大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和5年9月22日(金)11:00~11:21 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 まず冒頭に、帰還困難区域からの解体金属類の無断持ち出しについて、御説明を申し上げたいと思います。大熊町の帰還困難区域内の解体工事現場から金属類が無断で持ち出され、売却されたとの報道があった件についての対応について、御報告を申し上げます。
 今回の事例については、警察当局より対応がなされているところではございますが、環境省としては、再発防止を徹底することを事務方に指示したところでございます。
 当面の対応としては三つの取組を進めてまいります。
 まず今般の金属くず等については、今、警察と相談しながら、その所在の把握を進めております。そしてまた、現在契約中の除染、解体工事の全受注者に対して、管理体制の強化や、再発防止策の策定を求めてまいります。これに加えて、環境省職員による監視体制の強化等も進めてまいります。さらに、抜本的な再発防止策について、来月の外部有識者による検討会を設置し、年度内に取りまとめを行いたいと思っております。
 これらの取り組みを通じて、このような事例の再発防止を徹底し、福島の復興・再生を着実に進めてまいりたいと存じます。
 冒頭の発言は以上です。

 

2.質疑応答

(記者)幹事社の読売新聞の渡辺です。よろしくお願いします。米国時間20日に開かれた国連気候野心サミットについて伺います。今回、岸田首相は欠席されたとのことですが、日本政府としてはどのような位置づけ、姿勢で臨まれたか。また主要排出国のアメリカや中国などの演説機会もなかったそうですが、サミット自体の受け止めを伺えればと思います。よろしくお願いします。
(大臣)今回の気候野心サミットについては、岸田総理に参加いただくべく、国連の事務局と調整を行っていたところでございますが、日程の調整がかなわなかったというふうに聞いております。
今回のサミットでは参加した各国から、1.5℃目標の達成に向けた取組が紹介されておりまして、気候変動対策のさらなる強化に向けた機運の醸成につながったと評価しているところでございます。
日本としては2021年度までに温室効果ガス約20%の削減をしておりまして、2050年までの排出実質ゼロに向けて、着実な歩みを進めているところでございます。また、今までの流れも申し上げますと、G7広島サミットにおいては1.5℃目標を達成するため、全ての国に対して気候変動対策の強化を呼びかけておりまして、またさらに二国間クレジット制度JCMの活用等を通じて日本企業の優れた脱炭素技術の移転を促しております。
このように、我が国の取組は国際的にも評価されていると実感しており、今後もCOP28等の機会を通じて積極的に発信してまいりたいと、そのように考えます。
(記者)ありがとうございます。幹事社からは以上です。
 
(記者)朝日新聞の市野です。先ほどの点について、関連で御質問させていただきます。国連の気候野心サミットについて、国連側が参加国に一定の基準を求めていたという中で、そこを満たせずに、日本も参加を考えたけれども見送ってしまったという報道もあるんですけど、そこについての事実関係というところと、あと国連側がこういうふうに一定の基準を設けて、登壇を絞るというやり方について大臣はどう考えているのかということについてもお聞かせください。
(大臣)そのような報道があったことは承知しております。しかし前段私が申し上げたように、今回は日程の調整がかなわなかったというふうに聞いております。それから、国連が一定の基準というものを設けているということについては、私は承知しておりません。
(記者)もう1点よろしいでしょうか。関連で、イギリスの話になってしまうのですが、イギリスのスナク首相が同じタイミングで、英国内でのガソリン、ディーゼル車の新車販売禁止の目標を35年まで後ろ倒しにするというふうな発表があったわけですけど、日本が今年、議長国としてまとめたG7のコミュニケでも、35年までにG7でCO排出を半減というような目標を日本はまとめてきたわけですけれども、この目標は各国の積み上げだったかと思うのですが、ここに影響する可能性というものをどのように見ているかお話を聞かせていただいてもよろしいですか。
(大臣)御案内のような報道について、私も承知しております。今、御言及があったところでございますけれども、G7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合のコミュニケでは、2050年までに道路部門のネット・ゼロにコミットし、その中間点として、2035年までにG7の保有車両からのCOを少なくとも、2000年比で、共同で50%削減する可能性に留意とされております。今般の英国の発表にかかわらず、G7の各国は、排出ゼロ車両や、関連するインフラ、持続可能なカーボンニュートラル燃料の普及を促進し、2050年までの道路部門のネット・ゼロに向けて、引き続き、努力していかなければならないというふうに考えております。
我が国においても、関係省庁が連携し、自動車の電動化を促進など、GXに向けた取組も着実に進めてまいりたいと思います。
 
