大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年1月19日(金)11:00~11:26 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

本日の閣議において、「絶滅のおそれのある野生動物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令」を決定いたしました。国内の生息環境の悪化や観賞目的による捕獲等により、絶滅が心配されている6種の、国内希少野生動植物種への指定などを行うものでございます。
 令和6年能登半島地震における環境省の対応について、1月16日火曜日の会見以降の取組、進捗状況を御報告いたします。
 先ほど、官邸で行われました政府の非常災害対策本部会議におきまして、岸田総理から倒壊家屋の解体・撤去の円滑な実施に向けた支援について指示がありました。環境省としては、市町村が公費で実施する全壊、半壊家屋の解体・撤去事業について、必要な財政支援を行います。
 また、災害廃棄物対応の経験を有する自治体職員を被災自治体に派遣して、技術的な助言を行うなど、被災自治体の事務負担を軽減し、家屋解体・撤去が円滑に行われるように取り組んでまいります。
 次に、避難所などのし尿、生活ごみ対策です。し尿については、引き続きバキュームカー40台以上の体制で、全ての避難所において、おおむね1日1回以上の回収を行っています。生活ごみについては、県内外の自治体や民間事業者からの応援派遣をいただき、ごみ収集車を65台体制に増強して回収を行っており、おおむね回収体制が整いつつあります。
 被災地では、日々状況が変わることから、被災者の衛生環境を確保するため、引き続き現場の状況をきめ細かく把握し、し尿や生活ごみの回収に取り組んでまいります。
 次に仮置場設置の取組です。1月16日以降、石川県内では、志賀町、穴水町の2町で仮置場が新たに設置され、特に被害の大きい能登地域においても、仮置場の設置が順次進んでおります。現地に派遣された環境省職員などが、仮置場やその候補地の現場を確認し、仮置場の適切な設置、運営に関して助言を行っています。また、片づけごみが仮置場以外の敷地に集積することがないよう、仮置場が設置されたことを早期に住民の皆様に周知するとともに、現場の巡回を実施しております。
被災地の早期復旧・復興に災害廃棄物の処理が障壁となることがないよう、引き続き被災自治体への支援に全力で取り組んでまいります。
 最後に被災ペットの対応です。環境省は今週も、珠洲市、輪島市、能登町の避難所等を回り、現地のニーズを把握してきました。その上で、関係団体と協議し、ペット関連用品の提供や、一時預かり場所の確保等を進めてきました。このたび、1月15日より、石川県獣医師会の動物対策本部等による被災者のペットの一時預かりが開始されました。ペット連れの被災者が安心して避難できるよう、避難所や仮設住宅でのペットの適正な飼育環境の確保や、一時預かり体制の拡充に向けて、引き続き取り組んでまいります。
 以上でございます。

2.質疑応答

(記者)おはようございます。幹事社のテレビ朝日の中尾です。能登半島地震に関連してお伺いいたします。石川県の志賀原発の北9キロで活断層と見られる地表の変動が報告されていると報道で明らかになっております。原子力防災を所管する大臣といたしましては、本件に関連しまして、報告を受けたり、指示を出したり、これまでの動きがあればお示しいただければと思います。また、石川県など、今後地域防災計画の見直しを進めるよう働きかけるなどといった考えはありますでしょうか。
(大臣)地震発生後、志賀原発の状況については、必要に応じて事務方から報告を受けてございます。また、1月10日の原子力規制委員会で、今回の能登半島地震に係る知見を収集し、今後の志賀原発の審査に反映することになったと聞いております。高い独立性を有する原子力規制委員会の科学的、技術的な判断を尊重したいと思います。その上で国としては、地域原子力防災協議会を設置し、地域防災計画、避難計画の具体化、充実化に向けて、志賀地域の緊急時対応の取りまとめに取り組んでいるところでございます。
 今回の地震で得られた教訓を踏まえて取りまとめていくよう、私から事務方へ指示してございます。それから17日に行われた原子力規制委員会において、原子力災害対策指針についての議論が行われ、能登半島地震を受けて、防護措置の基本的な考え方を変えるものではないとの方針が示されたと承知しております。その上で、今回の能登半島地震では、多数の孤立地域が発生し、孤立解消まで長時間を要するとともに、ライフラインの途絶が長期間継続するといった事態が発生したと認識しております。また、多数の建物の倒壊や火災による焼失等も発生したと承知しております。こうした状況において、原子力災害対策指針に基づく防護措置を講じていくことになりますけれども、避難所等において、ライフラインが途絶しても、屋内退避が継続できる環境の整備をより推進するため、自治体に対する支援を強化してまいりたいと思います。支援内容については、地域の実情を踏まえて、関係自治体の御意見をお聞きしながら検討を進めてまいります。
 
