大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年1月16日(火)11:00~11:20 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 令和6年能登半島地震における環境省の対応について、1月12日金曜日の会見以降の取組進捗状況を報告いたします。
 まず、し尿・生活ごみ対策でございます。避難所などのし尿ごみ・生活ごみ対策、大変重要でございます。し尿については、現在バキュームカー40台以上の体制で、避難所の仮設トイレなどからのし尿回収を行っております。引き続き全ての避難所からの確実な、し尿回収を実施するとともに、仮設トイレ等の衛生環境の確保や、洋式トイレへの転換など、利便性の向上に向け、きめ細かに現場での支援を行ってまいります。
 生活ごみについては、回収の遅れなどでごみが堆積し、生活環境に支障を来すことがないように対処することが重要です。現在、県内外の自治体や民間事業者から、収集車を20台規模で応援派遣いただき、地元の車両と合わせて60台規模の体制で、避難所や各家庭からのごみを回収しております。また、被災により稼働を停止していた、能登地域の4つのごみ焼却施設のうち、今月11日に復旧した七尾市の施設に加え、羽咋市の施設も12日に復旧し、2つの施設で生活ごみの処理を再開しております。
 環境衛生対策は、避難所や家庭での生活の基盤となるものであり、非常に重要でございます。被災者の方々の生活環境に支障を来すことがないよう、引き続き、し尿や生活ごみの収集体制強化に取り組んでまいります。
 次に、仮置場対策、家屋解体の取組です。家屋解体の片づけが進むにつれ、片づけごみなどの災害廃棄物が発生しており、石川県加賀地域や富山県、新潟県だけでなく、特に被害の大きい能登地域においても、仮置場の設置が順次進んでおります。現地派遣した環境省の職員などが、仮置場やその候補地の現場を確認し、搬入物の分別や管理の方法、搬入ルートの変更による渋滞対策などについて助言を行っております。片づけごみの仮置場への搬入が円滑に行われるよう、引き続き仮置場の適切な設置・運営に関する現場支援を行ってまいります。また、全壊・半壊家屋の解体についても、関係団体にも協力をいただきながら、被災自治体からの問合せ対応や、自治体向けの説明会を行うなど、丁寧に支援していきます。被災地域における災害廃棄物の処理が円滑・迅速に行われるよう、引き続き全力で支援を行ってまいります。以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)おはようございます。幹事社のテレビ朝日の中尾です。能登半島地震に関しまして、これまで大臣は、能登では、し尿・生活ごみ処理が必要な第1段階で、富山・新潟などでは、ごみ撤去の第2段階とする現状認識をこれまで示されていました。このステージの捉え方についてですけれども、これまでの現場からの報告、あるいは活動の実態から見て、何かしら変化を感じていらっしゃいますでしょうか。具体的な報告などの状況や、それから大臣としての印象などがあればお答えください。
(大臣)特に被害が大きい能登地域においては、これまで、第1ステージとして、し尿・生活ごみの回収・処理の体制構築や、その強化を行ってきたところでございます。
 これに加えて、1月12日以降、新たに七尾市、羽咋市、宝達志水町の3市町では仮置場が設置され、能登地域においても、第2ステージの災害廃棄物の撤去に徐々に移行しつつあります。
 1月12日の政府の非常災害対策本部会議において、岸田総理からも、まずは、避難所等のし尿や生活ごみの回収・処理、処理施設の早期復旧を進めるとともに、災害廃棄物の仮置場の早期設置や家屋解体に向けた体制整備、広域的な処理体制の確保等に速やかに取り組むように指示がありました。
 今後も日々状況が変わっていきますので、地域ごとに局面が異なる点を常に意識するとともに、次のステージやさらにその次を見据えて、地域の特性や進捗の変化等に応じたきめ細かな支援を行っていきたいと思います。
(記者)ありがとうございます。確認ですけれども、今名前が挙げられた七尾市、羽咋市、宝達志水町では、第2ステージの兆候が見られるという認識という理解でよろしいでしょうか。
(大臣)そこだけではなくて、ほかも含めて徐々に移行しつつあるということです。第1ステージと第2ステージってスパッと分かれるものではなくて、並行していくものでございます。そして地域によって第2ステージの移行の度合いというのは異なるということだと思います。
(記者)ありがとうございます。もう1点、今朝の能登半島地震非常災害対策本部会議において、岸田総理が被災者支援に関する政策の指示、あるいは今後、被災自治体と直接意見交換するような機会を関係閣僚に指示したということですけれども、これに関しまして伊藤大臣のほうでは岸田総理からの指示、あるいは何らか会議での対応等ございましたでしょうか。
(大臣)岸田総理からそのような発言があったことは承知しております。常々、毎回の対策会議において総理から、災害対策本部長から指示があるわけでありますけれども、環境大臣として、その指示に従い、環境省の所掌範囲において全力を挙げているところでございます。被災自治体からの状況、つぶさに日々、私も報告を受けておりますので、それと総理からの指示を合わせて、しっかり状況の変化に合わせて環境省ができる限りのことをしてまいりたいと、そのように思います。
(記者)確認ですけど、岸田総理から環境省の所掌分野において具体的な指示等があったりしましたでしょうか。
(大臣)毎回あるのでございますけれども、特に今日の発言の中においては、家屋の解体撤去や災害廃棄物の処理、これについてしっかり取り組むようにという御指示がありました。
 
