大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和5年10月20日(金)10:15~10:33 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。まず、オーバーツーリズムについてお話ししたいと思います。
 10月18日水曜日、観光立国推進閣僚会議で決定されたオーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージにおいて、環境省の取組があったわけですが、これについて御紹介したいと思います。
 対策パッケージのうち、環境省の取組としては、ごみ問題への対応と、国立公園における安全で適正な利用の推進が重要だと考えております。特に富士山においては、マナー啓発や情報発信に耳を傾けない、危険な軽装登山者や弾丸登山者への対応が必要でございます。富士山における適正利用推進協議会の下、地域の関係者が一体となって、適正な入山管理の強化等の具体的な措置について、速やかに検討を進めてまいります。
また、国立公園は自然豊かな地方部にあり、国立公園の魅力向上とブランド化による地方誘客促進は、都市部を中心とするオーバーツーリズムの対策として重要でございます。このため、十和田八幡平、中部山岳、大山隠岐、やんばる国立公園において、宿泊施設の誘致や地域への経済効果が高いアドベンチャートラベルのような、質の高い自然体験アクティビティの提供など、面的な魅力向上の取組を進めてまいります。
 次に、令和5年度の原子力総合防災訓練について、御説明申し上げます。
 今年度の原子力総合防災訓練は、柏崎刈羽地域を対象として、10月27日金曜日から、29日日曜日に実施いたします。
 私自身、原子力防災担当大臣として、官邸及び内閣府において、1日目と2日目の訓練に参加する予定でございます。また、原子力防災担当の副大臣である滝沢副大臣を、現地オフサイトセンターに派遣する予定でございます。訓練の内容、この詳細については、本日午後に、事務方による説明会を開催いたしますので、その際にお尋ねいただければと思います。以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社フジテレビの岩田です。クマの被害による人身被害の増加について伺います。過去最速のペースでクマによる被害件数が増加している要因として、エサとなるブナが猛暑の影響で不作であることなどが挙げられていますが、環境省として、どのように人身被害について取り組んでいくのか、対策していくのか、教えてください。
(大臣)今年度のクマによる人身被害の件数は、9月末時点で全国計105件でございまして、統計を取り始めた平成18年度以降で最も多い数となってございます。国民の皆様には、改めて注意を呼びかけてまいりたいと思います。
 環境省としては、市街地等へのクマの出没を抑制し、被害を軽減するため、令和3年3月にクマ類の出没対応マニュアルを改定いたしまして、都道府県等に周知をしているところでございます。また、昨年度令和4年度から6道県を対象に、クマ出没時の対応体制の構築や、専門人材等の育成を支援するモデル事業を実施しているところでございます。
 クマの出没状況や、その要因は地域によって異なりますので、地域の実情を把握して、ニーズに応じた支援を強化すること等によって、全国でのクマ類の出没対応の強化を、中長期的な視点も含めて進めてまいりたいと思います。
 
(記者)読売新聞の矢野です。よろしくお願いします。冒頭御発言のありましたオーバーツーリズムの対策パッケージの関連で、富士山の適正な入山管理の協議は秋から開始ということですけど、具体的な日程というのは決まっているのでしょうか。また、富士山のオーバーツーリズム防止をめぐって、地元自治体のほうで来訪者管理の在り方をめぐる議論というのは始まっていると思うのですが、環境省としては、この議論で、どのような点に重きを置いて行われるのかというのを教えてください。
(大臣)オーバーツーリズムの問題は非常に重要になってきていると思います。富士山における問題ですけれども、富士山における適正利用推進協議会は、できるだけ速やかに、11月中をめどに開催したいと考えております。その後も、来年の登山シーズンに向けて、すぐに実施できる取組、中期的な取組などの方向性を明らかにしてまいりたいと思います。
 協議会では、富士山におけるルールやマナー違反、危険な軽装登山者等の入山を防止するための実効性ある対策について、重点的に議論を進めてまいりたいと考えております。例えば、4つある登山口で、登山者に対して指導を徹底するための具体的な方策なども想定しております。
それから、山梨県、静岡県にまたがっているわけでございますけれども、既に環境省、山梨県、静岡県の三者の事務レベルで、対策に対する打合せを実施しておりまして、本協議会の場を活用し、国と両県、さらには関係市町村の地域の関係者と一体となって、同じ方向で取り組むことを確認しているところでございます。
 