(記者)熊本日日新聞の髙宗です。ちょっと災害の話から離れるのですけど、水俣病の原因企業、チッソが提示した次期業績改善計画案についてお尋ねします。この改善計画は政府が要請している経常利益の額53億円を下回る計画になっているのですが、まず大臣の評価を教えてください。
(大臣)御指摘のように、そういう状況はありますが、チッソは新たな業績改善計画案において、成長事業への投資、構造改革による収益改善などを骨子とした施策を実行し、計画における経常利益を目指し、早期のJNC単体経常利益53億円の達成に向け、収益のさらなる拡大に取り組むと承知しております。
 この新業績改善計画は、中国経済の停滞をはじめとした世界的な需要鈍化などの影響も踏まえ、チッソとして最善の経営努力を行うものと認識しております。チッソにおいては、新業績改善計画を着実に実施することによって、持続的な業績改善を実施、患者補償の完遂と地域経済振興等を行っていただきたいと思っております。
(記者)国と県でつくる連絡会議では、今回の計画が達成できない場合、厳格な経営責任を果たすようチッソに求めていますが、この厳格な経営責任というのは、例えば役員の引責辞任とか、具体的に何を考えていらっしゃるのかを少し教えてください。
(大臣)国によるチッソ支援は、チッソ株式会社が自助努力を行うことを前提としております。チッソ支援連絡会議要請による厳格な経営責任とは、こうした自助努力に関する経営責任を一般的に表明したものと認識しております。来年度以降、チッソ株式会社が新業績改善計画を取り組んでいくものであり、現段階で具体的に申し上げるものではないと思います。
(記者)それでは最後に、チッソは、現在累積で2,000億円の法的債務を抱えているのですが、もう3年連続で返済が猶予されています。次期業績改善計画の中身、政府の要請を下回るような中身になっているのですが、国としてチッソの経営にもう一歩介入していくような、そんなお考えはないのでしょうか。
(大臣)チッソ株式会社は、今私が説明申し上げたように、新たな業績改善計画を策定し、中国経済の停滞をはじめとした世界的な需要鈍化等の影響を踏まえた、最善の経営努力を行っていくものと認識しております。環境省としては、新たな業績改善計画が着実に実行されるよう、国、熊本県による連絡会議の場を通じて、計画の進捗評価を行っていくというスタンスでございます。
 
(記者)時事通信の鴨川です。遺伝子組換えの生物についてお伺いします。先日、遺伝子を組み換えて、紫外線に反応して光る熱帯魚のベタを飼育したとして、カルタヘナ法違反容疑で2人が逮捕されました。遺伝子を組み換えた生物を野外に放出すると、ほかの生物に影響を与える可能性もあります。大臣の受け止めと国民へ伝えたいことをよろしくお願いいたします。
(大臣)御指摘の件でございますけれども、このカルタヘナ法違反の被疑者2名が逮捕ということを警視庁から情報提供を受けてございます。現在捜査中であり、詳細のコメントというのは差し控えたいと思いますけれども、海外から輸入された遺伝子組換えの観賞魚であるベタが、同法に基づく承認を得ずに、国内で飼育、販売等をされていたことは極めて遺憾だと思います。一昨日、環境省のSNSでも発信してございますけれども、遺伝子組換えが疑える観賞魚を飼育されている方は、絶対に河川等に放すことなく、お近くの地方環境事務所まで御連絡いただくように改めてお願いしたいと思います。今般の事件を受け、環境省は再発防止のため、同法の適切な施行について、自治体及び関連業界団体に対して、改めて周知を行ったところでございます。引き続き、関係省庁とも連携して、カルタヘナ法の適切な運用に務めてまいりたいと思います。
 