(記者)時事通信の鴨川です。話変わりますけれども、脱炭素先行地域についてお伺いします。2030年までに地域の二酸化炭素実質ゼロを目指す脱炭素先行地域に関しまして、今まで4回募集していまして先行事例がどんどん積み上がっていることや、2030年がどんどん近づいていることもあって、自治体の提案のハードルがますます上がっているかと思います。実際に先行地域に選ばれる割合も回数を重ねるたびに下がってきているといいます。今後、第5回の脱炭素先行地域の募集もあるかと思いますが、今まで選定に漏れた自治体の再チャレンジもあると見込まれています。そのような自治体にメッセージがあればよろしくお願いいたします。
(大臣)第4回の選考の際、評価委員会の総評として、既に多様な74提案が選定されていることから、これまでにない先進性・モデル性がある提案が期待されること、また横展開を見据えて、都道府県や地域金融機関、地域エネルギー会社、中核企業等の連携の在り方について一段の工夫が重視されること、また事業性が高いものが今後さらに重視されることなど、御指摘をいただいております。
 第5回の選定は、募集要項等の公表が2月上旬から中旬にかけて行い、6月中旬から下旬にかけて募集期間を設ける予定でございます。従前より長い期間が、その募集までの時間にあるわけでございます。
 再チャレンジ、これをされる自治体におかれましては、評価委員会の指摘も踏まえながら検討を深めていただき、先進性・モデル性に優れた提案を御提出いただくことを期待したいと思います。それから、2025年までに少なくとも100か所選定に向けて継続的に募集・選定を行っていくことでございますけれども、ぜひそういった先進性・モデル性が優れた提案が多く、再チャレンジも含めて、されることを期待したいと思います。
 
(記者)毎日新聞の岡田です。2点お聞きしたいのですけれど、能登半島地震のし尿回収ですけど、現時点では全ての避難所を確実に回り切れていない状況ということですけれども、だんだん状況が分かってきたかと思うんですけど、今現在で1日1回、回収できている避難所というのは全体の何割ぐらい、対象の何割ぐらいあるかというのは分かるものでしょうか。
(大臣)御指摘でございますけれども、し尿処理については、仮設トイレは急速に増設されているわけでありますけれども、回収体制も順次強化しておりまして、おおむね1日1回以上の回収体制を確保しつつあると報告を受けております。
(記者)おおむねとは、どれぐらいというのは分からないですか。
(大臣)細かい数字は、後で、事務方にお伺いいただければと。おおむね1回はできているという報告を受けております。
(記者)それを、今後は全ての避難所で1日1回回収できるように目指すと。
(大臣)はい。おおむねの残りがどれぐらいかは、数字を後でお聞きいただきたいと思います。
(記者)もう一点は、災害廃棄物の広域処理の在り方についてお聞きしたいのですけど、これは、環境省としてはどういう考え方なのでしょうか。富山県など隣県に限らず、国として調整に当たっていく考えなのでしょうか。
(大臣)現在のところ、どれぐらいの災害廃棄物、特に家屋解体等に伴うものが出るのか数字として明確でございませんので、47都道府県どこまでということは明確には申し上げられませんけども、総理からのご指示もあり、広域処理体制をしっかり確保するようにということがございますので、必要に応じて必要な都道府県に御協力をいただきながら広域処理が図れるように、環境省としても努力してまいりたいと、そのように考えます。
(記者)広域処理は、県も調整に当たると思うのですけど。石川県もですね。環境省は、どういうスタンスなのでしょうか。石川県から要請を受ければ調整に当たるのか、それとも最初から国主導で調整に当たるのか、その辺のお考えがあれば教えてください。
(大臣)それは石川県と協議しながら、国として、石川県以外の自治体とも調整していくという形だろうと思います。
 
