要だというふうに考えております。
 環境省としては、この通常国会に、3本の法案を提出すべく検討を進めているところでございます。具体的には、ネイチャーポジティブの実現に向けて、民間等が行う生物多様性を増進する活動を促進するもの、そして、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、廃棄物の再資源化の高度化等につながる事業者の取組を促進するもの、パリ協定に基づく我が国の温室効果ガスの削減目標の達成に向けて、二国間クレジット制度を強化し、地域脱炭素化促進事業制度の拡充を図るものなどを検討しております。詳細はまだ政府内で検討・調整中であるので、法案提出が決まった段階で申し上げたいと思います。
 
(記者)日経新聞の田中です。ALPS処理水について1件お願いします。東京電力が昨日、新年度、2024年度の処理水の放出計画を公表しました。これについてモニタリングを所管している環境大臣としての受け止めをお聞かせいただきたいのと、24年度、7回に分けて5万4,600トンほどを流すということで、最初の23年度より回数、量とも多くなりますけど、環境省としてモニタリングと、あと正確な情報発信ですね、どう努めていくかというところの考えもお願いします。
(大臣)昨日、東京電力がALPS処理水の放出計画案を公表したということは、よく承知しております。これまで同様に、安全性を確認しながら着実に取組を進めていくことが重要だと考えております。環境省が実施する海域モニタリングについては、昨年末の専門家会議における議論を踏まえて、今年1月からメリハリをつけた運用を開始しておりますけれども、処理水の放出期間中は、従前の迅速分析の頻度、また地点数は維持することと考えております。
 引き続き、客観性、透明性、信頼性の高い海域モニタリングを徹底し、国の内外に分かりやすく発信することを通じて、風評被害を起こさないように頑張ってまいりたいと、そういうふうに考えております。
 
(記者)時事通信の鴨川です。2点質問させていただきます。1点目が気候変動に関して、先日、日本版気候若者会議が八木副大臣に提言を提出しました。気候変動問題が若者や子供に直接影響を与えることから、エネルギー基本計画の有識者会議を念頭に、国が主導する会議へ若者が参加するよう求めています。伊藤大臣の受け止めと、エネルギー基本計画の有識者会議にとどまらず、次回の温室効果ガスの削減目標の決定に向けて、気候変動に関する会議へ若者が参加することに賛成か反対か、大臣の御意見をお願いします。
(大臣)若者世代の方が、気候変動問題について真剣に考え、そしてまた、具体的な行動につなげようとしていることは非常に大事なことで、心強く感じております。今の若者の世代が主役となる時代に大きな影響を与える政策を議論する上で、若者の考え方や声について考慮する、お聞きするのは当然のことだというふうに考えております。
 2021年に閣議決定した地球温暖化対策計画の策定の際には、気候変動に関心を有する若者の団体からヒアリングを行うなど、様々な立場の方の意見を広く伺ったところでございます。
 引き続き、若者をはじめとする国民の声をしっかりお聞きして、2050年のネットゼロへ向けて全力で取り組んでまいりたいと、そういうふうに思います。
(記者)ありがとうございます。もう一点がPFASに関して、一昨日沖縄県の玉城知事が、健康被害が懸念される有機フッ素化合物のPFASについて、原因究明や対策を求めて伊藤大臣と面会されたかと思います。沖縄県では、PFASの除去費用がかかっていることや新たな水源を探していることに多額の費用がかかっていることから、水道料金の値上げが余儀なくされておりまして、PFASの対策を強く求めている現状です。この問題に対して大臣の受け止めをお願いします。
(大臣)一昨日沖縄県知事と面会いたしまして、環境省は、主にPFOS等に関する公共用水域の基準値を早急に設定することなどについて、要請をいただいたところでございます。また、防衛省や内閣府に対し、PFOS対策にかかる費用などについて要請されたとも伺っております。
 私からは、現在、内閣府食品安全委員会において、PFOS等の健康への影響について評価されていることなどを踏まえ、厚生労働省と連携しながら、水質の暫定目標値の取扱いを検討していくということをお伝えいたしました。
 PFOS等については、比較的高濃度で検出された地域の自治体や地元住民の声を真摯に受け止めるということが大変重要であるというふうに考えております。
 環境省としては、専門家会議によって昨年取りまとめられた「今後の対応の方向性」を踏まえて、PFASのばく露低減のための対策技術などの知見の集積を進め、得られた知見を、沖縄県をはじめとする自治体の皆様にも提供してまいりたいと思います。
 