(記者)共同通信の矢野です。よろしくお願いします。2019年の同様の気候行動サミットの際にも、首相が演説をできなかったケースがあったのですが、この際には就任直後だった小泉進次郎環境大臣が出席したと思います。今回は伊藤大臣がどういった理由で出席されなかったのか。日本はG7議長国だと思うのですけれども、環境省として、例えば出席するべきであったかどうかという点についてもお伺いできればと思います。
(大臣)就任直後でもありますし、同時期に総理が出張しているということもあり、総合的に判断して、今回は出張は取りやめた。それから私が出張した場合、私が発言できるスロットというのは非常に限られておりますし、また、そこにおいて、出られる環境大臣は非常に限られておりますので、そういう総合的な判断から今回は出席を見送ったと。国内での環境大臣のほかの職務との日程調整、それも含めて判断したというところでございます。
(記者)あともう一点、お願いします。先ほどの朝日新聞さんの指摘でもあったのですが、一部報道では日本の対策について評価があるということだと思うのですけれども、国際的な日本の対策に対する認識の違いとか評価の違いについて、これからCOPに大臣が臨んでいくと思うのですが、この問題をどう取り組んでいくお考えでしょうか。
(大臣)日本の環境政策に対するご評価というのは様々あるかと思います。そしてその様々というのは、いろんな観点がありますけども、評価される国によっても違いますし、団体によっても違うし、それから側面によっても違います。私は先日の記者会見でも申し上げましたけども、日本の環境政策は、あるいは実施の実際の状況は、決して後塵を拝しているというふうには思いません。むしろ、ある部分では、例えば日本とイギリスだけが目標値を下回る結果を出しているというのもありますので、日本はある部分ではむしろリーダーシップを持って進めるように、私は環境大臣として努力してまいりたい、そのように思います。
 
(記者)NHKの林と申します。冒頭発言があった帰還困難区域内での鉄くずへの対応について、外部有識者の検討会と再発防止策の策定を求めるという点について、もう少し具体的に説明できることがあれば伺いたいのですけど。
(大臣)現段階では、先ほど言ったところが一番具体的なところでございますけども、今、捜査中、進行中の事件でもありますので、今般の事件については、さっき言った3点ということになると思います。そしてまた、3点目は、ほかの類似事案も含めて、環境省としても、監視体制を強化していきたいと思います。こういうことというのは、建設会社の元請があり、下請があり、さらにそこに孫請けがある場合もあるでしょうし、作業員が雇われているという、ある意味で何重かの構造になっております。ですから、全ての作業所に環境省の職員が24時間、7日間張り付いて監視するというのは多分、働き方改革からいっても、あまり現実的ではないと思いますが、最大限、環境省の職員も監視体制にしっかり関与すると。そしてまた、受注業者において、管理監視体制をしっかりするようにということは強く指導してまいりたいと思いますし、そういうスキームについても、今後検討する外部有識者の検討会で、具体的に含まれているというふうに期待しているところでございます。
 
