大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年1月12日(金)11:00~11:21 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 令和6年能登半島地震における環境省の対応について、1月9日火曜日の会見以降の取組・進捗状況をご報告いたします。
 1点目は、避難所のし尿対策でございます。関係団体のご協力により、バキュームカーによる回収を1月9日時点の30台体制から40台以上の体制に増強し、仮設トイレなどからの、し尿の回収を行っております。また、被災し、稼働を停止していた能登地域の7つのし尿処理施設のうち、能登町、中能登町、羽咋市の3つの処理施設が、今月9日に復旧しました。これらの施設で、し尿処理を行うとともに、引き続き、稼働停止中のし尿処理施設のタンクを一時受入れの施設として活用するなど、運搬の効率化に取り組んでおります。また、国土交通省と連携し、七尾市の下水処理施設を活用した処理を、今月10日から開始しました。このように、し尿の回収・処理体制が整備されてきており、今後は現場の状況などを踏まえた、きめ細かな対応が重要となります。環境省では、避難所での仮設トイレの衛生環境の点検や、仮設トイレの設置状況のマップ化などにより、バキュームカーのより効率的な運用を支援してまいります。
 次は、生活ごみ対策でございます。能登地域の避難所では、し尿対策とともに生活ごみの回収・処理が課題となっています。現在、名古屋市から収集車の応援派遣をいただいておりますが、今後は、他の自治体や民間事業者等からの応援により、収集車による回収体制の強化を鋭意進めてまいります。また、被災により稼働を停止していた、能登地域の4つのごみ焼却施設のうち、七尾市の施設が今月10日に復旧し、生活ごみの処理を再開しております。生活ごみの堆積により、避難所などでの生活環境に支障を来すことがないように、引き続き収集体制の強化に取り組んでまいります。
 次は、仮置場のことでございます。仮置場設置、家屋解体でございますが、昨日の持ち回り閣議において、今回の災害が特定非常災害に指定されました。これを受け、市町村が行う損壊家屋等の解体・撤去費用については、全壊家屋だけでなく、半壊家屋も補助対象に追加し、昨日のうちに被災自治体に周知を行いました。これらの災害廃棄物処理等の補助制度について、今週からオンラインによる自治体向け説明会を順次開催しております。 今後とも、現地に派遣している環境省職員や人材バンクの自治体職員とともに、被災自治体への技術的な助言を行うなど、丁寧に支援してまいります。
 次に、被災ペットの対応でございます。災害時の被災者のペットへの対応は、被災者の救護や心のケアの観点からも重要でございます。環境省では、1、避難所でのペットの受入れ体制の整備、2、避難生活中に飼育できなくなった被災者のペットや、飼い主とはぐれたペットの一時預かり体制の整備、3、ペットと共に住める仮設住宅の確保の  3点について、現地のニーズを踏まえた支援を行います。既に、先週1月6日に、動物愛護の担当職員を石川県等に派遣し、県との協議や避難所の状況把握等を行っています。また、被災者にペット関連用品が届くよう、石川県獣医師会やペット関連団体と連携して対応をしております。引き続き、ペットの一時預かり体制の整備、仮設住宅におけるペットの飼養に関し、石川県や関連団体と連携しつつ、被災者と被災地に対して、積極的な支援をしてまいります。
 最後に、昨日11日から今般の地震における対応体制の強化を図るために、環境省本省に災害対応オペレーションルームを立ち上げ、40人規模の体制で対応に当たっております。現地にも30人規模の体制で職員を派遣しており、本省、地方環境事務所が一体となって、被災自治体に寄り添った支援を行ってまいります。以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)テレビ朝日の中尾です。おはようございます。今回、能登半島地震に関連して質問いたします。災害関連死の発生の報告が続いております。全容は、全てはつまびらかではございませんけれども、避難所をはじめ、被災地の衛生環境の悪化といった背景につながる情報の指摘もございます。こうした報告を環境大臣としては何らか受けていますでしょうか。また、この災害関連死が相次いでいる状況を、環境省の対応に反映される方針とかお考えがございましたら、具体的にお答え願えればと思います。
(大臣)災害関連死は、なるだけなくさなければなりません。そのために全力を挙げる必要があります。環境省では、発災以来、非常災害対策本部を随時開催し、私も毎回出席して、本省や現地対策本部から直接、対応状況の報告を受けております。現状、発災から10日以上が経過し、地域ごとに局面が異なってきていると受け止めております。
 能登地域では、現在も第1ステージの、し尿・生活ごみ対策が中心でございます。避難所等からの、し尿回収体制が構築されつつある一方で、生活ごみへの対応が課題となってきております。このため、現場の状況などに応じて、し尿回収のきめ細かな支援を行うとともに、生活ごみの堆積により生活環境に支障を来すことがないよう、収集体制を強化する必要があると考えております。
 一方、加賀地域や富山県、新潟県では、第2ステージの災害廃棄物の撤去に向けた取組が進められつつあります。被災市町において、仮置場の設置が進んできており、今後は、片づけごみの撤去や家屋解体に向けた体制の構築が重要となってまいります。
 今後も日々状況が変わっていくことから、現場の課題等を現地と本省で共有しつつ、県ともよく連携して、地域の特性、状況等に応じたきめ細かな支援を行ってまいりたいと思います。
 
