大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和5年9月12日(火)11:00~11:14 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日は1件申し上げたいと思います。
 2030生物多様性枠組実現日本会議J-GBFの第2回総会への参加についてであります。本日、経団連の十倉会長が会長を務めます、産官学民からなる生物多様性保全に関する連携プラットフォームである2030生物多様性枠組実現日本会議J-GBFの第2回総会に参加いたします。総会では、今年2月に発出されましたJ-GBFネイチャーポジティブ宣言に基づく行動計画の案が示され、今後、各界にネイチャーポジティブ宣言の発出を呼びかけていくこととなります。各界で行動変容を促すお立場である構成団体の皆様が、ネイチャーポジティブの実現に向けて、連携して、社会経済全体の変革が進むことを期待しております。
 環境省といたしましても、こうした変革に際して、デコ活を始めとする気候変動の取組と生物多様性保全の取組のシナジーが生み出されるように力を尽くしてまいりたいと考えております。冒頭は以上です。
 

2.質疑応答

(記者)NHKの林と申します。よろしくお願いします。明日にも、岸田総理が内閣改造を予定しているということですけれども、改めて、このタイミングで、環境大臣として1年余りの任期中の振り返りというのを伺ってもよろしいでしょうか。
(大臣)今、ご指摘があった内閣改造、これはもう、まさに内閣総理大臣の専権事項でありますので、これに関してコメントすることは差し控えなければならないと思っておりますけれども、昨年の8月、環境大臣就任以来、約400日にわたって環境政策を担わせていただきました。
様々な分野にわたって仕事をしてまいりましたけれど、特に力を入れてきた分野、三つほど紹介したいと思いますが、まず一つは、東日本大震災からの復興でございます。私自身も、当日、東日本大震災を被災した、まさに被災者の1人として、現状、体験してまいりましたので、この復興というものはしっかり取り組んでいかなければならないというふうに思っております。特に、除去土壌の再生利用、また、最終処分に向けた対応を進めなければなりません。そのために対話フォーラムの開催などによって、国民の皆様の理解醸成、これを進めてきたところであります。また、ALPS処理水の放出を受けて周辺海域のモニタリングと情報発信、これについて着実に進めてまいりました。
2点目はGXの推進。とりわけデコ活であります。来年度の概算要求では、総額2,830億円のデコ活予算を取りまとめました。住宅の断熱リフォームや電動車の導入支援、こうしたことなど、まさに社会の行動変容と需要喚起の基盤をつくってまいりました。環境大臣を退任するとしましても、デコ活大臣として、まさに国民の皆様の理解醸成、そしてライフスタイルの変革、こういったものをしっかり進められるように、旗振りを努めてまいりたいというふうに思っております。
3点目が、国際協力の推進であります。昨年の気候変動枠組条約COP27、これにおきまして、気候変動に伴う悪影響へのロス&ダメージ支援パッケージというものを公表いたしました。また、JCM、二国間クレジット制度ですけれども、就任時は17か国でありましたけれども、種々の国際会議や媒体を通じて、各国の首脳、また関係閣僚とお話をすることによって、現在27か国まで増やすことができました。また、さらに4月に札幌で行われたG7環境大臣会合、ここでは、主要経済国への2050年ネットゼロの呼びかけ、またネイチャーポジティブに向けた経済界との連携、2040年までの追加的プラスチック汚染ゼロ、こうしたことなどについて合意をいたしました。これらをG7の広島サミットの成果文書に反映して国際的な環境政策をリードしてまいったと考えております。
環境省においては、今後これらの政策的な蓄積を活かして、さらに環境政策を前進させていっていただきたいと思います。これまで以上に環境に対する我が国のみならず、世界全体での非常な関心があり、また環境政策に対する期待が膨らんでいると思います。これをしっかり担っていけるように、更なる前進を続けていっていただきたいというふうに考えております。
 
