大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年1月23日(火)11:00~11:21 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

おはようございます。令和6年能登半島地震における環境省の対応について、1月19日金曜日の会見以降の取組、進捗状況を御報告申し上げます。
 し尿、生活ごみ対策でございます。避難所などにおけるし尿、生活ごみの回収については、これまで、関係自治体等からの応援派遣によって体制を強化しておりまして、引き続き、生活環境に支障が生じないよう、現地の排出状況も踏まえつつ、着実な回収を鋭意行ってまいります。
 次に災害廃棄物の仮置場については、1月19日以降、石川県内では新たに中能登町、内灘町で設置され、計9市町で仮置場への片づけごみの搬入が順次進められています。今後、石川県内でも県外からのボランティアの受入れが開始されると、被災家屋からの片づけごみのさらなる搬入の増加が見込まれます。このため、常駐している環境省職員などが、ボランティアの活動予定などの状況を把握しつつ、搬入物の分別や保管の方法、運営管理に係る要員の確保、渋滞対策等について助言を行うなど、環境省として仮置場の設置、運営が円滑に行われるよう、引き続き全力で現地支援を行ってまいります。
 家屋解体についてでございます。被災家屋の解体・撤去については、一部の市町村において、被災した全壊、半壊家屋を所有者に代わって、市町村が解体・撤去を行う公費解体制度の実施に関する広報が始まっています。こうした市町村による解体撤去事業が円滑に行われるよう、家屋解体等に関する説明会の実施に加え、家屋解体を含めた災害廃棄物対応の経験、知見のある環境省職員や、自治体職員を現地に派遣し、被災市町村の職員への実務的な助言やサポートを行ってまいります。引き続き、被災自治体に寄り添った支援を続けてまいります。

2.質疑応答

(記者)おはようございます。幹事社の共同通信堀口です。よろしくお願いします。能登半島地震に関連して、お伺いします。発災から昨日22日で3週間が経ちました。厳しい状況が続いていますが、壊れた家財や崩壊した建物など、災害廃棄物の量についての推計や、公表の見通しについて御説明をお願いします。過去の災害に遡ると、同じ震度7を観測した2016年の熊本地震では、環境省は発災から4週間ほどで独自の推計を公表しています。早い時期に災害廃棄物の大まかな量をつかむことは、例えば災害ごみの仮置場がどれくらい必要なのかといったことの目安にもなり、今後の早期の復旧・復興の手がかりになると思いますが、どのように取り組まれますか。
(大臣)お答え申し上げます。被災地域における早期復旧・復興を実現するためには、災害廃棄物の発生量を推計し、それに応じて、災害廃棄物の処理を円滑、確実に進めていくことが重要だと思います。石川県の発表によると、昨日1月22日月曜日の時点で、被災家屋は約3万7,000棟であり、日々更新されているものと承知してございます。現時点では、まだ被災全体の把握ができていない市町があるとともに、推計に当たり重要となる全壊、半壊、一部破損の内訳が不明な市町も多く、各自治体で被害調査が進められているところでございます。
 これに対して、環境省では、被災自治体に災害廃棄物関連の知識を有する職員や技術者を派遣し、災害廃棄物の発生量の推計等に関する技術的支援を継続的に実施しております。このように、現状では被害実態に即した被害、災害廃棄物量の全体推計を一定の確度をもって行う段階にはございませんが、被災自治体による発生量の推計作業が進むよう、引き続き現地職員等による技術的支援を行ってまいりたいと思います。
 
(記者)時事通信の鴨川です。能登半島地震のペットに関してお伺いいたします。被災者の依頼に応じて、石川県獣医師会などがペットの一時預かりを行っています。環境省としても関連する団体と調整を行って、ペットの預かり先の拡充や支援を行っていると聞いております。現在、ペットの一時預かりはどれくらい、何匹ぐらい行われているのでしょうか。また、被災者からペットに関して、どのようなニーズがあって、環境省としてどういった対応を行っていくのか教えてください。
(大臣)御指摘のように、石川県の獣医師会の動物対策本部を通じた、動物病院等でのペットの一時預かりが1月15日より開始されております。環境省からも民間企業に依頼するなど、預かり先の確保を図っているところでございます。
 1月21日日曜日の時点で、猫65頭、犬49頭、鳥15羽、ウサギ2羽の合計131のペットを一時預かりしていることを確認しております。ペットは家族の一員であると考える皆さん、被災者にとって、ペットと一緒に避難できる場所や、ペットにとって安全な場所を用意してほしいというニーズは数多く寄せられておりまして、私たちも認識しております。避難所、1.5次、2次避難所、仮設住宅等の様々な場面で、ペットを受け入れる体制の確保が必要であり、環境省は、石川県や関係団体と一緒に体制確保の調整を行ってきております。その結果、1月21日から石川県が1.5次避難所に併設したトレーラーハウスでのペット飼育スペースの提供を開始しました。引き続き、動物対策本部等の関係者と連携して、預かり先や避難所等での飼育スペースのさらなる拡充等に取り組んでいきたいと思います。
 
