大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣記者会見録 (令和6年1月4日(木)16:00~16:23 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

石川県能登地方を震源とする地震によって、お亡くなりになられました皆様に心から御冥福をお祈り申し上げます。また、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
 環境省では、この災害に対応するため、1月1日に環境省非常災害対策本部を設置し、現地の被害状況の把握とともに、被災自治体における災害廃棄物処理の支援をはじめ、必要な対応を鋭意行っています。
 災害廃棄物対策は、被災地域における生活環境の確保、復旧・復興を進めていく上で大変重要であり、本省・地方環境事務所を挙げ、被災市町村のニーズに即して、きめ細かく対応してまいります。
 災害廃棄物対策は、発生後の時系列、局面に応じて、大きく分けて、応急初期の「生活ごみ処理」、主にし尿、日常生活のごみになりますが、そして、応急・復旧期の「災害廃棄物撤去」、そして、復旧・復興期の「災害廃棄物処理」の3つのステージがあり、大局観を持って、戦略的に対応することが重要となります。
 発災後、初動の現在は、現地体制の構築・強化を進めながら、1つ目の生活ごみの支援に注力しつつ、2つ目の災害廃棄物撤去に向けた支援も並行して徐々に進めております。
 2日、石川県庁内に設置された政府現地対策本部に、災害廃棄物担当の飯田大臣官房審議官を派遣し、現地の陣頭指揮に当たらせています。また、本省・地方環境事務所職員を2日以降、石川、新潟、富山各県に順次派遣し、被害状況や災害廃棄物の発生状況の確認や被災自治体への技術的助言を行っています。また、現地体制を強化すべく、災害廃棄物処理に知見を有する職員等の現地派遣を本日4日以降、20名規模に増員し、現地対策本部を通じて、石川県から応援要請のあった石川県輪島市及び珠洲市に加え、特に被害の大きかった能登地域の市町に対し、プッシュ型で職員派遣、現地支援を行います。加えて、東日本大震災や平成28年熊本地震への対応経験を有する環境省OBで、元環境再生・資源循環局長の山本昌宏氏を本日4日付で、環境省参与に任命し、5日から現地派遣することとしました。
 今後は、被災自治体における災害廃棄物対策支援に向け、災害廃棄物処理の経験を有する自治体職員を登録する、環境省の災害廃棄物処理支援員制度を活用した応援派遣等も順次行ってまいります。
 冒頭に申し上げましたように、発災直後から数週間の応急初期においては、避難所も含めた生活ごみの処理体制の確保が極めて重要となります。避難所等の仮設トイレに関しては、経済産業省を中心に、今朝時点で82基が現地に輸送され、順次、避難所での設置が進められています。避難生活を強いられている方々の生活環境を維持するために、これら仮設トイレからし尿を適切に回収していくことが重要です。このし尿回収に関して、現地対策本部を通じた応援要請も受け、清掃事業者団体を通じ、バキュームカーの調達を鋭意進めています。本日4日時点で、石川県内の清掃事業者の応援により15台の派遣を行うとともに、富山県、福井県など他県の団体にも協力を要請し、支援台数の拡充を進めてまいります。また、被災が確認されている石川県と新潟県の一部の廃棄物処理施設について、県とも連携し、施設の復旧と並行して、周辺市町村や周辺県での受入れ調整等を行っています。
 被災施設対応に関し、本日4日、国定環境大臣政務官を新潟県燕市に派遣し、被災した同市の廃棄物処理施設の現地確認、市長との意見交換を行いました。施設復旧や周辺自治体での受入れ調整などについて最大限支援してまいります。
 次に、これから数か月までの応急・復旧期において重要となる災害廃棄物撤去については、現在、被災市町村において災害廃棄物の仮置場の確保・調整が進められ、順次設置されつつあります。現在対応中のし尿、日常生活ごみ処理と並行して、今後、被災家屋からの片づけごみや家屋解体等に伴う災害廃棄物が順次発生していくことを見据え、仮置場の設置や管理・運営などに関する技術的助言を継続的に行ってまいります。また、片づけごみ等の撤去や、仮置場への搬出の段階になると、収集・運搬体制の確保が重要になることから、災害廃棄物処理支援ネットワーク、D.Wasteネットワークなども活用し、全国の市町村や民間事業者等の応援による収集・運搬支援を行ってまいります。
 被災地における生活環境の保全と早期の復旧・復興に向け、被災自治体における災害廃棄物処理が円滑、迅速に行われるよう本省・地方環境事務所を挙げ、全力で支援してまいります。