(記者)時事通信の鴨川です。気候変動対策についてお伺いしたいと思います。先日、EUの気象情報機関コペルニクス気候変動サービスが、2023年の世界の平均気温が14.98度と、観測史上最も暑い1年だったと発表しました。産業革命前の平均気温と比べて、気温が1.48度上昇しておりまして、パリ協定で掲げる気温上昇を1.5度以内に抑える目標に迫ってきています。先日、COP28も終了しましたが、気温が上昇していることについて、大臣の受け止めをよろしくお願いします。
(大臣)大変危惧をしております。御指摘の発表は承知しております。2023年はエルニーニョ現象もあり、自然現象により気温が上昇する傾向であったものの、気温の上昇がパリ協定の1.5度目標に迫っております。危機感を持っております。我が国を含め、世界各国がより一層取組を強化していかなければならないというふうに認識しております。
 我が国としては、引き続き2030年度の46%削減、2050年ネットゼロに向けた取組を進めるとともに、私も出席しましたけれども、COP等の機会を活用し、世界各国に1.5度目標と整合する排出削減目標の策定、更新に向けた働きかけを行ってまいりたいと思います。
 また、気候変動の脅威から、国民の皆様の生命と財産を守るために、気候変動適応法の下、政府一体となって、熱中症対策を含む適応の取組も強化してまいりたいと思います。
 
(記者)NHKの田村です。災害のごみについて、災害の能登半島地震での生活ごみの処理においてなんですけれども、特に輪島市の避難所でのごみというのが結構問題になっているみたいですけれども、こちら、今どういった状況で、回収が追いついていないという御認識で、課題として挙げられているのか。あとこちら、各自治体からのごみの収集車の応援というところですけれども、前回のときもそのようにおっしゃっていたんですけれども、今どういった状況で、名古屋市の2台以外は、どういった状況で派遣が決まっているのか、決まっていないのか、調整中で、なかなか行けないというのであれば、どういった理由があるのかというのを教えていただけると。お願いします。
(大臣)日々現地の状況は変化しておりますし、それから今おっしゃられたように、それぞれの自治体で、状況の変化があります。私たちとしては、その状況の変化に応じて、あるいは、できれば先取りして、収集体制を強化してまいりたいと思います。ただ、交通渋滞や、それから応援していただく皆さんとの協議もありますので、なるだけ、その町々をはじめとして、生活ごみの堆積がないように全力を挙げてまいりたいと思います。詳細については、事務方からお聞きいただければと思います。
 