(記者)日刊工業新聞の松木です。おはようございます。震災の関係からちょっと離れるのですけれども、先週開催の世界経済フォーラムで自然関連財務情報開示タスクフォース、TNFDが開示に賛同した企業名を発表しました。世界では321社、そのうち日本企業が81社ということで、国別で世界トップでした。日本企業が情報開示に積極的な表れかと思いますが、大臣の受け止めをまずお聞きしたいのと、もう1つ、日本企業が4分の1を占めたということで、この情報開示を巡る議論というのはリードできる立場にあるかなと思うのですけれども、環境省として生物多様性を巡る国際的な議論に、今後どのように貢献していくか、方針を教えてください。
(大臣)ありがとうございます。御指摘のように、ネイチャーポジティブの実現には、民間企業が自然関連情報を開示し、評価されるということを通じて、生物多様性保全に積極的な取組を行っている企業に資金が流れていく仕組みを構築することが重要だと考えております。今般、世界46か国の企業がTNFDの提言に沿って、早期の開示を表明した中、我が国の企業が全体の4分の1、世界最多を占める数になったこと、大変すばらしいと思います。こういうネイチャーポジティブの実現に向けて、世界をリードし得ることを示すものだということで、環境省としても大変歓迎しております。
 それで、環境省としては、生物多様性民間参画ガイドラインの策定や、研修会の実施などを通じて、企業による積極的な自然関連情報の開示を支援しております。これからも支援してまいります。また、こうした対応は単なるコストではなく、自然資本に根差した経済が、新たな成長機会であるということを示して、実践を促す「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」を今年度中に策定いたします。こうした取組を通じて、我が国の企業の積極的な取組を後押しして、ネイチャーポジティブの実現に向けて、リーダーシップを発揮してまいりたいと、そのように考えます。
 
(記者)北海道新聞の内山と申します。先週、北海道のヒグマの研究者でつくる団体とか、エゾシカの研究者団体が、昨年末に警察庁が発表した銃規制の強化について反対の声明を発表いたしました。彼らの言い分では、ハーフライフルという、初心者でもすぐに持てる銃なのですけれども、それを持つまでに10年の経験が必要という規制に強めようとしていることについて、北海道では、エゾシカやヒグマの駆除を担う際に影響が出るのではないかという懸念を示しております。これについて、環境省としてはどのようにお考えなのか、お考えをお聞かせください。
(大臣)現時点で、その詳細は存じ上げておりませんけれども、いずれにしても、クマ被害、環境省としても4月の頃までに指定管理鳥獣にするかどうかの結論も含めてしっかり進めているところでございますけども、銃規制そのものについては、環境省の所管ではないので、所管の省庁とクマ被害が非常に発生している地域、特に北海道ですね、の間で適切に話合いが行われて、適切な判断がなされることを期待するというのが私の考えです。
 
(記者)朝日新聞の市野です。よろしくお願いします。志賀原発の話でお伺いします。能登半島の地震によって志賀原発の周辺の8地区で孤立状態になっているという報道もされていまして、こうした状況が、今、大臣も担当されている原子力防災における避難計画が機能しないおそれにも発展するかと思いますが、大臣としてどのような問題意識を持っておられるのか、教えてください。
(大臣)能登半島の地震の状況を踏まえますと、原子力災害時に原子力災害対策指針に基づく防護措置を講じていくに当たって、避難所等におけるライフラインが途絶して屋内避難を継続できる環境を整備する必要があるとしても、屋内非難が継続できる環境を整備する必要があるというふうに考えております。
 これまで内閣府の原子力防災では、高齢者や入院患者といった、いわゆる要配慮者等が屋内避難を行うための施設について、放射線防護対策や、食料等の物資について備蓄支援を行ってきたところでございます。これまでの支援はしっかり継続しつつ、屋内退避が継続できるさらなる環境の整備等、必要な支援内容について、関係自治体の御意見もお聞きしながら、地域の実情を踏まえて検討を進めてまいりたいと、そのように思います。
(記者)今の御発言でもあったのですけれども、金曜のときでも、今後、自治体と連携しながら支援を考えるという話なのですが、具体的にどのようなスケジュールで聞いていって、対応していくお考えなのか。また、全国の原発を抱える自治体からヒアリングをしていくということなのか、その辺りの具体的なお考えがあれば教えてください。
(大臣)具体的なスケジュールについては、現時点で私が言及できる状況にありませんけれども、まず一義的には、原子力規制委員会が、それぞれの原子力の安全性を含めて、今回の能登半島地震の結果も、状況も含めて出されていくと思いますし、その作業の最中だと思います。それから、それぞれの原発においては、現在進行系も含め、原子力防災体制を進めております。いずれにしても、原子力防災担当大臣としても、自治体ともよく協議して意見を聴きながら、しっかり進めてまいりたいと、そういうように思います。
 