(記者)NHK、田村です。ごみの収集で、生活ごみのほうですけれども、パッカー車を県外からも含めて60台ということなんですけど、これで、今、十分というところなのか、ごみの収集が追いついていないと、ここにも記載があるんですけれども、まず体制を増やしていくお考えが、他県とも調整して、じゃあどれぐらいまで増やしていくなど、目標があれば教えてください。
(大臣)発災直後から堆積した生活ごみがありますので、確かに1回のパッカー車で運び切れないという地域があることは認識しております。しかしながら、次第に状況は改善しておりますので、多分その60台を120台に増やすとか、そういう必要はないのだろうと考えておりますけど、これも、細かい数字については、事務方にちょっと聞いていただきたいと思います。
(記者)ありがとうございます。生活ごみは今のような状況で、今度は災害廃棄物についてなんですけれども、家屋解体だったり、片づけごみのほうなのですけれども、例えば石川県だと先に設置済みの七尾市さんとかですと、かなり行列ができて、3時間、6時間とかお待ちになっている状況だったり、持込みにですね。とか、もう置く場所がだんだんなくなってきているというような状況、現地から声も出ているのですけど、その点、対応だったり、何かお考えはありますでしょうか。
(大臣)はい。片づけごみの収集で渋滞が起きたという報告は受けております。この渋滞は、1つには予想以上に多くの方が運んだということと、もともとその運ぶルートであった道路が道路状況によって使えなくなったために、違う道を行ったという、その2つの要素が重なったことだと聞いております。しかしながら、搬入で渋滞が起きないように、状況を把握しながら、適切な搬入ルートについての指導、助言も行ってまいりたいと思います。
(記者)ありがとうございます。あと、先ほども出ました広域の処理についてなんですけれども、例えば仙台とか、宮城だったり、それらの自治体のほうから広域処理の御協力をしたいというような声が上がっていたりだとか、あと、先ほど述べましたように、ちょっと、もう、いっぱいになってきている場所があるということなんですけど、広域処理については、まだ今後、石川県と調整していく、今の段階では特に環境省としての考えはないということでいいでしょうか。
(大臣)現在、まだ生活ごみのほうが中心だと思います。災害廃棄物も徐々に出始めておりますけども、多分広域処理というのは災害廃棄物の段階でより重要になってくると思いますので、並行して、国として、環境省として、広域処理ができる、何ていうのでしょうか、仕組みを、しっかり、被災自治体と連携しながら進めてまいりたいと思います。
(記者)ありがとうございます。あと、仮設トイレの件ですけれども、和式から洋式への転換が必要だと、和式から洋式の転換というのはどのように行っていくのか。その仮設トイレ自体を交換するのかとか、なぜ洋式の方がいいのかという点だったり、不適切な使用状況を確認されているということですけど、例えばどういった点が確認されているのかというところと、あと簡易トイレから発生した固形ごみの回収が追いついていないというのはどういった背景なのかというのを教えていただければと思います。
(大臣)前段の、和式を洋式に替えるというのは、仮設トイレを替えるというのは、カセットみたいに置いて洋式にするという方式です。これは、設置を主体的に行っているのは経済産業大臣ですけれども、大臣に、私のほうから言って、なるだけそれができるようにしていただいております。
 それから、不適切な使用で一番大きいものは、過剰な紙を流すことによる詰まりなんですね。ですから、適切な使用に関しては、3項目の注意事項というものを環境省のほうで配布して、なるだけ適切に使用していただけるようにお願いしていると思います。3つ目の質問は、何かありましたか。
(記者)簡易トイレのほうの固形ごみの回収が、これ追いついていない状況だと書いてあるんですけれども。
(大臣)簡易トイレについては、追いついていないということと、これをそのままパッカー車に入れますと、圧力が加わった段階で破裂してしまうという問題があるんです。そこで私のほうでも指示いたしまして、できれば色の違うものに入れて、黄色等、もし可能であれば、パッカー車でなく、トラック等の後ろに積むということ。それができない場合は、パッカーで圧力をかけなければ破裂しないので、こぼれないようにしながらも、パッカーしないで運ぶということを指示したり、検討したりしているということです。ただ、量的に、今足りないという状況ではないというふうに私は聞いておりますけれども、これもちょっと、事務方から聞いていただきたいと思います。
(記者)最初のほうの、洋式のトイレにしたほうがいいというのはどういう点からなのでしょうか。
(大臣)これは、やっぱり私たち日本人、私が小さい頃は和式が中心だったんですけれども、もう洋式に慣れておりますので、和式でありますと、立ち上がれないという高齢者の方もいらっしゃるんですね。ですから、現在の日本の状況では、やっぱり洋式のほうが使いやすいのかなと。他方、洋式でありますと皮膚が触れますので、そこの衛生管理ということも1つの課題だろうと思います。
 
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=IqLwPDtf3AI&list=PL9Gx55DGS7x7KxcngqArvF_NxEuXney24&index=3

 
(以上)