大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和5年12月22日(金)10:50~11:11 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。本日の閣議で、環境省関係の決定事項が3つありましたので、それぞれ報告申し上げます。
 1点目は、グリーン購入法に基づく基本方針の変更でございます。この基本方針は、政府調達における製品・サービスの環境性能を定め、環境性能の高い製品・サービスへの需要の転換を促進するものです。毎年度、市場の動向等を踏まえて、見直しをしております。 今年度は、プロジェクターやシュレッダーなどのカーボンフットプリントの算定や開示の推奨や、古紙パルプだけでなく、原料の持続可能性を考慮した印刷用紙の評価の見直しなどの変更を行いました。
 それから2点目でございます。2点目は、家電リサイクル法施行令の一部改正でございます。これまで、家電リサイクル法の対象のテレビは、ブラウン管式、液晶式、プラズマ式のものに限られておりました。昨今、出荷台数が増加している有機ELテレビは、薄型テレビ全体に占める出荷割合が、昨年度時点で13%にまで増加しており、今回の政令改正により追加をいたしました。来年の4月から家電リサイクル法の対象となります。有機ELテレビを含め、家電の適正なリサイクル、資源の有効利用を促進してまいります。
それから3点目は、化学物質排出把握管理促進法施行令の一部改正でございます。本改正は、政府全体で進めている法令手続のデジタル化推進の対応でございます。事業者からの化学物質排出量の届出等において、様々な電子媒体等の利用が可能であるということを明確化するものでございます。冒頭発言は以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)朝日新聞の市野です。原子力で2件、お伺いいたします。まず1点目ですが、東京電力の柏崎刈羽原発について、原子力規制委員会が27日にも事実上の運転禁止命令を解除する可能性を示しています。その後は地元同意に焦点が移る見込みですが、自治体からは大雪を想定した避難ルートの整備などの要望が出ています。改めて、原子力防災担当大臣としての受け止め、今後の対応について教えてください。
(大臣)私自身も柏崎刈羽に行きましたけれども、新潟県、あるいは関係自治体からの要望については真摯に受け止めております。柏崎刈羽地域は、冬季の豪雪がありまして、この豪雪などを念頭に、複合災害時の円滑な避難に向けた取組が重要であるというふうに認識してございます。関係自治体や関係省庁が参加する地域原子力防災協議会の枠組みなどを活用し、地域の声をしっかりお伺いしてまいりたいと思います。
 あと、前も申し上げたかもしれませんが、関係者と調整がつけば、内閣府の事業で対応できるものについては、来年度から実施したいと考えてございます。内閣府で対応が難しいものについては、関係省庁とも連携して取り組んでまいります。
(記者)ありがとうございます。もう一点、原子力に関連して、先日まで開催されていたCOP28においても、日本が2050年までに原発の容量を3倍にするという宣言に同意しています。改めて、脱炭素という意義での原発の役割を、環境大臣としてどのように捉えているか教えてください。
(大臣)私が参加しておりましたCOP28でございますけれども、この中で御指摘のように米国、英国、フランス、UAE、日本等の原子力利用国23か国は、各国の国内事情の相違を認識しつつ、2050年までに2020年比で、世界全体の原子力発電容量を3倍にする目標に向けた協力方針などを掲げた宣言に賛同したところでございます。
 我が国の削減目標、すなわち2030年度46%削減目標の達成、さらにはその先の2050年ネットゼロの実現には、電力の脱炭素化が必要不可欠でございます。そのためには再エネの最大限導入の拡大に加えて、あらゆる選択肢を追求していくことが、政府の基本方針でございます。
 政府としては、原子力については、安全性、これを最優先し、原子力規制委員会の判断を尊重して進めてまいります。環境省としては、原子力規制委員会が独立した立場から、しっかりとした規制ができるように、引き続き予算面、体制面から適切にサポートしてまいりたいと、そういうふうに思います。
(記者)ネットゼロを目指す中での、あらゆる選択肢の中に入っているというふうな認識でよろしいでしょうか。
(大臣)はい。それは成果文書の中にも書かれております。「あらゆる」という言葉は入っていませんけど、成果文書の中にも、その言葉が入っております。
 