(記者)時事通信の鴨川です。脱炭素の国民運動であるデコ活について、お伺いします。 大臣が就任されてから1か月ほどたちましたが、環境大臣として、省の様々な施策の推進に取り組まれている最中だと思います。大臣が日々実践しているデコ活はありますでしょうか、あれば教えてください。
(大臣)デコ活全体の御説明は短くして、私の考え方は、一人一人の人間がどういうふうな観点を持って環境に配慮した行動をすると、その集約が、結局、地域社会、国になって、最終的には地球社会になるという、同心円の考え方でございます。
 それで、私自身が何をやっているかということでございますけれども、まずは食べ物の観点で言えば、食べ物を必要な量だけ買う、買い過ぎないと。できるだけ残さないといった食品ロスの削減でございます。それから、古着、一回使った繊維をもう一回組み直して服を作るということが可能ですけれども、そういう服も購入したりしております。それから、結構私自身はスーパーとかなんかに買いに行くんですけれども、必ずエコバッグを持って買っております。それから、なるだけマイボトルを使って、特にプラスチックのペットボトルは使わないようにしていると、こういうこともしております。その他、たくさんありますけれども、ほかの御質問もあるので、こんなところでお答えにさせていただきます。
 
(記者)NHKの林と申します。有機フッ素化合物、PFASについて伺いたいのですけれども、静岡市が今月から、静岡市の清水区にある化学工場でPFOAを取り扱っていたということが分かったということで、周辺の水路であったり、地下水の調査を始めるということが地元のほうで動きがありまして、地元の首長などもそういう、いわゆる汚染源の調査なので、国とも協議しながらやっていきたいという発言をされているのですけれども、改めてこの事案に対する認識と、国としてのどういったような形で、この問題に取り組むかということを、伺ってよろしいでしょうか。
(大臣)これも大変重要な問題ですね。御指摘の事案については承知しております。繰り返しになるので、どう使用しているかは割愛させていただきますけども、PFOA等については、まず飲用のばく露防止を徹底することが重要だと思います。環境省としては厚生労働省と連携して、PFOS及びPFOAに関する対応の手引きを自治体に周知しているところでございます。
 それから静岡市からは、事業の場の周辺で、飲み水として利用されている地下水はないというふうにお伺いしております。また、市民の安全、安心の確保のために、代表的な市内の河川及び事業場周辺の水路、地下水の水質調査に着手したとも聞いております。環境省としては、引き続き、関係自治体と協力して情報収集に努め、必要に応じて助言を行ってまいりたいと、そのように思います。
 
(記者)共同通信の村越です。クマについてちょっと追加でお伺いをしたいのですけれども、先ほど国民に注意を呼びかけていただいたと思うのですけれども、具体的にどういった点に注意をすればいいのか、大臣のお言葉でお願いできればと思います。
(大臣)はい。やはり、クマの生態というのが変わってきているんですよね。昔はそんなに市街地には出なかったわけでございますけれども、市街地に出るという状況でございますので、具体的にという御質問でありますけれども、対応マニュアル等にも多少言及されていると思いますけども、山の中で会うのとは、また違った対応も必要だと思いますし、それから、駆除といいますか、市街地ですと家があるところに向かっては撃てないんですよ。ですから、麻酔ですね。麻酔銃とか、そのほかの方法にする、この前はそれこそ、皆さんが頑張って網で捕獲したということも聞いておりますので、やっぱり市街地においては、山の中とはまた違った対応が必要だと思います。十分な答えになっているかどうか分かりませんけど、そういうことでございます。
 