(記者)朝日新聞の市野です。2点お伺いします。1点目は先ほど質問があった志賀原発の話ですけれども、17日の規制委でも、防護措置の基本的な在り方自体を変えるものではないとしつつも、屋内退避の在り方の見直しなどを指示していたかと思います。これに対して、防災担当の大臣としての受け止めというのと、あと先ほどのお話しの中で、屋内退避が継続できるように自治体に支援をというようなお話だったのですけれど、これというのは具体的にどういうことを想定されているのか、新たに何か追加したいという意図なのか、ちょっとそこを教えていただきたいと思います。
(大臣)先ほどのお答えと多少ダブるわけでありますけれども、今回の能登地震において、ライフラインが途絶したり、孤立の解消まで時間がかかり、それから多くの道路が寸断されるという事態がありましたので、こういう経験、知見も含めて、屋内退避がより適切に、確実に行えるように、施策を講じていくものとなると思います。
 いろいろな段階があると思いますけれども、現在お住まいの住居が倒壊した場合には、避難所で屋内退避していただくと、そしてまた近隣の避難所そのものがなかなか難しいということであれば、その次に近い避難所に避難して、またその移動についても、自衛隊等の協力も得ながら安全に行えるようにという、いろいろな段階が考えられると思います。
 もう少し詳しくお話すれば、まず、その避難道を複数経路設定するということがあると思います。要は代替経路ですね。そうしたら、全ての避難道が塞がれるという事態もなきにしもあらずなので、陸路が制限される場合は、啓開も着手しておりますけど、海路避難、空路避難、また、必要に応じて屋内避難をすることで、住民の安全に全力を尽くすと。そしてまた、今申し上げたように実働組織、自衛隊が中心になると思いますけれど、によって支援をしていくということになると思います。いずれにいたしましても、原子力防災に終わりや完璧はございませんので、今回の能登半島地震で得られた知見も十分に踏まえながら、原子力防災体制の充実、強化というのを図ってまいりたいというふうに思います。
(記者)ありがとうございます。もう1点は、災害廃棄物の仮置場のことなのですけれども、現地等では、仮置場は、既に開いていて、被害が大きかったところにも、これから開くということなのですけれども、もう既にキャパシティーがかなりいっぱいになってきているというところもあるという報道もある中で、大臣として、今、そのキャパシティーについての現状認識をどのように持っておられるのかを教えていただきたいです。
(大臣)穴水町のほうから、災害廃棄物の処理費用についての見通しがあったわけでありますけれども、今回の地震、特に珠洲市、輪島市においては、被害の全容は、必ずしもまだ明らかになってはいません。そういったことを踏まえますと、現時点で災害廃棄物がどれぐらいの量、どういう形で出るかということを数字ではっきり出すということは難しいと思います。しかしながら、準備は進めなければなりませんので、今可能なところから、能登半島も含めて、仮置場の設置が進められつつあります。
 それから、環境省の職員を現地に派遣しておりますけれども、今、鋭意仮置場の候補地を確認したり、それから設置運営が適切に行われるように、搬入物の分別や管理の方法、搬入ルートの変更による渋滞対策等で助言を行っております。引き続き、被災自治体と緊密に連絡、連携して、仮置場の設置・運営に関する現場支援を鋭意行ってまいりたいと思います。
(記者)現時点で、なかなかはっきりとはしない中だとは思うのですけれども、今の時点では、そういうやはり足りないという認識なのかどうなのかというのはいかがでしょうか。
(大臣)これは、日々状況が変化しておりますので、今この瞬間足りているか、足りていないかというのは、なかなか直言というか、断言し難いのですけれども、例えば、七尾市の仮置場で車列があったということですけれども、これは開場前に並んだ住民が多かったということで、開場後は目立った渋滞は発生してございません。いずれにしましても、この渋滞を含め、仮置場の搬入、仮置場の設置がなるだけ先手先手で十分に、必要に応じてできるように、環境省としても全力で当たってまいりたいと思います。
 
(記者)エネルギーと環境、エネルギージャーナルの清水です。26日から通常国会、開幕されるということで、各省庁とも、通常国会提出の予定法案というのは、登録しつつあると思うのですけれども、環境省のほうで全体的に、提出予定法案、制度、条約も含めて、どういうものがあるのか、それをちょっとお話ください。
(大臣)各通常国会に各省庁が出す法案については、今内閣で調整中でございます。ですから、現時点で今私が環境大臣としてこれとこれを出すということを、ちょっと明言することは差し控えたいと思います。案はありますけれども。
(記者)大臣の希望というか、決意というか、そういう意味で、この通常国会で制度化をきっちりやらなきゃいかんというような項目というか、テーマは今の時点でどうですか。
(大臣)大臣の個人的な意見といっても、私がこの場で発言すれば、環境省としての発言になるので、それもちょっと差し控えたいと思います。調整して出しますので、各通常国会、やはり処理できる法案も限られておりまして、各省庁が出されると。その中で、環境省もこうこうというのがありますが、各省と共管のものもございますので、現時点で私が不用意にそれを発言すると、その調整に悪影響を与えるということで、御理解いただきたいと思います。
(記者)大体いつの時点で国民の前には示せるという見通しですか。
(大臣)常識的に言えば、1月の終わりになれば示されると思いますけれども。
 