(記者)時事通信の鴨川です。富士山の登山についてお伺いします。先日、山梨県が富士山の登山口にゲートを設置して、登山者数を4,000人に規制することや、通行料を徴収する方針を示しました。早ければ、来年の夏にも取組を始める見通しですが、大臣の受け止めをお願いいたします。
(大臣)12月20日に長崎山梨県知事が、富士山吉田口にゲートを設置して、人数及び時間で登山者を制限すること、環境保全協力金に加えて、ゲート通行料を徴収することなど、来年の夏から実施する安全対策の骨子案を発表したことは承知しております。来年の富士山登山シーズンの適正な利用に向けた重要な提案と受け止めております。
 富士山のオーバーツーリズム対策については、政府として重要な課題と認識しており、環境省、山梨県、静岡県が事務局を務める「富士山における適正利用推進協議会」では、来年3月末までに富士登山におけるオーバーツーリズム対策を取りまとめることとしております。
 今回発表された山梨県の対策の骨子案については、今後、山梨県により、関係自治体や関係者と調整されるものというふうに理解しておりまして、環境省としてもオーバーツーリズム対策の取りまとめに向けて、検討を進めていきたいと考えております。
 
(記者)毎日新聞の岡田です。先ほどの原子力3倍の件ですけど、日本はエネルギー基本計画で可能な限り低減するというのはまだ残っていると思うんですけど、そことは矛盾しないのですか。
(大臣)矛盾しないと思います。これはあくまで世界全体で3倍にするということになっているので、各国が3倍するということはうたっておりません。日本はあくまで、既に立てた政府の基本方針、GX計画に基づき、再生可能エネルギーを最大化するという方向に進んでおりますので、矛盾しないと思います。
(記者)容量はもちろん世界全体で、日本で3倍にするわけではないですけれども、ただ、次世代炉の開発とかを推進していくという方針には同意するものではないんですか。つまり、もちろん世界全体で容量は3倍にしていくんだけれども、日本としても原子力を推進している方向に思えるんですけれども、そこはもちろん容量は世界3倍だけれども、日本として依存度を可能な限り低減するというところは矛盾しないのかというところの質問なんですけど。
(大臣)エネルギーを大きく分ければ、リニューアブルエナジー、原子力、それから化石燃料とあるわけですけれども、基本的にはリニューアブルエナジーを最大にするということです。それから、化石燃料からの移行というものがあります。その中において、日本としては安全性というものを、最大、一番最優先に、必要な原子力発電は行っていくという方針ですので、矛盾しないと思います。
 