(記者)新潟日報の齋藤です。冒頭発言にありました防災訓練についてお伺いします。大臣、先般、地元に視察に行かれたかと思うのですけれども、それを踏まえて、内容はこれからということですが、大臣として特にどんな点を確認されたいかというお考えと、あと日程について、既に地元のほうでは広報誌なんかで訓練の日程が発表になっているのですけれども、国としての発表がこのタイミングになった理由について、ちょっとお伺いできればと思います。
(大臣)前段の質問から先にお答えしますと、今年度の訓練で、まず迅速な初動体制を確立すること、それから中央と現地組織の連携による防護措置の実施等に係る意思決定、それから住民の避難、屋内避難といった項目は重点な項目だと思います。それと、私はこの前視察してきたわけでございますけれども、現地視察の際に認識した傷病者への医療体制、それから自然災害と原子力災害の複合災害時における円滑な住民避難など、そういった課題がありますので、そういうことをしっかり対応できるように訓練に取り組んでまいりたいと思います。
 それから2問目の日程の公表でありますけども、自治体が公表したのは原子力総合防災訓練の一部であって、これは早めに住民の方にお知らせしたいというお考えで発表したものじゃないかなと私は思います。ですから、防災訓練全体について、自治体が、政府が発表する前に発表したものではないというふうに認識しておりますけども、私どもとしては、自治体、関係団体、省庁など、多くの関係者が参加するので、その調整が整ってからでないと発表はできませんので、こういうタイミングになったということでありますけれども、なるだけ早く調整して速やかに公表できるように、来年度はさらに努力したいというふうに思います。
 
(記者)環境新聞の小峰です。今日、臨時国会が始まりましたけども、伊藤大臣の臨時国会に臨む心構え、そして環境省としての方針についてお聞かせください。
(大臣)私としては、大臣として初めて臨む臨時国会でありますので、大きな責任感と緊張感を持って臨みたいと思いますし、タイミング的に国会のお許しがあれば、COP28に参加させていただく予定でもございますので、そういう今、世界の趨勢、あるいは日本の状況からいって、環境問題というのは非常に重要度を増していると思います。そういう重要度を増している課題を所掌する環境省の大臣でございますので、私、肩はあんまり大きくないですけども、なるだけちゃんと背負って、職責を果たしたいというふうに考えております。
 
(記者)毎日新聞の岡田です。ちょっと前の話になって恐縮なのですけど、使用済みペットボトルの取引をめぐって、公正取引委員会が実態調査の報告書を発表して、飲料メーカーが自治体から直接ペットボトルを回収する取引を一部自粛するように決めた容リ協、業界団体の合意について、独禁法上問題になるおそれがあると。これについては、環境省、容リ協も環境省が関係している団体だと思うのですけど、環境省としての受け止めと、環境省としてこの問題について、今後何か、その対応とかがあれば教えてください。
(大臣)この問題、それぞれの自治体の事情もあるかと思います。ただ、こういう取引を含め、やはり公正取引委員会の指摘を受けたこともありますので、競争政策上の問題が生じ得る可能性は、やっぱりやめるべきだと思います。ただ、ペットボトルのリサイクルそのものは、日本は86%と世界的に高い水準にあるんですね。ですから、公正な取引が行われるということを前提に、やっぱりペットボトルのリサイクル量、質のさらなる向上に努めてまいりたいというのが環境省のスタンスでございます。
(記者)分かりました。あともう一点だけすみません。11月3、4日に日中韓の環境大臣会合がありますけど、中国とバイ会談が予定されていますけれど、処理水について何らか協議をしたい考えというのは、今、ございますでしょうか。
(大臣)日中韓の環境大臣会合、これから開かれるわけですけども、まだ現時点でどの議題、どういうスケジュールにするということが決まっているわけではありませんので、今日の記者会見でちょっとそれはつまびらかにはお話しできないと思います。
(記者)引き続きよろしくお願いします。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=IL9GDbdo_Cs
 
(以上)