(記者)河北新報の馬場と申します。ちょっと環境省から離れるんですけれども、岸田首相が自民党の派閥解散を表明しまして、その後、安倍派と二階派が解散ということを決定しました。その派閥解散ということの是非についてお考えを伺いたいのと、あと、大臣が所属されている麻生派は、今のところ存続の意向だということが伝えられています。麻生派の処遇についても御所感があれば伺わせてください。
(大臣)この会見、環境大臣、また、原子力防災担当大臣として出ておりますので、派閥に関する詳細なコメントは差し控えたいと思います。その上で申し上げれば、現在、自民党では、政治刷新本部において、国民の政治への信頼回復に向けた議論が行われております。その議論の結果も踏まえつつ、それぞれの派閥が適切に判断していくということになるというふうに私は考えております。
 
(記者)NHKの林と申します。能登半島地震の関連で、確認も含めてなんですけれども、発災から3週間がたって、一部で、現地では、水道が復旧してない中で自宅等に戻って避難を続けたり、避難所から自宅に戻るというような方も出ているようなのですけれども、断水が続いている中では、やはり、し尿の処理などが課題になっていると思うんですけれども、そこら辺の処理状況であったり、課題というのは、環境省として把握していたり、何か対応を取っているというのはあるのでしょうか。
(大臣)環境省としては、し尿処理を担当しておりますので、もちろん、仮設トイレのものが中心でありますけれども、断水の続いているところにおいて携帯トイレを使う場合、携帯トイレの場合は、これは生活ごみとして回収して、生活ごみとして処理しております。 し尿処理のほうも、生活ごみのほうも、パッカー車、あるいはバキュームカーを増強して、今、順調に行われているというふうに聞いております。
 それから、さらに申し上げれば、ちょっと聞かれたところではないのですけど、浄化槽が被害を受けているという部分もあります。全容をまだ把握されていないわけですけれども、浄化槽が被害を受けているといった場合も2種類あって、浄化槽そのものは壊れていないのだけれども、隆起によって、上に上がってきたという場合もあります。それから、浄化槽が、今回の地震によって、ひびが入っているという場合もあると思うんです。それによって対応が異なるわけですけど、いずれにしても浄化槽の復旧についても、まだちょっと今の段階では緒に就いたばかりで、しっかり進めるように、環境省としても支援してまいりたいと思います。
 
(記者)テレビ朝日の中尾です。おはようございます。引き続き、能登半島地震の関連ですけれども、今、石川の北東のほうの七尾市などでは断水が長期化していると。県水と言われる金沢・加賀方面から200キロに渡って送水をするという仕組みが、損壊の全容が分からないために送れないと。したがって、水の7割が来ないという状況が続いているということです。今後、環境省は水道行政が移管されます。今、県の見立てですと3月、4月以降に復旧という地域も多く示されています。この辺り、今後、水道行政を担う環境省として、対応の予定というか、現状どのように見てらっしゃるかということをお願いします。
(大臣)4月以降、環境省に移管されるのは、水道行政全部ではなくて、水道における水質管理の部分だけでございます。ですから、具体的な施設設置については、国土交通省の管轄であると思います。さはさりながら、政府一体となって水道の早い復旧を図りたいと思います。
 水道が今回、復旧しづらいのは、いろんな理由がありますけれども、複合的に破損しているということなんです。単に、ある部分の管が壊れているというだけではなくて、間の、何ていうんですか、浄水場も壊れているし、間の中継のところも壊れている。ですから、どこが壊れているかということが全部分からないと、なかなか復旧できないという現状があると思います。ですから、それを今、順次やっているわけですけれども、どちらかというと2次避難のほうに割合、注力しているという部分もあって、管轄が違うかもしれませんけれども、国土交通省としても必死にやっていると思います。
(記者)今後、4月以降に施設が、国交省メインで順次、直っていった暁には、よりよい水質の水を送るという環境省の使命が実際に機能してくるわけです。その辺り、例えば予算措置を新たに講ずる考えがあるかとか、4月以降の水質の管理という点での対応について、意見や御見解があれば、お示しください。
(大臣)今回、予備費を1兆円にしましたけども、もちろん、それでは不足だと思いますし、今後の必要に応じて、新たな予算措置が講じられる可能性は非常に高いと思うんです。 ですから、現時点で、どういう予算をどれぐらい使ってということを私が発言するのは適当ではないと思いますけれども、いずれにしても、環境省としては、所管の、特に水質管理の分野について、必要な予算を獲得して、しっかり安全な水が被災地に送られるような体制を確保してまいりたいと、そのように考えます。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=mj0DLkNle5s&list=PL9Gx55DGS7x7KxcngqArvF_NxEuXney24&index=1
 
(以上)