2.質疑応答

(記者)共同通信社、間庭と申します。よろしくお願いします。先ほど御発言のあった中で、災害廃棄物の撤去というところに関連してなんですけれども、もし現段階で把握されていればで結構なのですが、石川、新潟、富山3県で、いわゆる国のほうで義務づけている災害廃棄物処理計画ですけど、全部の自治体のうち、どれぐらいの自治体で策定されているかとかいう状況について御把握されていたらお願いします。
(大臣)まだ、現在余震が続いておりまして、被害の全容が明らかになっておりません。したがいまして、災害廃棄物の発生量について現時点で数字をお示しすることは難しいと思いますが、また、その処理期間やコストについても状況によって異なるため、現時点では、若干お示しすることはできないと思います。いずれにしても、被災自治体における災害廃棄物の処理を円滑に、また確実に実施されるように環境省として万全の支援を続けてまいりたいと思います。
(記者)ありがとうございます。まさに聞きたいのは、そういうところが結局のところだったのですけれども、3県で災害廃棄物の処理量の見積り等に通ずる災害廃棄物処理計画の策定状況というのを把握されていたりしますでしょうか。
(事務方)これは後ほど、事務方のほうから、整理してお答えいたします。
(記者)分かりました。あわせて伺います。先ほど言及があったところに関連してなんですけれども、ごみ、がれき等の搬送・撤去というところに関連して、自衛隊などとの連携とか、そういったところについてお話進んでいるところがあれば教えてください。
(大臣)近年の大規模災害においては、現場の状況とか、実態に応じて、防衛省、自衛隊、あるいはまた関係省庁と連携しているわけですけれども、災害廃棄物の処理に係る防衛省、自衛隊の支援については、今後の事態の把握、また、緊急性等を鑑みながら適切に判断されるものと思いますが、いずれにいたしましても環境省としては、連携を深めながら、災害廃棄物の処理が円滑、確実に実施されるように支援を続けてまいりたいと思います。
(記者)ありがとうございます。すみません、最後に1題。今回、災害ごみ、災害廃棄物が、なかなかその撤去に対して時間がかかるということであれば、過去の災害と一緒で、なかなかその復旧・復興の足かせになるということが懸念される中で、そうしたところについて、まだちょっと、救助というところが最優先になっているかなというところはあるのですけれども、被災地への呼びかけであったりだとか、そういったところがありましたらよろしくお願いします。
(大臣)分かりました。避難所のし尿、生活ごみ、被災家屋からの片づけごみなどの災害廃棄物が大量に発生しているところでございます。この災害廃棄物に適切に対応することは、避難所の生活環境の保全や早期の復旧、また復興のために大変重要でございます。過去の災害でも、路上の廃棄物が緊急車両の交通の妨げになる、分別されていない廃棄物により火災が発生するなどの問題が生じた例がございます。こうした事態を防ぐためにも、被災された皆様方におかれましては、ぜひ、各自治体が定める災害廃棄物を仮置場や処理施設に持ち込む際のルール等を御確認いただければありがたいと思います。皆様の御協力が早期の復旧にとても大切でございます。環境省としても、関係省庁と連携して、総力を挙げて、この災害廃棄物が円滑、迅速に処理されるように全力で取り組んでまいります。
 
(記者)朝日新聞の市野です。大きく2点、し尿の回収の話ですけれども、1点目は、現地には職員がもう入っているということなのですが、避難をされている方が少なくとも3万人ぐらいもいらっしゃるということで、現地の報告として、その避難所のし尿のたまり具合であるとか、そういった部分に関して、現地の状況について聞いている部分があれば教えていただきたいというのが1点。
 あともう1つが、バキュームカーについて、15台、現時点で確保されている、そして先ほどのお話だと派遣ということだったと思うのですけれども、ここは確保というよりは、もう派遣、今日付で派遣されているのかというのと、あと、これに関連して、最終的にはどれぐらい必要で、バキュームカーをどれぐらい集めて派遣されようとしているのか、まだ集めるということだったので、そこも併せてお答えいただければと思います。以上、状況の話とバキュームカーの話でお願いいたします。
(大臣)細かい数字は事務方のほうからさらにお答えしたいと思いますが、いろいろな推計によると、16台ぐらいで足りるという推計もありますし、余裕を持つ、ただ、交通渋滞が大変起きているということでございますので、私としては、なるだけ40台ぐらい確保するべく努力したいというふうに考えております。あと、細かい数字については事務方からお聞き願いたいと思います。
(記者)現地の状況について、何か避難所の状況であったり、お話が入っている部分があれば教えてください。
(大臣)現地の詳しい状況は分かりませんけれども、一般論で言いますと、3日に一度はし尿を回収する必要がございます。ですから、3日にいっぺんは回収できるような台数なりローテーションが必要だろうというふうに考えておりますが、これも詳しい計算については事務方からお聞き願えればと思います。
 