(記者)毎日新聞の岡田です。生活ごみとし尿処理の関連でお聞きしたいのですけど、この生活ごみのほうは、この体制強化は、どのような規模でとか、どう強化していくかというところは、具体的には何かありますでしょうか。
(大臣)数値等については、事務方にお聞きしていただければと思います。いずれにしても、事態の変化に合わせて、あるいは、先取りして、体制の強化をしっかりしてまいりたいと思います。それから、幾つかの処理場が復旧しているということもありますので、処理施設の復旧についても急ぎたいというふうに思います。
(記者)あと、この、し尿処理については、これは体制を40台体制に強化していますけれども、これまでに何か、回収する上で、課題があったりとか、回収がなかなかうまくいっていない点ですとか、現状ではどういうふうな状況かというのを教えてもらえますか。
(大臣)日々、状況は変化しておりますけれども、今日の災対本部でも、齋藤経産大臣から、今仮設トイレ689基設置したという報告がありました。それで、経産省が設置しているものもありますし、独自に設置されているものもあります。
 それで我々は、回収体制を効率的にするために、マップを作りまして、どこの地域のどこに何基置かれて、その前にはどれぐらいの方が避難しているか、そして今度幾つかの、し尿処理場も回復しましたので、前よりは楽になりましたけど、前は、能登半島のし尿処理施設は全部使用不可だったものですから、それを白山市まで持っていくということで、白山市まで持っていくと、ものすごい時間がかかって。最近少しずつ時間縮まりましたけども、当時は7時間とか6時間かかったということもありますので、そういう困難がありました。今は、少し交通状況が前よりよくなった点と、それから初期15台だったものが、今40台になった点。それから、先ほど御説明申し上げましたけども、幾つか処理施設が復旧しましたので、そういう意味で大分改善してきていると思います。しかし、常に状況変化しておりまして、やはり一部の仮設トイレで十分な収集が追いつかないということもあると思いますので、毎日努力して改善したいと、そういうふうに思います。あと細かい数字、あれでしたら事務方にお聞きしてください。
 
(記者)エネルギージャーナルの清水です。能登半島沖地震の原子力を所掌する、規制庁を所掌する伊藤環境大臣として伺いたいのですが、一部の報道では、能登半島の西側の断層が、佐渡につながっている断層が、大きく動いた、人によっては、2百数十キロ動いたと。それの断層の枝葉が、大きな悪さをして、ご存じのように、志賀原発が、再開の審査中ですけど、志賀原発も含めて、今後の安定審査にやはり大きな影響があるのではないかと。あるいは、はっきり言えば、安全審査の基準の、断層や何かの把握の見直しとか、あるいは、ガル数の対応の見直しとか、その辺、そんな細かいことはいいんですけれども、大臣としての、その今回の原発に関する絶縁油かなんかの液漏れもあったし、現時点でどういう認識で、原子力規制について、安全規制について、どういう認識を持っておられますか。
(大臣)まず、今回の地震によって、北陸電力の志賀原子力発電所の安全確保に影響のある問題は生じてないと承知しています。それから、今御質問のあったところでございますけれども、国としては、地域原子力防災協議会を設置し、地域防災計画、避難計画の具体化、充実化に向けて、志賀地域の緊急時対応を取りまとめることにも取り組んでいるところでございます。今回の地震で得られた教訓、知見を踏まえて、取りまとめていくことが不可欠だと思います。
 それから、それ以外の地域でございますけれども、地域の実情というのは、それぞれありますけども、既にこの大規模な自然災害と、原子力災害との複合災害というものを想定して、緊急時対応を取りまとめているところでございます。具体的対応としては、今回、道の寸断がありましたけども、避難道を複数経路設定するとともに、適宜、代替の経路を設けるということ。それで、陸路が制限される場合には、道路啓開をやりつつ、海路避難、空路避難、また必要に応じて屋内退避をすることで、住民の安全を守っていくと。それから、不測の事態が生じた場合には、国や関係自治体からの要請により、実動組織が住民避難の支援をするということにしております。おっしゃられたように、原子力防災には、完璧とか終わりはないので、今回の地震を通じて得られた教訓等を踏まえて、原子力防災体制の充実・強化を図って、原子力災害の対応、実効性をしっかり取り組んでまいりたいということでございます。
 それから、原発の安全審査そのものについては、これは独立性のある規制委員会の判断なので、私自身からコメントすることは差し控えたいと、そういうふうに思います。
(記者)ありがとうございます。例えば、島根2号とか、審査中のものが、この志賀と、非常に類似的なところがあると思います。そういう他の地域への影響、今回はまだ十分データが出てきていないですけど、それはやっぱりある程度想定されながら、今後対応していくという、まあ、規制庁の話ですけど。
(大臣)規制庁が、今回得られた知見も含め、適切に判断する。我々としては、その規制庁が判断することをサポートしていくということでありますし、その上に立って、原子力防災というものをしっかり進めていきたいと、このように思います。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=oDNeDL1KlQc&list=PL9Gx55DGS7x7KxcngqArvF_NxEuXney24&index=1
 
(以上)