大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録(令和5年10月3日(火)11:00~11:12 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日から、責任投資、ESG投資に関する世界最大の会合、PRI in Personが日本で初めて東京で開催されます。それに先立ち、金融・投資分野の各業界のトップや有識者、国の機関などを一堂に集めて、環境省が設置しているESG金融ハイレベル・パネルから宣言が発出されたので、報告いたします。
 本日公表された宣言の概要は、我が国の金融機関が、質、量の両面から強力にESG金融を推進すること。企業に対して、その規模や移行戦略、地域特性に応じたきめ細やかな対話を強化していくこと。年金・生保等のアセットオーナーを中心とする投資家が、受益者や顧客の最善の利益のために、ESG投資を一層拡大していくということでございます。
 このPRIの取組への深い賛同と、我が国が官民を挙げた取組を進めることを示すものでございます。環境省としては、この宣言も契機として、関係省庁や各機関と連携し、ESG金融のさらなる推進を図ってまいりたいと存じます。以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社、読売新聞の矢野です。よろしくお願いいたします。冒頭、発表のありましたESG投資の利益を最大化するためには、企業数の大半を占める中小企業ですとか、地域の金融機関による取組拡大、この実効性や透明性確保などが不可欠になろうかと思いますが、環境省として、今回の宣言を、どのような課題解決や成果につなげたいとお考えでしょうか。
(大臣)おっしゃられるように、中小企業が非常に重要な役割を果たすと思います。環境省としては、ESG金融の拡大や中小企業の支援に重要な役割を果たす地域金融機関への支援を一層推進してまいりたいと思います。
 具体的な取組といたしましては、金融機関が投融資先の脱炭素化を促進するに当たり、実効的な対話や戦略策定を行うモデルケースの創出、また、地域課題とESG課題の同時解決に資する金融機関自身の取組の実践、また金融機関によるサステナビリティ関連の情報開示の充実、こういったものを支援する事業を実施して、地域金融機関による実効性のある取組を推進してまいりたいと思います。
 また今回のESG金融ハイレベル・パネルの宣言も1つの契機としまして、引き続き関係省庁や各機関と連携してESG金融のさらなる推進を図ってまいりたいと存じます。
 
(記者)熊本日日新聞の髙宗です。先日の水俣病の大阪地裁判決のことでまたお伺いしたいのですが、控訴するかどうかについて環境省の判断について教えてください。
(大臣)先般9月29日の金曜日の会見でも申し上げたんでございますけども、現在、判決の内容について、国の主張が認められなかった点などをしっかり精査しているところでございますので、関係者とも、協議し対応を検討しているということでございます。
(記者)控訴するに当たって期限というのがあると思うのですが、判断するとしたら今週中ぐらいに判断される考えなのでしょうか。その辺、見通しはいかがでしょうか。
(大臣)それについても、今日の時点ではノーコメントとさせていただきます。
(記者)ありがとうございます。
 
(記者)テレビ朝日の中尾です。よろしくお願いいたします。私も水俣病について伺いたいのですけれども、今検討中ということをお答えいただいたんですけれども、どのような論点が、国、環境省として、ちゃんと検討すべき点だという、どの論点を検討すべき点というふうに認識されているのかということ、最終的に控訴する、しないに関わるその判断は、当事者、ひいては国民の理解が不可欠かなというふうに私は感じています。理解を得られるような意思決定をしていくに当たって、大臣としてどのようなお気持ち、覚悟で臨んでいるかという点について教えてください。
(大臣)今こちらにお答えしたとおり、精査している最中でございますので、今の段階でどのような論点を精査しているかということはちょっとコメントを差し控えたいと存じます。それから、もちろんこの点は非常に重要な問題であって、被害者の苦しみは本当に胸の痛む思いでございますし、国民の皆様の関心も非常に高い事象だと思いますので、広く皆様に御理解いただけるように、いろいろな手段を通じて、広報なり、説明というものをしてまいりたいと思います。
 