(記者)毎日新聞の岡田です。今の鉄くず横流しの件ですけども、ほかの類似事案の調査に関してはどうですか。
(大臣)現在のところ、類似事案で、同様の事件があったという調査報告は出ておりません。現在のところですね。
(記者)これからするのかどうかということなんですけども、既に調査しているということですか。
(大臣)調査の開始は指示しております。ただ、非常にあちこちにございますので、どのように具体的にしていくかというのは、今後の具体的な課題になっていくと思います。
(記者)ごめんなさい。元請全社に調査も指示したのですか。再発防止は指示したということは冒頭ありましたけども、調査についても、元請全社を対象に持ち出しがないかということの調査を指示したということでいいのでしょうか。
(大臣)再発防止の前段階として、やっぱり調査というのは必要だと思います。ただ、具体的にどのように調査するか、あるいはスキームをどうするかについては、今後の検討課題になろうと思います。
(記者)調査はする方針だけども、スキームは検討するという意味ですか。
(大臣)する方針ですけども、具体的にどうするかということについては今後の検討課題と。まだ事件が起きたばかりで、まだ1件目というか、そういうのがあるかどうか分かりませんけども、この事件自身はまだ捜査中でありますので、そこも含めてですね。
(記者)環境省としては、元請全社を対象に持ち出しがないかという調査をする方針であると。だけど、その調査のスキームはこれから検討する、そういう理解でいいですか。
(大臣)管理体制をしっかりしろということの中には、もちろん前段として調査が含まれていると認識します。
(記者)監視体制を強化するということですけど、おっしゃられたとおり、強化するとなると、これまでの監視体制にどういった不備があったという認識があるのですか。
(大臣)そこも含めて、今後詳しく具体的に検討していくことになるだろうと思います。
(記者)今の段階では、監視体制に不備があったという認識なのですか。
(大臣)今回の事案が、監視体制の不備だけの理由なのか、監視体制以外の管理体制の問題なのか、まだつまびらかになっておりませんので、そこも含めて調査し、検討していくということになろうかと思います。
(記者)分かりました。ありがとうございます。
 
(記者)「エネルギーと環境」のエネルギージャーナルの清水です。ちょっと話は違うんですが、岸田政権は来週にでも経済対策を指示するということのようです。具体的には来月ということのようですが、かねてから大臣もおっしゃっていたし、環境省もそうだと思うのですが、温暖化対策などの環境対策が経済成長に資するんだと、要するに経済政策の一環として、環境対策があるんだとの認識だったと思うんです。どうですか。今度の経済対策で、何をどの程度の規模でアウトプット、具体化しようとされるのか。その方針を聞かせてください。
(大臣)私は総理大臣ではありませんので、その全体像を語る立場にありませんけれども、環境省の観点で言えば、先日のことでも話が出た中小企業対策というものもあると思います。私は、環境政策と経済政策というのは別に相反するものとか別個のものじゃなくて、パラレルでうまく進めるものだと思います。ですから、環境政策、例えば、中小企業が脱炭素のいろいろな方式を導入する、そういうことに対して、もう既に環境省では補助を出しておりますけども、そういったことも経済対策にもなると思いますし、具体的には総理指示を踏まえて、来年度予算ということになると思うので、しっかり環境省として、環境政策にもなり、経済政策にもなる施策というものを、他省庁とも連携しながら進めてまいりたいと、そのように考えています。
(記者)1点だけ具体的に伺いますが、例えば、さっき出ていました自動車排ガス対策、要するに自動車のEV化が、日本は非常に、まだ1%未満ということで遅れているわけです。そういうことに抜本的に支援策といいますか、EV化に向けた対応なんかを考えていますでしょうか。どうですか。
(大臣)EV化については環境省ができる部分と、経済産業省ができる部分とありますけど、力を合わせて進めたいと思います。それから、もちろんEV化だけじゃなくて、やり方によるCOの削減というのもありますから、それを総合的に考えてまいりたいと思います。
 
(記者)時事通信の鴨川です。話は変わりまして、一昨日、9月20から26日までの1週間の期間で、動物愛護週間が始まっています。年々、人々の動物愛護の意識とか理解というのは高まっているようにも思えるのですけれども、改めて今年度も動物愛護週間を実施する意義は何でしょうか。
(大臣)おっしゃられるように、やっぱり国民の中の動物愛護への意識、理解の醸成というのは大変重要だし、おっしゃるとおり、徐々にその気持ちが高まって浸透したと思います。環境省としてもそういう理解や関心を深めて、高めていくという努力が必要だと思いますし、動物愛護週間は、国、地方自治体、関係団体が、動物の愛護と管理に関する普及啓発のために各種行事を実施しておりますけれども、環境省としても、それを奨励したいと思いますし、また明日9月23日土曜日には、どうぶつ愛護フェスティバルを東京国際フォーラムで開催する予定でございます。ぜひ皆様を含め、たくさんの方にお越しいただきたいと思います。
 それから、節目という意味においては、本年は動物愛護管理法制定50年の年であります。ある意味では、例年以上に動物愛護への理解と周知に力を入れて、人と動物の共生する社会、これを実現するために、環境省としても努力を続けてまいりたい、そのように思います。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=gO4nTC4FvCk
 
 
(以上)