(記者)環境新聞の小峰です。大臣、先ほどから関係省庁との連携は重要だとおっしゃっていましたけれども、例えば経産省の齋藤健大臣とはどのような連携を、また、防衛大臣の木原大臣とはどのような連携を、もう少し具体的にお話し願えませんでしょうか。また、齋藤健経産大臣、木原防衛大臣とは、もうざっくばらんにお話しされたのでしょうか。その辺はいかがでしょうか。
(大臣)まず、齋藤健大臣は、今般のこういう事件が起きる前から大変懇意にして仲よくしておりますし、彼の著書も読んでいるところでございます。今日、官邸で開かれた非常災害対策会議の前に、ちょっと私も齋藤大臣も10分以上前に到着していて、私の隣の席なものですから、いろいろお話をしまして、今回も経産省が先日お話ししたように携帯のトイレと、そして今回の仮設トイレを運び、また設置しておりますので、そのし尿処理は環境省の役目でありますので、その話ももう具体的にしたところでございます。
 ですから、この件については経産省と環境省がタッグを組んで、しっかりトイレの設置をやっていくと。このトイレの設置、そしてトイレがちゃんと使えるようになるということは、避難者、避難所の生活環境の中で非常に重要な部分だと思いますし、震災後、健康を害される方の1つの理由に、やはりトイレになかなか行けない、そういうことが健康悪化の理由になっているということもありますので、しっかりこの件についても、齋藤大臣をはじめ経産省と環境省はタッグを組んでやってまいりたいと思います。
 木原防衛大臣も親しくしている間でございますけれども、まだ今御質問があった件については具体的に話しておりませんけれども、いずれにしても、全省を挙げてといいますか、政府一丸となって今回の地震対応をしていくということになると思います。
(記者)齋藤健経産大臣、木原防衛大臣、そして伊藤信太郎環境大臣、現地に3人で一緒に行くなんてことはございますか。
(大臣)こういう大きな災害が起きたときというのは、いろんな御意見があって、総理大臣なり担当大臣が現地に入るべきだという御意見もあります。ただ、他方、最高司令官と言えるかどうか分かりませんけれども、それぞれの省の、あるいは総理をはじめとするトップが現地へ行くということがプラスの部分もありますけれども、マイナスの部分もあるのですね。過去のいろんな事例も、多分皆さん御記憶に新しいと思いますが。それから、同時に3人が行くとなりますと、大臣が行くとなると、今、人命救助に当たっている警察の力が削がれますので、その辺も勘案して、大臣が行くことが、復旧・復興、特に今は人命救助が一番大事な局面ですので、人命救助の妨げにならないような形で現地入りする場合は現地入りしたいということで、多分3人一緒に行くことはないだろうと思います。行けばそれだけ警察の力が削がれてしまいますので、その警察の力はむしろ人命救助に注ぐべきだと私は考えます。
 
(記者)テレビ朝日の中尾です。よろしくお願いいたします。今回被災した3県をはじめ、国立公園など環境省の関連施設、敷地などもあるかと思います。そういったところでの被災の状況、特に人的被害の状況について把握されていることがあれば御回答願います。
(大臣)今般、能登半島の地震によって大きな被害を受けたわけですけれども、石川県をはじめとする北陸地方には国立公園がございます。この件で、各地方環境事務所等が確認を行ったところでございますが、各国立公園は山岳地域に施設があって、冬期閉鎖中であることから確認できていない施設もあるわけでありますけれども、現時点においては、いずれの公園においても地震による被害は確認されていないというところでございます。
(記者)それは、人的被害も含めて確認なしということでよろしいでしょうか。
(大臣)私のところには人的被害を含めて確認はないし、少なくとも職員の被害はございません。誰かが登られているかどうか、それはちょっと、そこまでは私は把握しておりませんけれども、施設及び職員の被害はございません。
 
(記者)共同通信、間庭です。ちょっと聞き漏らしたところなのですけれども、災害廃棄物撤去に関連して、災害廃棄物の仮置場の確保、設置というところで、細かいところはまだこれからかもしれないのですが、十分な仮置場の設置ないし、そういう体制というのが見込まれる状況かどうかというところについて把握されているところはありますでしょうか。
(大臣)十分な仮置場ができるかどうかは、残念ながら現時点でクリアにお答えできる状況にありませんけれども、今朝ほども、昨日も、官邸の会議で、財務大臣から、国有地を仮置場に使うことを自治体に、あるいは我々に通知したという発言がありました。さらに、仮置場に使える国有地について、市町村にリストを作って通知したという発言がありました。その国有地だけで十分だとは思いませんけれども、それも1つのことだと思います。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=HBESS62WfTk&list=PL9Gx55DGS7x7KxcngqArvF_NxEuXney24&index=1


(以上)