(記者)エネルギージャーナル、エネルギーと環境の清水です。冒頭大臣がおっしゃったESGの金融・ハイレベル会議で、日本はグリーンボンドの発行を、先進国では唯一という具合で協議していますけれども、こういうグリーンボンドの発行へ対する国際的な評価があったのかどうか。それから、その発行を、中小企業とか、さっきおっしゃった、そういう金融支援のほうにどう結びつけていくのか、この辺どうですか。
(大臣)今のグリーンボンドの件については、私はまだ詳細をつぶさに認識していませんので、事務方からお答えさせていただきたいと思います。ESGを進めるに当たっては、いろんな観点が必要であるとともに、それぞれの観点なり、政策が1つの整合性を持って、技術的な効果を出していくということが肝要だというふうに私は考えております。そういう中で、今おっしゃられた点も連携していくべきだというふうに私は思います。
(記者)もう一点、COP28に向けて、日本はG7の議長国として、気候変動対策あるいは廃プラスティック対策で、相当大きな影響力を及ぼして、G7宣言にも盛り込まれています。それをやっぱり今度のCOP28に向けて、その実効性なり実現をどう図っていくかということ、これは議長国としての役割というか責任だと思いますけど、その辺の見通しはどうですか。
(大臣)COP28は、環境問題で非常に、あるいは最も重要な会議でありまして、日本は(G7の)議長国の立場もあり、リーダーシップを図っていかなければならないと思います。
私が考えるところは、既に決められた枠組み、あるいは協定がどのように、それぞれの加盟国において進捗しているかということと、それからやはり科学技術の進歩、状況の変化というものは非常にあるわけですから、そういうことを受けて、一度に多くの関係国がフェーストゥフェースで会うわけですから、やっぱり新しい知恵を醸成していく、その知恵を醸成する場についても、なるたけ日本として積極的につくっていくと、そういうリーダーシップもあるのだろうと思います。
 それから日本自身が持っている優れた環境関連の技術もありますから、そういった技術についても、皆さんによくお知らせしたいし、それから環境政策における協力、特に途上国に対する協力、技術面の協力もありますし、財政面の協力もあると思うんですよ。そういうあらゆる政策手段、あらゆる日本の持っている知見、あらゆる日本の持っている環境技術力、あるいはそれほど大きな財政力じゃないかもしれませんけど日本の持っている援助の力、そういったものを総動員して、リーダーシップを発揮していけたらというふうに、まだ行けるどうか分かりませんけれども、行けた場合には、そのようなリーダーシップを発揮できたらなというふうに希望しております。
(記者)最後に、今おっしゃった、科学技術の進展ということですけども、科学技術の進展は水俣病じゃないけども、負の側面も相当あるわけで。
(大臣)おっしゃるとおりです。
(記者)大臣が描いている科学技術の進展というのは、気候変動と環境問題に関しては、どういうところが大事だと思っているのですか。
(大臣)これはいろんな側面があると思うんです。例えば、いわゆるリニューアブル・エナジー、このリニューアブル・エナジーも環境負荷がゼロじゃないですよね。ですから、リニューアブル・エナジーの環境負荷をどうやって軽減していくかという問題もあると思います。それからエナジーグリッドというか、やっぱりそのエネルギーを効率よく使っていくということを、日本の場合島国ですからね、なかなか多国間では難しいんですけども、ヨーロッパなんかでは大変進んでいるようですけども、そういったことの議論もあると思いますし。それから、私は科学者じゃないので、具体的に、この技術ができそうだということは、この記者会議の場で明言はできませんけど、やはり新しい可能性は必ずあるわけで、そういったものについて、日本が持っている知見とほかの国が持っている知見を持ち寄ることで、新しい可能性がよりフィージブルな実現プログラムになってくるということも、私はあると思うんです。
 そういったいろんな観点からリーダーシップを発揮して、この環境問題が地球全体で、ぜひ改善していくことを期待したいと思います。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=V_TzLNzrWYk&list=PL9Gx55DGS7x7KxcngqArvF_NxEuXney24&index=7
 
(以上)