(記者)琉球新報の安里です。よろしくお願いします。ちょっと事前に質問を投げさせていただいてないのですが、今のPFASの関連で、県のほうからは財政支援も求められてる、補償についても求められていると思うのですけれども、この辺については考慮される余地があるのかという点、ちょっとお聞かせいただければと思います。
(大臣)知事にお会いしたときに、私のほうからそのような言及はございませんでした。
(記者)知事からはなかったということですか。
(大臣)はい。
(記者)要請書の項目の中に補償というのがあるかと思うのですけれども、じゃあその辺については、特に要請書の中身については精査されてないということですか。
(大臣)要請書は全部読ませていただきました。ただ、要請書の中で、私に直接要請されたのは3点でございまして、その中には水道料金の話は入っておりません。
 
(記者)エネルギージャーナル社の清水です。2点ほど、さっきの能登半島のやつで災害廃棄物とか、損壊家屋の片づけとか、これの財政的支援って、やっぱり最大300万という、そういう枠が、最大支援額が300万ということを聞いているのですが、これでは対応できないところも幾つかあると思うのですが、その辺は廃棄物対策等も含めて、何か被害者、被災者負担をなくすような形になるのですか。それとも全体の災害支援のパッケージの中で、やっぱりその300万という上限があるということなのですか。ちょっとその辺、1点聞かせてください。
(大臣)整理いたしますと、環境省が担当しているのは災害廃棄物の処理でありまして、これは前段でお話ししたように被災者の負担はゼロになります。それで、新しく家を建てる費用については、これは実は環境省の所管ではないものですから、私が直接それにコメントすることは差し控えたいと思います。
(記者)2点目です。先ほど、この通常国会提出法案をお示しいただいたのですけど、「など」ということで、「3法案など」ということで、「など」のほうだろうと思うのですが、洋上風力の環境アセスメント法の見直しというか、改定というか、これも予定されていると思うのですが、EEZなんかの関係もあって。それでこの間、環境大臣の諮問に対して答申が出ましたよね。1週間か2週間ぐらい前に。その答申で、環境配慮を計画段階からきっちりすべしということで、環境省が主体的に調査や何かをやっていくと、洋上風力候補地について。こういうことで、その中にもいろいろ、環境配慮をすべしという言葉が出てくるのですけども、質問は、今どき、環境配慮ということじゃないだろうと思うんですよ。やっぱり環境保全との共生が前提になっているわけですから、その開発事業に対して、環境配慮をすべしでとどまっているというのは、ちょっとやっぱり時代遅れじゃないかと。時代遅れって、言い方変ですけど。その辺、大臣のお考えをお聞かせください。
(大臣)3本の法案のイメージについてお話ししましたけれども、その具体的な法案に対する言及は避けたいと思いますが、御質問でございますので。今御案内のように、1月16日に中央環境審議会の小委員会において、風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について、一次答申の案が示されたということは承知しております。委員の皆様の精力的議論に深く感謝しているところでございます。
 今回の答申案では、再エネの主力電源化の切り札として期待される洋上風力発電事業について、適正な環境配慮を確保するための促進区域の指定と、環境影響評価の手続を接続させる仕組みなどが示されたところでございます。今後、まだ正式にいただいていませんので、正式に答申をいただいた後、関係省庁と連携しつつ、具体的な制度化に向けた検討を進めてまいりたいというふうに思います。というのが現在の私の可能な答えでございます。
(記者)考え方として、どうですか。問題意識として。環境配慮でとどまるというのは、やはり環境政策上、何ていうか、レベルがちょっと低いというか、そういう感じになりませんか。
(大臣)現在の段階でそのレベルが低いとか高いとかということを私が直接コメントすることはちょっと差し控えたいと思います。申し訳ございません。
 