(記者)共同通信の堀口です。自民党の話になります。自民党の派閥の政治資金パーティーを巡る問題が起きて、岸田首相は昨夜、自らが会長を務めていた岸田派の解散を検討していることを明らかにしました。この首相の派閥解散発言についての受け止めや、派閥への自身のお考えをお願いします。
(大臣)昨日の岸田総理の発言は、自ら会長を務める派閥についての発言でございますので、コメントは差し控えたいと思います。自民党では先週より、政治刷新本部が開設され、党全体での議論が行われていると承知しております。国民の政治への信頼回復に向けて、党における議論の進展を私も期待しておりますし、私自身も襟を正して環境行政に力を尽くしてまいりたいと、そのように思います。
 
(記者)NHKの林と申します。能登半島地震の関係で、ちょっと確認も含めた質問なのですけれども、1点目は、災害廃棄物の仮置場の関係で、先ほど七尾市のほうの言及があったと思うのですけれども、一部報道であったりとか、現地の声として、1か所設置されているのが足りないので、増強を希望するという声もあるようなのですけれども、現時点で七尾市を含めて、設置された仮置場を増やすということは、現地の報告があった状況からは検討されていないということでしょうか。
(大臣)仮置場は、鋭意増やしつつあります。ただその、今この町のここにということをちょっと発表できないことであって、日々、必要な仮置場を確保するために、環境省職員、大変な努力を今続けている最中です。
(記者)細かいことはいいとして、増やさないというわけではなくて。
(大臣)もちろんです。これから、家屋解体に伴って、非常に大きな量の災害廃棄物が出ることが確実でございますので、それに必要な仮置場というものを確保する必要があります。それで、究極的には、広域的なものを含めて仮置場を設置していくということが必要になると思っております。
(記者)ありがとうございます。あと、細かい数字は事務方のほうとかでもと思うのですけれども、生活ごみとし尿の関係なんですが、し尿の処理について、先般の会見では、1日に1度回るということはまだ実施していないということだったんですけど。
(大臣)ほぼできています。
(記者)今になったら、もう1日1回の回収は実現できていて、し尿処理に関しては、一定、必要な対応は取れているということでしょうか。
(大臣)多分先日の会見のときより、「おおむね」の「おおむね度」が上がっていると思います。それが99%なのか、ちょっと数字は、はっきり出していませんけれども。その上で今の御質問に答えれば、さっきも申し上げましたけれども、毎日、そのバキュームカーの運行状況の確認や、避難所等での仮設トイレの衛生環境の点検を進めております。ですから、そういう調査に応じて、適切な頻度で回収が行われているということを確認しておりますけれども、状況は毎日変わりますので。それから、二次避難が進んだことによって、一次避難の避難所におられる被災者の数は減りつつあるということもあります。ということで、状況は改善していると思います。
(記者)最後に、生活ごみについてなんですけど、これも65台に増強して回収して、その先で、受入先の確保というのが、次に課題ということだったんですけれども、現状、例えば県内外で生活ごみの受入れについての改善であったりとか、進捗というのは、今、どういう状況になっているのでしょうか。
(大臣)能登半島で初期、全て使用が不可能になった処理場が、2か所復旧してございます。ですから、状況は改善しておりますけれども、その県内の被害が少ない地域へ持っていくのを中心に、ごみの排出状況を改善すべく努力をしております。これも日々状況が変わってくるものですから、その状況に合わせて変えてきているということでございます。
 それから、付言して申し上げれば、携帯トイレで固形化したものについては、生活ごみとして回収しております。その場合、パッカー車に入れると袋が破ける危険がありますので、前回の会見でも申し上げたように、パッカー車を使う場合も、最後ですとあまりパックしないように置くか、袋の色等を変えていただいて、トラック等で運送するという方法もとっております。いずれにしましても、携帯トイレによるし尿処理、これも鋭意行っております。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=ILBME2nZm8w&list=PL9Gx55DGS7x7KxcngqArvF_NxEuXney24&index=1


(以上)