(記者)時事通信の鴨川です。旭硝子財団が行っている各国の専門家の地球環境悪化に関する危機感を時計の針で表している環境危機時計が、極めて不安を表す9時31分を示していることが発表されましたが、これに対する受け止めと、環境省として、回答している専門家の不安を取り除くためにできる対策はどういったものがあるのでしょうか。
(大臣)今、ご指摘いただいた発表については承知しておりますけれども、民間団体としての活動については、コメントは差し控えなければならない思っております。
 その上で、環境省といたしましては、脱炭素、また、生物多様性の保全、循環経済、こうしたことへの移行などの施策を着実に進めて、また、その情報を分かりやすく発信していくということで、環境の現状や環境保全の重要性について、国民の皆様の理解醸成、これを図っていかなければならないと考えています。
 また、環境に対する御理解を深めていただくためにも、国民の皆様お一人お一人に、環境保全や脱炭素に向けた具体的な行動、これをぜひ起こしていただきたいというふうに考えております。
 概算要求に盛り込んだ総額2,830億円のデコ活予算、こうしたものを活用しつつ、デコ活の浸透、普及を図って、国民の皆様の行動変容、これを図っていきたいというふうに考えています。
 
(記者)朝日新聞の市野です。この週末、G20の首脳コミュニケがまとまりまして、環境大臣会合ではまとまらなかった世界の再エネの設備容量を30年までに3倍にするという目標も入ったわけですけれども、この点についての受け止めをいただきたいのと、一方で、排出のピークアウトの時期については、各国の事情によるとして明言されなかったわけですけれども、この点について、日本がどのようにアプローチされたのか、どのように主張をしたのか、その点についても教えていただければ、御教示ください。
(大臣)G20サミットにおいては、2030年までに、各国の事情に沿って、既存の目標や、そして政策を通じて、再生可能エネルギーの容量を世界全体で3倍にするという取組を追求、奨励するということが盛り込まれたというふうに承知しています。
 温室効果ガスの実質排出ゼロ、いわゆるネットゼロ、これの実現に向けた取組は、まさに世界全体で進めていく必要がありまして、各国のエネルギーを取り巻く状況、そうしたものが様々ございますので、こうしたものを踏まえながら、世界全体で再エネの導入拡大を進めていくことが重要だというふうに考えています。
 我が国としては、地域脱炭素の加速化などを通じて、国民の皆様の負担の抑制と、地域共生を図りながら、主力電源として最優先の原則で、再エネの最大限導入拡大、これに取り組んでまいります。
 また、二国間クレジット制度、JCMの活用などを通じて、アジア各国を始めとした途上国への再エネ設備の導入拡大、これに貢献してまいりたいというふうに考えています。
(記者)この再エネの目標が入ったということについて、前進と捉えてよいのか、その辺り、大臣のお考えを教えていただいてもよろしいでしょうか。
(大臣)今回のG20サミットにおいての気候変動、これについては、1.5度目標のためには、2025年までに世界全体の温室効果ガス、これの排出量のピークアウトが必要であるというIPCCの予測への留意といった点、また、次の国別削減目標において、経済全体および全ての温室効果ガスを対象とした目標を設定することの奨励、そして、今ご指摘のあった、再生可能エネルギーの容量を2030年までに、世界全体で3倍に拡大することの追求などについて合意したわけでございまして、一定の前進があったものというふうに認識しています。
 
(記者)NHKの林と申します。冒頭、大臣の就任後の振り返りをいただいたと思うのですけれども、あえて、大臣でやり残したこと、もうちょっとこういうことができたのではないかということと、あと、環境省として今後こういうことをしていくべきでではないのかという、そういう視点があればお伺いできればと思います。
(大臣)環境政策に関して、省を挙げて一丸となって前進する取組をしております。ただ、やり残したことという話、やり残したことというよりも、やらなければならなかったことがいっぱいあると思います。そうした課題というのは、私のみならず、今後の環境大臣、そしてまた、環境省職員を挙げてしっかり取り組んでいく必要があろうというふうに思っております。除去土壌の最終処分を含めた対応、そして、先ほど環境時計のお話もありましたけれども、そうした全体としての国民の意識向上、先ほど申し上げたデコ活をしっかり、今後も旗振りを務めてまいりたいと言いましたけれども、まだまだ、国民の皆様に、環境というものが大事だというご認識はありますけれど、それを普段の行動に活かしていこうというところまで本当に行っているのかなという部分もありますので、ぜひ、そういった認識を持って、お一人お一人の国民の皆様が、行動変容を図っていけるような、そうした浸透、拡大といったものをさらにやっていかなければならないというふうに思っております。
 やり残したことというよりも、これからやっていくことを、みんなで目標を持って、そして、その実現に向けて歩んでいくことが重要だろうというふうに考えています。
 
 
会見動画は以下にございます。
https://youtu.be/KAtKn1s6WJQ?si=gWL8dLRHeQRtOhk1


(以上)