(記者)NHKの林と申します。先ほど、今も続いているウクライナの廃棄物処理の担当者の方が、JICAの研修として、環境省のほうにも本日来ているということなのですけれども、改めて環境省として、ウクライナのそういう支援をするということの意義というか、その意味合いというのを、受け止めを含めて伺ってよろしいでしょうか。
(大臣)ありがとうございます。実は、この件、私が環境大臣になる前から関わりがありまして、宮城県の東松島市の農園にウクライナの農業・食料大臣がお見えになったんです。そのとき、私が御案内して、東松島市も津波でものすごくやられまして、もともと田んぼだったところを今度は創造的復興ということで、キュウリとかイチゴを作る、いわゆる施設園芸に変えているのですね。そういう施設園芸の高付加価値の農業を御覧いただいて、大変、農業・食料大臣の皆さん、感心していたのですけど、同時に、ウクライナには、この施設園芸に入る前に、いわゆる瓦礫撤去、それから不発弾の処理、それから地雷の処理が必要だという御発言があったものですから、当時、僕、衆議院の外務委員会の委員だったものですから、早速、次の週の外務委員会で当時の林外務大臣に質問をしまして、こういう声がウクライナから上がっているのだけれども、ぜひ対応してほしいということをしまして、それもあって、JICAが、それだけじゃないと思いますが、これに関わることになっているという経緯があります。
 その上で、今の質問にお答えしますと、ウクライナは、今回のロシアの侵略で、多くの人命が失われて、建物やインフラが破壊され、大量の瓦礫や廃棄物が発生しております。改めてロシアによるウクライナ侵略を非難するとともに、現在対応中の能登半島地震を含め、多くの災害により悩まされている我が国の災害廃棄物の処理の経験を活かしてまいりたいというふうに思います。
 今申し上げましたように、JICAの研修プログラムにより、ウクライナの省庁、自治体の担当者が来日することになって、今日、環境省にお見えになっているという話ですけれども、環境省としては、全面的にこのJICAに協力して、災害廃棄物の処理の技術やノウハウを惜しみなく紹介、提供したいと思います。そして、今お話のように、宮城県、福島県も御訪問いただき、これからも御訪問なさると思うのですけれども、東日本大震災からの復興の状況というものを御確認いただきたいと思っています。
 昨年12月のCOP28では、私はまた再びウクライナのストリレツ環境保護・天然資源大臣と会談というか面会いたしまして、このストリレツ大臣自身が2017年のJICAの研修で来日されておりまして、日本の廃棄物管理の制度を学んで、国内に取り入れているというお話も伺ったところでございます。我が国の国際協力が実を結んだ喜ばしい事例だと私は思います。
 今後、戦争からのウクライナの復旧・復興においても日本の協力が役に立った、ありがたかったと言っていただけるように、環境省としても全面的に協力、貢献してまいりたいと、そのように思っております。
 
(記者)TBSの小嶋です。1つ確認をさせていただきたいのですけども、先ほどの沖縄県知事の陳情の話なのですが、琉球新報さん、おっしゃられましたけれども、私も頭撮りのところはちょっと参加させてもらったのですが、あそこで大臣に対して、知事は確かに3つ要望ということで挙げて、それに財源とか補塡の話は入っていませんでした。しかし、書面にはしっかりと入っていて、これはどう考えたらいいか。要するに、環境省として、あるいは大臣としては財源等々の話がなかったということで受け止めていらっしゃるのでしょうか。
(大臣)知事からの直接要請としてはありませんでした。ただ、書面は全部読んでおります。
(記者)書面に書いてある要望については、環境省として、大臣としてもしっかりと前向きに考えるということでよろしいでしょうか。
(大臣)書面に書いてある3点については、私として、知事にも直接お答えいたしました。
(記者)それ以外の点は。
(大臣)その点は知事から話も出ませんでしたし、会談時間も限られていましたので、知事との会談でその話題が出ることはありませんでした。
(記者)ごめんなさい。ちょっとよく分かりづらいのですけれども、書面というのは公的な文書ですから、それに対して、仮に直接口頭じゃなくても、それに対して、環境省として対応すべきだと思うのですが、そういうお考えはもちろんあるわけですよね。
(大臣)あの書面で何項目か書かれておりますけれども、知事としては所管の省庁にそれぞれその部分を要請したものと理解しております。ですから、環境省に対しては環境省が所管するところを要請したということだと思います。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=6lZbypcDmN0&list=PL9Gx55DGS7x7KxcngqArvF_NxEuXney24&index=1
 
 
(以上)