(記者)エネルギージャーナル社の清水です。2点ほど伺いたいです。一つは、先ほどもちょっと出ていたCOP28を踏まえてというか、その前から、日本は、アジア地域での脱炭素を進める共同体構想というのを出していて、経産省も一生懸命やっている。これでやっぱり鍵は中国をどういう具合に引っ張り込んでいくかということだろうと思うのですが、COP28年でも日中二国間大臣会談なんかもやっておられたし、その辺での見通しというか、日本の、これで、このアジア全体の脱炭素化を図るんだという重要な要素といいますか、それを一点伺いたい。
(大臣)今回のCOP28、私も五日間の間で、数え切れないほどの会議、あるいはその21か国との二国間会談をし、また中国とも会談したわけでありますけれども、最終的に全会一致で成果文書が出されまして、その中には、とにかく1.5度目標のために196の国が最大限の努力をするということ、それから、2025年にピークアウトするということも盛り込まれておりまして、再生可能エネルギーを3倍に、それからエネルギー発電効率を2倍するということも盛り込まれております。それから、過度な化石燃料依存からの脱却を加速していくという文章も盛り込まれて、これは中国も賛成しているわけですね。
 ですから、そういう今回の成果文書というものをしっかり、中国を含め、アジアの諸国も含め、しっかり遵守していくということが大事だろうと思いますし、今後、いろいろな機会もあると思いますので、そのことについてもしっかりと話し合い、また説得をすると。また、それを実現のために、日本ができることをしていくことも大事だと思います。そのためにJCMクレジットなどもありますし、日本ができる技術協力、あるいは大きな額は出せないかもしれませんけど、財政支援と、そういうものを行って、196の国がやっぱり協力して43%を2030年までに削減するということが、1.5度目標を達成するために必要不可欠でありますから、そのために日本は、そこも含めて先導的な役割を果たしていきたいと、そういうふうに考えております。
(記者)今おっしゃった中で、JCMを中国というのは、今まで中国はJCMの適用というか、あれはないですよね。これからやるという考え方もあるということですか。
(大臣)JCMだけではありませんけれども、そのためにも、パリ協定の第6条がフーリーオペレーショナルにすべきだということも、今回私はすごく主張したんですね。ですから、やっぱりそういう国際的な枠組みを使って、それからヨーロッパなんかは、2国間よりもマルチラテラルで、多国間でやろうという考えもある。やっぱりいろんな方法があると思うんです。二国間の協力もあるし、多国間の協力もあるし、とにかくあらゆる方法を使って、世界の196の国が1.5度の目標に達するためのあらゆる方法をつくっていくと、それでできる協力をしていくと、そのことが肝要だと思います。
 とにかく、地球の環境危機があって、困るのは、国を問わず、地域を問わず、もっと言えば、人間だけじゃなくて、生態系全部が非常にサステナブルでなくなるという危機に今直面しておりますので、そのことも私はCOPで相当強く、中国を含め各国に訴えてきたところでございます。
(記者)お答えに非常に情熱を感じますが、もう一つ、再生エネ普及で、さっき原子力の質問が出ていましたけれども、双璧であるはずだというのが政府の方針ですよね。ところが、再生エネ議連というのは、御承知でしょうけれども、前の大臣の小泉進次郎さんも入っていますけれども、機能不全ですよね、今。自民党の洋上風力や何かの、例の秋元事務局長や何かへの嫌疑の問題でね。やっぱり、いろいろな問題が出てきているということは分かりますが、再生エネを最重視する環境省としては、これは大臣として伺うのもあれなんでしょうけれども、この再生エネ議連の自民党の体制、再生エネを推進する自民党の体制ということについて、どういう認識をお持ちですか。
(大臣)そのことに対する直接的な言及は避けたいと思いますけども、環境省として、先導的に再生エネルギーのシェアをというか、広げることに対して、技術面、政策面で推進してまいりたいと思います。
 それから、再生エネルギーもある意味では相当な技術革新が現在進行形で進んでいますから、それを推進することも大事だと思います。洋上風力にしても、太陽光にしても。太陽光でもペロブスカイトという新しい、薄い、効率のいいものもできていますし、これのコストダウンを図るということも必要でしょうし。今考えていない新しい再生エネルギーもあるかもしれません。それから、日本は火山国でありますので、地熱発電とか、そういう可能性もありますので、とにかく再生エネルギーの中でも、あらゆる可能性を選択肢に入れることも大事ですし、再生エネルギー、環境技術というものも、どんどん進歩させていくと、そのことも非常に重要だと思います。
 
(記者)環境新聞の小峰です。伊藤大臣にとっては、外交上、非常に微妙な発言になるかもしれないので、注意深くお答えください。COP28で、イベントで化石賞を、また日本も受賞しましたけれども、去年のCOPのときも環境新聞は報道しましたけど、中国はなぜ化石賞を受賞しないのかと。理由は、その化石賞のNPOが中国から金をもらっているからだと、これは一致した水面下の認識です。そして、一方で、日本のメディアは、中国がなぜ化石賞をもらわないのかということを、私の記憶での限りでは、どこも書いていないと。日本のメディアも、そのNPOを通じて、中国から金でももらっているのかというのが、環境新聞小峰の解釈ですけれども、大臣いかがでしょうか。
(大臣)日本がある団体から化石賞を受けたことについては、コメントを避けたいと思います。それから、私も聞いて調べましたら、中国が化石賞を受けたことはあります。以上です。
 
(記者)毎日新聞の岡田です。先ほどCOPの化石燃料の脱却のところ、化石燃料依存からの脱却を加速していくというふうにおっしゃられたと思うのですけど、今まで移行とおっしゃっていたと思うんですけど、そこは修正なさったということですか。
(大臣)そうではなくて、二度ほど説明しておりますけれども、文章は、正確には、化石燃料からの移行なんです。だけれども、成果文書を正確に訳すと、そこも移行でもいいんですけれども、皆様が脱却という言葉をお使いになりたがるので、どうしても脱却という言葉を使うのであれば、化石燃料への過剰な依存からの脱却を加速化していくという文章になります。化石燃料からの脱却ではないんですね。要するに、化石燃料への過剰な依存からの脱却を加速化していくと。だから、化石燃料からの脱却という文章は一度も私はしゃべっていません。そういうことです。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=Kh15SCoBBVs&list=PL9Gx55DGS7x7KxcngqArvF_NxEuXney24&index=1
 
(以上)